外壁塗装・屋根塗装をご検討の方で、業者へ見積りを取られた際に「鉄部 塗装」「付帯塗装(鉄部)」などの記載を見られたことはないでしょうか?

外壁塗装・屋根塗装をする際、お見積もりを取ると一緒に門扉や雨戸、手すり、金属製の階段、ポスト、給湯器などの鉄部への塗装も提案されるケースがあります。雨戸だけでも枚数次第では金額がかさむこともあります。

ご存じのとおり、鉄は空気と水に触れると錆びます。錆が出ると、外壁はまだ綺麗でも、家全体を見ると汚い印象を与えてしまったり、門扉や雨戸が錆びると閉まりが悪くなってしまったりします。

ですので、鉄部の塗装は、「自分で買った大切な家を長持ちさせたい」「おしゃれなお家を保っていたい」などと思う方には、外壁や屋根と同じくらい大切な工事です。

本記事では、住宅によく使われる鉄部の塗装の重要性と塗装するとき注意すべきポイントをご紹介いたします。

1.鉄部をメンテナンスしないことに伴うリスクと処置方法

住宅における鉄部とは、鉄でできている部材のことで、磁石を近づけるとくっつく部材ものものはすべて鉄部です。鉄部はコーティング(塗装)が施されています。お風呂場にヘアピンを置いておくと、3日経てば錆が発生するように、鉄は水と空気さえあれば酸化し錆を発生させますので、住宅における鉄部へも必ず塗装がされています。この章では、鉄部をメンテナンスせずに放置するとどうなるか?また、その後の対処方法についてご紹介いたします。

1-1.鉄部は5年経てばメンテナンスを検討すべき

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住宅で使われている鉄部の建材は、新築時または新しく設置したときには外壁や屋根同様、すでに塗装が施されているものが使用されるケースがほとんどです。
しかし、その塗装に使われている塗料の多くはアクリル塗料で寿命が約5年程度であるため、立地条件により差はありますが5年ほどで表面のコーティング機能が低下してしまいます。

メンテナンスをしないまま、放置してしまうと以下のような問題が起きる可能性があります。

 

1-2.塗装しないことでおきる2つの問題

・美観が損なわれる

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鉄部を保護している塗膜は、5~7年で保護機能が低下していき、そのまま放置をすると機能を果たさなくなります。そうすると、鉄部がむき出しとなり、雨・空気に触れることによって錆が発生します。少しの錆であればあまり目立ちませんが、箇所が多くなればなるほど全体の色のトーンを落とし、お家の外観に暗いイメージをもたせてしまうことになります。特に玄関の門扉やポストは、訪れる方が一番最初に見る箇所であり、建物を印象を良く見せる上で非常に重要な箇所です。

・錆による機能低下

門扉塗装

「雨戸が開きにくくなった」や「鉄製の門扉の一部が手でさわるとぼろぼろと崩れる」などを体験されたことはありませんか?錆が発生することにより、通常の機能を発揮しない建材も中にはあります。錆は、一度発生してしまうと一気に進行し、放置すると鉄の強度がなくなっていきます。そして、劣化がひどくなると、指で押すだけで躯体部分が曲がったり、ぼろぼろ崩れたりするため、塗装でのメンテナンスは不可能となり、取替えといった処置をとることになります。ここまで進行してしまうと、メンテナンス費用は塗装よりもはるかに高くなってしまいます。ですから、早めのメンテナンスをしておくことが大切です。

 

1-3.鉄部を長持ちさせるためのメンテナンス時期

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鉄には、素地そのものを長く使えるよう塗装で保護されているということを繰り返しお伝えしています。しかし、自分の家の鉄部が塗装が必要かどうかの判断が難しいですよね。実は現在使用されている塗料には耐久年数があり、塗料グレードと塗り替え時の処置方法によって長い短いは変わってきます。塗料の耐久年数はまだ金額を見れは少しは判別できますが、施工に関してはわからないことの方が多いかと思います。ここでは、鉄部を長持ちさせるためのメンテナンス時期をご紹介いたします。

①表面を触ると手に粉がつく「チョーキング現象」が発生した時

チョーキング
※写真は外壁のチョーキング写真。

鉄部を守るために大事なのは、鉄部を保護してくれる塗膜を正常な状態に保つことです。一般的に鉄部に塗られている塗料は、日々太陽や雨にさらされ劣化しています。塗料が劣化していくことで機能を果たさなくなる、つまり鉄部を保護できなくなるまでに次の新しい保護膜をつくってあげることで、鉄部の寿命はのびます。新しい保護膜を作るタイミングとして良いタイミングが、「チョーキング現象」が発生したときです。

※チョーキング現象とは
塗料中に含まれる樹脂が、太陽の光や、熱、雨水によって劣化しやせていくことで、塗料中の顔料が表に出てしまう現象。外壁を触ると手に粉が付く現象。

■塗膜の劣化症状の段階

症状症状が現れる目安
レベル1艶がなくなる写真~3年
レベル2色があせてくる05-色あせ~3年
レベル3チョーキング現象が発生するチョーキング3~5年
レベル4ひび割れする~7年
レベル5はがれるモニエル瓦の塗膜剥離~7年

チョーキング現象は、手で触ると粉がつくので劣化レベルの中でも一番わかりやすい劣化状態です。メンテナンスの目安としては、新品から約3~5年たったころです。その地域や新品時に使用されている塗料によってこの年数は大幅に変わってきますが、一般的に新築時に使われるアクリル塗料やウレタン塗料などの耐久年数から推測すると、おおよそこの年数でチョーキング現象が発生します。このまま放置しておくと、鉄部を守っている樹脂がやせていき、やがては、鉄部を外気に触れさせてしまいます。そして外気に触れてしまった箇所は空気と水と触れることで錆が発生し、進行します。錆を発生させないためには塗膜が鉄部の保護膜としての性能を保っているうちに再塗装をすることをお勧めします。

②斑点程度の錆が発生した時

錆が発生したらもう手遅れ・・・ではありません!このタイミングではすでに錆が発生していますが、斑点程度の少しの錆であれば、まだ鉄部を長持ちさせるための処置は間に合います。処置方法としては、まずサンドペーパー(やすり)で錆が全てなくなるまで除去し、錆止めを塗布してから再塗装を行います。

門扉の塗装をお考えの方必見!門扉塗装を成功させる5つのポイント

1-4.症状別!鉄部のメンテナンス方法

この章では具体的に目でわかる症状3つを取り上げ、各症状別にどんな処置方法が良いのか紹介します。

[症状1] チョーキングが発生している場合

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原因:紫外線による樹脂の劣化

対処方法:DIYでも可。塗膜に付着する旧塗膜やごみを高圧洗浄(または中性洗剤)にて取り除き、錆止め塗料(1回目塗装)と上塗り2回(2回目、3回目塗装)の3回塗装を行う。

 

[症状2] 塗膜があり部分的に斑点のような小さな錆が発生している場合

原因:塗膜の保護機能低下による鉄の酸化(弱)

対処方法:業者に依頼することがお勧め。やすりやワイヤーブラシ、皮すきのような手工具を使ってケレン(錆、劣化塗膜の除去)を行い、光沢のある鉄面にしてから3回塗装(症状1同様)を行う。

 

[症状3] 錆による腐食が激しく塗膜の劣化もみられる場合

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原因:塗膜の保護機能低下による鉄の酸化(強)

対処方法:業者に依頼することがお勧め。ディスクサンダー、ワイヤーブラシ呼ばれる電動工具を用いたり、やすりやワイヤーブラシ、皮すきのような手工具を使ってケレン(錆、全塗膜の除去)を行い、光沢のある鉄面にしてから3回塗装(症状1同様)を行う。

※鉄部の塗装で一番大切なのは、再塗装前に完全に錆をとること(ケレン)です。錆は発生しているということは、すでに錆部分に水分が含まれているということです。つまり、この錆を取らず、上から塗料を塗ってしまうと塗膜の下にはまだ水分が残っている状態となり、錆の進行は止まりません。

 

2.部分別!鉄部の塗装の価格相場

鉄部を塗装する際、金額を決めるのは、「ケレン(錆をとる作業)の手間代」+「塗装の手間代」+「塗料代」です。塗料が同じでも劣化具合や、塗る範囲によって金額は当然変わってきます。ここでは、各部位の一般的な塗装費用相場をご紹介します。

各部位の一般的な費用相場(足場設置代は含まない)

箇所相場
雨戸(1枚)2,000~5,000円
(m2)1,000~1,350円
戸袋(1個)2,000~5,000円
門扉(両開き2枚分)15,000~20,000円
鉄階段80,000~300,000円
給湯器10,000~30,000円
ポスト2,000~10,000円

※費用は範囲・業者・劣化状態によって異なります。

2-1.雨戸・戸袋

雨戸1枚塗装するには2,000円~5,000円が相場です。お家に雨戸がある大きな窓が3箇所あるとすると、1つの窓に付き2枚の雨戸があると仮定して、全体では1.2万~3万円ほどで塗装ができます。ただし、2階などの雨戸を塗装するには足場(10万~20万円)が必要であるため、上記の値段でするには、外壁や屋根の塗装と一緒にしたほうがお得です。

戸袋塗装

一番多く使われるのがブラウン・ブラックです。2色とも汚れが目立ちにくいのでとても人気です。
ホワイトやグレーは汚れが目立ちやすいので、雨戸の中ではあまり人気がある色ではありません。ホワイトの雨戸は、1年もすれば劣化が目立ち始めます。
一般的に戸袋と雨戸はセットで塗装を行います。業者ごとの施工費や使用する塗料によって価格に差は出てきますが、1箇所(1枚)あたりおよそ2,000円~5,000円が相場となっています。

戸袋の塗装についてはこちらの記事も参考にされてください。

[戸袋の塗装]プロが教える、塗装のタイミング&費用

 

2-2.門扉

門扉は、一式で見積もりが出されることが多いですが、費用はおおよそ約1万5千~2万円(7千~1万円/枚)です。工程としては表面の汚れをワイヤーブラシ・サンドペーパーを使って落とすケレン作業を行い、錆止め塗料を塗ったあとに、上塗りを塗装します。錆の程度が小さければ1日で仕上げることができます。

門扉の塗装をお考えの方必見!門扉塗装を成功させる5つのポイント

 

2-3.鉄階段(10段)

マンションやアパート、公園などにある鉄製の階段を塗装(両面塗り)する時にかかる費用はおおよそ8~30万円です。鉄部の塗装は「ケレン+錆止め+上塗り」の仕様で行う必要があります。

 

2-4.給湯器

給湯器は、錆の状態や塗装部位(前面のみ塗装や配管カバーも含めて塗装、設置アダプターや枠の塗装など)やカラーによって値段が異なりますが、概ね1~3万円程度で塗装が可能です。

給湯器を塗装するときに注意すべき点は、給湯器の品番が表記されている部分や、ネジ部分、その他塗ってはいけない部分もありますので、業者に依頼する場合でも打ち合わせをしっかりとすることをおススメします。

 

2-5.ポスト

ポストは、塗装部分が10㎡ほどしかありませんので、塗料の費用はあまりかかりません。手間でどのくらいかかるのか?で金額が変わります。旧塗膜があり、塗装のみであれば市販の塗料を購入して自分でも塗装できますし、2,000円~でも業者に依頼することは可能です。錆がひどい場合は業者に相談することをおススメします。

 

3.鉄部塗装時に確認したい5つこと

「ちょっとだけの補修だから。」と「外壁を塗装するついでだから。」と油断してしまいがちなのが鉄部の塗装ですが、注意したい点がいくつかあります。ここでは、鉄部の塗装工事を検討する際に必ず確認していただきたい点をご紹介します。

3-1.施工時に一番大事な工程「ケレン」を行っているか確認する

ケレン作業

この記事で何度もお伝えしていますが、鉄部塗装で一番大切なのが塗装前の「ケレン」です。

ケレン作業によって既存の錆を取らないと、いくら上から錆止め塗料を塗っても錆の進行は止まりません。ケレンをしっかりやってくれる会社なのか?確認しましょう。

■確認方法

見積もり時に「ケレン作業はしっかりやってくれるのか?」実績などを確認。

塗装完了時にケレン後の鉄面の写真と使用した塗料缶の写真を確認。

 

3-2.下塗り塗料に防錆・防食塗料が使われているか確認する

下塗り剤として使用している塗料が錆止め塗料かどうかは確認する必要があります。代表的な錆止め塗料を以下でご紹介いたします。

■ 錆止め塗料例

・エスケー化研株式会社/エポサビマイルド

・日本ペイント株式会社/1液ハイポンファインデクロ

・株式会社アステックペイントジャパン/サーモテックメタルプライマー

錆止め塗料については下記の記事でも紹介しています。参考にされてください。

錆止め塗料の効果は?防錆塗料の種類・価格・効果を発揮させる方法

 

3-3.上塗り塗料の耐久年数はライフプランに適しているか確認する

住宅ストック循環支援事業

いくらしっかり下地処理ができたとしても、仕上げの塗料が3~5年の耐久年数しかない塗料を使用した場合はすぐに再塗装が必要になります。
次の外壁や屋根、その他のリフォームの時期に合わせられるように耐久年数を選択しましょう。

 

3-4.塗料の塗布量を守っているか確認する

耐久年数が10年や15年の塗料を選んだとしても、施工方法が甘ければその10~15年の耐久年数は持ちません。耐久年数を持たせるために必要なのは、塗膜の膜厚です。塗料には基準塗布量という塗る量が設定されており、それが守られて初めて10年や15年の耐久年数が発揮されます。基準塗布量をしっかり守る業者かどうか見極めましょう。

■確認方法

・メーカーの仕様書で何缶必要か確認

・未開封の上塗り塗料缶数と開封後の空の状態の缶数を写真などに撮影してもらい確認する。

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3-5.外壁・屋根の色に合わせた鉄部色が選ばれているのか確認する

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色決めをする際は、個人の好みで決定しては絶対NGです。とくに鉄部は、既存の外壁や屋根、植栽や地域色などとの関係も考慮しなければならないため、色決めは慎重に行いましょう。業者によっては「カラーシミュレーション」をしてくれるところや、「カラーコーディネーター」という資格をもった方がアドバイスしてくれるサービスもあるので、うまく利用して有意義な塗装工事にしましょう。

【50以上の事例付き】プロが教える外壁・屋根塗装を失敗しないための秘訣

 

まとめ

鉄部を塗装することで、お家をさらにきれいに見せることや錆による機能低下を防ぐことが期待できるため定期的なメンテナンスがお勧めです。また、鉄部をメンテナンスする際に一番重要なのがケレン作業です。ケレンで既存の錆を取らないと、いくら上から錆止め塗料を塗っても錆の進行は止まりません。ケレンをしっかりやってくれる会社なのか?確認しましょう。

門扉やポスト、雨戸は、外壁塗装や屋根塗装と一緒に業者に頼むと色選びなども相談に乗ってもらえますし費用を抑えることもできます。ワンポイント色が変わるだけでも家の雰囲気が変わり、新しい気持ちにもなれます。ぜひご参考にされてください。この記事があなたの塗装工事の成功にお役立てしてもらえると幸いです。