屋根の塗装を考えているけれども、屋根の塗装に適した時期はあるのだろうか?そのようにお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
屋根塗装は、1年を通して行なうことが可能です。その中でも春や秋は人気の季節です。
また、屋根塗装は最適な季節だけでなく、行うタイミングを判断するために劣化状態を見極めることも重要です。これらを知っておくことで、塗装作業がスムーズに進みやすい時期を選ぶことや、屋根がボロボロになってしまう前に塗装を行なうことができるのです。
本記事では、屋根の塗装を行なうのに最適な時期や季節についてご説明いたします。
屋根の塗装の予定を決める際に、本記事がお役に立てば幸いです。
1.屋根の塗装に適した時期の見極め方
1-1.屋根の塗装の周期は築10年
屋根は、定期的に塗り替えを行なう必要があります。しかし、なぜ塗装を定期的に行なう必要があるのかは知らなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
塗装は屋根を守る役割を果たしているのですが、経年による劣化によって、色あせや雨漏りなどの症状が現れるようになることも。
塗装の劣化が明らかになる目安としては、一般的に築10年、または前回の塗り替えから約10年と言われています。
塗装の保護機能が低下した後に、保護機能を復活させるためにも、10年前後で塗り替えを行なう必要があるのです。
しかし、10年というのはあくまで目安です。実際に塗装のタイミングを見極めるのであれば、具体的な劣化症状をもとに屋根塗装の時期を見極める方法もあります。
そこで、どのような症状を発見したら塗り替えを行なう必要があるのかをご紹介いたします。
1-2.屋根の塗装の必要性は劣化症状で見極められる
ここでは屋根の塗装の必要性がある劣化症状についてお伝えします。
①雨漏り 塗装の必要性:早急
雨漏りを見つけた場合には、早急に屋根を専門業者に確認してもらいましょう。
雨漏りが続くと、屋根の劣化だけでなく建物全体の劣化が早まってしまいます。
また、カビの発生による健康障害も懸念されます。
②ひび割れ 塗装の必要性:早急
ひび割れは主に外部からの衝撃や劣化によって発生します。
(1)外部からの衝撃
地震や車の通りが多く、地面が揺れ、建物がゆれることなどの外部からの衝撃によって、ひび割れが発生したり、広がってしまったりすることがあります。
(2)劣化
塗装の保護機能が低下したことにより、セメント瓦やスレート瓦等に雨水が染み込み、乾湿の繰返しによって脆くなってしまうためにひび割れが発生します。
ひび割れが発生している部分が一部であったとしても、屋根全体の劣化が進行している可能性が高いため、塗り替えよりも葺き替えが必要な場合もあります。
③剥がれ 塗装の必要性:早急
剥がれは、塗膜の劣化が進行することによって発生します。剥がれが発生すると、風や雨によって症状の範囲は広がっていきます。この症状は屋根が裸の状態になっており、劣化を急激に進行させてしまうこともあるため、早急に専門業者に確認してもらいましょう。
④サビ 塗装の必要性:なるべく早い段階での塗装がおすすめ
サビは、塗装の保護機能が低下し、金属が酸素と水に反応することによって発生します。
サビは塗り替え前に削って除去する必要があり、広範囲に広がっている場合は除去するために必要な費用と再発を防ぐための処置にかかる費用が高くなる傾向があります。早急に塗装を行なう必要はありませんが、発生している範囲が狭いうちに適切な処置をとってもらうようにしましょう。
⑤コケ・藻 塗装の必要性:なるべく早い段階での塗装がおすすめ
コケや藻は、塗装の保護機能が落ち、屋根が水分を含みやすくなった結果として発生します。早急に修繕を行なう必要はありませんが、発生した状態が続くと、屋根の劣化が早まりますので、コケや藻を除去した後、塗り替えを行なう必要があります。
ここまで、屋根の劣化症状についてご紹介してきましたが、慣れていない人にとっては屋根に上るのは非常に危険な行為です。
屋根に登らずに劣化症状を確認するためには、1階部分の屋根の確認や、双眼鏡を使って家の前の道路などからの観察をおすすめします。
上記の方法で、ご紹介した劣化症状を発見した場合や、気になることがある場合には、自ら屋根に上るのではなく、プロの業者に屋根の劣化状況を診断してもらいましょう。
2.屋根の塗装は1年中可能
2-1.屋根の塗装で人気の高い季節は春と秋
塗装を行なうための条件として、ほとんどの塗料メーカーは規定として「湿度85%未満、気温5℃以上の環境であること」とパンフレット等に記載しています。
上記の条件を満たせば、1年を通して塗装は可能です。中でも、特に春(3~5月)と秋(9~11月)は気候が安定しており、上記の条件を満たしやすいために屋根の塗装でも人気が高い季節です。
ここでは、それぞれの時期の塗装のメリットとデメリットを下記の表にまとめましたので、ご参照ください。
メリット | デメリット | |
春 (3~5月) | ■施工に適した気候が続くため、工事が予定通り進みやすい | ■塗装の繁忙期のために、希望通りの工事日にできない場合がある |
夏 (6~8月) | ■塗料が乾きやすいため、予定より早く工事が終わることがある | ■夕立などの季節的な突発の雨に影響を受けて工期が延びることがある |
秋 (9~11月) | ■施工に適した気候が続くため、工事が予定通り進みやすい | ■台風の影響によって、工期が延びる場合がある ■塗装の繁忙期のために、希望通りの工事日にできない場合がある |
冬 (12~2月) | ■太平洋側では晴天が多く、工事が予定通りに進みやすい | ■他の季節よりも低温のため、工期が長くなる傾向がある ■積雪の影響で工期が延びる場合がある ■気温が5℃を下回った場合には、工事が行えない |
2-2.夏と冬の屋根の塗装で注意したいのは塗装を行なう時間帯
夏や冬も屋根の塗装を行なうことはできますが、特に冬場の塗装の際には時間帯に注意しておく必要があります。
それは、朝露や夜露が発生しやすく屋根が濡れた状態になりやすいためです。屋根が濡れた状態では塗装ができないため、冬場は朝露が完全に乾いた時間から、夕方の気温が低下する前までに作業を行なうことが重要です。
このように、季節の特徴に応じて塗装の工程などを組んでもらえるかも優良施工店を見極めるためのポイントとなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
【参考:屋根の北面は夜露が残りやすいので、南面からの塗装がおすすめ!】
一概に屋根と言っても、実は方角の違いによって夜露の残りやすさなどに差が出るのです。特に北面は太陽光が当たりにくいため、夜露が乾燥しにくい傾向があります。季節を問わず発生する現象ですので、屋根の塗装の順番を決める際には屋根の向きにも注意が必要です。
ここでは、写真とあわせてご説明いたします。
南面は太陽光が当たりやすいため乾燥しやすいです。下記の【南面 夜露乾燥】の写真を見ていただければわかりますが、表面が乾いています。
逆側の北面は太陽光が当たりにくいため乾燥しにくいです。下記の【北面 夜露未乾燥】の写真を上記の【南面 夜露乾燥】の写真と比べると、屋根の表面が黒く、露で濡れた色になっています。
また、特に冬場の朝方は夜露が屋根に残りやすい傾向があります。屋根が濡れた状態で塗装をしたとしてもうまく塗られなかったり、付着したとしても早い段階で塗膜の剥がれが生じる可能性が高くなります。
画像出典:プロタイムズ福岡北店
冬場に屋根の塗装を行なう場合は、南面から行ない、北面は最も気温の高くなる昼過ぎに朝露が乾いてから行なうように順番を調整することが大切なのです。
3.[補足情報]屋根の塗装の費用相場と補助制度
3-1.屋根の塗装の相場
屋根の塗装の相場は、40~60万円(塗装面積50~80㎡の場合 ※一般的な2階建住宅、足場費用込み)と言われています。
上記の相場は、あくまでも目安の費用です。実際の塗装にかかる費用は「塗装面積」や「塗料の種類」などによって大きく変動するため、業者に提示された見積額が、相場から大きく離れていたということも十分に起こる可能性があります。
見積書の妥当性を確認するためには、「屋根の塗装費の内訳比率」、「塗料の種類&ランク」、「工事内容&工事内容別の費用」、「足場代」などを確認すると良いでしょう。
▼上記について詳しく知りたい、という方はこちらの記事をご参照ください。
3-2.屋根の塗装の際には外壁塗装もあわせて行なうのがおすすめ
屋根の塗装の際に外壁塗装をあわせて行なうのがおすすめな理由は、高額な足場代の費用を1度にまとめてしまうことができるためです。足場代は塗装費の20%を占めるほど費用がかかるため、その分の費用を削減できることになるのです。
いずれ、外壁塗装も行なう必要が出てくるため、これを機に同時に外壁塗装を検討されてみてはいかがでしょうか。
また、屋根と外壁を同時に塗り替える際には、屋根の塗装のほうが劣化スピードが早いことを考慮して、屋根の塗料は外壁の塗料よりも耐久性の高い塗料を選ぶと良いでしょう。
4.[補足情報]屋根の塗装の流れ~依頼から塗装まで~
屋根の塗装は以下のような流れで進めていきます。
1.業者の情報収集
2.業者への見積り依頼・業者の選択
3.塗装の内容の打ち合わせ
4.契約書の締結
5.塗装
6.塗装後の工事内容の確認
7.支払い・保証書の発行
これから塗装に向けて動き出そうとされている方のために、それぞれのタイミングで注意しておきたいポイントについて簡単にご紹介いたします。
1.業者の情報収集
業者の情報収集の際には、インターネット上の情報収集はもちろんですが、近隣住民の口コミを集めていくことも有効な手段です。その際には、金額や対応、品質などの面についての情報を集めてまとめておくと良いでしょう。
2.業者への見積り依頼・業者の選択・契約
業者への見積り依頼の際には、最低3社以上の業者に見積りを依頼することがおすすめです。これは、塗装の費用感について知るとともに、最も妥当な価格を提示してもらえている業者の選別にも役立つためです。この見積書や業者の対応をもとに、一番妥当だと感じた業者を選択し契約すると良いでしょう。
契約書の締結の際には、契約内容をしっかりと読み込むことと不明点がないように質問をしておくことが重要です。契約書の内容が、のちのち認識の食い違いなどが起こった際の参考資料となるため、記載されていない内容があった場合にはトラブルのもとにもなりかねません。
▼見積書の見方などについてはこちらの記事もご参照ください。
3.塗装の内容の打ち合わせ
塗装内容の打ち合わせについては、実際に塗装する塗料・色を選び、塗装にかかる期間や費用などの詳細事項について確認を行ないます。打ち合わせの際には、疑問に思ったことは何でも質問することをおすすめします。また、打ち合わせの際に重要だと思ったことなどは、認識の食い違いを無くすために、書面に残してもらうようにすると良いでしょう。
4.塗装
業者に塗装を行なってもらう際には、できれば工程ごとの写真を撮影してもらえないか確認してみると良いでしょう。万が一施工不良などが起こった場合の照合資料として利用することが可能です。
5.塗装後の工事内容の確認
塗装が終わったあとは、業者に資料を見せてもらいながら工事内容の確認を行なうと良いでしょう。契約内容と違う箇所が無いかを確認するとともに、塗装の仕上がりについてもここで確認をしておくことをおすすめします。
6.支払い・保証書の発行
塗装内容の確認後には、支払いを行なうとともに、保証書が発行されることもあります。保証書にはアフターケアの内容などが記載されていますので、しっかりと保存しておくようにしましょう。
※保証書の内容については、契約前に業者に確認しておくようにしましょう。業者によっては、保証書などが発行されない場合もあります。
▼業者とのやりとりで注意しておくべきポイントをもっと知りたいという方は、こちらの記事もご参照ください。
まとめ
この記事では、屋根の塗装の時期を知るところから、屋根の塗装の際に知っておきたい知識までお伝えさせていただきました。
塗装は1年中できるため、塗装の時期の選定にはそこまで悩まなくても問題ないことがご理解いただけたかと思います。それでも塗装時期の選定の基準がほしいという方は、時期によるメリット・デメリットを踏まえながら塗装の時期を決めると良いでしょう。
また、屋根の劣化症状について気になる箇所などがありましたら、お伝えした見極め方を参考にご確認ください。
本記事が、塗装の時期の選定や見極めるためにお役に立てていましたら幸いです。