「漆喰壁で、おうちを和風なイメージにしたい」「清潔感のある見た目にしたい」
と考えられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。漆喰は、日本でも昔から重宝されてきた、建材のひとつです。
この記事では、外壁に漆喰を使用する場合についてご紹介します。漆喰に憧れている方、漆喰壁を塗装しようと考えられている方はぜひご覧ください。
1.漆喰の壁の特徴
漆喰壁は見たことあるけど、特徴って実はよくわからない・・・。そんな方のために、漆喰壁の特徴を全てお伝えいたします。
1-1.漆喰って何!?漆喰の特徴
漆喰とは、水酸化カルシウムや炭酸カルシウムが主成分の、昔からある塗り壁材のことです。昔から城郭、民家・蔵の壁に使用されていたり、屋根瓦の接着剤に使用されたりしています。
漆喰には、化学物質や二酸化炭素を吸着する性質があります。年月をかけて二酸化炭素を吸着することで、漆喰自体が固くなります。そのため、漆喰は耐久年数が100年以上とも言われています。
しかし、100年以上耐久年数を持たせるには、しっかりとしたメンテナンスが必要となります。よって、メンテナンスフリーで耐久年数100年というわけではないので、注意が必要です。
1-2.漆喰を外壁に取り入れるメリット・デメリット
耐久年数が100年と言われる漆喰ですが、耐久年数が高いという特徴の他にも、さまざまな特徴があります。
ここでは、漆喰の特徴をメリットとデメリットに分けてご紹介します。
◆メリット
・意匠性が高く、和風だけでなく洋風のデザインも可能
・ホルムアルデヒドなどの化学物質や二酸化炭素を吸着する
・防カビ効果がある
・耐久性・耐火性がある
◆デメリット
・乾燥に時間がかかるため工期が長くなりがちで、施工費も高い
・防水性が低い
・傷がつきやすい
・施工ができる左官屋が少なくなってきた
このように、漆喰にはさまざまな特徴があります。
外壁に漆喰壁を取り入れることを検討されている方は、この漆喰の特徴を頭に入れておくとよいでしょう。
1-3.実はこんなにある!漆喰の種類
漆喰と一言で言っても、実はさまざまな種類があります。漆喰の種類によって、内容成分や特徴も少しずつ違っています。
2.漆喰壁の施工とメンテナンス方法公開
漆喰は耐久性が100年と言われていますが、定期的にメンテナンスをおこなわなければ耐久性は保てません。少しでも長く漆喰壁を保つために、漆喰壁のメンテナンス方法をご紹介します。
ただ、漆喰は専門業者でも取り扱いが難しい素材です。漆喰の補修方法で少しでも迷った時は専門業者へ相談することをオススメします。
2-1.まずは知っておきたい!漆喰壁の施工の流れ
漆喰壁にする際は、モルタルの上に漆喰を塗ります。
工程としては、
モルタル下塗り→養生→中塗り漆喰→上塗り漆喰
となります。
しかし、モルタルの上に漆喰を直接塗ればいいというわけではありません。モルタルの上に漆喰を塗る場合は、漆喰とモルタルの接着性を高めるために、「モルタル接着増強剤」を薄めたものをハケで塗る必要があります。
また、昔ながらの漆喰の施工方法であれば、下地に小舞(マダケなどを縦横に組んだもの)を使用する方法もあります。
永井昭夫建築設計事務所様のサイトで詳しく紹介されていますので、参考にされてみてください。
参考出典:永井昭夫建築設計事務所:http://nagai-sekkei.com/index.html
2-2.漆喰壁にするときの費用と耐用年数
漆喰壁にすると、費用が高くなるとよく言われています。では実際にいくらくらいの費用になるのでしょうか。漆喰壁の施工費用は新築時で7,500円〜/㎡が相場です。また、耐用年数は100年と言われていますが、メンテナンスフリーというわけではないので、10年に1度はメンテナンスをおこなうようにしましょう。
2-3.漆喰壁の汚れの落とし方
漆喰壁の汚れは、軽い汚れであれば消しゴムや水洗いで落ちます。
日当たりが悪い場所などで、カビが生えてしまった場合や、濃い目の汚れがついて、消しゴムでもなかなか汚れが落ちないという場合には、塩素系漂白剤を水で薄めて、布で拭き取ってみてください。ここで注意してほしい点は、漆喰は水酸化カルシウムが主成分のため、アルカリ性です。そのため、酸性の洗剤は絶対に使用しないでください。
2-4.漆喰壁メンテナンスの注意点
現在、すでにおうちの外壁が漆喰壁という方が、メンテナンスをおこなう際に漆喰の上から他の塗料を塗ることを検討されている場合は、注意が必要です。
普通の塗料を塗ると、1~2年で剥がれてしまう恐れがあります。以下の塗料は漆喰に合った塗料として代表的なものです。
漆喰の上から塗料を塗る際には、塗料のどれでも良いというわけではないので、漆喰に合った塗料を選定しましょう。
◆関西ペイント株式会社 【アレスシックイ】
http://www.kansai.co.jp/shikkui/
◆日本ペイント株式会社 【ケンエース】
https://www.nipponpaint.co.jp/biz1/building/products/prd_13.html
参考:ケンエース使用の漆喰塗装工事:プロタイムズ久留米店
2-5.漆喰壁を補修する費用は5,000円~/㎡
漆喰を補修するには、漆喰の劣化状況によって補修方法が変わってきます。
漆喰部分にクラックが入っていても、そのクラックがどこから始まっているのかによって、対処方法が丸っきり変わってしまうのです。
漆喰の表面のみにクラックが入っているのであれば、その部分のみを補修することもできますが、
劣化が激しい場合、漆喰部分の下の土壁部分にもクラックが入っている場合には、既存の漆喰を全て取り除いて下地作りと漆喰の上塗りをおこなわなければなりません。
部分補修で、上から漆喰を塗り重ねる場合には、3,500円~/㎡、既存の漆喰を取り除き新しい漆喰を塗る場合には、5,000円~/㎡がかかります。
劣化の状況によって補修方法が変わりますので注意が必要です。
参考出典:落合左官店:http://www.ochiai-sakann.com/sekou/rifo-mu/gaiheki/
2-6.番外編!屋根の漆喰部分の補修方法とその費用
漆喰は外壁だけでなく、屋根の瓦部分にも使用されています。屋根の漆喰部分が崩れてしまうと、中から砂が出てきて棟が外れてしまう場合があります。そしてその部分から屋根内部に雨水が浸入します。そのため、屋根の漆喰部分が崩れてしまっている場合は、補修をするようにしましょう。
屋根漆喰部分の劣化
画像出典:プロタイムズ八幡西店
とは言っても、屋根の漆喰部分はなかなか自分で確認はできません。おうちのメンテナンスは約10年に1度おこなった方がよいとされています。屋根の上は自分で確認をするのは危険ですので、外壁や屋根の塗替えを検討されている時に、専門業者に屋根の上を確認してもらうようにしてください。
補修は、劣化した漆喰を全て綺麗に取り除き、新しい漆喰を詰めるだけの流れですが、既存漆喰を取り除く際は、古い漆喰が残ったまま新しい漆喰を詰めても、すぐに剥がれてしまいます。そのため、補修の際には必ず既存漆喰が全て取り除かれるのかを確認するようにしましょう。
漆喰補修工事
画像出典:プロタイムズ久留米店
そして実際に漆喰部分を補修するとなると、劣化の箇所によって差が出てきますが、2万円~が相場となります。
3.外壁を漆喰風にする方法
「漆喰壁にあこがれるけど、費用が高いし予算的に漆喰壁にできない・・・」
「できるだけ安く漆喰風に仕上げたい」
と思われている方に、オススメなのがこれです!
◆アイカ工業株式会社 【ジョリパッドシリーズ】
http://www.aica.co.jp/products/fill-w/jolypate/
◆菊水化学工業 【グラナダシリーズ】
http://www.kikusui-chem.co.jp/products/detail/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%8A%E3%83%80
こちらの製品は、漆喰風に仕上がる塗料です。しかし見た目が漆喰風になるということなので、耐久年数は漆喰ほどではありません。定期的な塗替が必要です。
しかし本物の漆喰よりもリーズナブルに漆喰風の壁を楽しむことができますので、専門業者に問い合わせてみるとよいでしょう。
4.DIYで漆喰壁にする方法
「外壁を漆喰壁にしたいけど、DIYでおこないたい!」
「今の漆喰壁が劣化しているから、劣化している部分だけ自分で補修したい!」
など、漆喰壁をDIYでおこないたいと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
実際、漆喰は施工が非常に難しいものです。
しかし最近では、誰でも簡単に漆喰を塗ることができる商品も発売されていますので、漆喰のDIYを検討されている方は、簡単に施工できる商品を選ぶとよいでしょう。
4-1.DIYでの施工手順
こちらでは内壁・外壁のDIY用の漆喰を販売している日本プラスター株式会社のうま~くヌレールの施工手順をご紹介します。
①外壁の汚れを落とす
漆喰を塗りたい部分のホコリや苔、カビを高圧洗浄機やブラシで落とします。
②養生
柱や幅木・ドア枠・窓枠・廻り縁と壁面との境目、いわゆる壁際に、マスキングテープを使って養生します。まずは、壁際から2~3mm離して、マスキングテープを貼ります。テープはピンと伸ばして貼り、貼り終えた後はテープがしっかり付着するよう、テープを指で押さえてください。尚、貼ったマスキングテープは、うま~くヌレールの2回目の塗りを塗り終えた直後に、必ず剥がしてください。
③下塗りをおこなう
下地が透けて見える程度の薄さで、うま~くヌレールの下塗り用を塗ります。
④漆喰を壁に塗る
下塗りの翌日以降に、うま~くヌレールの仕上げ用を全面に薄く塗ります。
こてを壁面にこすりつけるように、左から右、下から右上に塗ります。
その後、1回目の塗りから1~2時間して、うま~くヌレールの仕上げ用をもう一度薄く塗り重ねます。
⑤コーナー部分を塗る
入隅・出隅ともに、専用のコテを使用し、漆喰を平滑にします。
これで漆喰壁の施工は完成です。
日本プラスター株式会社のサイトにより詳しく施工手順が記載されていますので、漆喰のDIYに挑戦される方は参考にされてみてください。
4-2.DIYで漆喰壁にできる商品
先ほどご紹介した日本プラスター株式会社の漆喰うま~くヌレールの他にも以下のような商品もあります。
商品によって施工手順は多少変わりますので、使用する商品の施工手順通りに施工をおこないましょう。
◆ロイヤル通販 漆喰塗料 外壁用
http://item.rakuten.co.jp/royal3000/a650/
◆有限会社坂本塗装 【ヨーロピアン】
http://www.nuri-kabe.net/item/index.html
また漆喰でDIYをおこなうには、漆喰だけでなく道具も大事です。
こちらのサイトでは漆喰DIYをおこなう際の道具セットも販売されております。
◆LOHAS WALL(ロハスウォール) 【塗りコテ道具セット】
http://www.lohaswall.com/products/set_tool_16.php
DIYで漆喰を塗る場合でも、内壁用と外壁用の商品がありますので、用途に合わせて選ぶようにしましょう。
4-3.外壁をDIYで漆喰に施工する際の注意点
漆喰が固まるまでは、湿気は厳禁です。外壁に使用の場合は、塗り付け後1週間程度は雨に当らないように、養生するようにしましょう。
また外壁に白色以外を使用した場合は、白い粉が吹く白華現象が起こる場合もあります。外壁にて使用する場合には、白色もしくは淡色系のものを使用するとよいでしょう。
また寒冷期に施工することはオススメできませんので、暖かい時期におこなうようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。漆喰は和風なおうちにも、洋風なおうちにもぴったりの外壁材です。漆喰を塗るだけで、おうちの雰囲気もガラリと変わります。ですが漆喰もメンテナンスをおこなわなければ、すぐに劣化してしまいますので、定期的なメンテナンスをおこなうようにしましょう。
1.漆喰は耐久年数は長いが、定期的なメンテナンスが必要な建材
2.漆喰のメンテナンスには、壁の補修で5,000円~/㎡、屋根の補修で2万円~
3.漆喰風に仕上がる塗装で漆喰の気分を味わえる
4.漆喰をDIYで簡単に施工できるキットがある