外壁塗装を行う上で注意する必要があるのが、仕上がり後の不具合や近隣との関係などの、様々なトラブル。
今回は外壁塗装を行う上で、よく起こるトラブルの事例と起きてしまった時の対処法、更には、今後外壁塗装をお考えの方のために、トラブルを未然に防ぐための対策法をお伝えします。
1.塗装後の仕上がりに関するトラブル
1-1.完成後の外壁の色味がイメージと違う!
外壁塗装工事で一番の楽しみと言えば色選びですよね。色決めの際には色見本帳と呼ばれる、実際に塗られる色がずらりと並んだ冊子を元に色を決めるのですが、いざ塗り替えが完了し、実際に仕上がりを見てみてびっくり。
「見本を見て決めたのにイメージしていた仕上がりと違う!!!なんで!」
このトラブルはよく起きてしまうトラブルです。
色見本だけでは実際に外壁に塗ったイメージを正しくつかめないために、このようなトラブルが起きてしまいます。
色見本はたくさんの色があり、中にはかなり似た系統の色も存在します。そのため、少し違った色に見えることもありますし、また見本で見るだけであれば狭い範囲ですが、外壁全体に塗るとなると色の範囲が広くなるため、違う印象を受けてしまうのです。
トラブルが起きた後の対処法! 塗り直しを依頼してみましょう!
施工中であれば塗り替えが可能な場合はありますが、追加料金が必要になることが多いです。
基本的には塗り直しはできないという前提ですが、遠慮してしまえばそのまま工事が進んでしまうだけになります。施工中に気に入らないと思った場合には早めに希望を伝えてみると良いでしょう。
また施工後については基本的に自己負担となります。
色味に関するトラブルが起きてしまっては、追加料金を支払って塗り直しするしかありません。そのようにならないためにも、イメージに関するトラブルを未然に防ぐ対策方法を実施するようにしましょう。
トラブルを未然に防ぐ方法!
・色見本帳はなるべく大きなサイズで確認。太陽光の下で朝昼晩、確認する。
先ほども述べましたが、色味に関するトラブルの原因は、小さい色見本帳でしか、確認していないため。小さいサイズの色で確認するのと、大きいサイズで確認するのとでは、感じる印象が全く違います。
そこで、A4サイズ以上の大きさの色見本帳で確認するようにしましょう。
次に確認するのは太陽光の下での、色の見え方です。蛍光灯の下と太陽光の下では見え方が異なるため、朝、昼、夜でも異なりますので時間ごとに外で確認してみましょう。
・カラーシミュレーションを利用する。
色味自体ではなく、全体の配色のイメージを見るのに、非常に効果的となります。
屋根と壁とのバランス、サッシと他の箇所のバランスなど、全体像を把握するためにもカラーシミュレーションをオススメします。
色選びのポイントについて、詳しくは下の記事をご覧下さい。
外壁塗装で成功する色選びのために抑えるべき6つのステップ
1-2.すぐに塗装面が剥がれたり、色あせしてしまった!
塗り替え工事から1年も経たないうちに塗膜表面が剥がれたり、色あせが生じるなどの不具合も多く見られるトラブルの一つです。
このようなトラブルの原因としては以下の原因が上げられます。
■下塗材の塗る量が不足していることで、上塗材との密着性が弱くなるため。
■高圧洗浄を十分に行わないままに下塗材を塗ってしまった。
■使用した塗料の下地の素材が適合しないものを使用している。
トラブルが起きた後の対処法! 塗り直しを依頼してみましょう!
剥がれや色あせといったトラブルは、カラーの選択ミスとは違い、施工した塗装店のミスに起因する場合が多いです。
一度塗り替えを行った場合でも、塗り直しを依頼するのが良いでしょう。
トラブルを未然に防ぐ方法! 作業工程ごとに写真を残してもらいましょう!
剥がれなどのトラブルは完成後すぐは良い仕上がりに見え、施工ミスがあったとは判断できません。そこで塗装工事を行っている時に、塗装の工程や塗料の缶数や何度塗りするかなどを、詳細に報告してもらうようにしましょう。しかも、ただの文章だけではなく時系列で写真を並べ、報告書を作成してもらうようにしてください。
1-3.サビが出てきて見た目が悪い!
塗り替え後1年以内に鉄部や木部にサビが出てきてしまい、見栄えが悪くなった・・・・。
このトラブルは、下地処理を十分に行っていないことが原因で起こるトラブルです。鉄部や木部は塗料の密着性を高めるために塗装面を削ったり、さび取りをする「ケレン」と呼ばれる下地調整が必要です。このケレンを十分に行っていないために、サビが出てきてしまった、という可能性が非常に高いです。
トラブルが起きた後の対処法! 塗り直しを依頼してみましょう!
剥がれや色あせと同様に、こちらも施工を行った施工店のミスによる不具合の可能性が高いです。
一度塗り替えを行った場合でも、塗り直しを依頼するのが良いでしょう。
2.塗装部以外のトラブル
2-1.花壇の花などあらゆる箇所に塗料がついてしまった
植物を大切にされている方は多いのではないでしょうか。
そんな方にご注意頂きたいのが、塗装の時の「塗料の飛散」です。塗装の方法として、多くの施工店ではローラーもしくは、スプレーによる吹付けを行っています。
スプレーによる吹付けの場合には塗料が飛散してしまいますが、ローラーも転がす際に塗料が飛び散ってしまいます。塗装をする際は、どうしても塗料が飛散してしまう、ことを覚えておいてください。
トラブルが起きた後の対処法!タオルなどで拭く
水性塗料の場合、乾燥しきっていない塗料などは、水を含んだタオルで拭くことで、取り除くことが可能です。
ガムテープでくっつけて取り除く
飛散した塗料は、細かい霧のようになり大量に飛び散ります。そのため、葉っぱについた乾いた塗料などはガムテープのノリ側の方で取り除くことができます。しかし、この作業、非常に時間を要する上に、ガムテープのせいで、葉っぱを痛めてしまう危険性もあります。
トラブルを未然に防ぐ方法! 養生材で植物などを覆っているか、確認する
植物などに塗料をつけないためには、養生の徹底が一番重要になります。
養生とは、仕上げ部分以外に余分な塗料が付着しないように、保護すること。
そして養生材とは、その養生をするために必要なシートや、テープのことです。この養生、塗装を行う上では、基本中の作業なのですが、完成後にゴミになる、という理由から、細かい箇所まで養生を行わない塗装店も中には存在します。実際に塗装の作業に移る前に、職人さんにお願いして養生が細かい箇所まで徹底されているか、ご自身で確認すると良いでしょう。特に花壇や車周りなど、塗料をつけたくない箇所の確認は入念に行われてください。
2-2.高圧洗浄の際の水が室内に浸入してしまった
高圧洗浄を塗装業者に行ってもらった際に、水が家の中に浸入してしまう理由は大きく、2つあります。
・窓や鍵を閉め忘れていたため。(家主側のミス)
窓や鍵の閉め忘れは、水の浸入の大きな原因になります。また、同じように換気扇を回しっぱなしにしていたために、換気扇から水が浸入してしまった、という事例も少なくありません。例えば、窓やサッシ周りのコーキング部や、金属サイディングボード面、大きなクラックが入っている分などに強力な水圧をかけてしまうと、当然、サッシ周りであれば屋内に水が入ってしまいますし、金属サイディングボードはへこんでしまうでしょう。クラック部分に関しては、クラックが大きくなったり、壁の内側に水が入ったりする可能性があります。
・外壁の状態や箇所を考えずにすべて同じ水圧で高圧洗浄してしまう。(塗装店側のミス)
高圧洗浄は、外壁の状態や箇所によって、水圧を変えていく必要があります。
例えば、窓やサッシ周りのコーキング部や、大きなクラックが入っている分などに強力な水圧をかけてしまうと、サッシ周りであれば屋内に水が入ってしまいますし、クラック部分には、クラックが大きくなったり、壁の内側に水が入ったりする可能性があります。窓などを全て閉めた状態で、水が浸入しているのであれば、高圧洗浄の圧力や角度が悪く浸入した、という可能性が高いため、これは塗装業者側のミスであると考えられます。
トラブルが起きた後の対処法! 水の浸入を見つけたらすぐに塗装業者に連絡を!
水の浸入を見つけたら、とにかくすぐに高圧洗浄を行った職人さんに水が浸入している旨を伝え、雑巾にて拭くなどの対応をしてもらうように依頼しましょう。
また、高圧洗浄機の圧力が強すぎて、クラック(ひび割れ)やコーキング(目地部)から水が浸入している、という可能性もありますので、クラックやコーキングは必ず水が浸入した形跡はないかチェックしてもらいましょう。
トラブルを未然に防ぐ方法!
高圧洗浄の日を予め聞いておき、窓閉めなどのチェックを行う!
窓閉めや換気扇を切る、などの準備は高圧洗浄前に必ず行うようにしましょう。
実際に塗り替えを行う際に、施工工程表と呼ばれる、いつどの工程の作業を行うのか、について書かれた資料を塗装店からもらいます。
その工程表を元に、予め高圧洗浄を行う日を覚えておき、当日の朝のうちに窓閉めなどのチェックを行うと良いでしょう。
高圧洗浄は熟練の職人さんに依頼する!
高圧洗浄は、外壁や屋根にはどの方向から高圧洗浄水をかけるべきかの方向があり、また下地がどのような状態を見て圧力を変えることを熟知している職人さんが家の状態に合わせて行うべきです。
塗装業者の方に職人歴何年の方が高圧洗浄を行うのか、技術には自信がある方なのか、高圧洗浄の前に、聞くことをおすすめします。
3.塗装業者とのお金に関するトラブル
塗装業者とお金に関するトラブルで良くある事例が
・間違って契約してしまったために解約したい旨を伝えた際に違約金を請求された
・見積もりの説明をしてくれない
など
これらはすべて対処法があるので、下記をぜひご参考ください。
3-1.間違って契約してしまったために解約することを伝えた際に違約金を請求された
トラブルが起きた後の対処法! クーリングオフを利用する旨を伝えましょう。
クーリングオフは商品や権利の販売、役務に関して適用されるもの。
これは塗装においても例外ではなく、飛込み営業で、契約した住宅に関する工事ではクーリングオフが利用できるケースがほとんどです。
クーリングオフの期間は、業者側から法定書面を受け取った日から起算して8日以内(特定商取引法9条)。その際、違約金などは発生しませんので、塗装業者にクーリングオフを利用することを伝えましょう。
3-2.見積もりの説明をしてくれない
トラブルが起きた後の対処法! ゆっくりと説明してもらう時間を設けましょう。
外壁塗装工事はただ単に塗る塗料の代金だけではなく、高圧洗浄代、足場代など、非常に細かく金額の計算がされるものです。十分に見積りの説明をしてもらえないのでしたら、もしかすると余分な工事代金がプラスされている可能性も。余分な工事はないか、確認するという意味でも、何にどのくらいのお金がかかっているのか、細かく説明してもらう時間を設けましょう。
下記チェックリストを元に業者選びを行いましょう!
塗装業者とのトラブルを防ぐためには良い業者か悪い業者かをしっかりと自分で判断できるようになることが一番重要です。
お金に関する塗装業者とのトラブルを未然に防ぐ方法!
下に業者選びのポイントを記載しましたので、業者選びの際の参考にしてください。
【塗装業者選びのチェックリスト】
(建物診断)
□ 屋根に上がって診断してくれる
□ 資格や専門知識を持った住宅診断のプロが診断してくれる
□ 屋根裏の漏水状況も診断してくれる
□ 診断結果を写真や映像の入った書面で提出してくれる
□ 診断結果に基づいた提案書を提出してくれる
当メディアを運営するプロタイムズでも無料で建物診断を実施しています。建物診断については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
(見積書)
□ 一式見積もりではなく工事内容が詳細に分かる見積もりを提出してくれる
□ 塗装面積(㎡)で見積もりを提出してくれる
□ 使用する塗料名が書かれており、仕様書に基づいた見積もりを提出してくれる
見積りの見方について、詳しくは下の記事をご覧下さい。
(保証とアフター)
□ しっかりとした保証(工事保証)がある
□ 長期間のアフターフォロー(点検制度など)を実施する制度がある
□ 店舗や事務所の所在地が明確な業者である
□ 特商法に基づいた契約書(約款やクーリングオフ等)で契約してくれる
業者選びのポイントについて、詳しくは下の記事をご覧下さい。
4.近隣とのトラブル
塗装工事を行う上で、近隣の方からの苦情が起きてしまうケースは多々あります。
よくあるトラブルとしては、以下のような事例があります。
- 足場の組み立て、解体の音や高圧洗浄の音がうるさい。
- 塗料の臭いにより気分が悪くなった。
- 路上に塗装業者の車が駐車しており、邪魔になる。
- 路上で職人がたばこを吸っている。
塗装工事も他の工事と同様、静かに行えるものではありませんし、塗料を使っている以上、周りの方へ与える影響も非常に大きいものとなります。
トラブルが起きた後の対処法! 真摯に謝罪をしましょう
近隣の方からの苦情が来たら、なにより謝罪をしましょう。苦情が来た事案以外に何か問題はなかったか、という事実も確認してください。苦情が来たのにそのまま放置すると、その後の大きなトラブルのもとになりかねません。そうならないためにも、真摯に対応しましょう。そして、苦情があった旨を塗装店に伝え、二度と同じことが起きないように、伝えてください。
近隣の方とのトラブルが起きてしまった場合には、謝罪をする、しか対処法はありません。トラブルが起きた後に対処する前に、未然に防ぐ方法を実施することをおすすめします。
トラブルを未然に防ぐ方法! 工事着工前に近隣の皆さんへ挨拶周りをしましょう!
近隣トラブルを防ぐためにできることはやはり、事前のあいさつです。一般に近隣への事前の挨拶は塗装業者が行うようですが、施主様自ら直接挨拶を行った方が、印象がよく、近隣の方も安心感を抱かれます。その際、工事が始まる日と工事が完了する日はしっかり伝えましょう。
また、工事が長くなる場合であれば、「ご迷惑をおかけしていることはありませんか?」と工事の途中でも尋ねるようにしましょう。苦情になる前の段階で、食い止めることができます。
まとめ
以上が外壁塗装において、よく起こるトラブルの事例とその対処法です。
もし、何らかのトラブルが起きた際にも、焦らず、塗装業者にすぐ相談をすることが大切です。ですがやはり、一番ベストなのは、これらのトラブルを未然に防ぐために、前もって準備をしておくこと。
その準備を完璧に行う為にも、本記事を参考にして下さい。