家の塗替えを検討している方の中には、業者からの見積もりを見て、塗料選びに頭を悩ませている方がいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方には「シリコン塗料」がおすすめです。
では、シリコン塗料とはどのような魅力がある塗料なのでしょうか?この記事では、シリコン塗料とはどのような特徴のある塗料か、他塗料と比較しながら徹底解説していきます。
1.シリコン塗料ってどんな塗料?
そもそも、シリコン塗料ってどんな塗料?と思われる方もいらっしゃると思います。1章では、シリコン塗料について詳しく解説していきます。
1-1.シリコン塗料は屋根・外壁で最も使用されている人気No.1塗料
シリコン塗料は、戸建て住宅の屋根や外壁の塗替えで、最も使用されている塗料です。その大きな理由とされているのが、コストパフォーマンスの高さにあると言えます。様々な種類の塗料の中でも、比較的安価でありながら、高い耐候性を持つバランスの良い塗料です。
1-2.シリコン塗料のメリット
①コストパフォーマンスが高い
1-1で挙げたように、シリコン塗料は品質と価格のバランスに優れた塗料です。ウレタン塗料などの安価な塗料に比べると価格は少し高いですが、塗膜の持ちは1.5~2倍近く差があります。ウレタン塗料に比べて家を塗替える回数を減らすことが出来るため、長いスパンで見るとシリコン塗料を選ぶ方がお得となる場合があります。
また、ハイグレードなフッ素塗料や無機塗料ほどではありませんが、シリコン塗料の耐候性は7~10年あり、値段もお手頃です。つまり、シリコン塗料は数ある塗料のグレードや価格帯の中でちょうど中間の立ち位置に属し、総合的にバランスの良い塗料と言えます。
②耐候性が高い
シリコン塗料は、塗料の主成分であるアクリルシリコン樹脂の中に、シロキサン結合という成分を含んでいます。この成分はガラスを形成している結合と同じであるため、紫外線や熱・雨に強く、高い耐候性があると言われています。そのため、塗膜の劣化の進行が遅く、外壁の美しい光沢を長期間に渡って保つことが期待できます。
③汚れが付きにくい
シリコン塗料は、親水性(水がなじみやすい性質)を持っています。そのため、塗膜に汚れが付着しても、塗膜と汚れの間に雨水が入り込み、汚れを洗い流してくれる特徴があります。その結果、長期的に美しい外観を保つことが期待できます。
1-3.シリコン塗料のデメリット
種類が多く同じシリコン塗料でも品質がピンキリ
シリコン塗料は各メーカーで多数のラインナップがあります。そのため、名前はシリコン塗料でも最低限の性能しか備わっていないものもあります。逆に、シリコン塗料よりも耐久年数が高いとされているフッ素塗料と同等の性能を持ったものも存在します。
そのため、商品選びをおろそかにしてしまうと、その後の屋根や外壁の劣化スピードに大きく影響してしまいます。つまり、どのシリコン塗料にするか決定するのは難しく、選ぶ際は十分に知識を備える必要があります。
シリコン塗料の選び方について詳しくは、3章を参照ください。
2.他にはどんな種類の塗料があるの?シリコン塗料の位置づけは?
ここまでシリコン塗料について説明してきましたが、他にはどのような種類の塗料があるのでしょうか。シリコン塗料と比較しながら見ていきましょう。
2-1.シリコン塗料も含めて7種類の塗料がある
住宅の塗り替え用の塗料は、シリコン塗料を含めおよそ7種類の塗料に分けることが出来ます。以下に、7種類の塗料の特徴をまとめてみました。
①アクリル塗料
最もグレードが低く価格も安い塗料です。紫外線による劣化に弱いため、軒天(屋根の裏側で外壁部分から外側に出ている部分のこと)や屋内のDIYなどでよく使われています。
②ウレタン塗料
屋根・外壁塗装で使われる塗料の中では、一番グレードが低い塗料です。比較的安価で施工することができるため、コストを抑えたい方にはおすすめの塗料です。長期的なメンテナンスコストを考えると他の塗料より劣る傾向にあります。
③シリコン塗料
高い耐候性でかつ比較的安価なコストパフォーマンスに優れた塗料です。汚れがつきにくい低汚染性を有しており、長期間美観を保つことが期待できます。家の塗替え塗料の中でもシェアが高く、人気No.1の塗料です。
④ピュアアクリル塗料
高い耐候性と防水性を有した塗料です。塗料が柔らかく、建物にひびが入っても伸縮する塗膜がひびを覆ってくれるため、水の浸入を防いでくれるのが特徴です。また、一般のアクリル塗料とは違い、不純物を取り除いたアクリル樹脂を用いていることで、高い耐候性を有しています。
機能性が高いため、価格はシリコン塗料の約4倍となります。外壁のひび割れが気になる方、雨水から長く建物を守りたい方にはおすすめの塗料です。
⑤光触媒塗料
紫外線と雨により付着した汚れが落ちるセルフクリーニング効果がある塗料です。また、美しい外観を保つだけではなく、空気中の汚れを除去する空気清浄機能を持ち合わせており、環境にも優しい塗料です。
ただしこの機能を十分に発揮させるためには、高い施工技術が必要となるため、施工実績の多い業者を選ぶことをおすすめします。外壁の汚れが気になる方にはおすすめの塗料です。
⑥フッ素塗料
紫外線からの影響を受けにくい炭素とフッ素の結合をもち、高い耐候性をもつ塗料です。耐用年数が長いため、メンテナンスコストを抑えることが出来ます。耐候性が高い分、価格はシリコン塗料の約3~5倍にもなります。とにかく長く持たせたい方、長期的な塗替えコストを抑えたい方にはおすすめの塗料です。
⑦無機塗料
無機物(ガラスに含まれる成分)を主成分としており、紫外線に強く、他の塗料と比較しても最高クラスの高い耐候性を誇る塗料です。
無機物が多く含まれているため、塗膜が硬く、建物のひび割れに対応出来ずひび割れを起こしてしまう可能性があります。また、耐候性が高い分、価格はシリコン塗料の約4~6倍にもなります。
最高級の性能を求める方、長期的な塗替えコストを抑えたい方にはおすすめの塗料です。
2-2.シリコン塗料と他塗料の耐久年数&価格を徹底比較
2-1では、他塗料のそれぞれの特徴を紹介しました。ここでは表を使って、シリコン塗料と他塗料の耐久年数と価格の比較を行っていきます。
塗料 | 耐久年数 | 相場価格 ※1缶あたり |
---|---|---|
アクリル | 約3~5年 | 5,000~15,000円 |
ウレタン | 約5~7年 | 5,000~20,000円 |
シリコン | 約7~10年 | 15,000~40,000円 |
光触媒 | 約15年~ | 50,000~100,000円 |
ピュアアクリル | 約15年~ | 50,000~70,000円 |
フッ素 | 約15年~ | 40,000~100,000円 |
無機 | 約15年~ | 50,000~120,000円 |
※上記表の数値は、あくまで参考値です。詳細な耐久年数や価格は、カタログや見積書をご確認ください。
コストや性能面全てにおいてのバランスの良さを求める方、どれにすればいいか迷っている方は、とりあえずシリコン塗料を選べば間違いありません。
今後しばらく塗り替えをしたくないという方には、耐久年数の高いピュアアクリル塗料、フッ素塗料、無機塗料がおすすめ。汚れにくさを重視したい方には、光触媒塗料やシリコン塗料がおすすめです。
3.シリコン塗料を選ぶときに、押さえておきたい2つのこと
ここまで、シリコン塗料を使うメリットなどを述べてきました。しかし、実際に家の塗替えの際、シリコン塗料であればどの塗料を選んでもいいという訳ではありません。
以下で、シリコン塗料を選ぶときに押さえておくべき2つのポイントをお伝えします。
3-1.同じシリコン塗料でも、製品によって耐候性が違う
同じシリコン塗料といっても、様々なメーカーから数多くの商品が販売されています。その中から各塗装会社が、塗替えを行う家に適切なシリコン塗料を選定し、見積もりに載せるというケースが一般的です。しかしここで大切なのは、見積もりに記載されているシリコン塗料を鵜呑みにしないことです。
まずは、見積もりのシリコン塗料のパンフレットを入手しましょう。パンフレットは、工務店に直接いただくことも出来ますし、インターネットで閲覧可能なものもあります。そこで、耐久年数が2-2で述べた7~10年以上であることを確認しましょう。
価格が安すぎる商品の中には、耐久年数が低かったり、そもそも耐久年数に関する記載がないものもあるので、注意しましょう。
3-2.屋根は外壁よりも耐候性の高い塗料を選ぶべし
屋根は外壁に比べて太陽光や雨が強く当たりやすいため、比較的早く劣化してしまう傾向にあります。そのため、同じ耐候性のシリコン塗料を屋根と外壁に塗ってしまうと、屋根の方が先に塗り替え時期を迎えることがあります。(建物の形や周辺の環境によって左右されます。)
したがって、屋根に使用する塗料は、外壁よりも耐候性の高い塗料を選ぶことをおすすめします。また、同じ耐候性のシリコン塗料を選ぶ場合でも、もともと耐久年数の高いシリコン塗料(目安として約10年~)にすることで、塗替えまでの期間を長くすることが可能となります。
4.おすすめのシリコン塗料10選!
この章では、代表的な塗料メーカーのおすすめシリコン塗料を一部紹介いたします。
4-1.エスケー化研
【外壁用塗料】
・クリーンマイルドシリコン
画像出典:ペイントシティーコム
【屋根用塗料】
・クールタイトSi
建物の中に熱を通しにくい、遮熱性の高い塗料です。一般的な遮熱塗料は、塗膜表面に汚れが付着すると機能が低下しますが、汚れが付きにくく遮熱機能が長期間維持できます。
画像出典:PAINT-ESHOP
4-2.日本ペイント
【外壁用塗料】
・ファインシリコンフレッシュ
高い耐候性と、特殊セラミック成分による低汚染性と防藻・防カビ性に優れた塗料です。透湿性が高いため、結露から建物を守る性能があります。
画像出典:ペイントシティーコム
【屋根用塗料】
・サーモアイSi
建物の中に熱を通しにくい、遮熱性の高い塗料です。独自のダブル反射テクノロジーにより、一般的な遮熱塗料よりも高い遮熱効果が期待できます。安定した品質と使用実績の多さから業者も好んで使用する塗料です。
画像出典:DIY-FACTORY
4-3.関西ペイント
【外壁用塗料】
・アレスダイナミックTOP
高い耐候性と低汚染性に優れた塗料です。「ダイナミック強化剤」を使用することで悪天候で濡れてしまった外壁にも塗装することができるため、工期遅延の心配がない全天候型のシリコン塗料です。
画像出典:藤田塗装
【屋根用塗料】
・スーパーシリコンルーフペイント
優れた耐候性をもち、カラーバリエーションが豊富な塗料です。速乾性があるため、塗装後の雨や結露によるトラブルを受けにくい塗料です。
画像出典:ますや塗料株式会社
4-4.アステックペイント
【外壁用塗料】
・超低汚染リファイン1000Si-IR
数あるシリコン塗料の中でも耐候性に優れ、遮熱性、超低汚染性、防藻・防カビ性を備えた高機能塗料です。塗膜の密度が高く、親水性(水になじみやすい性質)のある塗膜を形成することで、汚れが付きにくく、塗替え後の美しさを長持ちさせることが出来ます。外壁用塗料の中でも特におすすめのシリコン塗料です。
【屋根用塗料】
・スーパーシャネツサーモSi
特殊無機顔料の使用により高い遮熱効果を実現した塗料です。色あせしにくく、美観を長期間保持します。また、形成した塗膜は厚みがあるため、屋根をしっかりと保護します。屋根用塗料の中でもおすすめできる塗料です。
・超低汚染リファイン500Si-IR
高耐候性、遮熱性、超低汚染性、防藻・防カビ性を備えた高機能塗料です。塗膜の密度が高く、親水性(水になじみやすい性質)のある塗膜を形成することで、汚れが付きにくいのが特長です。
一般的な遮熱塗料は、塗膜表面に汚れが付着すると機能が低下しますが、この超低汚染性により、長期間遮熱性を保つことが出来ます。屋根用塗料の中でもおすすめできるシリコン塗料です。
まとめ
この記事では、シリコン塗料のメリットや他塗料との比較についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。
シリコン塗料は世の中に様々な商品が販売されており、どれを選べばいいか悩んでしまうと思います。3章の選ぶポイントを押さえ、分からないことがあれば些細なことでも塗装店に質問して納得のいく塗料を選びましょう。
家の塗装は決して安い買い物ではありません。大切な家を美しく蘇らせるだけではなく、長期間保護するためにも、塗料選びは慎重に行いたいですね。この記事が塗料選びの参考になれば幸いです。