現在戸建て住宅の70%の外壁がサイディングと言われている住宅市場ですが、これをお読みの方も、築年数が経っているけれど塗装した方がいいのか、と思っている方も多いのではないでしょうか。また、「そもそもサイディング外壁は塗装不要なのでは?」と悩まれる方もいるかもしれません。
結論を先に申し上げますと、サイディングに塗装は必要不可欠です。
今回はそんなサイディング外壁にはなぜ塗装が必要なのか、塗装時期はいつなのか、また費用はいくらくらいかかるのか、という気になる点をまとめてみました。自分の家がサイディング外壁だ!という方は是非参考にされてください。
1. サイディング外壁には塗装が必要
1-1. なぜサイディングには塗装が必要か
サイディングは半永久的、と思われている方、家を建てた時にサイディングには塗装はいらないと業者に言われた・・・という方もいるかもしれませんが、結論から申し上げますと、サイディングには塗装が必要不可欠です。なぜならサイディング外壁は外気にさらされているため、紫外線や雨風の影響を受け、外壁の劣化が起きるからです。
定期的に塗装をしてサイディング外壁の防水性を保つことで、サイディング外壁、そして住まい内部にまでダメージが及ぶのを防ぐことができるため、住まいも長持ちします。
サイディング外壁の主な劣化現象としては
①チョーキング現象
②コーキング(シーリング目地)部分のひび割れ
③外壁のひび割れ
④塗膜の剥がれ
⑤外壁の色褪せ
⑥カビや藻の発生
が挙げられます。普段ご自宅の外壁をじっくり見ることはあまりないと思いますが、よく見てみるとそのような現象が起きていることは多くあります。
このような状態が発生している場合、サイディング外壁の防水性が弱まっているといえます。そこから水が浸入していき、住宅の内部まで犯してしまい、最終的には雨漏れが発生します。わずか0.3mm(名刺ほどの厚み)のひび割れでも水は浸入してしまうのです。また色褪せやカビ・藻の発生が起こると見た目が悪くなってしまうという影響も出てきます。このような事態を避けるためにも、外壁を守ってくれる塗装メンテナンスは必ず必要なのです。
1-2. 塗替えのサインはこれ!
ではいつが塗装の適性な時期なのでしょうか。これを知るためには2つの方法があります。まず築年数から判断する方法です。一般に築10~15年が塗替えの時期と言われます。もうひとつ、住宅の劣化状況による塗替え時期を判断するという方法があります。ここではそのような劣化状況により塗替え時期を判断するための「塗替えサイン」をいくつかご紹介します。
チョーキング現象 | 壁を触ると手に白っぽい粉がつく現象。塗膜が薄くなっているサインで、放置しておくと雨水が浸入し各部材を傷める。 | |
コーキングのひび割れ | 放置しておくと雨水が浸入し、建物内部の断熱材にカビが発生してしまう恐れあり。 | |
外壁のひび割れ | 放置しておくと雨水が浸入し、建物内部の断熱材にカビが発生してしまう恐れあり。 | |
塗膜の剥がれ | 1度塗装をしたお家に起こりうる、前回塗装した塗膜が剥がれてくる現象。前回の塗装効果が切れている可能性がある。 | |
色褪せ | 外壁の色が当初と違う、色が薄くなっていたり白ぼけて見えたりする現象。前回の塗装効果が切れている可能性がある。 | |
カビや藻の発生 | 1度発生すると除去しない限り増殖し、美観も損ねる。 |
いかがでしょうか?是非ご自宅の外壁で1度セルフチェックをしてみてください。1つでも当てはまれば、専門の塗装業者やリフォーム業者に頼んでチェックしてもらうことをおすすめ致します。
1-3. サイディングの耐用年数と塗り替え周期
ではそもそも、サイディングの耐用年数と塗替え周期はどのくらいなのでしょうか。耐用年数でいえば、サイディングの種類によっても違ってきますが、一番多いのが新築から10年前後、最短でも6年、最長15年もった、という住宅もあります。新築から6年というのは自然的な傷みというより、だいたいの場合建てた建築屋さんの家の作り方が原因というものが多くなるようです。塗替え周期も同じく塗装する塗料の種類によって違ってきますが、約10~15年が目安です。
また住宅の置かれた環境も大きな影響を与えます。例えば川の近くだと藻やカビが発生しやすかったり、道路沿いだと排気ガス汚れがつきやすかったりし、数年で塗替え周期を迎えることもあります。
よって、それぞれの住宅で先述した劣化のサインを見つけることが最も分かりやすくご自宅の塗替え時期を見極める方法ではないかと思います。
2. サイディング外壁塗装にかかる費用相場
サイディングの耐用年数と塗り替え周期がわかったところで、やっぱり気になるのはかかってくる費用ではないでしょうか。塗り替えする際には主に、足場代+施工代(職人さんの手間代)+使用する塗料代+雑費という形で構成されます。あくまでも外壁のみ塗装した場合の目安ですが、塗り替えの費用として全体で約80~150万円かかります。足場代、施工代はおおよそ同じですが、どの塗料を使用するかによってかかる費用は大きく変わってきます。塗料には多くの種類があり、それぞれがメリット(発揮する効果)・デメリットをもっています。下記表は塗料別でのメリット・デメリットと耐候年数・費用目安をまとめたものです。これらを踏まえた上で、最もご自身の希望に沿うものを選びましょう。
塗料名称 | メリット | デメリット | 耐候年数目安※ | 費用目安(30坪外壁の場合)※ |
---|---|---|---|---|
光触媒 | 太陽光と雨の力で汚れを落とすセルフクリーニング効果で汚れ防止ができる。 | コストが高めで、光が当たらない場所は効果が薄くなる。塗膜が硬い。 | ~15年 | 150万 |
フッ素・無機 | 耐候性の高さにおいて最高レベル。長期間に渡り変退色、艶引けがない。 | コストが高めで、塗膜が硬いものが多いのでひび割れしやすい。 | ~15年 | 120万 |
シリコン | 価格と機能のバランスが良い。近年では様々な機能がついたものがある。 | 耐候性に欠ける部分があり、建物保護としては不十分な場合もある。 | ~10年 | 90万 |
ウレタン・アクリル | コストが抑えめで定期的に塗替えを楽しみたい方におすすめ。 | 耐候性が低い、長期的に機能をもたせることができない。 | ~7年 | 80万 |
※同じ塗料や種類でもメーカーや商品が違うと耐用年数や費用も異なります。
※耐用年数は気候、温度、立地条件などにより変化します。
※記載の費用は足場代、施工代、雑費を含め外壁のみ塗装した場合の目安です。
また外壁の劣化具合により、塗装では対応できない場合、張替え(既存サイディングボードを撤去して新しいものを貼ること)や重ね張り(既存サイディングボードの上から新しいボードを貼ること)というメンテナンス方法をとる場合もあり、塗装より費用がかかってしまう可能性があります。
3. サイディング外壁の塗り替えの流れ
では実際に塗り替えを業者にお願いした場合、一体どのくらいの日数を要するものなのでしょうか。写真と共に見ていきましょう。
日数 | 内容 | 写真 |
---|---|---|
1日目 | 足場及び養生ネット張り | |
2日目 | 高圧洗浄 | |
3日目 | 下地・コーキング処理 細部の養生 | |
4日目 | 塗装(下塗) | |
5~6日目 | 塗装(中塗・上塗) | |
7日目 | 足場解体・清掃・完工 |
※現場によっては作業の順序が前後したり、雨や雪の影響を受けた場合は工期が長引いたりすることもあります。
※上記は外壁のみ塗装した場合の流れです。
4. サイディング外壁に自分で塗装するには
4-1. そもそも自分で塗装できるのか?
そもそも「サイディングに自分で塗装(DIY)できるのか」ですが、まずDIYには必ず危険が伴うことをお伝えしておきます。例えば足場を組んでしなければならないような高い場所(2階の外壁など)は、転倒してしまう恐れもあるのでプロの業者にお願いした方がいいでしょう。足場を組まなくても自分でできる範囲や、一部劣化しているところの手直しであればご自身で材料を買ってみてやってみるのもいいと思います。ここではDIY(自分で塗装)する場合についても少しご紹介致します。
4-2. DIYの流れ~施工の流れと必要材料~
まずDIYする際に、必要な材料は何なんだろう?と迷われるかと思います。この場面では何を使えばいいのか、施工の流れと一緒に解説していきます。
内容 | 施工方法解説 | 必要材料 | 購入先 |
---|---|---|---|
①水洗い | 水を流しながらブラシなどを使用して、カビや汚れを落としていく。家の外壁塗装でいえば、下地調整という高圧洗浄の部分で、塗料の密着を高める作業。塗装前におこなう下準備作業であり、水洗い後は、次の塗装をするまでに一日ほど乾燥させる。 | ・ブラシ | ホームセンター、インターネット |
②養生 | 塗料が飛び散っても周りが汚れないように、ビニールやガムテープなどで覆って汚れを防止すること。マスカーを使うのが一般的。 | ・マスカー ・テーププライマー 画像出展:https://www.bond.co.jp/bond/detail/004216010708/ ・ガムテープ・小さいほうき(掃除用) | ホームセンター、インターネット |
③下塗り | 下地と次に塗る中塗り・上塗りの塗料と密着性を高めるために、塗装する接着剤のようなもの。 過去に一度も塗装がなく、はじめて塗装する場合は、素材が塗料を良く吸い込む場合があります。サイディングボードの場合は「シーラー」と呼ばれるものが一般的。 | ・下塗り用塗料(シーラー) ・刷毛 画像出典:https://www.maru-t.co.jp/catalog/index.php?cat=1 ・ローラーハンドル、ローラー 画像出展:https://www.maru-t.co.jp/painting_roller/index.php ・ローラーバケット 画像出展:https://www.maru-t.plus/shopdetail/000000001737/
| ホームセンター、インターネット、塗料屋さん |
④上塗り | 塗装に耐候性を持たせる為にも2~3回塗り(中塗り・上塗りと呼ばれることもある)する。最後に塗装されていない部分がないか確認をし塗り残しのないようにする。 | ・上塗り塗料 ・水・刷毛・ローラー・下げ缶(上記写真同様) | ホームセンター、インターネット、塗料屋さん |
⑤養生剥がし | ゆっくりと慎重に養生をはがして行く。ガムテープなどについていた、すでに乾いた塗料がパリパリになって、それが周囲を汚してしまうこともあるので要注意。最後に周辺の清掃を行う。 |
いかがでしょうか。必要材料は主にホームセンターや塗料屋さんで購入できますので、その際に施工方法などの不明点は相談をされることをおすすめ致します。
またDIYのやり方や注意点に関して詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください。
少しの部分であれば自分で塗装してみるのもありかと思いますが、範囲が広まれば広まる程その危険度も上がっていきます。まずはいくつかの業者にご自宅の外壁を調査してもらい、現状を知り、DIYで済むかどうか判断されることをおすすめします。
塗装業者に「診断(現場調査・現調)」をお願いすると、塗装時期を迎えているかどうかだけでなく、
・サイディング外壁にどんな劣化症状がみられるか、どのくらい劣化が進行しているか
・サイディング外壁の塗装にかかる費用(見積額)
などもわかるため、より現実的に塗装メンテナンスを検討できます。
本サイトを運営している住宅塗装のサービスブランド「プロタイムズ」でも、サイディング外壁のメンテナンスについての相談や建物診断、補修・塗装工事の見積りの依頼を無料で受け付けています。
(診断をしたからといって、プロタイムズに塗装工事を依頼しなければならないということはありません。お気軽にお問合せください。)
まとめ
今回はサイディング外壁の主に塗装でのメンテナンスについてまとめてみました。
住宅の外壁は、いつもその中に住んでいるわたしたちを外の危険(雨・風・紫外線など)から守ってくれるものです。そんな住宅を長持ちさせる為には塗装によるメンテナンスは必要不可欠です。
仮にサイディング外壁を塗装メンテナンスしなければ、防水性が失われ、
・サイディング外壁が早々にダメになる
・雨漏り・カビ・シロアリが発生する
などのリスクが生じます。
最悪の場合、住まいが早々に寿命を迎えてしまう…という可能性も。
今回はサイディング外壁に重きを置いてお話しましたが、まずはご自宅の外壁が何の種類なのか、またどんな状態なのか把握しておく必要があります。1つの業者に見てもらっただけでは合っているのか不安・・・という方もいらっしゃると思いますので、いくつかの業者に見てもらいましょう。