
家(戸建て)の基礎にひび割れを見つけて、
「なぜ基礎にひび割れが?」
「もしかして基礎のひび割れは、家の耐震性にも影響する?すぐに補修が必要?」
などの疑問や不安を抱いている人は少なくないでしょう。
家の基礎がひび割れる原因は様々あります。
補修が必要かどうかは、基礎のひび割れ状態・進行具合/基礎のひび割れ原因などによって異なります。しばらくは様子見でも問題ないひび割れもあれば、放置すれば耐震性にも影響を及ぼしかねないような早々に補修が必要なひび割れもあります。このあたり詳しくは本章で解説いたします。
この記事では、
・基礎がひび割れる5つの原因
・基礎のひび割れ補修が必要かどうかを見極める方法
・基礎のひび割れ補修方法&補修費用
・基礎の補修をプロに依頼すべき理由
など、家の基礎のひび割れに悩んでいる人が気になる情報をすべてお伝えします。
ぜひ、参考にしてください。
1.[写真で解説]家の基礎はひび割れることがある
家の基礎は、様々な原因でひび割れることがあります。
※ひび割れの原因について詳しくは、下記2章を参照ください。
日本の家の基礎は、ほとんどがコンクリート造です。
つまり、ほとんどの場合、“基礎のひび割れ=コンクリートのひび割れ” です。
※コンクリート造の基礎は、多くが、骨組みの鉄筋にコンクリートを流し込んでつくられています。
基礎のひび割れ
2.家の基礎がひび割れる5つの原因
家の基礎がひび割れる原因として、下記の5つが考えられます。
[基礎がひび割れる5つの原因]
●原因① 経年劣化
基礎の経年劣化が原因で、ひび割れが生じることがあります。基礎のひび割れの多くが、この経年劣化が原因です。
経年劣化のメカニズムをお伝えすると…
時間の経過とともに二酸化炭素と基礎のコンクリート成分が化学反応を起こすことで、骨組みの鉄筋が腐食して膨張し(※多くの基礎が、骨組みの鉄筋にコンクリートを流し込んでつくられています)、基礎にひび割れが生じます。
●原因② 乾燥収縮
基礎のコンクリート施工後(※日本の基礎は、ほとんどがコンクリート造です)、コンクリートが乾燥する過程で、細かいひび割れ(ヘアークラック)が生じることがあります。この細かいひび割れは、コンクリートの特性上どうしても起こり得る現象です。
●原因③ 基礎工事の不備
基礎工事に何等かの不備があったことが原因で、不具合の症状として基礎にひび割れが生じることも。
基礎工事の不備例)
・コンクリートの施工に不備があった
・コンクリートの水分量に問題があった
※上記以外の基礎工事の不備が原因で、基礎にひび割れが生じることもあります。
●原因④ 家の構造の問題/地盤の問題など
・家の構造の問題
・地盤の問題(地盤に弱い箇所があるなどの理由で、家が傾いてしまうことがあります)
などがある場合にも、基礎にひび割れが生じることがあります。
●原因⑤ 地震
地震の揺れが原因で、家の基礎がひび割れることもあります。
3.基礎のひび割れ補修が必要かどうかは、ひび割れの状態や原因などで見極める
・基礎のひび割れ補修が必要かどうか
・基礎のひび割れを放置した場合のリスク
などは、多くの場合、「基礎のひび割れの状態・進行具合」「基礎にひび割れが生じた原因」などによって見極めます。
3-1.幅0.3mm未満のひび割れ ⇒ 様子見でも問題ない
ひび割れの幅が0.3mm未満の場合は、しばらく様子見でも問題ないケースがほとんどです。
特に、乾燥収縮が原因で生じる細かいひび割れ(ヘアークラック)はコンクリートの特性上どうしても起こり得る現象のため、過度に心配する必要はありません。
3-2.幅0.3mm以上のひび割れ ⇒ 補修を検討すべし
幅0.3mm以上のひび割れが生じている場合は、補修を検討してください。というのも、ひび割れの幅が0.3㎜以上になると、そこから雨水が浸入する可能性が高まるためです。
基礎のひび割れ箇所から雨水が浸入すると、どうなるかというと…
・基礎のコンクリートに雨水が浸み込み、コンクリートが脆(もろ)くなる
・雨水によって、基礎の骨組みの鉄筋が腐食する(サビる)
(※鉄筋が腐食してひび割れが生じている場合にも、ひび割れから浸入した雨水によって、鉄筋の腐食はより進行することになります)
などして、基礎が加速度的にダメになっていく可能性大です。
ひび割れが進行して、ひび割れ幅が大きくなるにつれ、雨水が浸入するリスクは間違いなく高まります。また、ひび割れが深くなったり、ひび割れが進行して基礎が爆裂したりすると、さらにそのリスクは高まります。
爆裂
3-3.ひび割れ箇所からサビが流れ出ている ⇒ 早々に補修が必要
基礎のひび割れから浸入する雨水によって、骨組みの鉄筋の腐食が進行すると、基礎のひび割れ箇所から雨水と一緒にサビ(鉄筋の腐食によって生じたサビ)が流れ出てくることがあります。
ひび割れ箇所からサビが流れ出ている状態は、鉄筋の腐食がかなり進行しているサインです。放置すれば、鉄筋の腐食はさらに進行し、最悪の場合、基礎の骨組みである鉄筋がダメになることで家の耐震性にまで問題が生じる可能性も。
そのため、ひび割れ箇所からサビが流れ出ている場合には、早々に補修が必要です。
3-4.[補足]ひび割れの原因が「基礎工事の不備」の場合 ⇒ “ひび割れ補修以外”の補修が必要なことも
基礎工事の不備が原因で基礎にひび割れが生じている場合には、“ひび割れ補修以外”の補修が必要となるケースもあります。
「どんな“ひび割れ補修以外”の補修が必要か」は、基礎工事の不備内容(基礎工事にどんな不備があったか)によって異なりますが、基礎の補修だけで済む場合もあれば、基礎工事自体をやり直すなどの大がかりな工事が必要となる場合もあります。
3-5.[補足]ひび割れの原因が「家の構造の問題/地盤の問題など」「地震」の場合 ⇒ 家・地盤の補修が必要となることも
「家の構造の問題/地盤の問題など」「地震」が原因で基礎にひび割れが生じている場合には、ひび割れ補修だけでなく、あわせて家や地盤の補修が必要となることも。
家や地盤に大きな問題がある場合などには、地盤からやり直して家は建て直すしかないということもあるかもしれません。
3-6.基礎のひび割れを見つけたら、プロに相談するのが賢明
基礎のひび割れ補修が必要かどうかの判断基準などをお伝えしましたが、このあたりを自身だけで判断するのは難しいでしょう。
自身だけで判断をすると「軽微なひび割れかと思っていたが、実は、放置すれば耐震性にも影響を及ぼしかねないような早々に補修が必要なひび割れだった」など、甚大な被害につながるひび割れを見逃す恐れもあります。
そのため、基礎のひび割れを見つけたら、プロに相談をするのが賢明です。
プロに相談をして、基礎のひび割れを確認してもらうと、
・今すぐひび割れ補修するべきか、しばらくは様子見でも問題ないか
・このまま、ひび割れを放置した場合のリスク
・(ひび割れ補修が必要な場合)どんなひび割れ補修工事が必要か
・ひび割れ補修以外に、必要な補修があるかどうか
などについて、プロの意見・見解を教えてもらえます。
さらに、
・(ひび割れ補修が必要な場合)ひび割れ補修工事をした場合にかかる費用(見積額)
も提示してもらえるため、より現実的にひび割れ補修等を検討できるはずです。
ちなみに、どこに相談をすればよいかというと…
一般的な相談先としては、塗装業者をはじめ、施工店、建築士など様々あります。
新築を建ててから(基礎のコンクリート施工後)すぐに、基礎にひび割れが発生した場合は、保証などが受けられる可能性もあるため、ひとまず工事を行なった業者・住宅購入時の業者(ハウスメーカー、仲介の不動産会社等)などに相談をするのが良い場合もあります。
※本サイトを運営している「プロタイムズ」でも、基礎のひび割れについての相談を受けつけています。お気軽にお問合せください。
4.基礎のひび割れ補修方法&補修費用
この章では、
・基礎のひび割れの補修方法
・基礎のひび割れの補修費用
について解説いたします。
4-1.基礎のひび割れ補修方法
基礎のひび割れは、ひび割れ補修をしてから塗装で仕上げる補修方法がオススメです。
[オススメ!基礎のひび割れ補修方法]
▼ステップ① ひび割れ箇所を補修する
ひび割れ箇所の補修には、「フィラーすり込み」や「Uカットシーリング処理」といった方法があります。その他、ひび割れ箇所にエポキシ樹脂を注入して補修する方法や、繊維シートを使用して補修をする方法などもあります。
基礎のひび割れ箇所に、微弾性フィラーをすり込む。
・Uカットシーリング処理
基礎のひび割れ箇所をU字にカット。カットしたところに専用プライマーを塗布し、シーリングを充填する。
▼ステップ② 塗装をする(ひび割れ補修をした面だけ塗装をする or 家の基礎すべてを塗装する)
ステップ①の上から塗装すると、ひび割れ箇所の補修跡が塗装で見えなくなるため、(塗装をした基礎は)新築時のようにキレイになります。
また、塗装をすることで、基礎の防水性を高める効果も期待できます。
※基礎のひび割れが進行している場合などには、上記以外の補修が必要となることもあります。
※ひび割れの原因が「基礎工事の不備」「家の構造の問題/地盤の問題など」「地震」の場合には、基礎のひび割れ補修+αの補修/大がかりな基礎の補修工事/基礎以外の箇所の工事などが必要となることもあります。
4-2.基礎のひび割れ補修にかかる費用相場
基礎のひび割れ補修にかかる費用相場は下記の通りです。
●ひび割れ箇所の補修+塗装(基礎部分)
数十万円~
●ひび割れ箇所の補修のみ
数万円~数十万円~
※上記はあくまで目安の額です。実際の補修費用は、ひび割れの進行具合、ひび割れの数、補修工事の内容等によって大きく変わります。
※大がかりな補修工事が必要な場合には、相応の費用がかかります。
※「基礎工事の不備」「家の構造の問題/地盤の問題など」「地震」が原因でひび割れが生じた場合には、保証や保険の対象となる可能性があります。
4-3.基礎のひび割れ補修はプロに依頼すべし
基礎のひび割れ補修はプロに依頼をしてください。
なぜならば、基礎のひび割れを補修するためには、
・基礎のひび割れ原因を正しく見極める
・原因に合わせて、必要な補修をする
・補修をするのに最適な材料を見定める
など、専門的な知識や経験が必要となるためです。
基礎は家を支える重要な部分であるため、ひび割れ原因を見誤ったり、補修工事に不備があったりすると、基礎が早々にダメになるだけでなく、家の耐震性にまで影響を及ぼしかねません。
そのため、無理に自身で補修しようとせず、プロに依頼をすることを強くオススメします。
まとめ
家の基礎は、ひび割れることがあります。
基礎のひび割れの原因として、下記の5つが考えられます。
原因① 経年劣化
原因② 乾燥収縮
原因③ 基礎工事の不備
原因④ 家の構造の問題/地盤の問題など
原因⑤ 地震
「基礎のひび割れ補修が必要かどうか」などは、基礎のひび割れの状態・進行具合、基礎にひび割れが生じた原因などによって見極めます。ただし、自身だけで見極めるのは難しいため、ご紹介した情報も参考に、プロと相談をして判断をするのが賢明です。
この記事では、基礎のひび割れ補修の方法や費用についても解説しております。基礎のひび割れ補修を具体的に検討する際には、ぜひ、こちらの情報も参考にしてください。