屋根の点検商法とは、屋根の点検を装って訪れ、「屋根が大変なことになっている」などと不安をあおり、屋根工事(補修工事等)を契約させようとする悪質な商法の一つです。
近年、屋根の点検商法の被害が増加しており、国民生活センターや警視庁等は注意喚起を強化しています。
この記事では、「これは、もしかすると屋根の点検商法では?」といった疑問や不安を抱えている方に向けて、
・実際にあった!「屋根の点検商法」の事例(1-2)
・こんな業者には要注意!屋根の点検商法の可能性あり(2章)
・「もしかすると屋根の点検商法?」という疑いがある場合の賢い対応法(3章)
などの情報について徹底解説します。
さらに、「屋根の点検商法の被害にあってしまった…」という方に向けて、
・実際に屋根の点検商法の被害にあってしまった場合の対処法(4章)
についてもご紹介します。
1.被害増!「屋根の点検商法」を徹底解説
1-1.「屋根の点検商法」とは?
屋根の点検商法は、悪質な商法の一つです。
屋根の点検を装って訪れ、「屋根が大変なことになっている」などと不安をあおり、屋根工事(補修工事等)を契約させようとする手口を「屋根の点検商法」と言います。
◎点検商法とは?
●国民生活センター
点検に来たと言って来訪し、「工事をしないと危険」などと言って商品やサービスを契約させる「点検商法」
※情報出典:独立行政法人国民生活センター
●警視庁
家庭を訪問して、あたかも正規の点検の振りをしながら断りきれない状態にしておいて、不必要又は法外な価格のリフォーム工事や商品交換、駆除作業等を行う契約を取る商法です。
※情報出典:警視庁
近年、この屋根の点検商法の被害が増加しており、国民生活センターや警視庁等は注意喚起を強化しています
▼PIO-NET*にみる「屋根工事の点検商法に関する年度別相談件数」
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
相談件数 | 923 | 1,157 | 1,824 | 2,352 | 2,885 |
点検商法の相談全体に占める屋根工事の相談の割合 | 16.2% | 20.1% | 26.0% | 31.6% | 35.4% |
*PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。消費生活センター等からの経由相談は含まれない。
※情報出典:独立行政法人国民生活センター
1-2.実際にあった!「屋根の点検商法」の事例を紹介
ひと口に「屋根の点検商法」と言っても、その手口は様々です。
そこで、この章では、実際にあった屋根の点検商法の事例をご紹介します。
実際の事例を知ることで、
「具体的に、どんな屋根の点検商法が横行しているのか?」
「もしかすると、我が家も屋根の点検商法の被害に…?」
など、見えてくることが多々あるはずです。
「屋根がずれている」、「水漏れの危険がある」等と言われたことから、業者を屋根に上げて確認させたところ、屋根を壊された上、その写真を見せられて、修理費用を請求された。
※情報出典:警視庁
「近くの工事現場からお宅の屋根が壊れているのが見えた」、「屋根が落ちてきて、通行人に怪我をさせたら大変なことになる」等と嘘をつかれて不安をあおられ、不必要な工事をされた。さらに「雨どいと外壁も直さないと防水効果が発揮できない」等と言われ、不必要な追加工事をされた。
※情報出典:警視庁
昨日、自宅に突然、「近くで工事をしているが、屋根瓦がずれているのが見えた。写真を撮って点検します」と言って業者が来訪した。気になっていたので頼むと、2人で屋根に上り、撮影した瓦の写真を見せられた。「このままでは雨漏りするので工事は早いほうがよい。今なら資材の持ち合わせもあり、割引する」と勧誘され、約100万円で瓦を固定する工事の契約をした。契約後、業者が帰ってから調べると、応急処置の工法のようで信用できない。まだ工事前だが、この契約はクーリング・オフできるだろうか。
※情報出典:独立行政法人国民生活センター
昨日、隣家の新築工事をしている業者だという男性2人が訪ねてきた。「工事の音はうるさくないか」などを聞かれた後、「お宅の屋根が剥がれていて外れそうだ。ついでに直してあげる」と言われ、見てもらうことにした。屋根の写真を何枚か見せられ、「雨漏りの心配もある」「すぐに修理したほうが良い」と言われたが断った。2人が帰った後に、隣家で工事をしている業者に尋ねたら、「われわれとは関係ない」と言われ、うそだとわかった。今後どのように対応したらいいか。
※情報出典:独立行政法人国民生活センター
自宅の庭で作業をしていたら突然業者から声をかけられ、「近所にドローンを飛ばして点検をしたところ屋根にひびが見つかった」と言われた。ドローンで撮影したという写真を見せられ、屋根工事を契約した。「契約したらキャンセルすることはできません」と言われ了承したが、後になってよく考えると早まって契約してしまったのではないかと思い後悔している。解約したい。
※情報出典:独立行政法人国民生活センター
2.こんな業者には要注意!屋根の点検商法の可能性あり
以下3つのうち1つでもあてはまる場合には、屋根の点検商法の疑いがあります。
※1-2でお伝えした通り、屋根の点検商法の手口は様々です。そのため、“下記3つに全くあてはまらないが、屋根の点検商法にあたる”という巧妙な手口が存在する可能性もあります。「屋根の点検商法の被害にあってしまったかもしれない…」といった不安のある場合には、専門の機関にご相談ください(4-2を参照)。
2-1.必要以上に不安をあおって、契約を結ばせようとする
「屋根が大変なことになっている」
「すぐに屋根の補修工事をしないと、雨漏りが発生してしまう可能性が高い」
「暴風が吹いたら、屋根が飛んでしまうリスクがある」
「屋根工事をせずに、このまま放っておいたら甚大な被害につながる」
などと消費者の不安を必要以上にあおり、屋根工事(補修工事等)の契約を結ばせようとする業者には注意が必要です。
もちろん、屋根の点検をした結果、本当に“屋根の劣化が大きく進行するなどして、すぐに補修工事が必要”ということもあります。
ただし、信頼できる業者であれば、必要以上に不安をあおることだけを言い契約を結ばせようとすることは絶対にありません。
2-2.点検をしたその日に、「今日中に契約を」と迫る
屋根の点検後、消費者に検討する時間を与えず、「今日中に契約を」と迫る業者にも注意が必要でしょう。
納得の屋根工事(補修工事等)をするためには、
・本当に信頼できる業者なのか
・業者の言っていること(屋根の状態・早急に屋根工事が必要 等)は正しいのか
・適正な見積額なのか
などを相応の時間をかけて精査・検討する必要があります。
消費者に精査・検討する時間を与えないのは、その業者が消費者のことを考えていない証と言っても過言ではありません。
「今日中に契約をするならば、大幅に値引きする(半額・60%オフ 等)*」
「今日中に契約をしてくれれば、優先的に屋根工事ができるよう手配する」
などと言葉巧みにその日中の契約を迫る業者もいますが、「今日中に契約を」と迫る時点で信頼できる業者とは言えません。
*基本的に屋根工事(補修工事等)はそれぞれの住まいごとに見積って費用を算出します。個別に見積もった額からさらに大幅値引きできるはずがないのです。
業者が大幅値引きを提示する場合、“はじめに割り増しの見積額を提示しておき、大幅に値引きをしてお得にみせているだけ”ということも十分に考えられます。
2-3.屋根の点検結果をまとめた報告書等の提示がない
屋根を点検した後、点検結果をまとめた報告書等の提示がない業者にも要注意です。
信頼できる業者であれば、屋根の点検後に点検結果をまとめた報告書を提示するはずです。
◎屋根の点検結果をまとめた報告書とは?
一般的に、点検結果をまとめた報告書には、
・屋根の状態(劣化の有無・劣化の進行具合等)
・屋根の補修工事の必要有無に関する業者の見解
などが記載されています。
※屋根の状態は、写真等で撮影して報告書に掲載するのが一般的です。
点検商法でよくある手口が、“点検直後に(点検時に撮影した)写真・動画を見せて、契約を迫る”というものです。点検直後に写真・動画を見せること自体に問題はありませんが、撮影した写真・動画の情報提示だけで契約を迫るような業者には注意が必要です。
信頼できる業者は、消費者が点検結果をしっかり把握・検討できるように写真を掲載するなどした報告書を提示するはずです。
3.「もしかすると屋根の点検商法?」という疑いがある場合の賢い対応法
3-1.少しでも疑念がある場合には依頼をしないのが賢明
「もしかすると屋根の点検商法では…?」などと疑う要素が少しでもある場合には、その業者への依頼は止めておいた方が賢明です。
そもそも、屋根の点検商法を疑われるような手口で営業をする業者が、きちんとした屋根工事(補修工事等)をしてくれるのか怪しいところです。
最悪の場合、相場から乖離した高額な工事費用を請求される・屋根をひどい状態にされるなどの可能性も。
当たり前ですが、屋根工事(補修工事等)ができる業者は、その業者だけではありません。
仮に、点検商法の疑いがあるその業者の言う通り、すぐに屋根工事が必要な状態であれば、他業者に依頼をしても早々に対応してくれるはずです。
※「すでに契約をしてしまったが、契約を解除したい」という場合、クーリング・オフ(契約解除)ができるかもしれません(4-1を参照)。
3-2.業者のことを調べれば、何かわかることも
「点検商法のような営業だったが、依頼をしても大丈夫か?」
「できれば依頼したいと考えているが、本当に信頼できる業者なのか不安が残る」
など、“屋根の点検に来た業者への依頼を検討したい”という場合、まずは、その業者についてインターネットで調べてみてください。
その業者が屋根の点検商法をするような悪徳業者であれば、そういった書き込みが何か見つかる可能性は十分あります。
屋根の点検に来た業者について調べた結果、屋根の点検商法をしているような書き込みが見つからなくても、下記に当てはまる場合には注意が必要です。
・会社名・所在地・代表者などの情報が全く出てこない
⇒実体が明らかでない業者のことを信用するのは危険です。
・悪評や低評価の口コミが沢山出てくる
⇒悪評や低評価の数や口コミの内容によっては、依頼するのはやめておいた方が良いでしょう。
3-3.これは絶対!他の業者にも相談すべし
「点検商法のような営業だったが、依頼をしても大丈夫か?」
「できれば依頼したいと考えているが、本当に信頼できる業者なのか不安が残る」
など、“屋根の点検に来た業者への依頼を検討したい”という場合、インターネットで調べる(※3-2)とともに、他の業者にも相談をしてみることを強くオススメします。
他の業者にも相談することで、例えば、
「屋根がひどい状態と言っていたが、それは本当なのか?」
「屋根工事に200万円かかると言われたが、それは妥当な金額なのか?」
など、屋根の点検に来た業者の言うことが本当なのか・妥当なのか等が見えてくるはずです。
本サイトを運営するプロタイムズでも、屋根の点検(建物診断)を行なっています。
※屋根の点検は無料です。
プロタイムズの屋根の点検(建物診断)を受けると、
・屋根工事の必要有無
・(屋根工事が必要な場合)必要な屋根工事の内容
・(屋根工事が必要な場合)屋根工事にかかる見積額
などがわかります。
※プロタイムズでは、屋根と一緒に外壁の点検も行なっています。外壁の点検も無料です。
プロタイムズの屋根の点検(建物診断)を受けたからといって、必ずしも屋根工事をしなければならないということはありません。「ひとまず屋根の点検だけお願いしたい」という方も、お気軽にお問い合わせください。
「プロタイムズへの屋根の点検(建物診断)」のご依頼はこちらから
4.屋根の点検商法の被害にあってしまった場合の賢い対処法
4-1.すぐにクーリング・オフを検討すべし
「屋根の点検商法の被害にあってしまった、できれば解約したい…!」という場合には、まずクーリング・オフを検討するのが賢明です。
特定の取引に限り、契約後も一定の期間内であれば無条件で契約の解除ができる制度
屋根の点検商法によって結んだ契約は、クーリング・オフ(契約解除)ができる取引きにあたります。
クーリング・オフをすると、すでに支払ったお金はすべて返金されます。
また、違約金などを支払う必要もありません。
クーリング・オフをしたい場合は、早々に対応することが重要です!
※契約書面もしくは申込書面(いずれか早いほう)を受け取ってから8日を過ぎると、クーリング・オフができなくなる可能性があります。
▼契約書面もしくは申込書面を受け取ってから8日以内の場合
契約書面もしくは申込書面を受け取ってから8日以内の場合、クーリング・オフが可能です。
▼契約書面もしくは申込書面を受け取ってから8日が過ぎている場合
クーリング・オフができるのは、契約書面もしくは申込書面を受け取ってから8日以内が原則です。
ただし、下記のいずれかにあてはまる場合は、8日を過ぎていてもクーリング・オフできる可能性があります。
・書面(契約書面もしくは申込書面)を受け取っていない場合
・書面(契約書面もしくは申込書面)の記載内容に不備がある場合
・クーリング・オフ妨害があった場合
・業者が事実とは異なることを言って勧誘した場合
※クーリング・オフの詳しい内容や手続き方法等については、国民生活センターのHP等でご確認ください。
4-2.自分たちだけでは解決が難しい時は専門の機関に相談すべし
「クーリング・オフしたいが、やり方がわからない」
「業者がクーリング・オフに応じてくれない」
「クーリング・オフの期間を過ぎてしまい、どうすればいいかわからない」
「これは、もしかすると屋根の点検商法?」
など自分たちだけではどう解決すれば良いかわからない時には、専門の機関に相談をしてみると良いでしょう。
何か解決の糸口が見つかるかもしれません。
まとめ
屋根の点検商法は、悪質な商法の一つです。
屋根の点検を装って訪れ、「屋根が大変なことになっている」などと不安をあおり、屋根工事(補修工事等)を契約させようとする手口を「屋根の点検商法」と言います。
近年、屋根の点検商法の被害が増加しており、国民生活センターや警視庁等は注意喚起を強化しています。
下記に1つでもあてはまる場合には、屋根の点検商法の可能性大。注意が必要です。
・必要以上に不安をあおって、契約を結ばせようとする
・点検をしたその日に、「今日中に契約を」と迫る
・屋根の点検結果をまとめた報告書等の提示がない
「もしかすると、屋根の点検商法?」という疑いがある場合には、その業者へは依頼をしないのが賢明です。
その業者へ依頼したいという場合には、その業者についてインターネットで調べる・他の業者にも相談するなどして、その業者が本当に信頼できるのかしっかり確かめることを強くオススメします。
「屋根の点検商法の被害にあってしまった…!」という場合には、すぐにクーリング・オフを検討してください。このあたり詳しくは、4章で解説しています。