光触媒

光触媒塗料で外壁塗装をしてみたいけど、そもそも光触媒って何?どんな塗料なの?と思っていませんか?

光触媒塗料は高い耐久性と、汚れにくくするセルフクリーニング機能を持った優れた塗料です。

光触媒の技術は塗料以外にも様々な分野で応用されています。

この記事では、外壁塗装で光触媒を利用するために知っておきたい基礎知識やメリット・デメリットなどの光触媒についての情報をまとめています。

ぜひ、参考にしてみてください。

1.光触媒ってなに?

1-1.光触媒塗料とは

日常生活の中で触媒という言葉を耳にされる方は少ないかと思います。触媒とは簡単に言うと、化学反応を促進し物質変化を及ぼす仕掛けのことを呼びます。そのため光触媒とは、光を利用して化学反応を促進する仕掛けのことを表しています。よく光触媒の例として使われるのが、植物の光合成の仕組みです。

植物は葉緑素に光を浴びることで、二酸化炭素と水を酸素と炭水化物へと変化させます。植物が葉緑素にて化学変化を発生させるのと同じように、光触媒技術では酸化チタンという物質が化学変化を促進させます。酸化チタンに光があたり酸素や水分と反応すると、有機有害物質を二酸化炭素と水に変化させ無害化することを光触媒と呼びます。

ちなみに、化学変化や酸化チタンなどと聞くと、体への影響はないのかと少し不安に思われる方もおられるかもしれません。酸化チタンは食品や化粧品の着色料としても使用されている安全な物質ですので、人体への悪影響はありませんのでご安心ください。なんだか化学や理科の授業みたいになってしましましたが、酸化チタンを利用し光触媒技術を塗料に応用したものが光触媒塗料であり、最近話題の塗料でもあります。

1-2.光触媒塗料の例

代表的な光触媒塗料として、光触媒塗料を開発したTOTOのハイドロテクトシリーズがあります。当初はTOTOのみが開発・生産していた塗料ですが、現在では数社が製造・販売しています。いくつかこちらで紹介させていただきます。

キャプチャ

エヌティオ(日本特殊塗料)

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ピュアコートANプラス(ピアレックステクノロジーズ)

2.光触媒塗料のメリットとデメリット

どの種類の塗料にでもいえることですが、光触媒塗料にもメリットとデメリットがあります。

2-1.光触媒のメリット

・外壁が雨水で綺麗に!セルフクリーニング機能

光触媒塗料に含まれている酸化チタンが太陽光(紫外線)に反応することで、外壁に付着した汚れを分解し、そこに雨があたることで汚れを洗い流します。新築時は綺麗だったお家も年月を重ねることで様々な汚れが付着し、美観が損なわれていきます。その為他の塗料だと、美観を保つためには自身で外壁を洗うなどのメンテナンスが必要になります。光触媒だと、その手間が省けるので非常に手入れが楽です。

・トップクラスの耐久性をもつ

光触媒は塗膜を劣化させる原因となる紫外線を利用する(=紫外線による劣化が発生しにくい)ため、長期にわたりお家を守ることができます。塗料が何年持つのかを測定する試験の結果によると、光触媒塗料は約15年~20年相当の耐久性をもつ塗料とされフッ素塗料と並び抜群の耐久力(耐候性)を持っています。一般的なシリコン塗料が約10年程度の耐久性と言われていますので、その1.5~2倍ほどの耐久性があるということになります。

ただしこちらの数値は、気候やお家の建っている立地により変動しますので、あくまで参考値としていただければ幸いです。またどれだけ塗膜が良い状態であっても、お家の外壁材からくる劣化は防げないため、その場合は再度塗装など外装リフォームが必要となります。

・塗るだけで周辺の空気を綺麗にする

光触媒塗料は空気中の汚れを除去する、空気清浄機能まであるのです。光触媒塗料を塗った外壁に太陽光が当たることで発生する活性酵素が、空気中に含まれる窒素酸化物を酸化させ大気中から除去してしまうのです。窒素酸化物とは、車の排気ガスや工場からの排煙に含まれるもので酸性雨や光化学スモッグなどの原因となるものです。塗るだけで空気が綺麗になるなんて驚きですよね。

さらに光触媒のすごいところが、綺麗にできる空気の量です。戸建て1件に塗るだけで、テニスコート4面分の緑地がもつ空気清浄能力を発生させ、量にすると12台の乗用車が1日に発生させる排気ガスに相当します。お家を綺麗に保つだけでなく空気まで綺麗にする光触媒、恐るべしです。

2-2.光触媒のデメリット

・施工が難しく専門性が必要である

光触媒塗料は非常に粘度が低く、サラサラとしており水のような状態の塗料です。そのため、塗った時に垂れやすく、そのままにしておくと美観が損なわれてしまいます。また塗った後乾くのが他の塗料に比べると遅いため、施工する日の天気、気温など他の塗料よりも注意を払う必要があります。

このように施工する際注意する点が多いことから、以前は講習を受けた認定店しか施工できませんでした。現在はこの制度が廃止となり、どこの塗装店でも光触媒塗料を扱うことができるようになりましたが、高い専門性と技術を要する塗料であることに変わりはありませんので、依頼する際には実績などを参考に業者を選ぶと良いかもしれません。

・無機質系の汚れや過度の汚れには対応できない

光触媒塗料の特徴であるセルフクリーニング機能は、どんな汚れに対しても効果があるわけではありません。例えば、さびや黄砂、エフロレッセンス(白華現象)など無機質系の汚れは酸化チタンで分解することが出来ずセルフクリーニング機能が働きません。

また樹液や木の葉、鳥のフンなど限られた部分に過度の汚れが付着すると、分解する力が追い付かず外壁が汚れてしまいます。このような汚れが外壁についているのに気づいた際には、汚れの元を自分で除去することでお家を綺麗に保ちましょう。

・雨や光の当たりにくい場所では効果減

太陽光(紫外線)で汚れを分解し雨で流し落とすセルフクリーニング機能。当たり前の話になりますが、太陽光や雨の当たらない場所ではその機能を十分に果たすことができません。

・選べる色が限定される

光触媒塗料は酸化チタンを多く含むため、どうしても酸化チタン本来の色である「白」が強く出てしまいます。そのため鮮やかな色や濃色を出すことが難しく、選べる色も彩色のみとなります。どうしても濃色で外壁を塗りたい場合は、一度外壁を任意の色で塗った後に光触媒コーティングを施すこともできます。ただしその際は、使用する塗料の選定に注意する必要がありますので、担当者と相談することが望ましいです。

・ひび割れに弱い

少し専門的な話になりますが、光触媒塗料は塗ったあとの塗膜がシリコン塗料と比べ硬くなります。そのためシリコン塗料では表面化しなかったかもしれないひび割れが、光触媒塗料の場合表面化する可能性があります。

3.光触媒塗料の塗装費用と性能比較

3-1.光触媒塗料での塗装費用

デメリットでも取り上げましたが、光触媒塗料を施工するには高い専門性が必要となります。そのため一般的な塗料による施工と比べ施工費が約1.5倍高くなる傾向があります。平均的な施工単価としては、一坪あたり25,000円程度と言われています。
「今なら〇万で光触媒ができますよ」と営業マンが言うかもしれませんが、果たしてその金額が妥当なのかどうかを注意する必要があります。

3-2.光触媒塗料と他塗料との性能比較

光触媒塗料とよく比較されるのがフッ素塗料です。塗料の性質や耐久性は比較的にていますが、塗料自体の持つ機能は大きく異なり、塗り替えにかかる費用もフッ素塗料に比べ光触媒塗料の方が高めになります。価格を重視するのか機能を重視するのか、で選ぶと良いかもしれませんね。

塗料比較

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4.我が家は光触媒塗料で施工できる?セルフチェック!

□ 隣の家との間に1m以上の間隔がない⇒光触媒の効果が発揮されない

□ 山と隣接している⇒負荷の高い汚れが付着する可能性が高い

□ 外壁素材がモルタルである⇒ひび割れに塗膜が追随できずひび割れが表面化する

□ 海岸沿いで潮風にさらされており錆びが発生しやすい建材の家⇒光触媒の効果が発揮されない可能性がある

□ 外壁素材がすでに激しく劣化している⇒高耐候性の塗料を塗っても下地の劣化により耐候性が短くなる可能性がある

1つでも当てはまったら要注意です!
担当者の方に光触媒塗料で大丈夫か相談されることをお勧めいたします。

まとめ

光触媒塗料は多くのメリットがある塗料ですが、そのぶん価格も高く、施工者の技術やご自宅の状態によって性能や耐久性が大きく左右される塗料でもあります。

外壁塗装を行うことは人生の中でも数える程しかなく、高額な買い物となります。そのため専門家のアドバイスを参考にしつつ、お家に最適の塗料を選択していただければ幸いです。