塗料

外壁塗装の業者からセラミック塗料が良いですよ!と提案されたけど、そもそもセラミック塗料ってどんなものなの?と疑問をお持ちではないでしょうか?

しかしながら、知識や情報に乏しいために大切なお住まいの塗り替えを営業員の「セラミック塗料を使えば安心ですよ!」の言葉だけで誤った判断をしてしまうことがあります。

実はセラミック塗料といっても、セラミックは原料のひとつで、必ずしもセラミックが入っているから高機能というものではありません。

業者の説明を鵜呑みにしてしまう前に塗料のことを知り、その知識をもって塗料を選択できるように、セラミック塗料について一度確認しておきましょう。

1.セラミック塗料の特徴を知ろう!

はじめにセラミック塗料について、正しく知りましょう。

1-1.セラミック塗料とは?

セラミックと聞いて、なにを思い浮かべられるでしょうか。

セラミックとは、陶磁器全般を指すことばで焼き物のことをいいます。その種類には、陶磁器、ガラス、セメントなどがあります。
外壁塗装を検索するとよくでてくるセラミック塗料とは、一般にこの「セラミックという原料を塗料に含んだ塗料」のことを言います。

陶磁器

1-2.セラミック塗料に関する勘違い

セラミック塗料とひとくちにいいますが、実際にはセラミック塗料の正確な定義はありません。セラミック塗料には、100%セラミック塗料というものは存在しないのです。セラミック塗料=長寿命塗料、万能な塗料でもありません。あくまでもセラミックは、原料のひとつです。業者から「セラミック塗料だから大丈夫!」と言われた場合、その業者は悪徳業者かもしれないと心得ておきましょう。

1-3.セラミックの4つの特徴

セラミックには、このような4つの特徴があります。

①耐熱性が高い

②紫外線に強い

③硬度が高い

④汚れにくい

しかし、セラミック塗料が全ての特徴に優れているのではありません。塗料に含まれるセラミック成分も塗料の種類によってさまざまです。セラミック塗料とひとまとめに呼ばれていますが、様々な主要成分に状態の異なるセラミックが配合され、セラミック塗料と呼ばれています。

では、一般的にセラミック塗料と呼ばれる塗料(セラミックを含んだ塗料)の種類についてしっておきましょう。

2.セラミックを含んだ塗料の種類

セラミックを含んだ塗料には、無機塗料(低汚染機能を含む)、断熱塗料・遮熱塗料、意匠性をもたせた塗料の3つがあります。

2-1.無機塗料

無機とは、炭素を含まないもの、身近なものでいうと、水や空気や金属、ガラス、セラミックなどをさします。

無機塗料には、主要成分となる樹脂そのものにセラミックの成分を含んでいます。

無機塗料の特徴には、低汚染機能(汚れが定着しにくい)があります。

低汚染機能とは、親水性(塗料に付着した水が塗膜(塗装した塗料が固まってできた膜)を通して汚れの下に入り込み、水とともに汚れを外壁から洗い流してくれる、水と結びつきやすい効果)を生かした機能です。

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しかし、低汚染機能はセラミック成分の配合量により親水性の強さに違いがあり、塗装後の結果はさまざまです。選ぶときには、該当する塗料メ-カ-の塗料の情報をホ-ムペ-ジやカタログで確認し、セラミック=低汚染性に優れていると簡単に判断してしまわないように注意することが必要です。

無機塗料(低汚染機能)には、こんな塗料があります。

無機塗料(低汚染機能)の塗料例

メ-カ-塗料名主要成分特徴
株式会社ダイフレックスダイヤセラナノン無機配合ハイブリッド(混合物)超低汚染性、高耐候性、防カビ・防藻性
エスケ-化研株式会社ス-パ-セラタイトF無機配合フッ素 超低汚染性、超耐候性、防カビ・防藻性、ハンドリング性(作業がし易い)
株式会社アステックペイント無機ハイブリッドコ-トJY無機配合ハイブリッド超耐水性、超低汚染性、遮熱性、防カビ・防藻性、可とう性(柔軟性)
日本ペイント株式会社アプラウドシェラスタ-NEO無機配合ハイブリッド超耐候性、超低汚染性、柔軟性、難燃性

※メ-カ-カタログより

2-2.エコで熱に強い塗料(断熱塗料・遮熱塗料)

断熱塗料または遮熱塗料とは、特殊なセラミック製の微粒子(中が空洞になっている粒子)をベ-スの塗料の中に混合している塗料です。

断熱塗料の特徴は、粒子が空洞のため真空状態になり、熱伝導率が0にすることができることからきています(真空に出来るものもあるくらいです)。室内は、夏は涼しく、冬は暖かくなり、心地よく過ごすことができます。

遮熱塗料の特徴は、太陽光線の紫外線を反射することで熱の上昇を抑制する機能です。

遮熱塗料 屋根用

 

断熱・遮熱効果を発揮させるため、塗装職人の方は塗料メ-カ-の技術指導をしっかり受ける必要があり、正しい施工技術により高い断熱・遮熱効果が確保されています。

断熱塗料・遮熱塗料には、こんな塗料があります。

断熱塗料・遮熱塗料の塗料例

メ-カ-名塗料名主要成分特徴
 株式会社日進産業ガイナ無機系 断熱・保温性(寒さ・暑さ対策)、遮音・防音効果、結露対策、耐久性(ウレタン塗料の3倍・シリコン塗料の2倍)、安全性。
 日本中央研究所株式会社アドグリ-ンコ-ト無機系 排熱機能に優れている。耐久性、美観性。
株式会社アステックペイントEC-5000PCM-IRピュアアクリルアクリル樹脂の不純物を排除した「ピュアアクリル」を使用。フッ素同等の高耐久性、防水性、遮熱性。

※メ-カ-カタログより

2-3.意匠性を持たせた塗料

意匠性をもたせた塗料とは、セラミック成分(砂や小石程度の固形物)を加え、外壁で見た目(意匠)を天然石や砂岩や多色石にみせた塗料です。
意匠性を持たせることにより通常の塗装と違い、深みのある多数の色合い、奥行き、立体感を生み出し、塗り替え後に塗り替え前と建物の印象を変えることが可能です。

グラナートSP

意匠性をもたせた塗料には、このような塗料があります。

意匠性塗料の塗料例

メ-カ-名塗料名主要成分特徴
山本窯業化工株式会社カラ-セラミックスシリコン透水性、透湿性、耐酸性(酸性雨に強い)
菊水化学工業株式会社キクスイグラストウォ-ルシリコン低汚染性、微弾性、防藻・防カビ性

※メ-カ-カタログより

3.セラミックを含んだ塗料を選ぶ基準は?

3-1.価格、耐久年数はベースとなる塗料を参考に!

セラミックを含んだ塗料の価格や耐久年数は、セラミック成分の配合率ではなくベ-スとなる樹脂塗料によります。

耐久性や耐候性、低汚染性に優れた塗料ではありますが、優れている点が多いぶん、他の塗料とくらべて料金が高くなります。

価格だけで判断せずに、ベ-スとなる樹脂塗料による特徴を理解して外壁塗装の工法を決定しましょう。

価格・耐久年数とベ-スとなる塗料の主要成分との関係をご紹介します。

塗料の主要成分1㎡あたりの施工単価(材料代含む)耐久年数
アクリル1、000~2,000円 約3~5年
ウレタン1,000~2,500円 約5~7年
シリコン2,000~3,500円約7~10年
フッ素3,000~5,000円約 15年~
無機3,500~5,000円約15 年~

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※あくまで目安です。塗料メーカーや製品によって価格は異なります

価格だけをみると施工単価の安さだけで判断をしてしまいがちです。しかし、注意しておきたいのは、耐用年数が高い塗料は塗り替え回数が少なくて済むということです。
大切なお住まいにこれから何年住むのか?何度塗り替えをおこなうか?ということを基準にライフプランを考え、どの塗料が最適なのか検討しましょう。

3-2.塗装もお肌と同じ?塗装方法を確認しよう!

化粧水

外壁塗装を決めるときにもうひとつ、大切なことがあります。
女性の方はよくお分かりかと思いますが、いくら高い美容液を上からつけても荒れたお肌にその効果が現れないことがあります。それは、下地となるお肌が荒れているためになかなか美容液が浸透せず効果を発揮できないことが原因です。

お肌のことだけでなく、外壁塗装も同じことが言えます。特殊な性能を持つセラミックを含んだ塗料だけで外壁塗装工事を行っても、まず下地(お肌)が整っていないとその効果を発揮できません。
セラミックを含んだ塗料は、あくまでも上塗りの塗料です。下地となる外壁の素材にあった下塗り塗料、中塗り塗料、そして特性から選んだ上塗り塗料がそろって初めて期待される効果が発揮されます。
見積書を見るときには、塗料だけでなく、塗装方法(塗装回数)をきちんと確認し、塗装回数を怠るような塗装業者を選ばないようにしましょう。

まとめ

セラミックを含んだ塗料についてご説明しましたが、いかがでしたか?
外壁塗装を検討している場合はセラミックを含んだ塗料について正しい知識をもち、ベ-スとなる樹脂塗料の特徴を比較して、塗料を選びましょう。業者の「セラミック塗料だから安心!」とその言葉だけで安易に契約しないように気をつけてください。
ぜひ、大切なお住まいに永く快適に住むために最適な外壁塗装を実現してくださいね。