「業者に見積もりをもらってシリコン塗料を提案されたけど、良い塗料なの?」
「シリコン塗料っていろんな種類があるけど、どれがいいの?」
このように、シリコン塗料についてお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
家の塗装は数年おきで何度もするものではないですし、金額も決して安くはない買い物です。ですから、大切な家に塗る塗料は慎重に選び、後悔したくないですよね。
しかし、各メーカーから多くのシリコン塗料が販売されていて、どれがいいのかわからないという方も多いと思います。
今回は、そのような「シリコン塗料について知りたい」という方に向けて、シリコン塗料の特徴やメリット・デメリットについて解説いたします。
この記事を読み、シリコン塗料について知っていただいて、塗料選びの参考にしていただけますと幸いです。
1.シリコン塗料の特徴とメリット・デメリット
まず、シリコン塗料とはどんな塗料なのでしょうか。1章では特徴とメリット、デメリットについて解説いたします。
1-1.シリコン塗料は比較的安価で住宅での使用率が高い塗料
シリコン塗料は、比較的安価で戸建住宅での使用率が高い塗料です。シリコン塗料が主流となる以前は、アクリル塗料やウレタン塗料が戸建住宅で使用率が高い傾向にありました。
耐用年数はそれぞれアクリル塗料が3年~5年、ウレタン塗料が5年~7年ほどです。塗装後5年経過した頃にはすでに塗膜が劣化をはじめ、すぐに塗り替えが必要でした。
シリコン塗料は価格がウレタン塗料より多少高い程度で、耐用年数7年~10年と約1,5~2倍の耐久性があり、そのコストパフォーマンスの良さから、シリコン塗料が最も多くの方に選ばれています。
1-2.シリコン塗料のメリット
なぜ、シリコン塗料が戸建住宅で主流となっているのでしょうか。シリコン塗料には下記のようなメリットがあります。
①コストパフォーマンスが良い
シリコン塗料は、費用(価格)に対する耐用年数のコストパフォーマンスに優れています。外壁面積が約100㎡の家の場合、以前まで主流だったウレタン塗料は価格相場70万円~75万円で耐用年数5年~7年なのに対し、シリコン塗料は価格相場80万円~90万円で耐用年数7年~10年と、価格の割に耐用年数が長くなります。
②耐汚染性に優れる
塗膜が親水性を備えているものもあり、車の排気ガスなどの油汚れが一体化しないため、長期に渡って建物のきれいな状態を保持することができます。建物の美観にこだわる方にとっては魅力的な性質といえるでしょう。
③耐候性に優れる
シリコン塗料は、塗装後にツヤがある仕上がりになります。光沢保持率が高く、塗膜の光沢を長期間に渡って保つことが期待できます。
※光沢保持率・・・雨、紫外線、熱などの塗膜の劣化要因に対して、初期の光沢を100%とし、劣化後に何%の光沢を保持しているかの割合
メリットをまとめると、シリコン塗料は価格とコストパフォーマンスに優れ、更に美観を比較的長期に渡って維持することができます。
1-3.シリコン塗料のデメリット
アクリル塗料やウレタン塗料と比較すると高価
デメリットとして捉えるかは予算や期待耐用年数によって変わりますが、シリコン塗料はアクリル塗料やウレタン塗料と比較すると値段が高くなります。また、値段がシリコン塗料の数倍するフッ素塗料や無機塗料と比較すると、耐用年数が短いため、次の塗替え時期が早く訪れてしまいます。
2.シリコン塗料とウレタン塗料の違い
塗装業者にシリコン塗料と一緒に価格帯の近いウレタン塗料を提案されるケースもあります。シリコン塗料とウレタン塗料は何が違うのでしょうか。
2-1.ウレタン塗料って何?
ウレタン塗料はウレタン樹脂を主原料とした塗料です。他の樹脂より比較的安価で外壁・木部・鉄部など幅広い用途に採用されています。
ウレタン結合を利用したポリウレタンという素材を耳にした事がある方も多いでしょう。スポンジやクッション、断熱材など、日常に広く用いられています。
同じようにウレタン結合を樹脂に利用して塗料にしたものがウレタン塗料です。
2-2.シリコン塗料とウレタン塗料の違い
種類 | シリコン塗料 | ウレタン塗料 |
---|---|---|
特徴 | 価格と性能のバランスが良い。現在の戸建の外壁塗装で主流の塗料。 | 外壁・木部・鉄部など幅広い用途に採用されている。スタンダードな機能、耐久性で低価格での工事に適している。 |
価格帯 | 1,800~2,000円/㎡ | 1,500~1,700円/㎡ |
耐候性 | 7~10年 | 5~7年 |
㎡単価の価格差が300円ですので、塗装面積が130㎡で4~5万円程度の価格差になります。しかし、塗料の耐候性では価格以上の差があります。
金額を耐候年数で割ると、ウレタン塗料よりもシリコン塗料のほうが長くなるので、長い目で見るとお得です。
価格差もあまりなく、シリコン塗料の方が長持ちするため、シリコン塗料とウレタン塗料の比較であれば、あえてウレタン塗料を選ぶメリットはあまりありません。
3.シリコン塗料と他の塗料の費用比較
1章ではシリコン塗料の特徴について解説しました。この章ではシリコン塗料と他の樹脂の塗料の値段、耐用年数を比較します。
【塗料比較】
塗料 | ㎡単価 | 耐用年数 | 工事費用相場/75~90㎡(外壁のみ) |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 1,000~1,200円 | 3~5年 | 60万円~70万円 |
ウレタン塗料 | 1,500~1,700円 | 5~7年 | 70万円~75万円 |
シリコン塗料 | 1,800~2,000円 | 7~10年 | 80万円~90万円 |
フッ素塗料 | 3,500~4,500円 | 約15年~ | 95万円~110万円 |
無機塗料 | 5,000~5,500円 | 約15年~ | 100万円~120万円 |
※金額は使用する塗料や業者、状況によって異なります。
一覧を見ると、コストパフォーマンスが最も良いのがフッ素塗料、次にシリコン塗料、無機塗料という順番になります。フッ素が最もコストパフォーマンスが良いですが、工事費用が高いため、その次にコストパフォーマンスが良く工事費用も抑えることが出来るシリコン塗料が選ばれやすいという傾向があります。もちろん、工事費用は使用するメーカーの塗料や外壁の劣化状況によって変わります。
4.代表的な塗料メーカーのおすすめシリコン塗料を紹介
ここまでシリコン塗料について解説しましたが、「シリコン塗料といっても、メーカーも種類もたくさんあるから、どれが良いのかわからない!」と思われている方もいるのではないでしょうか。この章では、代表的な塗料メーカーのおすすめシリコン塗料を一部紹介いたします。実際に業者から提案されることが多い塗料ですので参考にされてください。
4-1.日本ペイント
明治14年創業の、塗料メーカーの中でも特に長い歴史を持つ会社です。
商品の品数が多いため塗装業者間でもよく愛用されています。
<外壁用塗料>
①ファインシリコンフレッシュ
シロキサン結合による高耐候性と、特殊セラミック成分による超低汚染性と防カビ性に優れた塗料です。
②ファインSi
いろいろな下地に塗れるオールマイティーなシリコン塗料です。
<屋根用塗料>
①ファインシリコンベスト
スレート屋根(カラーベスト)用塗料です。弱溶剤系塗料なので、劣化の激しい下地にも浸透し補強します。
②サーモアイSi
屋根用遮熱塗料です。一般的な遮熱塗料は、中塗りと上塗りだけに遮熱塗料を使用します。下塗り材にも遮熱効果を持つものを採用しているのが特徴です。これにより、一般的な遮熱塗料よりも高い効果が期待できます。安定した品質と使用実績の多さから業者も好んで使用する塗料です。
4-2.エスケー化研
昭和30年創業の塗料メーカーです。快適・健康・安全・安心・環境をテーマに塗料開発に取り組んでいます。建築用塗料では国内シェアナンバーワンで実績と信頼のある会社です。
<外壁用塗料>
①クリーンマイルドシリコン
外壁用塗料です。セラミック複合により低汚染性、防藻・防カビ、透湿性に優れます。姉妹品として、弾性をもつ弾性クリーンマイルドシリコンもあります。耐候性が良いことに加え、ツヤ感、光沢が良く外壁用塗料の中でもおすすめの塗料です。
②水性セラミシリコン
環境に優しく耐久性の高いセラミックシリコン塗料です。
シロキサン結合により通常のシリコン塗料よりも高い耐候性を持つ塗膜を形成します。
<屋根用塗料>
①クールタイトSi
一般的な遮熱塗料は、塗膜表面に汚れが付着すると機能が低下しますが、このクールタイトは汚れが付きにくく遮熱機能が長く継続するという特徴があります。
②ヤネフレッシュSi
弱溶剤アクリルシリコン塗料です。耐候性がよく、熱や紫外線、酸性雨に強い塗料です。
4-3.アステックペイント
平成生まれの塗料メーカーです。
塗料を問屋(塗料販売店)を通さず業者へ直接販売する「直販体制」をとっています。
<外壁用塗料>
①超低汚染リファイン1000Si-IR
超低汚染性、遮熱性、耐候性に優れた塗料です。「塗膜表層コーティング技術」により塗膜の密度が高く親水性(水になじみやすい性質)のある塗膜を形成します。シリコン塗料の中でも耐候性に優れ、遮熱性、親水性、防藻機能を備えた高機能塗料です。特におすすめの外壁用シリコン塗料です。
②シリコンフレックスⅡ
従来のアクリルシリコン塗料をしのぐ高い耐候性を持った外壁用塗料です。経済性、美観性、安全性に優れた商品です。
<屋根用塗料>
①スーパーシャネツサーモSi
特殊無機顔料の使用により高い遮熱効果を実現した塗料です。色あせしにくく、美観を長期間保持します。また、形成した塗膜は厚みがあるため、屋根をしっかりと保護します。屋根用塗料の中でもおすすめできる塗料です。
②シリコンフレックスJY
アステックペイントの屋根/外壁用塗料です。耐汚染性のあるセラミックが配合されているので低汚染性を備えています。
4-4.関西ペイント
大正時代創業で、業務用から家庭用まで幅広い塗料を取り扱っており、様々な状況に対応できる商品の豊富さが強みです。
<外壁用塗料>
①セラMシリコン3
セラミックが配合された外壁用塗料です。一般的な塗料は中塗りと上塗りで同じ塗料を使用しますが、この商品は中塗り用と上塗り用の2つに分かれています。中塗りと上塗りで色味が異なるため、塗料の塗り残し、塗り忘れを防止することができます。
②コスモシリコン
耐候性の高さと防カビ・防藻性を備えています。また、旧塗膜や下地との密着性が良く、塗替えに適した塗料です。
<屋根用塗料>
①スーパーシリコンルーフペイント
速乾性があり、塗装後の結露や雨による悪影響を受けにくい塗料です。またカラーバリエーションが豊富で様々な演出を施すことができます。
4.シリコン塗料を選ぶ際の基準
4章ではシリコン塗料を選ぶ際の基準について解説いたします。下記の2点を参考にしてみてください。
①どの塗料にすればいいかわからない場合
「塗料の種類が多すぎて、どのメーカーのどの塗料がいいのかわからない!」という方もいらっしゃるかと思います。そういった場合は、現在の戸建住宅で最も使用されている主流のシリコン塗料を選択すると良いでしょう。
最も使用されているが故に、シリコン塗料とひと口に言ってもラインナップは多岐にわたり、業者によって提案する塗料も様々ですが、3章で前述した塗料メーカーのものを選べば失敗は少ないはずです。
②コストパフォーマンスを重視する場合
「高性能の塗料もいいけど、値段が高すぎる!でも、安すぎる塗料は不安…」という方にはシリコン塗料がおすすめです。シリコン塗料は、塗料の中でも1、2を争うほどコストパフォーマンスに優れています。
ウレタン塗料などの値段が安い塗料を選んだ場合、長期的に見るとかえって高いお買い物になる場合があります。
シリコン塗料であれば、無機塗料やフッ素塗料ほどではないにしても、耐候性が7年~10年で値段も比較的お手ごろなのでバランスの良い塗料と言えます。
まとめ
シリコン塗料の特徴やメリット。デメリットについて解説しましたが、いかがでしょうか?
シリコン塗料について疑問を抱えている方の、お悩み解消に少しでもお役に立てたのであれば幸いです。
シリコン塗料はそのコストパフォーマンスの良さから、現在の戸建住宅での塗替えで最もポピュラーな塗料です。それだけに各メーカーから数多くの商品が発売されていますが、3章で取り上げた代表的なメーカーのものであれば失敗するリスクは低いと思われます。ご自分の家やライフプランにあった塗料も選び、後悔しない外壁塗装をおこないましょう。