外壁材には、さまざまな種類があります。人気のサイディングをはじめ、モルタル、ALCボード、タイルなど。そして、外壁材は種類によって、見た目はもちろん、性能等にも多くの違いがあります。
この記事では、こうした外壁材の種類についてプロが徹底解説いたします。
1章では、各外壁材の特徴や相場価格、メンテナンス周期などについて、一つひとつ丁寧にご紹介いたします。そして2章では「これから外壁材を選ぶ方」に向けて、3章では「今、住んでいる家の外壁材の種類を調べている方」「外壁材の補修を検討している方」に向けて、情報をまとめてお伝えしてまいります。ぜひ参考にしてください。
1.外壁の種類別!特徴・相場価格・メンテナンス周期
1-1.サイディング
サイディングは、窯業系/金属系/木質系/樹脂系の4つに分類することができます。
4つのサイディングすべてに共通している特徴としては、「サイディング自体は工場で生産するため、品質が安定していること」「施工が簡単なため、工期を短縮でき、施工費も抑えられること」です。
窯業系/金属系/木質系/樹脂系の各サイディングについて詳しくは、下記を参考にしてください。
1-1-1.窯業系サイディング
今、最も選ばれている外壁材。日本の住宅に使用される外壁材の約70%は、この窯業系サイディングです。さまざまなメーカーが窯業系サイディングを製造・販売しているため、色&柄のバリエーションが豊富に揃っています。
材質等 | セメント・繊維質を高温・高圧で成形し、塗料で着色したもの。 |
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相場価格 | 3,000円/㎡~ |
メンテナンス周期 | 7~8年程 |
主な劣化症状 | ・シーリングの切れ、表面のひび割れ ・チョーキング(手で触ると粉状のものが付着する状態) ・色あせ ・塗膜の膨れ、はがれ ・カビ・藻の発生 ・ボードの反り ・ひび割れ |
1-1-2.金属系サイディング
サイディングの中では、窯業系サイディングの次に選ばれる金属系サイディング。軽量(窯業系サイディングの約1/4、モルタル外壁の約1/10の重量)なため、建物への負担が少なく、耐震性に優れています。軽い材質が重ね張り(詳細は3-3を参照)に最適であることから、外装リフォーム時に採用されることが多い外壁材でもあります。
※重ね張り:既存の外壁の上に、新しい外壁材を施工すること。外装リフォームの工法の一つ。
材質等 | 主原料は、カラー鉄板・アルミニウム合金。 |
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相場価格 | 4,000円/㎡~ |
メンテナンス周期 | 10~15年程 |
主な劣化症状 | ・シーリングの切れ、表面のひび割れ ・サビの発生 ・チョーキング(手で触ると粉状のものが付着する状態) ・色あせ ・塗膜の膨れ、はがれ ・カビ・藻の発生 |
1-1-3.木質系サイディング
「木」ならではの風合いが魅力の木質系サイディング。材質が木材であることから、経年劣化により防水性が失われると雨水による腐食が生じやすくなるため、こまめなメンテナンスが必要となります。
また、消防法の制限で、指定された防火地域では、木質系サイディングの使用ができないこともあるため、「木質系サイディングを選びたい」という場合は、事前に使用可/不可を調べる必要があります。
材質等 | 主原料は、木材。天然木に塗装を施した外壁材。 |
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相場価格 | 6,000円/㎡~ |
メンテナンス周期 | 約10年 |
主な劣化症状 | ・木の腐食 ・カビ・藻の発生 ・チョーキング(手で触ると粉状のものが付着する状態) ・塗膜の膨れ、はがれ ・色あせ ・反り、割れ |
1-1-4.樹脂系サイディング
日本では、ほとんど普及していませんが、アメリカなどでは一般的な外壁材。耐久性が高く、メンテナンスの手間がかからないという特徴があります。塗装をして色をつけているのではなく、外壁材に色が練り込まれているため、塗膜がはげるといった劣化は発生しません。当然、塗装しているわけではないため、塗り替えメンテナンスも不要です。また、シーリング材を使用しないため、シーリングの切れなどの補修も必要ありません。
日本ではあまり普及していないため、施工できる業者は限られています。また、選べる色・柄のバリエーションはあまりありません。
材質等 | 主原料は、塩化ビニル樹脂。 |
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相場価格 | 9,000円/㎡~ |
メンテナンス周期 | 10~20年程 |
主な劣化症状 | ・チョーキング(手で触ると粉状のものが付着する状態) ・色あせ ・ひび割れ |
▼サイディングについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
1-2.モルタル
日本では、窯業系サイディングの次に高いシェアを誇る外壁材。曲面にも施工ができ、リシン・スタッコ・吹付けタイルなど、仕上げ方に自由度があります。工場で製造されるサイディングとは異なり、モルタルは現場で職人が施工するため、こまかな好みを反映した外壁に仕上げることも可能です。ちなみに、シーリングは使用していないため、シーリングの補修は不要です。
リシン
スタッコ
吹付けタイル
材質等 | 砂とセメントが主原料。上から塗装をして仕上げます。 |
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相場価格 | 4,500円/㎡~ |
メンテナンス周期 | 8~10年程 |
主な劣化症状 | ・チョーキング(手で触ると粉状のものは付着する状態) ・色あせ ・塗膜の膨れ、はがれ ・カビ・藻の発生 ・ひび割れ |
▼モルタルについて詳しくは、下記記事を参考にしてください。
1-3.ALCボード
別称、軽量気泡コンクリート。工場で製造したALCボードを現場で施工します。重量は、コンクリートの1/4と軽量。断熱性・防火性・遮音性に優れているという特徴があります。水や湿気を吸いやすいため、防水性を保つべく定期的な塗装メンテナンスが必要です。
材質等 | ケイ石・セメント・生石灰・発泡剤を主原料とし、発泡させ、高温高圧で養生し成型した外壁材。 |
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相場価格 | 7,500円/㎡~ |
メンテナンス周期 | 10~15年程 |
主な劣化症状 | ・シーリングの切れ、表面のひび割れ ・ひび割れ ・チョーキング(手で触ると粉状のものは付着する状態) ・色あせ ・塗膜の膨れ、剥がれ ・カビ・藻の発生 ・ひび割れ |
▼ALCボードについて詳しくは、下記記事を参考にしてください。
1-4.タイル
キズがつきにくく、経年による劣化や変質もほとんどない、メンテナンスの手間があまりかからない外壁材。他の外壁材に比べると、初期費用は高額で、場合によっては倍ぐらいの価格になることもあります。しかしながら、他の外壁材に比べて耐久性が高く、塗り替えも必要ないなど、メンテナンスにかかる費用が抑えられるため、外壁にかけるトータルコストは他の外壁材より割安になるケースも。
材質等 | 土や石を高温で焼き固めたもの。 |
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相場価格 | 13,000円/㎡~ |
メンテナンス周期 | 約20年 |
主な劣化症状 | ・タイル目地のコーキングの割れ ・ひび割れ ・タイルの浮き ・タイルの剥落 ・白華現象(エフロレッセンス)※白く汚れている部分 画像出典:プロタイムズ八幡西店 |
▼タイルについて詳しくは、下記記事を参考にしてください。
※1章にてご紹介した各外壁材の相場価格はあくまで、目安の価格です。製品によっては、上記相場と大きく異なることもあります。また、サイディングの場合、厚みによっても、価格が変わります。
2.これから外壁材を選ぶ方へ|選ぶ前に押さえておきたい知識
この章では、これから外壁を選ぶ方に向けた情報をまとめてご紹介いたします。「新築の外壁材の種類に迷っている」という方は、ぜひご一読ください。
2-1.まずは「重視したいポイント」を明らかにすることが最重要
先述の通り、一口に外壁材といっても、複数の種類があります。そのため、いきなり「どの外壁材にしようか…」と選びはじめると、迷ってしまう方も少なくありません。そこでオススメなのが、「重視したいポイントを明らかにする」というアプローチです。
具体的には、
「イメージする色・柄の外壁がある」
「できれば費用をおさえたい」
「メンテナンスに手間のかからないものが良い」など、
まずは、自分が外壁を選ぶにあたり重視したいポイントを明らかにしてみてください。重視したいポイントが明らかにあれば、おのずと、選ぶべき外壁材もぐっと絞られるはずです。
たとえば、「イメージする色・柄の外壁がある」という場合は、色・柄が豊富にそろった窯業系サイディングをチェックしてみるのがオススメです。もしくは、色・柄のイメージを業者に伝えて探してもらうという手もあります。「できれば費用をおさえたい」という場合、1回の工事費用を抑えたいのか、この先のメンテナンス費用も含めた外壁にかかるトータル費用を抑えたいのかを明らかにしたうえで、業者に費用重視で外壁材を提案してもらうのがよいでしょう。1章に各外壁材の費用相場とメンテナンス周期等もまとめておりますので、ぜひ、そちらも参考にしてください。
2-2.強いこだわりがない場合は「窯業系サイディング」を選べば間違いない
「どれを選べばいいか、よくわからない」「外壁材にさほどこだわりがない」という方、また「外壁の色やデザインにこだわりたい」という方は、窯業系サイディングを選んでおけば、まず間違いありません。
上記の円グラフを見ていただければ一目瞭然ですが、現在、日本の住宅に使用されている外壁材の約70%が窯業系サイディングとなっています。多くの方に選ばれているということは、それだけ評価されている外壁材である、ということです。窯業系サイディングは色・柄が豊富にそろっているので、好みの外壁がきっと見つかるはずです。
▼窯業系サイディングについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
2-3.[参考]外壁材の色によっても、住まいの印象は大きく変わる
外壁材選びとあわせて、慎重に選びたいのが外壁の色。外壁の色は住まいの印象を大きく左右するため、後悔のないようしっかり選ぶことをオススメいたします。
納得の色選びをするためには、「色選びの基本情報」を押さえておくことが重要です。
具体的には、「色を選ぶときに気をつけるべきポイント」「塗料の色見本をチェックするときに注意すべきこと」「何を手がかりに色を選べばいいか」あたりの情報を押さえておきたいところ。具体的な情報については、下記のサイトを参考にしてください。
https://reform-journal.jp/color-consultant-41279
3.今、住んでいる家の外壁材の見極め&補修を検討中の方へ
この章では、「今、住んでいる家の外壁材の種類を調べている方」「外壁材の補修を検討している方」に向けた情報をまとめてご紹介いたします。
3-1.お住まいの外壁材の種類を調べる方法
「我が家の外壁材の種類が知りたい…」という場合、まずは、購入時の資料等を探してみるのがオススメです。使用の外壁材が記載された設計図面や外壁材のパンフレットが見つかれば、お住まいの外壁材の種類がわかるかもしれません。
こうした資料が見つからない場合は、1章の情報を参考に、お住まいの外壁材をチェックしてみてください。自身でもある程度は外壁材の種類が見分けられることもあります。
ただし、自身での見立ては間違っている可能性もある、ということは頭に入れておきたいところ。種類の違う、似たような見た目の外壁材も多数あるため、「タイルかと思ったら、サイディングだった」「サイディングかと思ったら、ALCボードだった」などと見誤ることは十分に考えられます。
※外壁材を正しく見極める必要がある場合は、プロに依頼をしましょう。詳しくは下記3-2を参照ください。
3-2.補修を検討している場合は、プロに外壁材の種類を見極めてもらうべし
外壁材の補修を検討している場合は、自身の見立てはあてにせず、プロの業者に外壁材の種類を見極めてもらうのが賢明です。なぜならば、補修方法や使用する材料等は、外壁材の種類によって異なることが少なくないためです。外壁材の種類を見誤ると、補修後に不具合が生じてしまう可能性もあります。
「外壁材の見極め」に焦点をあててお伝えさせていただきましたが、そもそも外壁材の補修をプロの業者に依頼するのであれば、特に外壁材の見極めについて頭を悩ませる必要はありません。外壁材の補修をするために、当然、何の外壁材かは業者が調べてくれるはずです。
仮に自身で補修をしようと思っている場合は、外壁材を見誤ると補修後に不具合が生じるリスクがあることは押さえておく必要がありますが、そもそもの話、外壁材の補修は一般の方には難しいため、プロに依頼されることを強くオススメいたします。
3-3.外壁材の補修方法&費用相場
この章では、代表的な外壁材の補修方法3つ「部分補修」「塗り替え」「重ね張り・張り替え」についてご紹介いたします。
●部分補修
「軽微な劣化」もしくは「部分的な劣化」の場合は、部分補修をします。
たとえば、
・シーリングの切れ
・部分的なひび割れ(幅0.3mm未満が目安)
・部分的な外壁塗装のはがれ
などの劣化症状が生じている場合は、部分補修をします(劣化の進行具合によっては、部分補修ができないこともあります)。
シーリングの打ち替えの費用相場:900~1,500円/m
ひび割れ補修の費用相場:2,000~3,000円/m程度
はがれ補修の費用相場:4,000~6,000円/㎡程度
●全面補修(塗装)
外壁材の補修方法のなかで、最もスタンダードなのが塗装による補修です。
1章にてご紹介した劣化症状が生じている場合、塗装という方法で補修をするケースがほとんどです。
60万円~(一般的な2階建住宅)※屋根塗装含まず
●重ね張り・張り替え
劣化が大きく進行していて、塗装による補修ができない場合は、重ね張り・張り替えを検討することになります。
たとえば…
・雨水が外壁材の中に浸入し、不具合が生じている(凍害が生じているなど)
・外壁に欠損や反り、割れなどが所々にある
・外壁材の使用年数が30年以上
といった場合は、重ね張り・張り替えをします。
重ね張り | 既存の外壁の上に、新しい外壁材を施工する工法 |
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張り替え | 既存の外壁を取り除き、新しい外壁材を施工する工法 |
重ね張りの費用相場:150万円~
張り替えの費用相場:200万円~
※「外壁材の種類」や「劣化症状」によっては、上記3つの方法とは全くことなる補修をすることもあります。
▼外壁材の補修について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
「外壁材」情報をまとめて解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
1章では、外壁材の種類と、各外壁材の特徴や相場価格、メンテナンス周期についてお伝えいたしました。外壁材の種類について調べている方は、ぜひ1章をご参照ください。そして、2章では「これから外壁材を選ぶ方」に向けて、3章では「今、住んでいる家の外壁材の種類を調べている方」「外壁材の補修を検討している方」に向けて情報をまとめてお伝えしております。こちらも、あわせて参考にしてみてください。