外壁塗装をするにあたり、「ウレタン塗装」について調べている人もいるでしょう。
実は、ウレタン塗装が外壁塗装の主流だったのは、ひと昔前の話。
現在では、ウレタン塗装が選ばれることは少なくなっており、主流となっているのはシリコン塗装です。
とはいえ、外壁塗装にウレタン塗装が絶対NGというわけではありません。あえてウレタン塗装を選択しているケースもあります。
このあたりの内容について詳しくは、本章で解説いたします。
この記事では、ウレタン塗装について徹底解説いたします。
「ウレタン塗装とは何?」という疑問をお持ちの方も、
「外壁塗装をウレタン塗装でするかどうか迷っている」という方も、ぜひ参考にしてください。
1.「ウレタン塗装」をプロが徹底解説!
「そもそもウレタン塗装とは、いったい何なのか?」が気になっている人は少なくないでしょう。この章では、ウレタン塗装についてプロが徹底解説いたします。
1-1.「ウレタン塗装」とは?
そもそも「ウレタン塗装」とは、“ウレタン塗料”と呼ばれる塗料で塗装をすることです。
ちなみに、塗料はウレタン塗料以外にも、シリコン塗料・フッ素塗料・無機塗料などの種類があり、シリコン塗料で塗装をすることをシリコン塗装、フッ素塗料で塗装をすることをフッ素塗装といいます。
実は、このウレタン塗装、近年では外壁塗装にはあまり選ばれなくなっています。
ウレタン塗装には “一定の耐久性(耐候性)がありながら低価格” という魅力があり、ひと昔前まで外壁塗装の主流でした。ところが、ウレタン塗装よりも耐久性が高く、価格帯も手ごろなシリコン塗装が登場したことにより、ウレタン塗装が選ばれることは少なくなっていったのです。
近年は、シリコン塗装が主流となっています。
とはいえ、ウレタン塗装が消滅してしまったわけではありません。実際に現在でも外壁塗装にウレタン塗装を選択するケースはあります。
このあたり詳しくは下記3章の「外壁塗装にウレタン塗装はあり?なし?」で解説いたします。
[参考]「ウレタン塗料」とは?
ウレタン塗装で使用される「ウレタン塗料」について解説すると…
そもそも塗料は、上記図の通り「顔料」「樹脂」「添加剤」「水もしくは溶剤」で構成されています。このうち、“樹脂がウレタン”の塗料のことを、「ウレタン塗料」といいます。
ちなみに、“樹脂がシリコン”の塗料は「シリコン塗料」、“樹脂がフッ素”の塗料は「フッ素塗料」です。
樹脂は、塗料の耐久性や性能に大きく関係しています。樹脂の種類によって、塗料の耐久性や性能が変わるといっても過言ではありません。
ウレタン塗料が一定の耐久性を有するのは、そうした性能を持つウレタン樹脂が含まれているからなのです。
1-2.ウレタン塗装のメリット・デメリット
ウレタン塗装の特徴を、以下、メリットとデメリットに分けてご紹介します。
[ウレタン塗装のメリット]
●価格が安い
ウレタン塗装の最大のメリットは、価格の安さです。
下記表を見ればわかる通り、ウレタン塗装に使用するウレタン塗料は他塗料と比べて安価です。そのためウレタン塗装を選択すると、外壁塗装の費用を安く抑えることができます。
塗装の種類 | 耐久年数 | 塗料の相場費用 ※1缶あたり |
---|---|---|
アクリル塗装 | 約3~5年 | アクリル塗料 5,000~15,000円 |
ウレタン塗装 | 約5~7年 | ウレタン塗料 5,000~20,000円 |
シリコン塗装 | 約7~10年 | シリコン塗料 15,000~40,000円 |
ピュアアクリル塗装 | 約15年~ | ピュアアクリル塗料 50,000~70,000円 |
フッ素塗装 | 約15年~ | フッ素塗料 40,000~100,000円 |
無機塗装 | 約15年~ | 無機塗料 50,000~120,000円 |
※上記の耐久年数、価格帯はあくまで目安です。塗料製品によっては、上記の耐久年数や価格帯と大きく異なることもあります。
※外壁塗装に使用する塗料の量は、一般的な2階建て住宅の場合2~4缶が目安です(住まいの大きさや塗装箇所によっては、上記よりも多くの塗料を使用することもあります)。
▼外壁塗装の費用ついて詳しくは、下記記事を参考にしてください。
●一定の耐久性がある
一般的に、外壁塗装をすることで、
・外観をキレイにする(汚れや経年劣化によって見た目が悪くなった外観を一新する)
・紫外線や雨などから住まいを守る性能を備える
ことができますが、ウレタン塗装には、この塗装の効果を一定期間保持する耐久性があります。ウレタン塗装の耐久性の平均値は、約5~7年です。
[ウレタン塗装のデメリット]
●(他種類の塗装と比べると)耐久性が低い
上記のメリットでご紹介した通り、ウレタン塗装には間違いなく一定の耐久性があります。ただし、その耐久性は、シリコン塗装やフッ素塗装など他塗装と比べると低い傾向にあります(上記表を参照)。他塗装と比べて耐久性が低いということは、一つのデメリットといえるでしょう。
●長期スパンで考えると割高
上記デメリットの通り、ウレタン塗装は他種類の塗装と比べると耐久性は低めです。そのため、劣化の進行スピードが早く、再び早々に塗装が必要となります。その結果、長期的には塗装回数が多くなる傾向にあります。当然、塗装回数が多くなれば、それだけ外壁塗装費がかかることに。
ウレタン塗装は、1回の外壁塗装費だけを考えると安価ですが、長期スパンで考えると(塗装回数が多くなる分)かえって割高になってしまう可能性大というわけです。
2.外壁塗装にウレタン塗装はあり?なし?
2-1.場合によってはウレタン塗装もあり
ずばり、場合によっては外壁塗装にウレタン塗装もありです。
数は多くありませんが、
「とにかく価格の安さ重視」
「長く住む予定はないので、(他種類の塗装と比べると)耐久性が低いウレタン塗装でも問題ない」
といった理由で、あえて外壁塗装にウレタン塗装を選択するケースはあります。
その他、
「雨樋などの付帯部だけ安価なウレタン塗装にして、塗装にかかる費用を抑えたい」
など、外壁塗装ではなく、付帯部にだけウレタン塗装を選択するケースも。
上記の通り、場合によっては、一定の耐久性がありながら低価格なウレタン塗装を選ぶのがベストということもあるのです。「ウレタン塗装にするかどうか、迷っている」という方は、上記ケースも参考に慎重に検討をしてみてください。
ちなみに、本サイトを運営している塗料メーカー「アステックペイント」でも、ウレタン塗装に使用するウレタン塗料を取り扱っています。
・マックスシールド1500U-JY(外壁用)
耐候性や低汚染性に優れた、弱溶剤形のウレタン系上塗材。戸建て、工場、アパート・マンションの外壁をはじめ、付帯部にも塗布することができる多用途塗料です。
2-2.オススメはシリコン塗装
2-1でお伝えした通り、場合によっては外壁塗装にウレタン塗装を選択するのがベストということもありますが、ウレタン塗装を選ぶ理由が特になく、外壁塗装の種類にこだわり等もないのであれば、主流の「シリコン塗装」を選ぶのがオススメです。
ちなみに、シリコン塗装の人気ぶりは、(シリコン塗装で使用する)シリコン塗料のシェアを見ると明らかです。シリコン塗料は建築塗料市場において、なんと80%のシェアを誇っているのです。
シリコン塗装の最大の魅力は、一定以上の耐久性がありながら中程度の価格帯で、コストパフォーマンスが非常に良いことです。
また、人気が高い分、(シリコン塗装で使用する)シリコン塗料製品の研究・開発に塗料メーカー各社が力を注いでおり、様々な高性能シリコン塗料が登場しているというのも注目したいポイントの一つ。近年では、無機塗料やフッ素塗料などと同等の性能を持ちながら、(無機塗料やフッ素塗料などに比べて)お手頃なシリコン塗料の価格帯というお得な製品も多数販売されています。
2-3.[参考]ウレタン塗装・シリコン塗装以外の塗装
1-2の表でもご紹介しましたが、ウレタン塗装、シリコン塗装以外にも、以下の塗装の種類があります。
ちなみに以下の塗装は、一定以上の耐久性があり、相応の価格帯。いわば、上位ランクの外壁塗装です。
●ピュアアクリル塗装
塗装後にできる塗膜は伸縮するため、ひび割れに追随し、雨水が浸入するのを防ぐ
●フッ素塗装
頻繁な塗り替えが難しい商業施設や大型ビルで選択されるケースが多い
●無機塗装
無機塗装に使用する無機塗料の主成分は無機物のため、紫外線に強く、耐久性が高い
オススメはシリコン塗装ですが、どの塗装を選ぶのがベストかはケースバイケース。予算、こだわるポイント、お住まいの環境、外壁の状態等によっては、上記の塗装がベストということもあります。
傾向としては、
「できるだけ外壁塗装の頻度を抑えたい」
「予算にわりと余裕がある」
といった場合に、上記塗装を選択するケースが多いです。
上記情報も参考に、塗装業者と相談をして検討してみてください。
まとめ
「ウレタン塗装」とは、“ウレタン塗料”と呼ばれる塗料で塗装をすることです。
ひと昔前までは、外壁塗装においてウレタン塗装が主流でしたが、近年はウレタン塗装に代わってシリコン塗装が主流となっています。とはいえ、外壁塗装にウレタン塗装は絶対NGというわけではありません。価格の安さ重視で外壁塗装がしたい場合などに、あえてウレタン塗装を選択することもあります。一方で、外壁塗装にオススメなのはシリコン塗装というのも、また一つの事実です。その他、ピュアアクリル塗装、フッ素塗装、無機塗装などもあります。
ウレタン塗装にするか、その他の塗装にするか、ぜひご紹介した情報も参考に検討してみてください。