「家の壁がかなり劣化しています。早めに塗り替えないと危ないですよ」と、突然やってきた外壁塗装の営業員に言われて、この言葉を信用していいものか悩んではいませんか?
悲しいことですが、外壁塗装に関する訪問営業のトラブルは数多く存在します。しかし、訪問営業で訪れる担当者が必ずしも、みな悪質というわけでもありません。ポイントをおさえておけば、適切な値段で質のいい工事を提供してくれる営業員を見抜くことができます。
費用を安くしてくれるからといって、いい営業員とは限りません。ただ単純に、塗料や工事内容の質を落として安くしている場合や、最初は安く見積もっておき、後から新しく修繕箇所がでてきたと偽り、追加で高い修理費を請求されるケースもあります。
この記事では、信用できる外壁塗装の営業員を見抜くためのポイントや悪い営業員の特徴も載せておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 信用できる外壁塗装の営業員を見抜く3つのポイント
では、さっそくどんな営業員なら信用できるのか、ポイントを見ていきましょう。
ポイント① 資格を持っている営業員
渡された名刺などに、「外装劣化診断士」または「雨漏り診断士」という資格が載っていたら、塗装に関する知識に関してかなり信用できる営業員と言えます。本当にこの資格を持っているのか不安に思う場合や他の資格が載っていた場合などには、営業員に直接この資格はどんなものなのか聞いてみるのもいいでしょう。曖昧な答えしか返ってこない営業員は、本当にその資格を持っているのか怪しいですよね。信用できる営業員であればわかりやすく説明してくれるはずです。
外装の劣化状態を的確に診断する「外装劣化診断士」
「外装劣化診断士」は、一般社団法人住宅保全推進協会認定資格です。住宅診断の基礎的な知識を身につけ、住宅の屋根、外壁などの外装部分の劣化状況の基本的な調査、診断と補修、改修工事等の対策について提案を行なうことができる資格です。新築が減少し、住宅メンテナンスやリフォームの需要が大きく増加したものの住宅の維持管理に置いて、消費者の立場から的確な建物診断を行なう人材の育成が未だ不十分であるという日本の住宅事情が背景にあります。
雨漏りの原因特定に秀でた「雨漏り診断士」
「雨漏り診断士」は、特定非営利活動法人雨漏り診断士協会が認めた雨漏り診断のプロが持つ資格です。雨漏りの原因は、建築時の施工不良から経年劣化、または突風などの自然災害によるものと多岐にわたり、特定がかなり困難です。「雨漏り診断士」の資格を持つ営業員は、建築の基礎知識から内部に雨水が入らないようにするための仕組み、そして雨漏り診断の実例・実務といった豊富な知識を持って、雨漏りの原因を探ることができます。
ポイント② 劣化箇所を具体的にわかりやすく説明してくれる営業員
「外壁がかなり劣化しているので修理が必要です」と曖昧に答えておいて、後から別の箇所にも劣化が見られたと高い追加料金を請求しようとたくらむ営業員もいます。そんな営業を避けるためにも、家の劣化状況やそれに伴ってどんな工事を行うのかしっかり説明してもらいましょう。
信用できる営業員であれば豊富な知識を利用して、「外壁のどこそこにひび割れが何か所あり、そこから雨水が浸入する可能性があるので、ひびに追随する伸縮性のある塗料を塗るといいでしょう。」など、しっかり答えてくれるはずです。家の塗替えには何百万もの大きな費用がかかりますし、なんていっても毎日を過ごす大切な家に関わることですから、わからないこと・気になることは納得するまで質問してもいいと思います。嫌な顔をするような営業員は論外ですが、そこまでいかなくともいつまでたっても質問に対する返答がない営業員は要注意です。契約前から返答がないようだと、契約後さらに返答のスピードが落ちる可能性が高いです。
ポイント③ お家の劣化状況に即した提案をしてくれる営業員
お客様のためといっても、極端な値下げをするような営業員には充分気をつけましょう。足場代や人件費などどうしても削れない、削ってはいけない費用もあり、最終的にお客様の利益にならない工事を提供される場合があります。しかし、築10年以内の建物や突風などによる雨漏りなど、場合によって保険や補償によりほぼ0円で工事ができるケースもあります。そういった提案をできる営業員は知識もありますし、お客様の利益を最優先に考えていると言えます。
2. 外壁塗装の営業を受ける上での注意点
2-1 実際にあった訪問営業による外壁塗装の失敗事例
具体的に、訪問営業による外壁塗装の失敗事例にはどんなものがあるのでしょうか。消費生活センターに寄せられた事例をいくつかご紹介いたします。
◆次から次に工事の契約を勧められが、必要性のない工事だった。
「屋根の漆喰が崩れているので雨漏りの危険性がありますよ」と訪問してきた営業員に言われ、不安に感じたので工事の契約をした。そして、その工事初日、確認のため屋根裏も見せてほしいと頼まれ見せたところ、瓦の重さで屋根がゆがんでいると別の工事を進められ、それから床下にカビが大量に発生している、浴室が浸水しかけていると次から次に工事の契約を進められた。しかし、実際の家の状況はいたって健全な状態であった。
◆安く工事してもらったが、質の低い塗料を使われていた
近所で外壁塗装リフォームを行なっているので今一緒にやれば安くできる、さらに足場をかけないので半額で工事ができると訪問セールスに来た営業員の話を聞いて塗替え工事を依頼。数年後、外壁の状態がひどく悪くなり、保障期間内だったため営業の電話はすでに使われておらず、行き先も不明。仕方なく他社に外壁を調査してもらったところ、当初の約束より質の低い塗料が使われていたことが判明した。
◆訪問営業と契約し、代金を支払ったが業者と連絡がつかない
突然業者が来訪し、「屋根がずれている」、「雨が降ると大変だからすぐに直す必要 がある」と屋根の補修工事を勧誘した。業者に言われるままに屋根工事の契約を結び、工事代金を支払ったが、契約書はなく、領収書しかない。領収書に記載の連絡先に電話をしたが、 つながらない。
2-2 その場で契約させようとする営業には要注意
「早く塗り替えた方がいいですよ」「すぐに直す必要がありますよ」「今日契約していただければ安く工事を行ないますよ」と、急かすような営業員とその場で契約というのは極力避けましょう。口頭での契約はもってのほかです。言っていたことと違う工事内容や価格になってしまう可能性があります。
もし契約してしまっても、心配する必要はありません。訪問営業の場合、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフにより無条件で契約を解除できます。なので、かならず契約書や工事内容や価格について記載された書面、見積書などはしっかりもらっておきましょう。さらにクーリング・オフについて、口頭の確認だけではなく、書面に記載されているかも確認しておくと安心です。
2-3 大幅な値引きをしてくる営業にも注意
大幅な値引きは、期間限定やキャンペーンを装ってその場で契約させようと営業員が使う手段のひとつです。安くなるとうれしいですが、大幅な値下げをされたときは一度なぜそんなことができるのか聞いたり、見積りを出してもらい考えてみたりすることが大切です。工事費用は、家の劣化状況や塗装面積、材料費によって変わってきますし、人件費などの必要経費も加わり、定価というものがないので、複数の会社から見積りをとって比較してみることで適正な価格を導き出せる可能性が高くなります。
2-4 「工事一式」の見積書に要注意
営業員の良し悪しは、見積書からも判断することができます。工事見積もりの項目が「工事一式」と見積もり金額だけの場合は気をつけましょう。塗装してもらえると思っていた箇所が含まれていなかったり、反対に頼んでいない工事が含まれていたりトラブルに発生する可能性がかなり高いです。どのメーカーのどんな塗料を、どれくらいの範囲(塗料面積)にどれだけの缶数(量)で塗装するのかわかる見積書がベストです。「諸経費」など何に関する価格なのかわからない項目があった際には詳細を確認しましょう。
見積りや見積書の見方についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください
3. おかしいな?と思ったら、きっぱりと断る
これまでの記事を参考に、信用できないなと感じた営業員には「必要ないです」「やらないので」と断ることが重要です。それでも、キャンペーンやいまでしかできない値引きなどを推してくる営業員はきっぱりと断りましょう。悪質業者の手口と対策は下記の記事も参考にしてください。
【保存版】知らないと損!悪徳リフォーム業者の手口と絶対に騙されない為の全知識
営業員のセールストークや工事内容に不審を感じたり、トラブルに発展してしまったり、どこに相談していいかわからなくなったときは、最寄りの消費生活センターや住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談するのも一つの手です。住宅リフォーム・紛争処理支援センターには「住まいるダイヤル」という電話相談窓口もありますので、困った際にはぜひ利用してみてください。
「住まいるダイヤル」
電話番号:0570-016-100
※PHSや一部のIP電話からは、03-3556-5147
受付時間:10:00~17:00(土、日、祝休日、年末年始を除く)
詳細はこちら→http://www.chord.or.jp/consult_window/index.html
4. まとめ
信用できる営業員を見抜くためには、いい機会だと思って、名刺に載っている資格のことから外壁塗装に関してわからないこと、工事内容・費用まで、どんどん質問してひとつひとつ具体的にしていくことが大切です。さらに、書面としてその具体的な内容を残せたらもしものときも安心です。
玄関先に突然現れた営業員の言葉にあせらず、この記事のポイントを参考に信用できる営業員かじっくり検討してみてください。