サイディング

「金属サイディングの外壁は、塗装する必要があるのだろうか」と疑問に思われている方は少なくないでしょう。なかには、「築何年ぐらいで金属サイディングを塗装すればいいのか」など、金属サイディングの塗装時期について調べている方もいるかもしれません。

ずばり、金属サイディングには定期的な塗装が必要です。
塗装の時期は、新築にお住まいで、まだ一度も塗装をしたことがないという場合は築8~12年が一つの目安となります。ただし、これはあくまで目安の数字。より正確な塗装時期は、金属サイディングに生じている劣化症状を確認することで見極めることができます。このあたりの内容について詳しくは、本章で紐解いてまいります。

この記事では、“金属サイディングの塗装”についての情報をまとめてご紹介いたします。具体的には、
・金属サイディングを定期的に塗装する必要がある理由
・金属サイディングの塗装時期を見極める方法
・金属サイディングの塗装にかかる費用
などについて順にお伝えしてまいります。ぜひ、参考にしてください。

1.金属サイディングは定期的に塗装する必要がある

先述の通り、金属サイディングは定期的に塗装をする必要があります。

仮に塗装をしないと、どうなるかというと…
金属サイディングに生じるサビなどの劣化は確実に進行します(劣化症状について詳しくは2-2を参照)。劣化が進行すると、金属サイディングの防水性は失われ、いずれは住まい内部に雨水の浸入を許すようになります。住まい内部に浸入した雨水によって躯体が腐食するようなことになれば、あっという間に住まいは寿命を迎えてしまうことになるでしょう。

つまり、住まいを長持ちさせるためには、金属サイディングの定期的な塗装が不可欠だということです。

金属サイディングを定期的に塗装する必要があるとすると、気になってくるのは、「我が家の金属サイディングは、いつ塗装をするのが良いのか…?」でしょう。そこで、下記2章では、金属サイディングの塗装時期を見極める方法について詳しく解説いたします。

[参考]お住まいの外壁が「金属サイディングかどうかわからない」という方へ

「我が家の外壁が金属サイディングかどうか、わからない…」という方もいらっしゃるかもしれません。

お住まいの外壁材の種類を調べるならば、まず、お住まいを建築・購入した時の資料等を確認してみるのがオススメです。資料、外壁材のパンフレット等からお住まいの外壁材の種類がわかるかもしれません。もしくは、購入先に確認をしてみるのも一つの手です。

それでもわからない場合は、住まいの定期的なメンテナンスや外壁の診断(2-3を参照)を受ける際に、建築業者や塗装業者に確認をする方法もあります。

▼金属サイディングの特徴などについて詳しくは、下記記事を参照ください。

金属サイディングとは優れた耐震性と断熱性を持つ外壁材!

 

2.プロが教える!金属サイディングの塗装時期を見極める3つの方法

この章では、金属サイディングはいつ塗装するのが良いのか、塗装時期を見極める方法を3つご紹介いたします。

2-1.築年数 or 金属サイディングの耐久年数で見極める

「ざっくりと塗装時期の目安を把握しておきたい」という場合は、築年数や金属サイディングの耐久年数を指標とするのが良いでしょう。

●築年数で見極める
新築の場合(まだ一度も塗装をしたことがない場合)、築8~12年目が一つの目安となります。

●金属サイディングの耐久年数で見極める
金属サイディングの耐久年数(メンテナンス周期)は、約10年~と言われています。この数字も、塗装時期を見極める一つの目安となります。
※金属サイディングは製品によって耐久年数が異なります。お住まいの金属サイディング製品の耐久年数はHPやパンフレット等でご確認ください。

上記の数字を見ていただければわかる通り、おおよそ10年前後が金属サイディングの塗装時期となります。ただし10年前後というのは、あくまで目安の数字。外部環境などによっては、外壁塗装が必要となる時期が10年前後から大きくズレることもあります。
たとえば耐久年数が10年の金属サイディングがあったとして、10年を待たずして早々に塗装が必要となることもあれば、10年経ってもまだ塗装しなくても良いこともあるということです。

より正確な塗装時期は、金属サイディングに生じている劣化症状を確認することで見極めることができます。以下、2-2で詳しく解説してまいります。

[参考]2度目以降の塗装の場合|塗料の耐久年数で塗装時期を見極める

金属サイディングの塗装が初回ではない(2度目以降の)場合、築年数や金属サイディングの耐久年数をもとに塗装時期を見極めることはできません。ではどうすればいいかというと、過去に塗装をした時に使用した塗料の耐久年数(メンテナンス周期の目安)が一つの指標となります。塗料の耐久年数によって、次は何年後に外壁塗装をすればいいのかをおおよそ掴むことができます。

▼外壁塗料の種類別|耐久年数(メンテナンス周期の目安)

塗料耐久年数(メンテナンス周期の目安)
アクリル約3年~
ウレタン約5年~
シリコン約7年~
フッ素約15年~
ピュアアクリル約15年~
無機約15年~

※上記はあくまで目安の年数です。塗料製品によっては、上記年数と大きく異なることもあります。各塗料の耐久年数については、HPやパンフレット等でご確認ください。
※お住まいの外部環境等によっては、塗料の耐久年数を待たずして、早々に外壁塗装が必要となる場合もあります。

 

2-2.金属サイディングに生じている劣化症状で見極める

時間の経過とともに、金属サイディングには様々な劣化症状が生じます。この劣化症状を確認することで、外壁塗装が必要な時期をより正確に見極めることができます。

金属サイディングに下記のような劣化症状が見られる場合、塗装が必要な時期となります。

[塗装が必要な金属サイディングの劣化症状]

金属サイディング_赤錆
サビ(赤サビ)の発生

白サビ
サビ(白サビ)の発生


※画像出典:窯業系サイディング材メンテナンス技術研究所
塗膜の膨れ

膨れ、剥がれ
塗膜のはがれ

チョーキング
著しいチョーキングの発生
※チョーキングとは、外壁を手で触ると、粉状のものが付着する状態のこと。

※お住まいが沿岸部や工業地帯にある場合、思いがけず早期にサビが発生することがあります。

★劣化症状によっては、塗装以外のメンテナンスや補修が必要となることもあります。詳しくは、下記5章を参照ください。

2-3.外壁塗装のプロに見極めてもらう

より正確に塗装時期を見極めようと思ったら、塗装のプロである塗装業者に依頼をして金属サイディングを診てもらうのが一番確かで間違いありません。
「もしかすると、塗装時期かも…?」という場合はもちろん、「塗装が必要な劣化症状が発生しているかどうか、自身で見てもよくわからない」という場合も、塗装業者に診てもらうのが良いでしょう。

塗装業者は2-2でご紹介した劣化症状の有無を目視で確認するだけでなく、
・ルーペで拡大して細かい部分をチェックする
・打診棒で外壁を叩き、音で外壁内部の状態を確かめる
など、より専門的に金属サイディングの状態を診ます。そのため、そもそも外壁塗装が必要なのかどうか、いつ外壁塗装をすべきなのかを、より正確に判断してもらえます。

多くの塗装業者が、外壁の状態や劣化症状などを確認する診断(現場調査、現調)などと呼ばれるサービスを提供しています。外壁を診る(診断)だけなら無料で対応してくれる塗装業者も少なくありません。

本サイトを運営しているプロタイムズでも無料診断を実施しています。詳しくは、下記バナーより詳細をご確認ください。

外壁・屋根の無料診断

 

▼外壁塗装の診断について詳しくは、下記記事をご覧ください。

「外壁塗装に診断は必要?」に塗装専門家がズバリ答えます!

3.いくらかかる?金属サイディングの塗装費用

金属サイディングを塗装するにあたり、「いくらかかるのか」は気になるところでしょう。
ずばり相場価格は下記の通りです。

■金属サイディング塗装の相場価格

80~150万円(一般的な2階建て住宅/塗り面積200㎡)

※上記はあくまで目安です。金属サイディング塗装の価格は、外壁の広さ、選ぶ塗料の種類、劣化の進行具合などによって大きく変動します。
※屋根塗装をする場合、別途費用がかかります。

 

「我が家の金属サイディングの塗装には、実際どのぐらいのお金がかかるのか知りたい」という場合は、塗装業者にお願いをして見積りを作成してもらうのが良いでしょう。1社だけの見積りでは、金額の妥当性を判断するのが難しいため、できれば2~3社に見積りを依頼して、比較することで、相場感を掴むのがオススメです。

▼外壁塗装の費用について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

2023年版|外壁塗装の費用相場は?塗料代が値上げになる?見積りをプロが解説!

[補足]金属サイディングのDIY塗装はオススメしない

塗装できない

もしかすると、費用を抑えるために「自分で金属サイディングを塗装したい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、一般の方が自身で金属サイディングを塗装することをオススメしません。

外壁塗装には、多くの専門的知識が求められます。たとえば、金属サイディングの塗装時には多くの場合サビの除去が必要となりますが、サビの状態によって除去方法などが異なります。こうした知識のないままに一般の方が自身で塗装をしてしまうと、施工不良を引き起こしてしまう可能性は十分にあります。

また、外壁塗装の工事は高所作業を伴うため、墜落・転落の危険性があります。事実、きちんとした訓練を受け、万全の準備をして臨んでいるプロですら、墜落・転落による死傷災害が起こっています。高所作業が一般の方にどれだけ危険かは言わずもがなでしょう。足場をたてずに脚立で作業するなど論外です。

金属サイディングの塗装は、プロに依頼しましょう。

 

4.どの塗料を選べばいい?金属サイディング塗装の塗料

色選び

塗料には様々な種類がありますが、大きく分けると下記表の種類に分けることができます。

建築塗料市場において80%のシェアを占める人気塗料は、シリコン塗料です。そのため、迷ったときは、シリコン塗料を選んでおけば、間違いありません。「より耐久年数の長い塗料を選びたい」という場合は、フッ素塗料や無機塗料、光触媒塗料などもオススメです。

[塗料の耐久年数&相場価格]

塗料耐久年数相場価格 ※1缶あたり
アクリル約3~5年5,000~15,000円
ウレタン約5~7年5,000~20,000円
シリコン約7~10年15,000~40,000円
ピュアアクリル約15年~50,000~70,000円
フッ素約15年~40,000~100,000円
無機約15年~50,000~120,000円
光触媒約15年~50,000~100,000円

※上記の耐久年数や相場価格はあくまで目安です。各塗料製品等によっては、耐久年数や相場価格が上記と大きく異なることもあります。

塗料を選ぶ際に注意していただきたいのは、安い塗料=お得とは限らないということです。なぜならば、上記の表をご覧いただくと明らかですが、安価な塗料ほど耐久年数が短く、頻繁に塗装が必要となるためです。塗装回数が増えれば、当然、それだけ費用がかかることになります。一方で、耐久年数の長い塗料を選べば、それだけ劣化が生じにくくなるため、結果的に塗装の頻度を抑えることができます。

今後、何年ぐらい住み続けるかにもよりますが、長く住みたいと考えている場合には、耐久年数が長い塗料を選んだ方が、場合によっては塗装にかかるトータル費用が抑えられることもあるということは頭に入れておくと良いでしょう。

 

近年の塗料は防汚性・遮熱性・防水性・防カビ性など様々な性能(※備わっている性能は塗料製品によって異なる)をあわせもっています。塗料選びの際には、このあたりの性能についても比較・検討すると良いでしょう。

ちなみに、そもそも金属サイディング塗装には、金属サイディング素材対応の塗料を選ぶ必要がありますが、このあたりのことは塗装業者にお任せしておけば問題ありません。塗装業者の提案する塗料は、金属サイディング素材対応の塗料です。また、自身で気になる塗料がある場合にも、その塗料が金属サイディング素材対応の製品かどうか、塗装業者は必ず確認します。

▼外壁塗料の選び方について詳しくは、下記記事を参考にしてください。

外壁塗料の選び方をプロが解説!塗料の種類&価格&色&業者まで全部わかる!

 

5.[参考]押さえておきたい!塗装以外にも必要なメンテナンスがある

金属サイディングは生じている劣化症状によっては、塗装以外のメンテナンスや補修が必要となることもあります。下記、劣化症状別に必要なメンテナンスや補修をご紹介いたします。

場合によっては、金属サイディングの塗装と同時に下記の補修やメンテナンスを行なうこともあります。

5-1.藻・カビが発生⇒洗浄が必要

藻

カビ
カビ

金属サイディングに藻やカビなどが発生している場合は、早々に洗浄をすることを強くオススメします。なぜならば、藻やカビは水分を含むため、金属サイディングに発生すると、サビを誘発してしまう可能性があるためです。

藻やカビは、やわらかい布やスポンジ、中性洗剤などを使用して水洗いをすれば、自身で取り除ける場合もあります。ただし、高所での作業が必要な場合は、無理をせず塗装業者等に依頼をしましょう。脚立などを使用して作業するのは大変危険なので、絶対にやめてください。

藻やカビは再発しやすいため、洗浄後も定期的に確認をするのがオススメです。自身で水洗いをして藻やカビをキレイに取り除けたと思っていても、住まいの外部環境等によっては、早々に再発してしまうことも珍しくありません。何度も発生するようであれば、塗装業者等に相談するのが良いでしょう。

5-2.キズがある⇒部分補修が必要


キズ ※画像出典:日本金属サイディング工業会

擦りキズや搔き(かき)キズを放置すると、サビの発生につながる可能性があるため、早めに補修をする必要があります。キズの補修は、キズの箇所だけ塗料で部分補修をするのが一般的です。キズの部分補修は自身では難しいため、塗装業者等に相談をしてください。

5-3.シーリングの割れ⇒シーリングの打ち替えが必要

金属サイディングの外壁材と外壁材の間には、シーリング(コーキング)が使用されています。このシーリングは金属サイディングよりも劣化の進行が早く、おおよそ約5~10年周期での補修が必要です。

具体的には、下記のような劣化症状が生じている場合に補修が必要となります。

シーリング材ひび割れ
ひび割れ

シーリング破断
破断

シーリングボロボロ
剥離

シーリングが劣化すると、劣化箇所から雨水が入り込み、金属サイディングのサビを誘発してしまう可能性があるほか、劣化したシーリング箇所から浸入した雨水は、住まい内部に浸入してしまう可能性もあります。そのため、シーリングの劣化は放置せず、早々に補修を検討しましょう。シーリングの補修についても、多くの塗装業者等が対応してくれます。

5-4.穴のあいている箇所がある等⇒部分的な張り替えが必要

・サビが進行し金属サイディングに穴があいてしまった
・なにかをぶつけて金属サイディングが凹んでしまった
といった場合は、問題のある箇所を同じ金属サイディングをつかって部分的に張り替えることができます。そのまま放置すると、雨水が住まい内部に入り込んでしまう可能性があるため、早々に塗装業者等へ相談をしてください。

※すでに雨水が住まい内部に浸入してしまっているなど、劣化の進行具合によっては、部分的な張り替えが難しく、全面の張り替え、もしくは重ね張りが必要となる場合もあります。

●重ね張り
既存の外壁の上に、新しい外壁材を施工する工法

●張り替え
既存の外壁を取り除き、新しい外壁材を施工する工法

 

まとめ

金属サイディングは定期的に塗装が必要です。塗装時期については、築年数 or 金属サイディングの耐久年数からおおよそ掴むこともできますが、ベストな塗装時期を見極めるならば、劣化症状を確認するのが確かです。「自身で劣化症状を見ても、塗装時期かどうかよくわからない…」という場合は、塗装業者に劣化症状を診てもらうのがオススメです。

また、金属サイディングは塗装以外のメンテナンスや補修が必要となることもあります。このあたり5章にまとめておりますので、あわせて参考にしてください。