塗装 湿度

家の塗装について、「湿度の高い時は不具合が起きやすい」とか「湿度が塗装の仕上がりに影響する」ということを耳にして、雨の多い時期には塗装はできないのだろうか?疑問を持たれている方はいらっしゃいませんか?

もしも、季節などは考慮せず塗装ができれば楽ですが、外で行なう外壁塗装と季節・湿度などの天候は切っても切れない関係にあります。

実際に、塗装に最適な季節の春と秋は湿度が低く、からっと乾きやすい天候になりやすい季節です。

しかし、実は梅雨などの湿度の高い時期でも「注意すれば」塗装はできるのです。

この記事では、なぜ梅雨などの湿度の高い時期でも塗装をできるのかだけでなく、実際に湿度の高い季節に塗装をする際に気をつけたいポイントなどもご紹介します。
このポイントを知っていれば、塗装業者との打合せの際に聞いておくべきことや、DIYを行なう時にどんなところに気をつけていれば良いのかを知ることができます。

湿度の高い時期の塗装ならではの知識を知った上で、いつ塗装を行なうのかを決める材料として、この記事がお役に立てれば幸いです。

1.塗装の可否は季節よりも湿度と気温

前段でお伝えしたように、塗装に最適な季節は春と秋です。
しかし、それ以外の季節でも塗装は可能です。
なぜ、季節に関係なく塗装ができるのかをここではご紹介いたします。

1-1.塗装ができない気候条件は、湿度85%以上、気温5℃以下

塗装ができない気候条件としては、ほとんどの塗料メーカーが規定として「湿度85%以上、気温5℃以下」とパンフレットにも掲載しています。

湿度の高くなる雨の日や氷点下になる積雪地域などでは、「湿度が85%以上、気温5℃以下」の気候条件となってしまうため、塗装が難しいといえます。

しかし、逆をいえば上記条件でなければ塗装は年中可能ということです。

1-2.塗装に最適な条件になりやすいのが春と秋

「1-1.塗装ができない気候条件は、湿度85%以上、気温5℃以下」では湿度と気温をもとに塗装が不可能な気候条件についてお伝えいたしました。

塗装が不可能な条件が生まれやすい時期がある一方で、塗装に最適な条件になりやすい時期もあります。その時期とは、春と秋です。

しかし、春と秋(特に4~5月、9~10月)については、塗装に良好な空気が乾燥した時期なので塗装業の繁忙期に入ってしまい、優良な塗装業者の場合には3ヶ月前から予約が埋まっていることが多いため、希望の日程で塗装の契約を結ぶことが難しい傾向もあります。

そのため、希望する塗装業者が決まっている場合は、早めに塗装の契約をすることをおすすめします。

1-3.湿度の高くなりやすい季節でも塗装はできる

実は湿度の高くなりやすい夏、冬でも、塗装をお願いすることはできます。それぞれの季節のメリット・デメリットを下記の表にまとめましたので、参考にしてみてください。

メリットデメリット
気温が高いため、塗料が乾燥しやすい。施工中に窓が開けられず、塗装工程の関係で一時的にエアコンが使えないこともある。
閑散期のため、塗装業者の予約をとりやすい。気温が5℃以下になったり、夜露によって一日の作業時間が短くなることで工期が延びる傾向がある。

上記のメリット・デメリットを踏まえた上で湿度の高くなりやすい季節の塗装を決められた際には、しっかりと業者選びをすることをおすすめします。

▼業者選びについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご参照ください。

リフォーム業者選びに口コミサイトを最大限活用する方法!

【プロが教える】よくあるリフォームトラブル&解決方法!

2.湿度の高い季節の塗装で知っておきたい3つのこと

湿度の高くなりやすい夏や気温の低い冬でも塗装を行なうことができ、メリット・デメリットがあるとご紹介いたしましたが、それらのことを承知の上で、実際に塗装を行なうことを検討されている方には次の3つのことを知っておいていただきたいと思います。

1.水性塗料よりも溶剤塗料の使用がおすすめ

2.延長料金などが見積書等に記載されているか確認する

3.工事スケジュールが長くなる場合もあることを知っておく

なぜ、これらのことを知っておくことが重要なのか、ご説明いたします。

2-1.水性塗料よりも溶剤塗料の使用がおすすめ

なぜ溶剤塗料なら短い工期で塗装を終えることができるのかというと、溶剤塗料の溶剤成分が蒸発しやすく、環境の影響を受けにくいことによって、一定の時間で乾燥するためです。

水性塗料を使用した場合には、主成分が水のために乾燥に時間がかかりやすく、湿度の高い時期には工期が長くなる傾向があります。

▼詳しく溶剤塗料について知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

[3分で完璧]溶剤系塗料の全てがわかる ~塗料選びからDIYまで~

2-2.延長料金などが見積書に記載されているか確認する

湿度の高い季節には、工期が延びる傾向があります。通常は天候の影響による工期の延長によって、追加の費用がかかることはないのですが、業者によっては延長料金がかかることもあるのです。

想定していなかった追加の費用が発生してしまうことを防ぐためにも、契約時に延長料金などが発生する可能性があるのかを担当の営業に質問するとともに、見積書に延長料金が発生しない旨の内容が明確に記載されているのかを必ず確認するようにしましょう。

▼契約を結ぶ際の留意事項についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

知らないと危険!外壁塗装の契約書を交わす時におさえるべき5つのポイント

2-3.工事スケジュールが長くなる場合もあることを知っておく

湿度の高い時期は、雨が降る可能性が高まってしまうことによって、塗装の工事のスケジュールがあらかじめ長めに組まれることがあります。

通常の塗装にかかる期間としては、一般住宅が10~14日程度となっています。塗装にかかる期間については、建物の大きさによって大きく変動しますので、大きな建物はこの日程よりも長めのスケジュールになります。

工期が長くなった場合には、工事中に窓が開けられず、家の周りに建てられた足場によって部屋の中が暗くなった状態が長引いてしまうこともあります。

これを想定した上で契約を結ぶことによって、後々、「雨の多い時期に契約をするんじゃなかった」という後悔をせずに済むでしょう。

また、ご自宅にいる以外に、仮住まい用のアパート等を借りるという選択肢もあります。

自分自身の工事中の生活スタイルやストレス耐性を把握した上で、湿度の高い時期の塗装を行なうことを決めるとともに、万が一の手段を持っておくことをおすすめします。

※▼そもそも仮住まいって何?と思われた方はこちらの記事をご参照ください。

リフォーム中の仮住まいの選び方・よくある悩みと解決方法

3.塗装中に雨が降ってしまった場合の対処法

湿度の高い時期でも、晴れていたり、曇っていたりすると「今日なら塗装ができるかも」と思い、塗装が行なわれることもあるかもしれません。

しかし、そんな日には突然雨が降ることも。雨が降ってしまった時に、どのように対処したら良いのだろうかと判断がつかない場合もありますよね。

そんな方のために、ここでは湿度が高い時に塗装をしてしまった場合の対処法をご紹介いたします。

3-1.塗装を途中でやめる

塗装中に雨が降った場合には、塗装を途中でやめるようにしましょう。

もしも塗装を続けたとしても、乾燥不足によって仕上がりが悪くなってしまったり、不具合が起こり全面を塗り直すことにもなりかねません。

また、ほとんどの現場では雨の日には塗装が中止になるのですが、極稀に業者の中には雨でも人件費削減のために塗装を強行する業者もあります。

そのような業者と契約を交わさないようにするために、万が一の場合の保証などを用意しているかを契約の前に確認し、安心してお願いできるようにしましょう。

3―2.塗装した場所を触らない

万が一、塗装を終えた後の乾燥中に雨が降ってしまった場合には、塗装した場所に触れないようにすることが大切です。

なぜなら、塗料が乾くのにかかる時間は、使用する塗料や環境によって変動しますが、気温が23℃前後の場合には3~6時間程度必要とされているため、乾燥中の塗料に水分が含まれた状態で触ってしまうと不具合がでる可能性があるからです。
(また、環境によって差がありますが、塗装後24時間以降に雨が降った場合は、塗料の不具合の可能性はかなり低くなります。)

乾燥中に外壁に塗った塗料を触って、剥がれが起きてしまい、塗り直す必要がないようにするためにも、塗装中に雨が降ってきてしまっても、まずは塗装した場所を触らないようにしましょう。

4.塗装後に不具合を発見した場合は業者に相談

湿度の高い時期に塗装を行なった場合には、起こりやすい不具合がいくつかあります。もしも、不具合が発生した場合には、保証書を確認して業者に相談するようにしましょう。

保証期間内であれば、業者に不具合の症状を伝えて、補修の依頼を行なうと良いでしょう。万が一、補修などの対応をしてもらえない場合には、第三者機関などを利用し、相談をしましょう。

[第三者機関の一覧]

公益財団法人 住宅リフォーム紛争処理センター
┗住まいのことを全般的に相談できる、国土交通省大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口

消費生活センター
┗消費生活全般に関する問い合わせを専門の相談員が受け付ける窓口

5.湿度が高い場合に塗装すると起こりやすいリスクは「塗膜表面の艶引け」

湿度が高い場合に塗装を行なうと起こりやすい症状である、「塗膜表面の艶引け」についてご紹介いたします。


塗装表面の艶引けとは、艶有りの溶剤系塗料を使用した場合に、塗膜に光沢が出にくくなる症状のことで、下地の温度が低下しやすく、結露が出やすい金属系の下地に発生しやすい現象です。

艶引けの原因は、乾燥途中の塗膜表面に水滴が付着することで、塗膜表面に微細な凹凸が発生し、光の反射量が減ることによって光沢が出にくくなることです。この現象を防ぐためには、温度が高く昼夜の気温差が大きい時期の塗装は夕方までに塗料が乾燥するように作業をしていくことが重要です。

万が一、艶引けが発生した場合は、再塗装をすることによって症状が改善されます。

まとめ

■塗装に適した時期は、春(3~5月)と秋(9~11月)

■湿度の高い時期でも、メリット・デメリットを踏まえた上で塗装はできる

湿度が高い時期に塗装すると起こりやすい症状は、塗膜表面の艶引け

上記のことを踏まえた上で、塗装の時期をご検討いただき、満足行く外壁塗装を行なっていただければ幸いです。