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塗布量

「塗布量とは何?」「どういう意味?」
といった疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。

外壁塗装における塗布量とは、塗布する(塗装する)塗料の量のことです。

この塗布量は、外壁塗装をするならば押さえておきたいキーワードの一つ。なぜならば、塗布量は、外壁塗装の品質や費用に大いに関係するためです。

仮に、塗布量についての知識がなければ、
・塗布量の不足が原因で、外壁塗装が早々にダメになる
・塗装業者に言われるがまま、必要以上の塗料を購入して損をする
といった事態に直面してしまう可能性も。このあたり詳しくは、本章で解説いたします。

この記事では外壁塗装の塗布量について、プロが徹底解説いたします。
気になる「自身の外壁塗装の塗布量を計算する方法」についても、わかりやすくご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

1.外壁塗装に必須の知識「塗布量」をプロが解説!

1-1.塗布量=塗装する塗料の量

外壁塗装における塗布量とは、塗布する(塗装する)塗料の量のことです

塗布量は、各塗料メーカーが塗料製品ごとに明確に規定しています。
外壁塗装をする際、職人は塗料を目分量でなんとなく厚く塗り重ねているわけではありません。塗料メーカーが塗料製品ごとに定めた塗布量を守って塗り重ねているのです。

もしも各塗料メーカーが定めた塗布量を守らずに外壁塗装をすれば、塗装品質に問題が生じる可能性大。このあたり詳しくは下記1-2にて解説いたします。

※「塗布量」=「標準塗布量」「使用量」「標準所要量」etc…

「塗布量」を別の言い回しで表現することもあります。たとえば、「標準塗布量」「標準使用量」「使用量」「標準所要量」「所要量」などはすべて、この記事でご紹介している「塗布量」のことです。

ちなみに、本サイトを運営しているアステックペイントでは「塗布量」、各塗料メーカーの塗料製品パンフレット等を見ると、日本ペイントでは「使用量」、関西ペイントでは「標準所要量」という表記となっています。

また、塗料メーカーが定めた塗布量のことを、「規定塗布量」と表現することもあります

1-2.外壁塗装で塗布量を守ることは超重要

上塗り

外壁塗装において、塗料メーカーが塗料製品ごとに定めた塗布量を守ることは非常に重要です。なぜならば、塗料製品は、塗料メーカーが定めた塗布量を守って塗装をすることで性能が発揮できる設計となっているためです。外壁塗装の品質を担保するのに、塗布量を守ることは絶対条件なのです。

仮に目分量でいいかげんに塗り重ねるなどして、外壁塗装の塗布量が多過ぎるor少な過ぎる場合、塗料は性能を十分に発揮できず塗装品質に問題が生じる可能性大です。

具体的に、どんな問題が生じるかというと…
塗料本来の耐久年数よりも早く、場合によっては塗装後すぐに、色あせや塗膜のひび割れ・はがれが生じるなどして外壁塗装が早々にダメになる可能性があります

 

2.素人にも簡単にわかる!自身の外壁塗装の塗布量を計算する方法

「自身の外壁塗装では、どのぐらいの塗布量が正解なのか知りたい」という方は少なくないでしょう。下記、計算方法をプロがわかりやすく解説します。

2-1.まずは各塗料メーカーが定める塗布量の表記を読み解くべし

塗布量

自身の外壁塗装の塗布量を計算するためには、まずは、“外壁塗装に使用する塗料の塗布量の表記”を読み解く必要があります

◆2-1-1.単位の意味わかれば、素人でも塗布量の表記は読み解ける

難しそうに見える塗布量の表記ですが、塗布量の単位の意味さえわかれば、素人でも簡単に読み解くことができます。

塗料製品の塗布量は、多くの場合、「kg/㎡」もしくは「㎡/ℓ」の単位で表記されています。

[塗布量の単位]

■kg/㎡
単位面積あたりに塗装する塗料の重さ
例)0.13~0.25kg/㎡
⇒1㎡あたり0.13~0.25kgの塗料を塗装する仕様であることを意味しています。

■㎡/ℓ
単位体積あたりの塗料で塗装する面積
例)1.5~2.0㎡/ℓ
⇒1ℓの塗料で、1.5~2.0㎡を塗装する仕様であることを意味しています。

※塗料製品によっては、塗布量の単位が「kg/㎡/回」「㎡/ℓ/回」になっている場合もあります。
“/回”というのは、「1回塗りあたりの」という意味です。
kg/㎡/回⇒単位面積あたりに塗装する“1回塗りあたりの”塗料の重さ
㎡/ℓ/回⇒単位体積あたりの塗料で塗装する“1回塗りあたりの”面積
塗布量の表記に“/回”がない場合、記載されている塗布量は、塗り回数に関係なく、外壁に塗装する必要がある塗料の総量です。

※各塗料製品の塗布量や塗り回数は、塗料製品のホームページやパンフレット(カタログ)などの塗装仕様がまとめられた箇所に記載されています。

◆2-1-2.塗布量に幅がある理由

例)塗布量「0.13~0.25kg/㎡」「1.5~2.0㎡/ℓ」
上記の通り、塗料メーカーの定める塗布量には幅があります。
塗布量に幅がある理由は、下記の通りです。

[塗料メーカーの定める塗布量に幅がある理由]

●外壁によって表面積(塗装面積)が微妙に違うため


画像出典:アイジー工業株式会社

金属サイディング


スタッコ

同じ大きさの外壁でも、ツルツルとした外壁(平滑な金属サイディングなど)と、凹凸のある外壁(モルタル外壁にスタッコ仕上げが施されている場合など)とでは、表面積が微妙に違います。凹凸のある外壁は、凹凸のある分、表面積が広いのです。表面積=塗装する面積のため、表面積の広い凹凸のある外壁では、(ツルツルとした外壁に比べて)より多くの塗布量が必要になります
こうした外壁によって異なる表面積(=塗装面積)の違いを考慮して、塗布量に幅が設けられているというわけです。

●外壁の劣化が進行している場合、塗料を吸い込むことがあるため
劣化が進行している外壁は、塗料を吸い込むことがあります。そして、外壁塗装の品質を担保するには、吸い込みが止まるまで塗料を塗り重ねなければなりません。そのため、外壁の劣化が大きく進行している場合は、より多くの塗料が必要になることに。
劣化の進行具合によっては、(吸い込みが止まるまで塗料を塗り重ねるため)より多くの塗料が必要になることも、塗布量に幅が設けられている理由の一つです。
※外壁の劣化の進行が激しい場合には、さらに+αの塗料が必要となることもあります。

2-2.いざ自身の外壁塗装に必要な塗布量を計算しよう

外壁塗装に使用する塗料の塗布量が読み解ければ、あとは計算式にあてはめて、自身の外壁塗装の塗布量を簡単に計算できます

塗料製品の塗布量表記が「kg/㎡」or「㎡/ℓ」で、計算方法は異なります。

[外壁塗装の塗布量|計算方法]

●「kg/㎡」の場合
塗装面積(㎡)×塗料メーカー規定の塗布量(kg/㎡)=必要な塗布量(kg)

●「㎡/ℓ」の場合
塗装面積(㎡)÷塗料メーカー規定の塗布量(㎡/ℓ)=必要な塗布量(ℓ)

※塗装面積(㎡)
塗装面積(㎡)とは、塗装する外壁箇所の合計面積のことです。塗装面積は見積書に記載されているはずです(外壁塗装の見積額を算出するにあたり、この塗装面積を計測する必要があるため)。見積書に記載がない場合は、塗装業者に確認をしてみてください。

外壁塗装の正しい面積が適正価格の根拠となる理由

塗布量が算出できれば、購入する塗料缶数も簡単に算出できます
・必要な塗布量(kg)÷塗料1缶(kg)=購入する塗料缶数
・必要な塗布量(ℓ)÷塗料1缶(ℓ)=購入する塗料缶数

 

[計算例]
※外壁の塗装面積200㎡の場合

スーパーラジカルシリコンGH(アステックペイント)
・塗布量 0.25~0.35㎏/㎡
・1缶16kg
・塗り回数 2回

塗装面積200㎡ × 塗料メーカー規定の塗布量0.35㎏/㎡=必要な塗布量70kg
必要な塗布量70㎏÷16kg(1缶)=購入する塗料缶数5缶(=4.375缶)
⇒スーパーラジカルシリコンGHを5缶購入し、そのうち70kgを2回(塗り回数)に分けて塗装

EC-5000PCM-IR(アステックペイント)
・塗布量 1.5~2㎡/ℓ
・1缶 20ℓ
・塗り回数 2~3回

塗装面積200㎡ ÷ 塗料メーカー規定の塗布量1.5㎡/ℓ=必要な塗布量134ℓ(=133.333ℓ)
必要な塗布量134ℓ÷20ℓ(1缶)=購入する塗料缶数7缶(=6.7缶)
⇒EC-5000PCM-IRを7缶購入し、そのうち134ℓを2~3回(塗り回数)に分けて塗装

3.塗装業者は塗布量を守らない?塗布量の不足は見た目ではわからない?

この章では、塗布量を守った外壁塗装をするために押さえておくべき知識をご紹介します。

3-1.外壁塗装の塗布量を守らない塗装業者も存在する

外壁塗装の品質を担保するため、多くの塗装業者は塗布量を守って外壁塗装をしてくれます。しかしながら、残念なことに、
・目分量でいいかげんに塗り重ねるなど、ずさんな外壁塗装をする業者
・塗布量(使用する塗料の量)を減らすことで材料費をうかせる、塗布量を減らすことで塗装の手間をはぶき人件費をうかせるなどして、不当に利益を得ようとする心ない塗装業者
も存在します。

そのため、塗布量を守った外壁塗装をするためには、ずさんな工事&不当に利益を得ようとするなどのプロとは思えない対応をしない、信頼できる塗装業者に依頼をすることが重要です。
※信頼できる塗装業者の見極め方は、4-1&下記記事を参考にしてください。

【塗装業者の見極め方】8つのステップで信頼できる業者を選ぼう!

「すでに塗装業者と契約済」といった場合でも、塗装業者に塗布量を守ってもらうために消費者(施主)にできることはあります。詳しくは下記4章を参照ください。

3-2.塗布量の不足は、見た目だけではわからないことも

塗布量の不足は見た目にはわからないことが少なくありません。キレイに仕上がっているように見えても、実は塗布量が守られていないということもあるのです。

下記の写真をご覧ください。
透明のアクリル板に塗装しているのですが、どちらもキレイに仕上がっているように見えます。

裏からライトをあててみました。いかがでしょうか。
光の透け具合が全然違います。左写真は塗装した塗料の量(塗布量)が少ないため、光が透けてしまっています。左写真は明らかに塗布量が足りていないのです。

実は、左写真は素人が塗装したもの、右写真はプロが塗装したものです。
これほど明らかに塗布量が足りていなくても、はじめにお見せした写真の通り、仕上がりの状態を見てもわからないのです。

では、どうすれば良いかというと、塗装業者に塗布量を守ってもらうためには、信頼できる塗装業者に依頼することはもちろん(3-1&4-1)、「自身でも塗布量を計算する」「現場に搬入された塗料製品&缶数を確かめる」といった対策が有効です。対策について詳しくは、下記4章で解説いたします。

【プロの塗装職人 VS 素人】塗装対決でわかった技術の違いとは?

4.外壁塗装の塗布量を守るために!消費者にできる対策

塗装業者に外壁塗装の塗布量を守ってもらうために、消費者(施主)にできる対策をご紹介します。

4-1.契約前・契約後|外壁塗装に使用する塗料の缶数を自身でも計算すべし

塗装業者に塗布量を守ってもらうために、自身でも、
・塗布量
・使用する(購入する)塗料の缶数
などを計算するというのは非常に有効です。
※計算方法については、上記2章を参照ください。

計算は、契約を結ぶ前の見積りの段階でできるとベストです。
計算した結果、見積書に記載されている「購入する塗料の缶数が間違っている…?」といった場合には、塗装業者に確認をしてください。確認をした結果、「納得する理由が返ってこない」という場合には、その塗装業者への依頼はやめておいた方がよいでしょう。塗布量を守った外壁塗装をするためには、信頼できる塗装業者へ依頼をするのが一番確かです

また、なかには、必要より多くの塗料を購入させ余った塗料は別の現場に流用するなどして、不当に利益を得ようとする塗装業者も。契約前に自身でも購入する塗料の缶数を計算すれば、こうした心ない業者を見抜くこともできます。

すでに契約を結んでいる場合は、できるだけ早々に計算をするのがオススメです。塗料が搬入された後、塗装後…と工事が進むにつれ、できることが限られていくため、計算をするのは早いに越したことはありません。
契約前と同じく、計算した結果、見積書に記載されている「購入する塗料の缶数が間違っている…?」といった場合には、早々に塗装業者に確認をしてください。工事がはじまっている場合にはコミュニケーションをとりやすいのは職人かもしれませんが、職人に聞いても分からない場合は、現場責任者や営業担当者に確認をするのが良いでしょう。

「確認をしても、とりあってもらえない」など困った状況に陥ってしまったときは、第三者機関に頼る方法もあります。詳しくは、下記4-3を参照ください。

4-2.契約後|現場に搬入された塗料製品&缶数を確かめる

見積書で確認した「塗料製品」が、「正しい缶数」納品されているかを、実際に現場を見て確かめるのもオススメです。

実際に現場に搬入されている塗料を確認することで、仮に塗装業者が、見積書は正確に進めた後、現場には少ない塗料しか搬入せずに、
・塗布量を守らずに、材料費をうかせる(搬入しなかった塗料は別の現場に)
・塗布量を減らすことで塗装の手間をはぶき、人件費をうかせる
といったことをしようとしていても気づくことができます。

「外壁塗装の工事中は留守にしている」という場合には、搬入された塗料製品&缶数を写真に撮ってもらって確認をすると良いでしょう。

4-1・4-2の対策を行なうことで、塗装業者に「この消費者(施主)は、外壁塗装の塗布量を気にしている」という印象を与えることは、抑止力にもなります。塗布量を気にしている消費者を相手に、下手なことはできないと考える塗装業者は多いはずです。

4-3.[補足]塗布量トラブル!?自身での解決が難しい場合の対処法

「塗布量が明らかに足りていない気がする」
「塗装後すぐに塗膜がはがれた。塗布量が足りていなかったのでは…?」
など、外壁塗装の塗布量について、トラブルを抱えてしまうこともあるかもしれません。

なにか疑問や不安に思うことがある場合、まずは塗装業者に相談をすることが第一です。
塗布量に関することは専門性が高いため、「問題があると思ったのは勘違いで、塗装業者は正しい外壁塗装をしてくれていた」という可能性も十分あります。そのため、はじめから「間違い…!」と決めつけるのではなく、まずは相談をしてみることが大切です。

塗装業者に相談をしてみても、「納得のいく返答が得られない」「取りあってもらえない」という場合は、第三者機関に相談をするという方法があります。

[頼れる第三者機関]

公共財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」
まずは、ここに相談するのがオススメ。国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口なので、より専門的なアドバイスが受けられます。

消費生活センター
消費生活全般に関する苦情や相談の窓口。

●全国の弁護士会での専門家相談
最寄りの弁護士会で弁護士と建築士との対面相談を無料で利用可。

まとめ

外壁塗装における塗布量とは、塗布する(塗装する)塗料の量のことです。

塗布量は、各塗料メーカーが塗料製品ごとに明確に規定しており、外壁塗装の品質を担保するためには、この塗布量を正しく守ることが重要です。

この記事では、
・自身の外壁塗装の塗布量を計算する方法
・購入する塗料缶数を計算する方法
などについて、プロがわかりやすく解説しています。

また、塗装業者に外壁塗装の塗布量を守ってもらうための対策についてもご紹介しておりますので、あわせて参考にしてください。