「外壁塗装の相場価格が知りたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。

外壁塗装を検討するうえで、相場価格は把握しておきたいところでしょう。なかには相場価格をもとに、塗装業者に提示された見積額の妥当性を判断したいという方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、外壁塗装の相場をご紹介してまいりますが、より正確に相場感を掴んでいただくためには、総額をご紹介している「1. ズバリ、外壁塗装の相場はいくら?」だけでなく、「2.事例で掴む、外壁塗装の相場価格」や. 使用塗料別!「坪数ごと」「㎡数ごと」の外壁塗装の相場など、細かく相場価格を解説した内容までご覧いただくのがオススメです。なぜならば、外壁塗装は住まいの大きさや劣化の症状、さらには使用する塗料の量などによっても価格が大きく変動するため、「外壁塗装の総額」で掴んだと思っていた総額から大きく外れることもあるからです。

下記より、早速、外壁塗装の相場を細かく解説してまいります。ぜひ、参考にしてください。

1.ズバリ、外壁塗装の相場はいくら?

[外壁塗装の相場価格]

80~150万円(一般的な2階建て住宅/塗り面積200㎡)

 

ただし、先述の通り、上記はあくまでも、おおよその相場です。住まいの大きさをはじめ、劣化の進行具合や使用する塗料の量等でも価格は大きく変動します。より正確に相場価格を掴むために、ぜひ下記の情報もチェックしてみてください。

2.事例で掴む、外壁塗装の相場価格

いくつかの事例をチェックすることで、相場価格が掴めることもあります。

下記より、いくつかの見積書をご紹介してまいります。ぜひ、参考にしてみてください。

※すべてyahoo知恵袋より抜粋

■事例①(外壁塗装)

築16年
外壁/サイディング ※屋根は和瓦のため塗り替えなし

項目数量 単価金額(円)
足場、メッシュシート込み一式90,000
水洗い一式30,000
養生一式55,000
軒天、破風、鉄部塗装一式70,000
下塗り、パーフェクトサーフ98㎡1,00098,000
中、上塗り、2液Fウレタン98㎡2,400235,200
軒天取り替え大工工事1ヶ所・一式0
目地コーキング打ち替え、打ち増し一式90,000
ゴミ処理、雑費一式20,000
小計(税抜)688,200
消費税55,056
値引き43,256
合計(税込)700,000

■事例2(外壁・屋根塗装)

築10年 木造住宅

項目数量 単価金額(円)
足場架け掃い275㎡1,000275,000
足場養生ネット275㎡13035,750
下地処理 高圧洗浄258㎡13033,540
シール打ち替え331m1,100364,100
屋根部タスペーサー設置325個6721,775
塗装工事
外部下部レンガ調サイディング
クリーンSDトップ
100㎡2,100210,000
外部上部サイディング
クリーンマイルドシリコン
70㎡2,100147,000
屋根クールタイトSi65㎡2,100136,500
軒天・破風クリーンマイルドウレタン42m2,10088,200
雨樋・水切り・シャッターボックス1式100,000100,000
バルコニー防水トップコート1式67,00067,000
養生費1式40,00040,000
発生材処分費1式53,00053,000
諸経費1式157,000157,000
合計1,728,865

■事例③

住宅内容:不明

項目数量単位 単価金額(円)
仮設足場 掛け外し236.9700165,830
下地調整 コーキング処理・素地処理費(材工共)30,000
高圧洗浄287.220066,000
養生費55,500
下塗り リカバリーウォールTi(ローラ工法)251.52000503,000
中塗り シリコンコートS(ローラ工法)251.52600653,900
上塗り シリコンコートS(ローラ工法)251.52600653,900
その他の塗装工事破風板 軒天 雨桶 霧除 窓枠廻り250,000
小計2,378,130
値引き778,130
合計1,600,000

使用塗料別!「坪数ごと」「㎡数ごと」の外壁塗装の相場

3-1.使用塗料別!「坪数ごと」の外壁塗装の相場

外壁塗装の価格の計算方法では1坪いくらという坪単価がよく使われます。自宅の坪数から概算の見積りがわかるので、チラシやホームページでの価格表記には坪表記での価格がよく使用されます。

■坪数ごとの外壁塗装の相場

坪数アクリル塗料ウレタン塗料シリコン塗料フッ素塗料無機塗料光触媒塗料
20坪30~60万円40~70万円50~80万円60~100万円70~120万円80~130万円
30坪40~70万円50~80万円60~90万円70~110万円80~130万円90~140万円
40坪50~80万円60~90万円70~100万円80~120万円90~140万円100~150万円
50坪60~90万円70~100万円80~110万円90~130万円100~150万円110~160万円
60坪70~100万円80~110万円90~120万円100~140万円110~160万円120~170万円

※価格は地域や業者・下地の補修の可否などによって変動いたします。
※屋根塗装は含まず

相場としては30坪のお宅で一番安価なアクリル塗料で40万円~70万円。高価な光触媒塗料で90万円~140万円程度で施工する業者が多いです。
この表を見て、随分価格の幅があると思われた方もいらっしゃるかもしれません。価格の幅がある理由としては、塗装の価格は実際の建物の状態にもよって変わってくるため、事前に均一価格を出すことは難しいという点があります。


[参考]坪表記の相場は、概算であることを把握しておくことが重要

坪数は自宅の図面を見ればすぐにわかりますから、価格が坪数からわかることは消費者にとっては親切な事です。しかし、坪単価の表記で注意しなければならないことがあります。それは、外壁塗装で見積りを出すためには、塗る面積が何㎡あるかを計算して、塗料がどれだけ必要かを計算する必要があるということです。

ところが、坪単価の見積り計算では塗装面積を計算していません。1坪で塗料がどれくらい必要かで計算すれば良いと思われるかもしれませんが、同じ坪数でも建物の形状や扉や窓などの開口部の違いで塗装面積は変わります。ですから、本来坪数で正確な見積りを出すことはできないのです。

坪数の相場はあくまで消費者がとって自分の家がどれくらいの費用で塗装できるのか目安を知る為のものであり、正確な見積りとは違うということです。

坪数での計算では必要な塗料の缶数を計算していないことによって、想定していたよりも実際は塗る面積が多く、塗料が足りなくなるといった事が起きる可能性があります。
いい加減な業者の中にはそのような事態になった時、規定の回数を塗らないというような手抜き工事を行なう業者も存在します。

坪表記での注意点

本来、正確な塗装面積がわからないと見積りが出せない為、塗装面積を測らずに価格を出す坪数の価格表記はあくまで概算であり、正確な見積りではない。

3-2.使用塗料別!「㎡ごと」の外壁塗装の相場

外壁塗装の価格の計算方法で坪単価以外に塗装面積の㎡(平米)単価で計算する方法もあります。主に見積り書で詳細な施工単価を表記する際に使用されます。

■㎡ごとの外壁塗装の相場

塗料1㎡当たりの単価
アクリル塗料1,000円~2,000円
ウレタン塗料1,500円~2,500円
シリコン塗料2,000円~3,500円
フッ素塗料3,000円~5,000円
無機塗料3,500円~5,000円
光触媒塗料4,000円~5,000円

※価格は地域や業者・下地の補修の可否などによって変動いたします。
※施工箇所によって単価が変わる場合があります。

㎡単価は塗料のグレードによって大きく異なりますが、概ね1,500円~5,000円前後となります。フッ素塗料・無機塗料・光触媒塗料が高いと感じるかもしれません。
これらの塗料はウレタン塗料やシリコン塗料に比べて耐久年数が高く長持ちする塗料で比較的高価な塗料です。
このような高耐久性の塗料は1度の施工費用は高いものの、長期的に見ると再塗装の期間が短くなるため、結果的にコストを抑えられる場合があります。


[参考]㎡(平米)単価の相場をチェックするときの注意点

㎡(平米)単価の相場を参考にするにあたって注意することは、外壁の塗装面積算出の精度です。3-1.坪単価の相場で注意することで紹介した場合と同じように、適当な計算で外壁の塗装面積を算出してしまうと塗料が足りなくなるなどの問題が起きます。損をしないように実際の面積よりも広い面積で見積りを取る業者も存在します。業者に見積りを取る場合には、どのように塗装面積を算出しているのかを詳しく確認しましょう。

正確な見積りを出すにはきちんと図面から正確な㎡数を計算することが重要です。正確な計測を希望する場合は、CADで立体図面を製作して正確な塗装面積を出している業者に頼むと良いでしょう。

㎡(平米)表記で注意点

適当な計算で塗装面積の㎡(平米)数を出す業者もいる。正確な見積りを出すにはきちんと図面から正確な㎡数を計算することが重要。

3-3.坪表記と㎡(平米)表記はどちらが多い?

前述のとおり、坪表記の価格は消費者が概算を知る為にわかりやすいという事もあり、チラシやホームページなどでよく使用されます。対して、㎡(平米)表記は主に見積り書などで詳細な施工単価を示す為に利用されることが多いです。

㎡表記では消費者が価格の概算がわかりにくいために、チラシは坪表記で概算を提示し、詳細な見積りは塗装面積を測った後に㎡計算で出し直す業者もいます。

4.外壁塗装の価格を決める3つの要素で相場感を掴む

外壁塗装の価格を決める要素は、「塗料代」「足場代」「施工費(人件費)」、プラス利益です。この3要素、それぞれの相場感を掴むことで、全体の相場感も掴むことができます。

ちなみに、外壁塗装費の全体に占めるそれぞれの比率は、目安として「塗料代」が約20%、「足場代」が約20%、「施工費(人件費)」が約30%、そして利益が約30%です。

4-1.塗料代の相場価格

塗料の価格帯は、おおよそ塗料の性能によって変動します。一般的に耐久性が高いものは高額になる傾向にあります。また、遮熱性や防汚性、防カビ性などの付加価値性能を併せ持つ塗料は、その分、高額になります。

塗料別の相場目安

塗料耐久年数費用 ※1缶あたり(円)
アクリル約3~5年5,000~15,000
ウレタン約5~7年5,000~20,000
シリコン約7~10年15,000~40,000
ピュアアクリル約15年~50,000~70,000
フッ素約15年~40,000~100,000
無機約15年~50,000~120,000
光触媒約15年~50,000~100,000

※上記はあくまで目安です。塗料メーカーや製品によっても価格が異なります。

4-2.足場代の相場価格

足場代とは、足場を組むのにかかる費用のことを指します。

足場代の相場は、下記の計算式によって自身でも算出することができます。

■足場代|適正価格はいくら?

①まずは、足場代の相場をご紹介します。見積書に記載されている金額と比べてみましょう。

足場代(㎡単価)600~800円/㎡
飛散防止ネット(㎡単価)100~200円/㎡

②次に足場架面積を調べます。

足場は家から少し離して設置するため、まずはどのぐらいの大きさの足場をかけるのかを調べるために、足場をかける面積(足場架面積)を算出します。
※家の外周に足す8mは、外壁(家)から足場までの距離に相当します。

足場架面積=[家の外周+8m]×高さ

③見積書に記載されている足場代(㎡単価)と飛散防止ネット(㎡単価)、さらに②で算出した足場架面積から、足場代を算出します。

足場費用=足場架面積×(足場費用/㎡+飛散防止ネット/㎡)

※上記で算出できる足場代は、あくまで見積書をチェックするための簡易計算です。

4-3.施工費(人件費)の相場価格

施工費(人件費)とは、「高圧洗浄」「養生」「下地処理」など、塗装職人の施工に対する費用のことです。

それぞれの施工費(人件費)の相場は下記を参考にしてみてください。

■施工費の相場価格

工事項目相場価格
飛散防止ネット100~200円/㎡
高圧洗浄100~300円/㎡
ケレン作業300~2,500円/㎡
養生150~400円/㎡
付帯塗装工事軒天800~1,500円/㎡
雨樋800~1,500円/m
破風板 650~1200円/㎡
雨戸2,000~4,000円/枚
シーリング打ち替え900~1,500円/m
シーリング増し打ち500~1,000円/m
諸経費現場管理費1式 30,000~50,000円
廃材処理費等1式 10,000~30,000円

※価格は業者によって変動いたします。

業者から出された見積りがこの表の価格から大きく異なる場合は、何故その価格になるのかを具体的に説明を貰うようにしてください。

高いだけでなく、安すぎる業者にも注意してください。安さには安さの理由があるはずです。安いけれど「赤字にならないように手を抜く」といった事もあります。

[コラム]見積書の施工費(人件費)をチェックする際の注意点!

 ■見積もりは項目ごとに詳細に出してもらう

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業者の中には見積りを外壁塗装一式◯◯円といった一式見積りで提出する業者もいます。このケースだと、何の作業にどれくらいの費用がかかっているのかわかりません。
必ず作業の項目別に見積りを出してもらうようにしましょう。

⑨見積書の例

また、項目別に出してもらった場合でも、材料代+工賃を合算した材工共の見積りではなく、材工別の見積りを出してもらうとよいでしょう。
材工別にすることで材料にいくら、人件費にいくらかかっているのかがわかる為、相場と比べやすく、不当な見積りを見ぬくことができるからです。
更に、必要な塗料缶が何缶かまで書いてあると、面積に対して必要な塗布量分の塗料を使用しているかがわかるため、透明性の高い見積りと言えるでしょう。

5.相場より高くなりやすい3つのケース

相場を調べてみて、業者から出された見積りが相場より高い場合もあるかもしれません。しかし、正当な理由で価格が相場から高くなる場合もあります。この章ではどのような場合に相場より高くなりやすいかという点についてご説明いたします。

5-1. 劣化が進行しており補修が必要な場合

外壁塗装を行なう前には、塗料がしっかりと吸着するように下地調整という作業を行ないます。下地調整とは、高圧洗浄で古い塗膜を落としたり、工具やサンドペーパーを使って錆を落とす作業の事です。
外壁の劣化が進行している場合、補修を含めた下地処理に手間がかかってしまうために、下地調整費用が多くかかります。このようなケースでは、見積りが相場よりも高くなってしまう可能性があります。

参考として、劣化が進行している場合に必要になる、ケレン作業とシーリング補修の相場をご紹介します。

ケレン作業の相場

サビのケレン

ケレン作業は劣化の状態によってケレン1種から4種まで作業内容が異なります。外壁の劣化が進行しているほど費用が高くなります。

ケレンの種類劣化の状態作業内容相場
ケレン1種劣化がかなり進行しており、激しく腐食しているブラスト工法という強力な方法で下地を露出させる。一般的な塗装現場では行われません。2,000円~/㎡
ケレン2種劣化が進行しており、塗膜が劣化している動力工具(サンダーなど)と手工具を併用して錆と旧塗膜を除去する。1,500円~2,500円/㎡
ケレン3種劣化してない塗膜(活膜)があり、部分的に錆が発生している活膜を残しつつ、ワイヤーブラシやサンドペーパーなどを使って錆のみを除去する。500円~1,200円/㎡
ケレン4種錆はみられず、汚れやチョーキングが発生している程度ワイヤーブラシやサンドペーパーなどを使って汚れや浮いた塗膜を除去する。200円~400円/㎡

このように、外壁の劣化の状態によって行なうケレン作業が異なっており、費用も変わってきます。広範囲で劣化が進行している状態ですと、ケレン作業だけで高額になります。

シーリング補修の相場

73_シーリング充填

シーリング材とは水の浸入を防いだり、気密性を高めたりする為に、サイディングパネルの目地の間に充填される素材の事で、コーキングとも呼びます。
シーリングも塗装と同じように時間が経つにつれて劣化していきます。シーリングが劣化している場合は補修が必要になりますので、劣化状況、補修方法によって費用が高くつく場合があります。

シーリングの補修方法には主に打ち替えと打ち増しがあります。それぞれの作業内容と相場は次の表をご覧ください。

シーリングの補修方法劣化の状態作業内容相場
打ち替え劣化が進んでいる既存のシーリングを除去した後に、新しいシーリング材を充填します。900円~1,500円/㎡
打ち増し劣化が少ない既存のシーリング材は残しつつ、上から新しいシーリングを充填します。500円~1,000円/㎡

相場では打ち増しの方が単価が低く、コスト的には安くなります。しかし、外壁が劣化している場合はシーリングも劣化している事がほとんどですから、外壁塗装のタイミングで一緒にシーリングの打ち替えを行なうことが望ましいです。打ち増しの方が費用は抑えられますが、劣化が進行していたのに安さを求めて打ち増しにしてしまって、シーリングの耐久性を下げてしまっては本末転倒です。

5-2.隣家と近く足場が立てにくい場合など

下記のケースでは費用が割増になる場合があります。

① 隣家と近く足場が立てにくい場所がある場合は、足場がかけられず作業が行いにくい為に、費用が割高になる場合があります。

② 建物の形状が変則的な場合、足場が追加で必要になる為に、費用が割高になる場合があります。

③ 3階建の場合や屋根の勾配が急な場合、業者によっては追加の費用を請求される場合があります。

5-3.ハウスメーカーの外壁塗装

家を建てたハウスメーカーに外壁塗装をお願いしようと思っている方もいるかと思います。しかし、費用の面で言うとハウスメーカーは塗装業者に直接依頼するよりも高くなりやすいです。
ハウスメーカーの外壁塗装では、実際に施工を行なうのは下請けの塗装会社ですから、ハウスメーカーの取り分のマージンが上乗せされることになります。
ですので、同じ施工内容でも直接塗装会社に頼むよりも総額が高くなる可能性があります。

6.見積りが相場と違う=悪い業者ではない

ここまで、外壁塗装の相場を見てきましたが、使用した塗料や既存の壁の材質の違い、劣化の状況によっては相場より高くなる事もあることをお伝えしました。その他にも、業者によって価格が異なる理由としては、しっかりと手間を掛けて処理を行なっていることによって、手間賃(人件費)を高く設定している業者もいるでしょうし、逆に未熟なアルバイトを使って人件費を安くしている場合もあります。
ですので、一概に相場と違うから悪い業者とは言えません。大事なのは価格に見合ったサービスを提供してもらえるのかどうかです。見積りの妥当性だけでなく、良い業者を見極めるには価格以外でも判断しなければならないポイントがあります。そちらについては外壁塗装でトラブルを防ぐ『業者選びのポイント』の記事も参考にしてください。

まとめ

外壁塗装の相場を正しく掴むためには、上記でご紹介した通り、総額の相場だけをチェックするだけでなく、様々なアプローチで検証するのがオススメです。

また、外壁塗装の費用相場を掴んでおくことは、心ない業者から身を守るうえでも重要です。少なくとも、「高すぎる」「安すぎる」など、何かがおかしいと気づける程度には、相場感を掴んでおきましょう。