外壁塗装をお考えの方で、気になる事はなんでしょうか?「どのくらい時間がかかるのか」「どんな工程なのか」そんな疑問を抱いている方も少なくないと思います。外壁塗装の際は、メッシュシートで家を囲われ、中々どんな作業をしているのかが分かり辛いという点があります。それは工事をされている方はもちろんですが、近隣の方も同じ思いを持っている事が多いんです。
今回は、外壁塗装に掛かる日数と作業内容を徹底解析します。また、近年増えているリフォームをめぐるご近所トラブルを避けるにはどうしたら良いのかを、実例をもとに解説していきます。この記事で、自分も回りも気持ちの良い外壁塗装をするポイントを知ってください。
1. 外壁塗装の作業工程
1-1. 工期
外壁塗装にどのくらい時間がかかるのか、気になっている方も多いと思います。
天候に左右されますが、大体、10日~2週間ほどが目安になります。「そんなに長くかかるの?もっと短くならないのかしら?」と疑問に思われるでしょうか。実は、短く済ます外壁塗装には要注意です。外壁材を塗る塗料にはメーカーが定めた、乾燥時間というものが設けられています。その乾燥時間を守る為、一日一工程しかできない場合があるのです。この乾燥時間を守らないと初期不良の原因になってしまう可能性があります。
下に、工期のおおよその目安を図にしてあります。屋根と外壁を塗装しようと思うならば、このくらいの日数を想定すると良いでしょう。
足場設置 | 1日 |
---|---|
高圧洗浄 | 2日 |
養生 | 3日 |
下塗り | 4日 |
中間検査 | 5日 |
中塗り | 6日 |
上塗り | 7日 |
完了検査 | 8日 |
足場解体 | 9日 |
1-2. 着工前挨拶
まず、外壁塗装が始まる日がきまったら、なにをするべきか?それはご近所への挨拶です。「え!挨拶なの?」と驚かれた方も多いかもしれません。外壁塗装をおこなうと、騒音や異臭、業者の立ち入りなどご近所の方に少なからず、迷惑が掛かります。しっかりとご近所の方へ挨拶をおこない、外壁塗装工事でご近所トラブルにならないよう配慮しましょう。
ご近所挨拶であると便利なもの
ご近所の方へ工事の挨拶に行く際、どんなものが必要か中々分かりませんよね。下記は、あったら便利な挨拶グッズです。ぜひ、参考にしてください。
◆工程表
◆粗品(タオル、トイレットペーパーなど)
1-3. 足場組み立て
いざ、工事が始まるとまずやってくるのは足場業者です。足場とは、職人が高所で塗装する為の作業スペースとなる部分です。この足場設置に大体、丸一日が掛かります。
・足場組み立て時の注意点
足場の組み立てで注意したいのが、足場業者の立ち入りと騒音です。
足場はバラバラの円管パイプをトラックに積んで業者が運んできます。住居の近くに大型のトラックが止まる場合があります。
また、円管パイプを組み立てる際、どうしてもカンカンカンという音が周りに響いてしまいます。
1-4. 高圧洗浄
足場の組み立てが終わった翌日には、高圧洗浄という作業があります。塗装をする前の作業として、おうちに付いているコケやカビ、汚れなどを落とす為に、屋根・外壁・付帯部分を特殊な機会で洗います。この作業に丸一日が掛かります。念入りに洗っているから時間が掛かるというのもありますが、濡れた家屋に塗装する事が出来ないので、洗いあがった家を乾燥させる時間も含め丸一日が掛かるのです。
・高圧洗浄時の注意点
高圧洗浄をおこなう際に注意すべき事があります。それは、洗浄時の汚水の飛散です。高圧洗浄の前には、飛散防止のシートを足場の周りに掛けるのですが、突風などがあれば汚水が隣家に飛散する可能性も否定できません。
ご近所の方が干している洗濯物に汚水が飛んだら大変です。高圧洗浄の前日には、隣家へ声を掛けておくと良いでしょう。
1-5. 養生
高圧洗浄で、おうちの汚れが落ちたら、次に行う工程は養生です。養生とは、塗料が付着して欲しくない部分にビニールなどを使用して保護をする事を言います。例えば、シャッターボックスや雨どいなど、塗らない部分には全て養生という作業をおこないます。
たかがビニール貼り、とあなどってはいけません。この養生貼りの作業、実は外壁塗装の仕上がりを大きく左右する大事な工程なのです。下の写真ではテープがまっすぐ綺麗に貼られていますね。このまっすぐ綺麗なテープが仕上がりの美しいラインを作り出すのです。丁寧な仕事が必要になるので、この工程でも大体一日掛かると見積もっておくのが良いでしょう。
1-6. 下塗り
養生の作業が終了したら、やっと下塗りに入ります。下塗りとは、専用の塗料で外壁面を均一にする効果や、上塗り塗料を外壁面と密着しやすくする糊のような働きをします。
この下塗りの作業にも丸一日が掛かります。下塗り塗料は、下記の写真の様に透明だったり、乳白色だったりします。体外が色の薄い液体です。傷んだ外壁や屋根の場合、下塗り材は素地にどんどん吸収されていきます。この吸収された下塗り材をしっかりと乾かす事が重要です。先ほど書いた通り、この下塗り材は上塗りと外壁をくっつける糊の役目をしています。メーカーが指定した乾燥時間を守らないと、その効果が発揮されないのです。
1-7. 中間検査
中間検査とは、通常下塗りの後におこなわれます。施工管理や職長といった役職の人がしっかりと工程が進んでいるか、不備はないかを確認していきます。なぜ、下塗の後なのかというと、前項でも書いた通り、下塗がしっかりと施工されていないと中塗り、上塗りの塗料が外壁面へ綺麗に接着されないのです。初期不良を防ぐためにも中間検査は大切な作業なのです。
1-8. 中塗り
ここで、いよいよ外壁に色を付けていく中塗りの作業に入ります。中塗りと上塗では同じ塗料を使用します。「なんでいっぺんに塗らずに、二回に分けて塗るの?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれないですね。二回に分けて塗る理由は「膜厚」を付ける為です。
膜厚とは、字の如く、塗膜の厚みを指します。塗料にはそれぞれメーカーが定めた膜厚が存在し、その膜厚を守らないと塗料本来の力が発揮されないのです。そして、いっぺんに多くの塗料を塗ってしまうと、表面は乾いているのに、中は固まらないといった初期不良を引き起こしかねない場合があります。その為、塗料をしっかり乾かしてから、二度目を塗る二回塗で膜厚を出しているのです。
・中塗り時の注意点
現在では、臭いの少ない塗料が主流をなっていますが、臭いに敏感な方はちょっと気になる事があるかもしれません。気になるようでしたら、事前に近隣の方へ臭の注意をしておくと良いかもしれないですね。
また、住宅密集地の場合、家々の隙間がなく突風時に塗料が隣家に飛散してしまう場合もあります。塗装に入る前には、作業員の方に隣家の車や自転車へ保護カバーをかけてもらうと良いでしょう。
1-9. 上塗
中塗りの塗料が、しっかりと乾燥したら、最後の塗装、上塗りを行います。中塗りと同様に外壁材の色となる塗料を塗っていきます。厚みのついた塗料の断面図は下のイメージ画像のようになっています。このように、並べると、どちらが耐久力があるのか一目瞭然ですね。
おうちをしっかり守るには、このように厚みのある塗膜を形成するのがもっとも大切な作業になります。この作業にも、塗り終わった後の乾燥時間がありますので、丸一日がかりの作業となります。
1-10. 完了検査
塗装が終わったら、お客様へ引き渡す前に完工検査をおこないます。塗残しはないか?塗装がはみ出してしまっている場所はないか?など細かくチェックをしていきます。
参考に、完工検査で使用されるチェックシートの一例をお見せします。このようなシートに沿って、細かく念入りに検査をされているんですね。
上の写真では、修正の必要がある部分にマスキングテープ目印をつけていますね。皆さんはどこだか分かりましたか?三枚目の拡大写真では塗膜が小さく剥がれているのが分かります。このような小さな剥がれ部分も見逃さない為に、時間をかけてチェックする必要があるのです。
・完工検査時の注意点
完工検査では、中間検査同様に施工管理者が現場をチェックして回ります。記録として残す為に、写真を撮影する場合があります。近隣の方にはあらかじめお知らせしておくと、スムーズかもしれません。
1-11. 足場解体
完工検査が終わり、いよいよ引渡しとなる前に、足場の解体をおこないます。足場の解体では、塗装で綺麗にした部分い傷がつかないように丁寧に外していく必要があります。また、足場を組み立てる時同様に、円管パイプを運搬する為の大型のトラックが出はいりしたり、解体時にホコリや音がでる場合があります。
1-12. 完工挨拶
前項までが、塗装工事の流れです。
引渡しが終わったら、近隣の方に無事工事が終わった事をお伝えしてください。そして、できるならば綺麗に仕上がった自分の家を見てもらうと良いでしょう。外壁塗装をするかどうか、踏み切れずにいる方はあなたのまわりにも沢山いると思います。自分で体験した事を、近隣の方に教えてあげてはいかがでしょうか?
2. 外壁塗装でご近所トラブル!?
近年、リフォームの需要が高まり多くの人が塗替えを体験しています。そんな中増えているのが、リフォームをめぐるご近所トラブルです。ここでは、いったいどんなトラブルがあり、どのような対策をすれば衝突を避け、気持ちの良いリフォームが出来るのかお伝えします。
2-1. 実は多い、外壁塗装をめぐるご近所トラブル
では、実際にどんなトラブルがあったのか例をあげてみます。
・外壁塗装で起こったトラブル例
①隣家の外壁塗装で塗料が飛んで、植木に白い斑点が出来た
②隣家の外壁塗装の際、ひどい臭いで窓が開けられなかった
③資材が道路に置いてあり、駐車場への出し入れに困った
④一度に沢山にトラックが来ておどろいた
⑤普段見慣れない人が大勢出入りし、不安になった
上記のようなトラブルが実際に報告されています。
2-2. トラブルを回避する為には
それでは、どのようにしてトラブルを避ければいいのでしょうか?それは、ご近所への周知徹底しか他にありません。臭いや音など工事をする上で最低限起こってしまう事はしょうがないのです。なぜこのようなトラブルに発展してしまったのか、それは事前に臭いや音が生じると知らなかった為です。知っていれば「お互い様」で済んだものが、知らなかったから上記のようなトラブルに発展してしまったのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?外壁塗装工事の流れや注意点が大まかに分かってもらえれば幸いです。外壁塗装工事は、おうちのメンテナンスとして必ずやらないといけない時が来ます。その時には、周りへの配慮を怠らず、ご近所の方へ「綺麗になったわね」と言ってもらえるような工事になったら素敵ですね。