遮熱塗料

夏に部屋を空けた瞬間のあのムワッとした空気。そんな熱のこもりやすい部屋に困っていませんか?

中には、解決策として「遮熱塗料」での塗装を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、本当に遮熱塗料は効果があるのか、またどのメーカーの遮熱塗料がいいのか、選択に迷ってしまいますよね。

遮熱塗料は、屋根や外壁などに塗布することで太陽光の熱を反射する機能を有する塗料です。
熱を反射することで、その結果室内温度上昇の低減が期待できます。

本記事では、一般的に遮熱塗料と呼ばれる「高日射反射率塗料」の特徴や効果、メーカーごとの比較、塗装以外で遮熱効果を得るための方法についても詳細にまとめています。

遮熱塗料について知りたい、遮熱塗料を使うか迷っているという方はぜひご一読ください。

1.遮熱塗料とは

まずは、遮熱塗料の大まかな特徴やメリット・デメリットを解説いたします。

1-1.遮熱塗料は太陽の熱を反射する効果がある

遮熱塗料とは、太陽からの熱(赤外線)を効率よく反射し、建物が受ける熱の影響を低減する効果がある塗料を指します。建材の温度上昇を低減することで、建材自体の保護に加え、室内温度の上昇、輻射熱、ヒートアイランド現象を防ぐことが期待できます。※

建物の屋根や屋上、ベランダ、外壁に塗布するのですが、中でも屋根に使用されるケースが非常に多いです。近年、節電やエコに対する意識が高まる中で、比較的手軽に取り入れられる省エネ対策として注目されています。

※輻射熱・・・遠赤外線の熱線によって直接伝わる熱の事。

※建物構造、断熱構造、開口部(ガラス窓等)の大きさ・数によって温度変化の程度に差が出ます。

 

1-2.遮熱塗料のメリット・デメリット

遮熱塗料のメリット

①塗膜と建材の温度上昇を抑える

太陽光の熱を反射し、塗膜の表面温度の上昇を低減することができます。また、熱を反射することにより室内温度を2~3℃下げることができます。※
ただし、人によって、体感ではわかりにくい部分ではありますので、過度な期待は禁物です。

※建物構造、断熱構造、開口部(ガラス窓等)の大きさ・数によって温度変化の程度に差が出ます。

②室内温度を下げることでコスト削減になる

室内温度が下がることで、エアコンの設定温度を2~3℃下げることができます。電気代の節約になり、節電・省エネに繋がります。

③ヒートアイランド現象を抑制する

建物に蓄えられた熱は、熱放射として外部へ逃されます。この熱放射は外部の気温を上昇させる要因となってしまいますが、遮熱塗料は太陽光が熱に変化することを抑える効果があるため、ヒートアイランド現象を防ぐことができます。特に、都心などではヒートアイランド対策として注目されています。

住宅のみでなく、ビルやマンション、道路などの熱を反射する部分に塗布することでも高い効果を発揮します。

遮熱塗料のデメリット

①遮熱効果を持たない一般塗料よりも価格が高い

遮熱塗料は、特別な機能を持たない一般の塗料よりも金額が高い傾向があります。メーカーにもりますが、1缶あたり約20%ほど割高になります。

②塗料の色によって発揮する効果に差が出る

「黒は熱を吸収し、白は熱を反射する」ということをご存知の方は多いでしょう。これは遮熱塗料にも当てはまります。遮熱塗料の黒と一般塗料の白とでは、後者の方が太陽光の反射率が大きく遮熱効果も高いため、遮熱効果を期待するのであれば色選びも重要になります。

遮熱効果が高いものを選びたいのであれば白色を、周りの建物と調和を求めるのであれば黒色を、その両方を求める場合はグレーを選ぶとよいでしょう。
以下に色別に反射率をまとめた表がありますので、色選びの指標として参考にされてください。

※アステックペイント色見本より
※あくまで色味の参考です。全ての塗料が上記の色に対応しているわけではありません。

1-3.遮熱効果が期待できる建物

①金属屋根または板金外壁の建物

金属屋根は熱伝導率(熱の伝わりやすさ)が高く、太陽光の熱が屋根材に伝わりやすい素材です。遮熱塗料を塗布することにより太陽光を反射し、屋根及び建物の温度上昇を抑制することができます。省エネ効果も高く発揮してくれるでしょう。

②吹き抜けのある建物

吹き抜けのあるお家はとてもおしゃれですが、実は構造的にその吹き抜けから熱が建物に侵入しやすくなっています。吹き抜けのある建物は室内が熱くなりやすい傾向があるのです。
屋根に遮熱塗料を使用することで、暑さを軽減することができます。

③2階建ての家

家の高さが高いほど、温度は高くなる傾向があります。2階または3階の部屋に入った時にむわっとした熱気を感じたことがある方も多いことでしょう。
こういった高い建物にも遮熱効果が加わることで暑さを抑えることが期待できます。

④スレート瓦の家

現在の戸建住宅で多い割合で使用されているスレート瓦ですが、屋根材の厚みが4m~5mしかありません。かなりの熱が屋根裏まで侵入してしまい、室温の上昇につながってしまいます。
遮熱塗料を使用することでいくらか室温を下げることが期待できます。

 

2.遮熱塗料の比較

遮熱塗料といっても、各メーカーから様々な塗料が発売されています。業者の使用頻度が高い遮熱塗料をそれぞれ比較してみましょう。
           

塗料メーカー価格(㎡あたり)適用下地耐用年数特徴
ガイナ日進産業3,800円~ 鉄、コンクリート、
モルタル、木、
非鉄金属、ガラス
15年~多機能塗料
サーモアイ4F日本ペイント3,720円~下地処理との組み合わせによりほとんどの材料に塗装可能 12年~15年下塗材にも遮熱機能があり、高い効果を発揮する塗料
スーパーシャネツサーモFアステックペイント
ジャパン
 金属屋根、カラーベスト、モニエル瓦、セメント瓦、鉄、ステンレス15年~20年色褪せにくく、耐候性に優れる塗料
クールタイトFエスケー化研3,800~4,500円下地処理との組み合わせによりほとんどの材料に塗装可能8年~明るい色も出せる塗料

同じ遮熱塗料でも各メーカーで特徴は様々ですね。では、それぞれ詳細に見ていきましょう。

 

2-1.ガイナ(日進産業)

ガイナ
画像出典:http://nissin-sangyo.jp/

日進産業の遮熱・断熱塗料です。JAXAとの共同開発によって、ロケットの先端部を高熱から守るために使用された実績があります。

一般塗料と比較して、塗膜の表面積が大きいため防音効果があり、建物内部からの音漏れや外部からの音を抑える効果もあります。

遮熱効果はしっかり確保しつつ、雨音がうるさくて気になる方におすすめです。

2-2.サーモアイF(日本ペイント)


画像出典:https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/building/products/prd_192.html

サーモアイ4Fは、日本ペイントのサーモアイシリーズの中で最も耐候性に優れた塗料です。
独自の4フッ化フッ素技術により、遮熱効果を長期に渡って保持することができます。

建物の美観を長く保持したいという方におすすめの塗料です。

2-3.スーパーシャネツサーモF(アステックペイント)

アステックペイントの屋根用遮熱塗料。特殊無機顔料を使用したことにより高い遮熱性を持っています。色褪せしにくく、美観を長期に渡って保護することができます。
美観を長く保たせたい方、高耐久の塗料を選びたいという方におすすめの塗料です。

2-4.クールタイトF(エスケー化研)

画像出典:http://www.sk-kaken.co.jp/products/data/pdf/cooltight.pdf

特殊セラミック成分配合により汚れが付きにくく、ホコリなどの付着を防ぎ遮熱効果が長持ちします。

遮熱効果を長く保たせたいという方におすすめの塗料です。

 

3.遮熱塗料に関する豆知識

ここまで遮熱塗料について解説してきましたが、この章では遮熱塗料と関連した豆知識をご紹介します。

3-1.「遮熱」と「断熱」は言葉は似ていても効果は異なる

似たような言葉で「断熱」というものを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実は、この遮熱と断熱とでは発揮される効果が異なります。
詳しい内容を以下をご一読ください。

[塗料選び|お役立ち知識]断熱塗料の機能・効果まとめ

3-2.外壁に遮熱塗料を塗布しても効果は薄い

外壁は屋根と比較して厚い断熱材が入っていたり、構造的に熱を遮る空気層ができているため、遮熱塗料を使用したとしても期待する効果が得られることはほとんどないと言えます。

もし業者から外壁に遮熱塗料を提案された場合は、性能を確認してしっかりと理解した上で使用するようにしましょう。

 

まとめ

遮熱塗料は太陽光の熱を反射し、塗膜の表面温度の上昇を抑制します。室内温度を2~3℃下げることができるため省エネ効果が期待できます。2階に居間がある、3階建てで熱気がこもって少しでも涼しくしたい!という方はぜひ遮熱塗料を選んでみてはいかがでしょうか。

各メーカーから多くの種類が出ていますので、特徴を良く理解し、自分に合った遮熱塗料を選びましょう。