火災保険

外壁の塗替えを検討している際に「火災保険の活用」を勧められたご経験はありませんか?

「火災保険で外壁塗装?」と不思議に思われたかもしれませんが、保険の適用条件がクリアできれば、保険金で外壁の塗替えを行なうことは可能です。

この記事では、火災保険の適用条件を外壁塗装の視点で解説し、その手順と各ポイントおよび、注意点を解説致します。

「せっかく火災保険に加入しているので、見落とさずにしっかり活用したい」とお考えの方は、ぜひご参考になさってください。

1. 火災保険の種類

まずは、加入している火災保険の種類と契約内容を確認しましょう。
戸建住宅向けの火災保険には、3種類に大別されます。「住宅火災保険」「住宅総合保険」「従来の住宅総合保険より補償の範囲を拡大したり、実際の損害額が補償されたりする新タイプの保険」の3つです。

「新タイプの保険」とは?

「従来の住宅総合保険より補償の範囲を拡大したり、実際の損害額が補償されたりする新タイプの保険」。敷地内にある外灯などの野外設備も補償の範囲としたり、従来のように補償額に制限がなく「実損額」で保証されたりするタイプのものがある。近年ではこのタイプが主流となりつつある。
(参照)
[ Yahoo!保険 保険を学ぼう 火災保険 オールリスクタイプ ]
http://insurance.yahoo.co.jp/fire/info/house_05.html

火災保険は、皆さまのお住まいごとにそれぞれ違います。ご自宅にかけた火災保険の「保険証券」や、加入している損害保険会社へ直接お問い合わせして、まずは保険の種類と内容を確認しましょう。

モダンな住宅地と青空

ご自宅の火災保険はどのタイプ?

2. 外壁塗装に火災保険が適用される条件は?

戸建住宅向けの火災保険は、火災やガス爆発など事故だけでなく、自然災害による損害にも適用をされることをご存知でしょうか。

つまり、「災害で外壁に損害を受けた」場合などは、保険適用されるケースがあるのです。

1章で紹介した3種類の火災保険はすべて、条件が整えば外壁の塗装工事に適用されます。
この章では、比較しやすい「住宅火災保険」と「住宅総合保険」にて、その適用条件をご紹介します。

住宅火災保険と住宅総合保険における、災害被害ごとの適用条件早見表

火災落雷破裂・爆発風災水害水濡れ暴行・破壊飛来・落下・衝突盗難
住宅火災保険
住宅総合保険

2-1.火災、落雷、破裂・爆発、風災が原因の外壁劣化で適用される住宅火災保険

「住宅火災保険」とは、戸建住宅向け火災保険の基本的なタイプです。一般的に、火災による損害のほか、落雷・破裂・爆発・風・ひょう(雹)・雪災による損害を補償します。例えば、台風時の飛来物や落雷で外壁が損傷した場合には、適用される可能性があります。

このタイプの保険の注意点は、水害(もしくは水災と表現)や水濡れ事故による損害は、保険が適用されないことです。洪水・高潮・集中豪雨などによる土砂崩れなどの自然災害がこれにあたります。

適用されるかどうかは加入している保険証券をご確認ください。

2-2.あらゆるリスクを総合的に補償してくれる住宅総合保険

上記の住宅火災保険に加えて、住宅に関する総合的な補償を受けられるのが「住宅総合保険」です。いわゆるオールマイティな保険です。
自動車が自宅に突っ込んできた際に発生する壁の破損や、暴動・騒擾での破壊、泥棒の侵入による壁の損壊なども適用になる可能性があります。もちろん水害での損害も含まれますし、人の過失による水漏れ事故にも補償を受けることが可能ですので、自宅にかけている保険の種類と内容をしっかり確認しましょう。

2-3.経年や老化での劣化は、どんな保険でも適用されない

これらいずれかの保険であっても、必ず適用されない条件があります。それは、「経年や老朽による劣化」です。つまり、災害に起因しない劣化や、外壁材特有の性質による摩耗・変質・変色などは補償の対象とはならないということです。例えば、外壁に発生したコケ・カビ、各種サビなどは対象外となります。
では、自然災害による被害かどうかは、どのようにしたら損害保険会社に認めてもらえるのでしょうか。次章で、その手順とポイントを解説致します。

3. 火災保険を適用されるまでの手順と知っておきたいポイント

では、次に具体的な手順と、保険適用がされる重要なポイントをご紹介します。

3-1.保険が適用されて保険金が支払われるまでのフロー

外壁の損壊など被害が発生したら、

(1)まずは契約をしている損害保険会社に連絡をしましょう。

(2)次に申請に必要な書類や注意事項を詳しく聞きます。

(3)その後は各申請書の作成をして、保険金の請求申請を行ないます。

(4)申請を受けた損害保険会社が、損害鑑定人をお住まいに派遣し、損害現場を調査。

(5)その調査結果を受けて、損害保険会社が審査を行ない、

(6)申請内容が認められれば、無事に保険金が支払われます。

3-2.ポイント1:適用対象なのかは、損害鑑定人が判断

自然災害での劣化か、もしくは経年での劣化か。損害保険会社に、これをどのように判断してもらうのでしょうか。
保険適用かどうかを判断するために、損害保険会社は劣化の状況を調査します。

この調査は、損害保険会社が任意で選んだ鑑定会社から派遣されてくる、通称、損害鑑定人と呼ばれる人が行ないます。具体的には、この鑑定人が、保険申請内容をもとに、実際に現場に赴き損害状況を調査、自然災害による劣化の有無を確認、被害額を算定した報告書を作成し、依頼のあった損害保険会社に提出をします。

一般社団法人 日本損害保険協会とは・・・

(参照)
「一般社団法人 日本損害保険協会」という損害保険会社の業界団体があります。この団体の認定資格である「損害保険登録鑑定人」と呼称される人がいます。これは「建物や動産の保険価額の算出、損害額の鑑定、事故の原因・状況調査などを行う専門家(一般社団法人 日本損害保険協会の公式サイトから抜粋)」とされます。この資格を所持しているかどうかを、鑑定人の判断基準とすることを検討しても良いかもしれませんね。
[ 日本損害保険協会 -鑑定人Q&A- 鑑定人全般関係 ]
http://www.sonpo.or.jp/exam/kanteinin/faq/zenpan.html

この鑑定は、火災保険に加入している皆さまからの保険申請がなされて初めて行われますので、申請に必要な各書類を準備することとなります。
どのような書類が必要かは、契約した際の保険代理店、もしくは損害保険会社へ直接問い合わせして、事前に詳しく確認しておきましょう。

3-3.ポイント2:申請書作成は業者または自分でもできる

火災保険申請には、損害保険会社へ各書類の提出が必要です。
主だった書類は以下の3つになります。
・保険金の請求書
・事故の報告書
・修理した箇所の工事見積書

書類の作成は自分で行なうこともできます。

事故の報告書には下記内容を既述しておくと良いでしょう。
1.契約者の名前、保険証書番号
2.損害発生の日時
3.損害発生の状況・事故の原因
4.損害のあった家の住所
5.損害箇所を示された家の見取り図

書類提出は、契約の際に窓口になった代理店で構いません。もちろん損害保険会社へ直接提出しても問題ないです。各損害保険会社の問い合わせ窓口は以下のとおりです。

3-4.ポイント3:損害箇所の写真は忘れずに

事故の報告書作成でもっとも大切なポイントは、損害個所の写真を忘れずに添付することです。鑑定人が、調査対象となる家が、保険契約をしている家かどうかの判断がつきやすいですし、調査自体もスムーズに進むことが望めるからです。
個人で所有しているカメラで十分ですので、各災害で被害にあった外壁の箇所を撮影しましょう。その際には、家全体が分かる外観と、方角別の外壁も一緒に撮影し、該当箇所が分かるように印を付けて提出しましょう。

3-5.ポイント4:添付の見積額は「適正」に

見積額はどのように算出するのでしょうか。皆さんご自身でやるのは、少々難しいでしょう。専門書などを準備し、ひとつひとつ積算するのは至難の業ですし、とてもそんな時間を捻出するのも、大変です。
ですので、専門家である業者に見積額の算出を依頼しましょう。「保険金の申請のため」という目的を事前に伝えれば、スムーズに対応を行なってくれます。ただし、この業者に依頼する際に注意したいことがあります。それは次章で解説致します。

4. 要注意!保険金を餌に、あなたに忍び寄る悪い業者

火災保険を活用して外壁塗装を行なう際に、必ず注意していただきたいことがあります。それは、保険金を餌に工事契約を迫る業者の存在です。この業者は、「火災保険を使えば、タダ(無料)で外壁の塗り替えができますよ」などの誘い文句で近づいてきます。「保険金で外壁が綺麗になるならありがたいのに、何を心配することがあるの?」と思うかもしれませんが、そこには我々一般人には気づきにくいカラクリがあるのです。

悪い業者

※画像はイメージです

4-1.業者の甘い話にご用心。そのカラクリとは?

疑わしき業者には共通する特徴があります。「費用が自己負担ゼロで済むことをやたらとアピールしてくる」「保険金請求の代行を訴えてくる」「申請代行を含む工事全般について、契約書を交付してくれない」などの特徴があり、国民生活センターにも報告されている事実があります。

保険契約はそれ自体が、各家それぞれに契約内容が違いますし、契約している損害保険会社も違います。それなのに、必ず無料で塗り替えができると謳うのは、おかしな話です。また、皆さまご本人が保険金の請求はすべきです。本人になりすまして申請をしてしまうと、損害保険会社から「詐欺の可能性あり」と判断されかねないと言っても過言ではありません。

このような業者に申請用の書類作成を依頼すると、修理工事の依頼を必ず迫ってきます。実際に工事を依頼した際には、「手数料」などと称して保険金の約2~3割程度の額を請求したり、他の業者に依頼をする旨を伝えた途端、高額なキャンセル料を支払うよう求めてきたりします。

この手の詐欺は、特に屋根に関する事例が多いとされています。ですが、外壁の塗替えでも注意が必要です。

そもそもは、皆さまが正当に受け取る権利がある保険金です。たとえ仮に全額無料で被害箇所を修理できたとしても、本来の受取人ではない、そのような悪い業者の手に、保険金が渡るのは許されるものではありません。

4-2.良心的な業者を見つけてうまく活用するコツ

地元で頑張っている業者

※画像はイメージです

とはいえ、既述の通り、見積りは専門業者にお願いはしたいところです。
では、皆さんが損をしないような、消費者の利益までしっかり考えてくれる良心的な業者はどのようにすれば見つけられるのでしょうか。

ポイントは2つです。1つは、地元で評判が良いかどうかを調べること。悪い噂が少しでもある業者はまず疑う目を持つことが大切です。「最近、業者がよく家にやって来て、断っているのに何回も来てしつこい」などの近所の噂にも注意しましょう。それとは逆に、長い間地元密着で頑張っている業者は、お客様との信頼関係を構築することを第一義としている場合が多く、地元での評判も良い場合が多いです。またこのような業者は、営業スタッフの評判も良いです。

2つ目は、火災保険を適用した塗装工事の実績があるかどうかを調べることです。これは見積額の積算時や見積書の作成時に有益なアドバイスをもらえることが期待できます。
信頼に足るかどうか、必ずご自身の目と頭で判断しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。火災保険といっても、火災による損害だけではなく様々な自然災害などにも、保険適用が認められるという事に、驚かれている方もいらっしゃるかもしれません。大切なことは、ご自身が契約している火災保険の内容を見直し、よく理解することです。この記事に記載されている「各条件や把握しておきたいポイント」を、ぜひ参考にしてみてください。
ご自宅にかけている火災保険について見直す良い機会ともなれば幸いです。

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