外壁は紫外線や雪などの厳しい条件に晒され続けています。そのため経年変化の影響が大きく、維持のためには、定期的にリフォーム・補修をする必要があります。

そして外壁のリフォームを行う上で一番気になるポイントが「費用」に関することです。

そこで、今回は外壁のリフォームを行う上で必要なる金額の相場や安くリフォームを行うポイントをお伝えします!

1.外壁リフォームの種類と費用の相場

一言で外壁リフォームと言っても、劣化の状況などによって、多くの種類があります。

主なリフォームとしては、

・既存の外壁の上から 板状の外壁材を重ねて張る「重ね張りリフォーム」

・既存の外壁と下地を取り払い新たに外壁材を張り替える「張り替えリフォーム」

・既存の外壁に塗料を塗る「塗装リフォーム」

・外壁材の目地部にゴム上の材料を流し込み、防水性を高める「シーリング打ち替え」

以上の4つの種類に分けられます。

それでは、各リフォームにおいてどのくらいの費用がかかるのか、見ていきましょう!

1-1. 重ね張りリフォームの費用相場

重ね張りリフォームとは?

モルタルやサイディングなどの既存の外壁の上から、新しくサイディングやタイルを張る外壁リフォーム方法です。張り替え工法に比べ廃材が少なく、作業はスムーズに行われます。

重ね貼り工法の費用としては、

150万円~(延床面積120㎡)と言われています。

それでは、詳しい内訳を見ていきましょう。

重ね張り・張り替え用サイディング材料費の相場

サイディングには様々な種類があり単価も異なります。サイディングを利用してのリフォームにおいて共通して言えることは、塗装よりも4~5倍高くなることです。

種類特長単価 ※1㎡あたり
窯業系サイディング最もポピュラーなサイディング。耐震性、遮音性、防火性に優れているのが大きな特長。3,000円~
金属系サイディング軽いが丈夫で、高い断熱性能を持つのが特徴。見た目も美しい。4,000円~
木製サイディング風合いが独特のため、美しく、優しい印象を与える。6,000円~
樹脂サイディング耐候性に優れ、劣化や退色といった心配がない。9,000円~

※価格は業者によって変動いたします。

工事単価の相場

工事項目単価 ※1㎡あたり
足場代600~800円
施工費2,500~3,000円
材料費(上記サイディング代)4,000円~10,000円
資材運搬費及び諸経費1式 10,000~20,000円

※価格は業者によって変動いたします。

重ね貼り工法の場合、以上のような金額になります。

こんな人に重ね張りリフォームはオススメ!

外壁に傷みが発生し、住まい構造部に水の浸入が疑われるような場合、重ね張りリフォームもしくは後述の張り替えリフォームをおすすめします。

リフォーム業者に事前に調査してもらい、構造部がまだしっかりとしている場合に、重ね張り工法を行なうことをおすすめします。

重ね張り工法のメリットは、既存の外壁を下地として使用するため、廃材の処分が少なく、かつ耐震補強もできる点にあります。

1-2. 張り替えリフォームの費用相場

張り替えリフォームとは?

既存の外壁と下地を取り払い、構造部(骨組み)だけの状態にして、新しくサイディングなどを張る外壁リフォームの方法のことです。

下地から新しく張り替えるため、老朽化の激しい家のリフォームにも対応可能です。張り替え工法の費用としては、200万円~(延床面積120㎡)が相場と言われています。

それでは、詳しい内訳を見ていきましょう。

サイディング別の相場目安

張り替えリフォームに使用されるサイディング材も重ね張りと同様のものを使用するため、下記が相場となります。

種類単価 ※1㎡あたり
窯業系サイディング5,000円
金属系サイディング4,000円
木製サイディング6,000円
樹脂サイディング9,000円

工事単価の相場

工事項目単価 ※1㎡あたり
足場代600~800円
施工費2,500~3000円
材料費(上記サイディング代)4,000円~9,000円
既存外装材の撤去800~1000円
ウレタンシーリング打ち1式 50,000~100,000円
資材運搬費及び諸経費1式 100,000~200,000円

※価格は業者によって変動いたします。

重ね張りとの違いは、既存の外壁を撤去する撤去費がかかる、ということと、サイディングの境目である目地部にシーリング材を打ち込む、シーリング打ち費がかかってくる、ということです。また、廃材の処理量が多いために資材の運搬費も多くなることも考慮する必要があります。

こんな人に張り替えリフォームはオススメ!

住まい構造部に水の浸入が疑われるような場合で、特に構造部の劣化が激しい場合に張り替え工法をおすすめします。
サイディングの重ね張り・張り替え工事は、塗り替え工事よりも割高ですが、断熱性や遮音性が向上しエアコン効率が良くなったり、静かな住環境を作りやすくなるというメリットもあります。現在の住まい環境を考えたうえで「塗り替え」「サイディング」を使い分けるのをおすすめします。

1-3. 塗装リフォームの費用相場

塗装リフォームとは?

比較的費用が安い外壁リフォーム、それが塗装リフォームです。高圧洗浄で汚れを落としてから下地塗りと2回の上塗りを行います。使用する塗料には「フッ素樹脂塗料」「シリコン樹脂塗料」「ウレタン樹脂塗料」「アクリル樹脂塗料」など様々な種類があり、種類によって金額に差が出てきます。

塗料代の相場

塗料は種類によって価格帯が大きく異なります。注意しておきたいのが、耐久年数が高い塗料は将来的に塗り替え回数が少なくて済むということ。安さだけを注視して選ぶと、長いスパンで考えたときに、結果的には割高になってしまう可能性も考慮しておくと良いでしょう。

塗料単価 ※1㎡あたり
アクリル塗料1,000円~2,000円
ウレタン塗料1,500円~2,500円
シリコン塗料2,000円~3,500円
フッ素塗料3,000円~5,000円
無機塗料3,500円~5,000円
光触媒塗料4,000円~5,000円

㎡単価は塗料のグレードによって大きく異なりますが、概ね1,500円~5,000円前後となります。フッ素塗料・無機塗料・光触媒塗料が高いと感じるかもしれません。
これらの塗料はウレタン塗料やシリコン塗料に比べて耐久年数が高く長持ちする塗料で比較的高価な塗料です。
このような高耐久性の塗料は1度の施工費用は高いものの、長期的に見ると再塗装の期間が短くなるため、結果的にコストを抑えられる場合があります。

工事単価の相場

工事項目相場価格
足場600~800円/㎡
飛散防止ネット100~200円/㎡
高圧洗浄100~300円/㎡
ケレン作業300~2,500円/㎡
養生150~400円/㎡
付帯塗装工事軒天800~1,500円/㎡
雨樋800~1,500円/m
破風板 650~1200円/㎡
雨戸2,000~4,000円/枚
シーリング打ち替え900~1,500円/m
シーリング増し打ち500~1,000円/m
諸経費現場管理費1式 30,000~50,000円
廃材処理費等1式 10,000~30,000円

※価格は業者によって変動いたします。

こんな人に塗装リフォームはオススメ!

外壁の劣化が、汚れや色あせ、チョーキングなど、深刻な症状でない場合は外壁塗装をおすすめします。
また、定期的に塗り替えをおこなうことで外壁の色の変化を楽しみたい、という方も塗装をおすすめします。

1-4. シーリング打ち替えリフォームの費用相場

シーリング打ち替えリフォームとは?

外壁のサイディングの目地には、防水性や気密性を保持するためにシーリング材が打たれています。シーリング材は柔軟性があります。この特徴により、雨漏りの防止、建物の動きを吸収するなど建物を守ります。
しかしシーリング材は年数を重ねるとともに亀裂が発生し、建物の動きを吸収しなくなります。硬化したシーリング材は役割を果たさなくなるため、打替えが必要になるのです。

シーリング打ち替え費の相場

シーリングの施工費は他の費用と違って、打ち替えに使用する、シーリング材の長さ、つまりm表記にて算出されます。

900~1,500円/がおよその相場のようです。

このような人にシーリング打ち替えはおすすめ!

建物外部に目立った劣化症状が見られない場合、ほとんどリフォームの必要はありません。目地部のシーリングを確認し、亀裂が生じているのを確認した際に、シーリングの打ち替えを行うようにしましょう。
このシーリングの打ち替えはホームセンターにあるシーリング材を購入することで、自分でも行なうことができます。リフォームを安く済ませたい方には、おすすめします。

2. 金額ごとでできる外壁リフォーム例

ここまで、外壁リフォームの種類とそれにかかる費用の内訳を詳しく見てきました。

それでは、金額ごとでできる外壁リフォームの例を見ていきたいと思います。

※30~45坪(壁面積約100~160㎡)の2階建て住宅のリフォームを想定した際の金額です。

2-1. 2040万円でできるリフォーム

事例① シーリング打ち替えリフォーム

実施リフォーム :外壁のシーリング打ち替え

金額 :約40万円

工事項目面積単価 ※1㎡あたり価格
足場代160㎡440円70,400円
既存シーリング撤去代一式68,000円68,000円
ウレタンシーリング打ち120m1,250円150,000円
資材運搬費及び諸経費一式75,000円75,000円

小計 363,400円

消費税 29,072円

総計 392,472円 

2-2. 50万円~でできるリフォーム

事例① 塗装工法リフォーム

実施リフォーム ウレタン系・シリコン系塗料を使用しての塗装工法

金額 約102万円

工事項目面積単価 ※1㎡あたり価格
足場代160㎡680円70,400円
飛散防止ネット160㎡200円12,000円
洗浄費160㎡300円48,000円
養生費160㎡540円86,400円
壁下地材塗布210㎡500円105,000円
シリコン系塗料施工費210㎡1,260円264,600円
シーリング工事210m1,000円210,000円
資材運搬費及び諸経費一式90,000円90,000円

小計 946,400円

消費税 75,712円

総計 1,022,112円

ウレタン塗料やシリコン塗料を使用しての塗装リフォームは、比較的リーズナブルで、かつ耐久性などの性能とのバランスが良いため、安価で外壁の色の変化を楽しみたい方へおすすめのリフォームです。

2-3. 100万円でできるリフォーム

事例① 塗装工法リフォーム

実施リフォーム:フッ素塗料を使用しての塗装リフォーム

金額:約150万円

工事項目面積単価 ※1㎡あたり価格
足場代160㎡680円70,400円
飛散防止ネット160㎡200円12,000円
洗浄費160㎡300円48,000円
養生費160㎡540円86,400円
壁下地材塗布210㎡500円105,000円
フッ素系塗料施工費210㎡4,000円840,000円
シーリング工事210m1,000円210,000円
資材運搬費及び諸経費一式90,000円90,000円

小計 1,461,800円

消費税 116,944円

総計 1,578,744円

フッ素やピュアアクリル塗料を使用しての塗装工法は、ワンランク上の塗装です。

耐久性や防水性、遮熱性など、付加価値が高く、ウレタン塗料やシリコン塗料よりも優れた性能を持つ塗料です。

「外壁の色の変化を楽しむ」+「高性能により、建物を長期間長持ちさせたい」方向けのリフォームです。

事例② 既存のモルタル外壁から金属サイディングへの重ね張り工法リフォーム

実施リフォーム: 金属サイディング重ね張り

金額 約140万円

工事項目面積単価 ※1㎡あたり価格
足場代180㎡680円122,400円
金属サイディング施工費160㎡6,700円1,072,000円
資材運搬費及び諸経費一式100,000円100,000円

小計 1,294,400円

消費税(8%) 103,552円

総計 1,397,952円

2-4. 150250万円でできるリフォーム

事例① 既存のモルタル外壁を取り壊し窯業系サイディングを張り替えるリフォーム

実施リフォーム: 窯業系サイディング張り替え

金額:約200万円

工事項目面積単価 ※1㎡あたり価格
足場代180㎡680円122,400円
施工費160㎡2700円432,000円
材料費160㎡5000円800,000円
既存外装材の撤去全面1000円160,000円
ウレタンシーリング打ち一式100,000円100,000円
資材運搬費及び諸経費一式200,000円200,000円

小計 1,814,400円

消費税 145,152円

総計 1,959,552円

各金額でできる外壁リフォームまとめ

それぞれの金額でできる外壁リフォームをまとめますと、以下のようになります。

20万円~

➡シーリング打ち替え

50~100万円

➡塗装(ウレタン系・シリコン系塗料を使用)

100万円~

➡塗装(フッ素・無機・ピュアアクリル塗料などの塗料を使用)

➡サイディング重ね張り

150万円~

➡サイディング張り替え

180万円~

3. 相場と違いすぎた場合の対処方法

ここまで、各外壁リフォームにおける各工程・材料の相場をお伝えしました。

ところが、実際にリフォーム業者に見積もりをとった際、相場の金額と見積もりをもらった金額とが違い過ぎる場合が発生します。

そのようなときは、どう対処すれば良いのでしょうか。

3-1. 相見積もりを取ろう!

リフォームする上で必ず行なうこと、それは「相見積もりを取る」ことです。
相見積は、複数業者から見積書を提出してもらい、内容や金額を比較すること。これによって、その場で契約を即決させようとする業者から回避できるだけでなく、良質な業者を時間をかけて選ぶことができます。
相見積もりを見る中で、金額の差を見るだけでなく、工程ごとの金額をどこまで丁寧に記載しているかに着目することで、適正な価格で施工してくれる業者か、見極めることができます。
必ず相見積もりを取るようにしましょう。

3-2. 相見積もりを取る際に見るポイント

諸経費

諸経費は、リフォームに伴う細かい経費のことです。例えばリフォーム業者の事務所の維持費、現場監督費、書面作成費などです。

この割合や諸経費の内訳などを相見積もり先に確認するようにしましょう。

見積もりの内訳の確認

「一式」はよく目にする表記です。施工する範囲、材料の項目に「一式」という記載がある場合、「内訳書」を別に提出してもらい、その内訳についてもしっかりと説明してもらいましょう。

見積もり

見積もり以外にかかる費用を想定する

リフォーム依頼をする部位以外に、追加施工がかかることを想定して話をしておくといいでしょう。実際に施工を始めてから追加施工が必要だとわかった場合に、その施工部位が見積金額に含まれていないことで、トラブルにつながるケースが非常に多いです。

打ち合わせ段階で、あらかじめ他の部位の施工を想定し、見積書を提出してもらうことをおすすめします。

4. 外壁リフォームの費用に関するトラブル

4-1. 過剰なリフォームをおすすめされて、高額になってしまった。

よくある外壁リフォームの金額に関するトラブル事例として、現状の劣化状況にそぐわない過剰な施工をおすすめされて、リフォームが高額になってしまった、ということがあげられます。
シーリングの打ち換えや塗装で大丈夫な家に、サイディング張り替えや重ね張りを進めることで、必要以上に高額なリフォームをおすすめする業者も多いのです。
だからこそ、複数の業者に実際の劣化状況を確認してもらい、ご自宅にとって適切なリフォーム工事を勧めてもらうようにしましょう。

4-2. 大幅な値引きに注意

「今すぐ契約してくれたら半額にします」などと言われると、うっかり心を動かされそうになりますが、最初の見積りよりも大幅な値引き額を提示してくる業者には注意が必要です。外壁塗装には、資材費や足場代、人件費など、一定以上の費用がかかるため、そう簡単に半額にできるはずがないのです。

考えられるとすれば、最初の見積額がありえないほど高額だったか、あるいは、工事品質を下げて割り引いたかのどちらかです。後者の場合は、本来1週間かかる工程を2~3日で終わらせていたり、使用する塗料の量を規定よりも減らしていたりと、一般消費者にはわからないよう、功名に価格を操作している可能性があります。

心ない業者に騙されないためには、大幅な値引き額を提示された時に「なぜ安くなるのか」という視点をもつことが重要です。

見積り書の見方についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

【保存版】外壁塗装にかかる費用の相場と見積書の見方

まとめ

以上、外壁のリフォームにかかる費用の相場や適正価格で施工してもらうための注意点をお伝えしました。

外壁のリフォームは建物の劣化状況によって、施すリフォーム方法・補修方法も変わってきます。

ここで覚えておいていただきたいのが、「劣化の状況が大きいほど、リフォームの費用も高くなりがちになる」、ということ。

だからこそ、まずはリフォーム業者のプロの目で建物の劣化状況を確認してもらうようにしましょう。

そして、適切な補修方法を正しく把握したうえで、どの補修方法を採用するか、予算と合わせて検討するようにしましょう。