“雨の日に、屋根塗装の工事が行なわれるかどうか”
が気になっている方も多いのでは。
雨の日は、基本的に屋根塗装工事は中止となります。
ただし、小雨などの場合には、屋根塗装工事の「足場の設置」「高圧洗浄」「一部の下地調整(下地処理)」「完了検査」「足場の解体」は行なわれることもあります。
このあたりの内容について詳しくは、1章&2章で解説します。
“雨の日は、基本的に屋根塗装工事は中止となる”とすると、気になるのは、
「いつ工事中止が決まるのか?」
「工事が中止になった場合、屋根塗装の工事スケジュールはどうなるのか?」
といったことでしょう。
このあたりの内容については、3章でまとめて解説しています。
1.雨の日は、基本的に屋根塗装の工事は中止に
雨の日は、基本的に屋根塗装の工事は中止となります。
ただし、小雨・通り雨などの場合や、雨の降る時間帯などによっては、
・足場の設置
・高圧洗浄
・一部の下地調整(下地処理)
・完了検査
・足場の解体
は行なわれることもあります。
※このあたりの内容について詳しくは、下記2-2で解説しています。
[参考]屋根塗装工事の流れ
▼足場の設置
▼高圧洗浄
▼下地調整(下地処理)
▼養生
▼塗装(下塗り・中塗り・上塗り)
▼完了検査
▼足場の解体
工事完了&引き渡し
※屋根の劣化症状や進行具合等によっては、屋根塗装工事の流れが上記と異なる場合もあります。
2.より詳しく解説!雨の日に中止となる工事/小雨などの場合は行なわれることもある工事
2-1.雨の日に中止となる屋根塗装工事
雨の日には、屋根塗装工事の
・下地調整(下地処理)※小雨などの場合、一部の下地調整は行なわれることもあります(※2-2参照)。
・養生
・塗装(下塗り・中塗り・上塗り)
が行なわれることは、まずありません。
●下地調整(下地処理)
※“下地調整(下地処理)”は、塗装(下塗り・中塗り・上塗り)ができる状態に屋根材を補修・調整する工事工程です。下地調整の工事内容:ひび割れ処理、(高圧洗浄では落としきれなかった)旧塗膜やサビの除去、釘の処理、部材交換 ほか。必要な下地調整は、屋根材の種類・屋根の劣化症状や進行具合などによって異なります。
ひと口に下地調整(下地処理)といっても様々な工事内容がありますが、下地調整の工事の多くが、下地(屋根材等)が雨でぬれている環境下では工事品質を担保することができません。
そのため、基本的に、雨の日には「下地調整」は中止となります。
雨が降り止んでも下地(屋根材等)が乾くまでは、基本的に下地調整の工事はできません。
下地(屋根材等)が雨でぬれている環境下で無理に下地調整の工事をすれば、
・(下地調整の工事で使用する)シーリング材やセメントなどの材料が硬化しない(流れてしまう)
・屋根材の内部に雨水が浸み込む
などの問題が生じるリスクがあります。
一部、下地(屋根材等)が雨でぬれている環境下でもできる下地調整(下地処理)の工事もあります(※2-2参照)。
●養生
※養生は、塗装しない箇所に塗料が付かないように、塗装しない箇所を養生シート等で覆う工事工程です。屋根だけを塗装する場合は、基本的に屋根の周りを養生して、外壁・窓・ドアなどに塗料が飛散・付着しないようにします。
雨でぬれていると、養生テープ・マスキングテープなどが貼りつかないため、雨の日には「養生」は中止となります。
※養生時には、養生シート等を養生テープ・マスキングテープなどで貼り付けます。
雨が降り止んでも養生テープ等を貼る箇所が乾くまでは、基本的に養生はできません。
●塗装(下塗り・中塗り・上塗り)
※塗装(下塗り・中塗り・上塗り)は、塗料を塗る工事工程です。塗料を、下塗り⇒中塗り⇒上塗りの順で塗り重ねていきます。
雨が降るなか無理に塗装(下塗り・中塗り・上塗り)をすると、屋根塗装に様々な不具合が生じるリスクがあります。
そのため、雨の日には「塗装(下塗り・中塗り・上塗り)」は中止となります。
具体的には、下記のような不具合が生じるリスクがあります。
▼雨の降るなか無理に塗装(下塗り・中塗り・上塗り)をすると生じるリスクのある不具合
・キレイに仕上がらない(ムラになる、白濁が生じる、ツヤ引けが生じる 等)
・塗装後すぐに塗膜(塗装後にできる塗料の膜)に膨れ・はがれが生じる
・屋根塗装の本来の性能を発揮できない
・屋根塗装が早々にダメになる(本来の耐候年数を維持できない) ほか
白濁(はくだく)
また、雨が降るなか“水性塗料”で屋根塗装をすると、塗料が流れてしまうことも。
雨が降り止んでも下地(屋根材等)が乾くまでは、基本的に塗装(下塗り・中塗り・上塗り)はできません。
※下地(屋根材等)が乾く前に塗装(下塗り・中塗り・上塗り)をすると、雨が降るなか無理に塗装をした時と同様に上記のような不具合が生じるリスクがあります。
※下地(屋根材等)が乾いていなくても、塗装できる塗料製品もあります。例)アレスダイナミックシリーズ(関西ペイント)
多くの塗料製品は、気温5℃以下、湿度85%以上、強風、降雨、降雪、結露などの環境下では塗装(下塗り・中塗り・上塗り)ができない設計になっています。
そのため、降雨のほか、気温が低い場合や、強風・降雪・結露などの場合にも、塗装(下塗り・中塗り・上塗り)をすることはできません。
2-2.小雨などの場合は行なわれることもある屋根塗装の工事
雨の日は、基本的に屋根塗装工事は中止となります。
ただし、小雨・通り雨の場合、雨の降る時間帯などによっては、下記の工事は行なわれることもあります。
●足場の設置・足場の解体
一定以上の雨が降っている場合は、「足場の設置」「足場の解体」は中止になります。
ただし、小雨の場合、足場の設置・解体をする時間帯に雨が降っていない場合などには、(雨の日でも)「足場の設置」「足場の解体」が行なわれることもあります。
※雨天時の「足場の設置・足場の解体」の実施有無は、雨以外の天候の状況(風など)、住まいの周辺環境、依頼する塗装会社等によって異なります。
●高圧洗浄
一定以上の雨が降っている場合は、「高圧洗浄」は中止になります。
ただし、小雨の場合、高圧洗浄をする時間帯に雨が降っていない場合などには、(雨の日でも)「高圧洗浄」が行なわれることもあります。
塗装職人は、ヘルメット・雨ガッパ・滑りにくい長靴などを身につけ、安全帯(墜落制止用器具)をつけて洗浄作業をするため、小雨程度であれば安全に作業を進めることができます。
※雨天時の「高圧洗浄」の実施有無は、雨以外の天候の状況(風など)、住まいの周辺環境、依頼する塗装会社等によって異なります。
●一部の下地調整
2-1でお伝えした通り、下地調整(下地処理)の工事の多くは、雨の日には中止となります。
ただし、下地調整の工事の「サビの除去・旧塗膜の除去」等は、下地(屋根材等)が雨でぬれている環境下で行なっても工事品質にほとんど影響がありません。
そのため、小雨の場合、下地調整(下地処理)をする時間帯に雨が降っていない場合などには、(雨の日でも)下地調整の工事の「サビの除去・旧塗膜の除去」等は行なわれることもあります。
※雨天時の「一部の下地調整 ※サビの除去・旧塗膜の除去等」の実施有無は、雨以外の天候の状況(風など)、住まいの周辺環境、依頼する塗装会社等によって異なります。
●完了検査
完了検査は工事ではありませんが、
・雨の日には屋根塗装の仕上がりをしっかり確認できない
・雨の日に屋根塗装の仕上がりを確認するのは大変
などの理由から、多くの場合、雨の日には完了検査は中止となります。
ただし、小雨の場合、完了検査をする時間帯に雨が降っていない場合など、屋根塗装の仕上がりを十分確認できるようであれば、(雨の日にも)完了検査が行なわれることもあります。
※雨天時の「完了検査」の実施有無は、雨以外の天候の状況(風など)、施主(消費者)の要望、依頼する塗装会社等によって異なります。
※施主(消費者)は、地面・窓・ベランダ等から見える範囲で屋根塗装の仕上がりを確認します。施主(消費者)が足場にあがることはできません。「屋根塗装の仕上がりがよく見えない、もっとしっかり確認したい」という場合は、塗装会社に屋根塗装の仕上がりの写真や動画を撮ってもらうと良いでしょう。
3.雨による屋根塗装の工事中止はいつ決まる?中止になると工事スケジュールはどうなる?
3-1.屋根塗装の工事中止が決まるタイミングはケースバイケース
“雨による屋根塗装の工事中止”が決まるタイミングはケースバイケースです。
塗装会社によって、また、工事の進捗具合、季節、週間の天気予報などによって異なります。
例えば…
「明日は、高い確率で雨が降る予報」などの場合には、前日に屋根塗装の工事中止が決まることも多いでしょう。
一方で、「明日は、もしかすると雨が降る可能性もある予報」などの場合には、当日の朝まで判断が延びることも。
「明日は“小雨などの場合は行なわれることもある屋根塗装の工事(2-2)”を予定している」などの場合には、当日ギリギリまで工事の実施有無の判断を待つこともあります。
そのため、「工事が中止になるタイミングが知りたい」などの場合には、依頼した塗装会社に確認をするのが間違いありません。
3-2.突然の雨で、急遽、屋根塗装の工事が中止になることも
夏のゲリラ豪雨など、突然、雨が降り出すこともあります。
突然、雨が降り出した場合、急遽、屋根塗装の工事が中止となることもあります。
突然の雨は、すぐに止むことも少なくありませんが、その後、工事を再開するかどうかはケースバイケースです。
下地(屋根材等)が乾いてからしか工事ができない場合などは、その日の作業は終了し、翌日にその日の工事を持ち越すことになります。
突然、雨が降り出した時に「塗装(下塗り・中塗り・上塗り)」をしていた場合、もしくは、塗装の「下塗り」「中塗り」「上塗り」のいずれかを塗り終わった直後に、突然、雨が降り出した場合、
塗装面にムラ・白濁・ツヤ引けなどの不具合が生じてしまうことがあります。
不具合が生じてしまった場合には、次の工程に進む前に、
・上から再塗装する
・不具合の生じている塗膜箇所を取り除く
などして、補修・調整等を行ないます。
3-3.屋根塗装の工事が中止になれば、工事スケジュールは後ろに倒れることに
屋根塗装の工事が中止になった場合、工事スケジュールは後ろに倒れる(工期が延びる)ことになります。
そのため、雨の日が続くと、その分、工事スケジュールが後ろに倒れることに。
「いつぐらいに工事が終わるのか、目安だけでも知りたい」
という場合は、塗装会社に確認をするのが確かです。
[参考]屋根塗装にかかる日数
戸建ての屋根塗装には、基本的に10~14日前後の日数がかかります。
屋根塗装 | 各工程にかかる日数目安 |
---|---|
▽近隣挨拶 | 1日 ※1~2時間ほど |
▽現場確認 | 1日 ※1時間ほど |
▼足場の設置 | 1日 |
▼高圧洗浄 | 1日 |
▼下地調整(下地処理) | 1日 |
▼養生 | 1日 |
▼塗装(下塗り・中塗り・上塗り) | 2~3日 |
▼完了検査 | 1日 ※1時間ほど |
▼足場の解体 | 1日 |
工事完了&引き渡し |
※天候、屋根の面積(屋根の広さ)、屋根の劣化症状や進行具合等によっては、各工事にかかる日数が上記と異なる場合もあります。
※屋根塗装とあわせて外壁塗装や付帯部塗装(雨樋・軒天等)をする場合、上記+αの日数がかかります。
※屋根の劣化症状や進行具合等によっては、屋根塗装の流れが上記と異なる場合もあります。
※「近隣挨拶」と「現場確認」は同日に行なうこともあります。また、「近隣挨拶」の前に、「現場確認」を行なうこともあります。一般的に「近隣挨拶」や「現場確認」は足場設置の約1週間前~前日の間に行ないます。
※多くの場合、日曜日は屋根塗装の工事は休みとなります。
まとめ
雨の日は、基本的に屋根塗装の工事は中止となります。
雨が降るなか無理に工事をすれば、様々な問題や不具合等が生じるリスクがあります。
ただし、小雨・通り雨などの場合や、雨の降る時間帯などによっては、下記の屋根塗装工事は行なわれることもあります。
・足場の設置
・高圧洗浄
・一部の下地調整(下地処理)
・完了検査
・足場の解体
この記事では、
・雨による屋根塗装の工事中止が決まるタイミング
・雨によって屋根塗装の工事が中止になった場合の工事スケジュール
などについても詳しく解説しています。
あわせて、ぜひ、参考にしてください。