外壁塗装には「高圧洗浄」という工事工程があります。
◎外壁塗装の工事工程(工事の流れ) ※一部抜粋
▼足場の設置(+養生)
▼高圧洗浄 ←ココ
▼下地処理(補修)
▼養生
▼外壁塗装
外壁塗装の高圧洗浄では、高圧洗浄機を使用して、外壁に付着した汚れや傷んだ旧塗膜などを洗い流します。
「外壁塗装に高圧洗浄は必要?」と疑問に思われる人も多いのですが、外壁塗装に高圧洗浄は絶対に必要です。
仮に高圧洗浄をせずに外壁塗装をすれば…
・外壁塗装がキレイに仕上がらない
・外壁塗装が早々にダメになる
などのリスクが生じます。このあたり詳しくは下記の本章で解説いたします。
この記事では、その他、
・高圧洗浄の費用相場
・高圧洗浄のよくある疑問(換気、洗濯物、作業時間などについて)&その回答
についてもお伝えいたします。ぜひ、参考にしてください。
1.外壁塗装の高圧洗浄を徹底解説!
1-1.外壁塗装の高圧洗浄とは?
外壁塗装工事では、塗装前(塗料を塗る前)に、高圧洗浄機を使用して、高圧の水で外壁に付着した汚れや傷んだ旧塗膜などを洗い流します。
▼外壁塗装の高圧洗浄で洗い流すもの
・汚れ(砂、ホコリ、雨筋汚れ など)
・傷んだ旧塗膜 (はがれた塗膜、チョーキング など)
・コケ・藻・カビ ほか
[外壁塗装の流れ]
▼足場設置前の現場確認
▼足場の設置(+養生)
▼高圧洗浄 ←ココ
▼下地処理(補修)
▼養生
▼外壁塗装・下塗り
▼外壁塗装・中塗り
▼外壁塗装・上塗り
▼完了検査
▼足場の解体
▼完成
※外壁材の状態(劣化の進行具合など)によっては、「▼高圧洗浄」「▼下地処理(補修)」の順番が逆になることもあります。
1-2.外壁塗装の高圧洗浄では、洗浄剤を使用することも
水だけでは落ちないコケ・藻・カビなどがある場合には、洗浄剤を使用して高圧洗浄をすることも。
洗浄剤を使用した高圧洗浄は、「バイオ洗浄」と言います。
コケ・藻・カビは、高圧洗浄でキレイに落とせたように見えても、再び増殖してしまうことがあります。そのため、再びコケ・藻・カビが増殖するのを防ぐ目的でバイオ洗浄をすることもあります。
※高圧洗浄だけでは落ちない傷んだ旧塗膜やサビは、ケレンで除去する!
高圧洗浄だけでは落ちない傷んだ旧塗膜やサビなどは、ケレンで除去します(※傷んだ旧塗膜やサビはバイオ洗浄では落ちません)。ケレンとは、サンドペーパーやブラシなどで研磨して傷んだ旧塗膜・サビなどを除去する方法です。
ちなみに、ケレンは、下地処理(※上記[外壁塗装の流れ]を参照)で行なう作業の一つです。
2.外壁塗装に高圧洗浄が必要な理由は?高圧洗浄をしないと、どうなる?
外壁塗装には高圧洗浄が絶対に必要です。
仮に高圧洗浄をせずに塗装をする(塗料を塗る)と…
塗料がうまく付着しない/塗りムラができるなどして、外壁塗装がキレイに仕上がらない可能性大です。
洗顔をせずに化粧をしてもキレイに仕上がらないのと同じで、高圧洗浄をせずに、外壁に不要なもの(汚れや傷んだ旧塗膜など)が付着したまま上から塗料を塗り重ねても、外壁塗装はキレイには仕上がらないのです。
また、塗装直後はキレイに仕上がったように見えても、(高圧洗浄をしていない場合)塗料と外壁材(下地)の密着が弱いため、塗装をしてから1年以内に塗膜(塗装後にできる塗料の膜)にはがれが生じるなどして、外壁塗装が早々にダメになる可能性も。
つまり、
・外壁塗装をキレイに仕上げる
・外壁塗装の本来の耐久性を維持する(外壁塗装を長持ちさせる)
ためには、“塗装前の高圧洗浄は必須”ということです。
3.外壁塗装の高圧洗浄にかかる費用相場
外壁塗装の高圧洗浄にかかる費用相場は下記の通りです。
[高圧洗浄の費用相場]
▼高圧洗浄
高圧洗浄費:200~300円/㎡
水道代:1,000~2,000円くらい
▼バイオ洗浄
バイオ洗浄費:500~800円/㎡
水道代:2,000~4,000円くらい
※上記はあくまで相場費用です。実際の価格と大きく異なることもあります。
※高圧洗浄で使用する水は、一般的に消費者(施主)の水道水を使用します。水道代は消費者負担です。
※高圧洗浄の場合、外壁全面を1回洗浄します。バイオ洗浄の場合、洗浄剤の塗布時/洗い流しの2回、外壁全面を洗浄します。そのため、バイオ洗浄は高圧洗浄の約2倍の水道代がかかります。
※水道代(使用する水の量)は、住まいの大きさ(外壁の広さ)、住まいの形状、落とす必要があるものの内容(汚れ、傷んだ旧塗膜、コケ・藻・カビなど)や程度などによっても大きく変動します。
4.「外壁塗装の高圧洗浄」のよくある疑問にプロが回答します!
この章では、多くの消費者が抱く “外壁塗装の高圧洗浄について疑問” に、プロが丁寧に回答します。
4-1.Q)「高圧洗浄前の養生」とは?
外壁塗装の高圧洗浄前には、養生をします。
高圧洗浄前の養生とは、漏水・漏電の恐れがある箇所/洗浄水が飛散すると困る箇所などに洗浄水がかからないように、養生シートなどで覆うことです。
▼養生する箇所
・換気口
・天窓
・インターホン
・照明器具
・コンセント ほか
バイオ洗浄で使用する洗浄剤が植物にかかると枯れてしまうことがあります。そのため、バイオ洗浄をする場合には、植物にも養生をします。
また、隣の家との間隔が近い場合等には、隣の家に洗浄水が飛散するのを防ぐための養生をすることもあります。
“どこを養生するか”は、基本的に塗装業者にお任せで問題ありませんが、「わかりにくい位置にコンセントがある」「絶対に洗浄水をかけられたくない箇所がある」「(バイオ洗浄をする場合)大切にしている植物がある」など気になる箇所がある場合には、養生前に塗装業者に伝えておくと安心です。
4-2.Q)高圧洗浄中は、窓を開けられない?
基本的に、高圧洗浄中に窓を開けることはできません。
「換気のために、数cmくらいなら開けても大丈夫だろう」などと、ちょっとでも窓を開けていると、そこから多量の水が吹き込み、室内が水浸しになってしまいます。
高圧洗浄中は、窓やドアなど開口部と呼ばれる箇所はすべて閉める必要があります。スライド式の窓などは水力で開いてしまうことがあるため、鍵まで閉めるようにしてください。
ちなみに…よくある失敗談が「家族が知らずに窓を開けてしまった」というもの。
高圧洗浄中に家にいる家族には、うっかり窓などを開けたりすることのないように伝えておきましょう。
4-3.Q)高圧洗浄中は、外に洗濯物を干せない?
洗浄水は思った以上に飛散します。そして、飛散した洗浄水は洗濯物を汚してしまう可能性があります。
そのため、高圧洗浄中は外に洗濯物を干すことはできません。
※基本的に、外壁塗装工事中は、外に洗濯物は干せません
外に洗濯物を干せないのは、高圧洗浄中だけではありません。
外壁塗装の工事中は、基本的に外に洗濯物を干すのは難しいでしょう。
その理由は様々ありますが、洗濯物を外に干すと、
・洗濯物に塗料のニオイがついてしまうことがある
・塗料などが洗濯物に付着する可能性がある
・作業の邪魔になる
などが主な理由です。
どうしても外に干したい場合には、塗装業者に相談をしてみてください。住まいの形状や作業工程などによっては、外に洗濯物を干せるチャンスがあるかもしれません。
4-4.Q)高圧洗浄中に音はする?
高圧洗浄中は、
・機械(高圧洗浄機)の駆動音
・洗浄音(高圧洗浄機から水が噴き出す音、水が外壁にあたる音など)
などの音がします。
どのぐらいの音がするかは、開口部(窓やドアなど)の位置、使用する高圧洗浄機の種類、汚れの程度などによって異なります。また、人によっても感じ方は違うため一概には言えませんが、「音が気になりそうな気がする…」などの不安がある場合には、耳栓やイヤホンなどをするか、外出をするなどの対策をオススメします。
▼外壁塗装工事中の音について詳しくは、下記記事で解説しています。
4-5.Q)雨天時に高圧洗浄の作業は可能?
高圧洗浄は水を使用する作業のため、小雨程度の雨であれば問題なく作業が可能です。
ただし、大雨や強風など天候が著しく悪い場合には、中止となることもあります。
その日の高圧洗浄の実施 or 延期が決まるタイミングの目安は、下記の通りです。
・天候が読めない場合、天候が急変した場合など⇒その日の朝までに決定
・悪天候が明らかな場合(台風が接近している など)⇒事前(前日など)に決定
塗装業者によっては上記とタイミングが異なることもあります。実際の実施 or 延期が決まるタイミングについては、塗装業者に確認をしてください。
4-6.Q)高圧洗浄には、どのぐらいの時間がかかる?
外壁塗装の高圧洗浄にかかる時間は、おおよそ3時間以上が目安です。
ただし、外壁塗装の高圧洗浄にかかる時間は、
・住まいの大きさ(外壁の広さ)、住まいの形状
・落とす必要があるものの内容(汚れ、傷んだ旧塗膜、コケ・藻・カビなど)や程度
などによって大きく異なります。
そのため、場合によっては、3時間よりも長く時間がかかることもあります。
外壁塗装とあわせて屋根塗装もする場合には、外壁とあわせて屋根の高圧洗浄も行ないます。この場合、高圧洗浄に丸一日かかることも。
ちなみに、高圧洗浄後は水でぬれた外壁材(下地)が乾燥するのを待って、次工程に入ります。
※外壁材(下地)が乾燥する前に次工程に進むと、外壁塗装に不具合を生じさせてしまうリスクがあります。
※一部、乾燥前に行なえる作業(一部の下地処理など)もあります。
4-7.Q)高圧洗浄をすると近隣宅に迷惑がかかるのでは?トラブルに発展しない?
どんなに気をつけていても、高圧洗浄をすることで、近隣宅にご迷惑をおかけしてしまう可能性はあります。
近隣宅とトラブルを起こさないためには、ご迷惑をおかけしてしまうかもしれないことについて事前に断りを入れておくことが有効です。
具体的に何をするかというと、事前に近隣宅へ伺い、
・高圧洗浄をする日時(スケジュール)
・高圧洗浄機の駆動音や洗浄音がする可能性があること
・洗浄水が飛散する可能性があること
※明らかに近隣宅に洗浄水が飛散してしまいそうな場合には、近隣宅に洗浄水が飛散するのを防ぐための養生をします。
※近隣宅の洗濯物を干す場所によっては、洗濯物を干すのを控えていただくようにお願いをする必要がある場合もあります。
などを説明し、理解を得ておきましょう。
事前に断りを入れていてもトラブルに発展してしまうこともありますが、何も伝えていないと、「何も聞いていない…!」ということについて不快な感情が生まれることで、よりトラブルが起きやすくなってしまうことは間違いありません。そのため、事前に断りを入れることは非常に重要です。
多くの塗装業者が隣近所への事前説明等を行なってくれますが、近隣の方々の心証を考えると、塗装業者と一緒に近隣宅へ伺い、自身でもフォローしておく方が良いでしょう。
※近隣宅へ説明に伺うタイミング
外壁塗装工事では、高圧洗浄以外にも迷惑をかけてしまうかもしれないことが多々あります(足場の設置音、塗料のニオイなど)。そのため、多くの場合、外壁塗装工事に入る前に、高圧洗浄を含め諸々ご迷惑をしてしまうかもしれないことについて、近隣宅へ説明に伺います。
5.外壁塗装の高圧洗浄はプロに依頼すべし
「高圧洗浄だけでも自身でやれば、外壁塗装にかかる費用を抑えられるのでは?」
など、自身で外壁塗装の高圧洗浄ができないかと考えている人もいるかもしれませんが、自身で外壁塗装の高圧洗浄をするのは難しいでしょう。
なぜならば、外壁塗装の高圧洗浄には知識や経験が必要となるためです。
仮に、知識や経験のない一般の人が高圧洗浄をすれば、下記のような失敗をしてしまう可能性が高いです。
・水圧/水のあて方などを誤って、外壁を傷めてしまう
・塗装が塗れる状態まで洗浄できていない(外壁塗装の高圧洗浄は、外壁の見た目がキレイになればOKということではありません)
・養生が不十分で、漏水・漏電などを引き起こしてしまう
・養生が不十分で、近隣に多量の洗浄水を飛散させてしまう
また、外壁塗装の高圧洗浄は高所作業が必要となることも、自身での高圧洗浄が難しい理由の一つです。
高所作業は危険が伴うため、塗装業者が行なう場合も、しっかりと足場を組んだうえで行ないます。素人が脚立などに乗って作業するなど、もってのほか。絶対にやめてください。
まとめ
外壁塗装に高圧洗浄は絶対に必要です。
仮に高圧洗浄をせずに外壁塗装をすれば、外壁塗装がキレイに仕上がらない/外壁塗装が早々にダメになる、などのリスクが生じます。
この記事では、
Q)高圧洗浄前の養生とは?
Q)高圧洗浄中は、窓を開けられない?
Q)高圧洗浄中は、外に洗濯物を干せない?
Q)高圧洗浄中に音はする?
等々、よくある高圧洗浄に関する疑問とその回答もご紹介しております。こちらも、ぜひ参考にしてください。