外壁材ALC(ALCパネル)は50年を超えて使用することも可能と言われる優秀な建材です。ただし、それくらい長持ちさせるためには定期的な塗装が必須です。仮に定期的に塗装をしなければ、50年はおろか、その半分もしくは1/4も持たずに早々にダメになるでしょう。
定期的に塗装をしないことで生じるデメリットは、ALC外壁がダメになることだけではありません。
ALC外壁を定期的に塗装しなかった場合、雨漏りが起こるリスクが高まるほか、住まい内部にカビ・シロアリなどが発生してしまうことも。さらには、躯体が腐食するようなことになれば、最悪の場合、住まいが早々に寿命を迎えてしまうことも十分に考えられます。このあたりを本章で詳しく解説します。
この記事では、
・ALC外壁には定期的な塗装が必須の理由(1章)
・ALC外壁の塗装タイミングを見極める方法(2章)
・ALC外壁の塗装にかかる費用相場(3章)
・ALC外壁の塗装業者選びのポイント(4章)
・ALC外壁を長持ちさせるために必要なシーリング(コーキング)補修(5章)
などについて徹底解説いたします。
お住まいの外壁がALCパネルの方は、ぜひ参考にしてください。
1.ALC外壁を長持ちさせるためには、定期的な塗装が必須
大前提として知っておいていただきたいのは、ALCパネルという外壁材自体に防水性はなく、塗装をすることで防水性を備えているということです。そのため、ALC外壁の家を建てる際にも、工場で製造したALCパネルを外壁に設置した後、仕上げに必ず塗装をします。
ALC外壁を長持ちさせるのに、“なぜ定期的な塗装が必須なのか”というと、ALC外壁材に施した塗装が永遠に持つわけではないためです。塗装は時間の経過とともに劣化が進行し、次第に防水性も失われていくため、定期的に再塗装することでALC外壁の防水性を維持する必要があるのです。
ALCの主成分はセメントで、かつ無数の気泡があいているため、ALC(パネル)という外壁材自体は特に雨水や湿気を吸い込みやすい特徴があります。そのため、ALC外壁を長持ちさせるためには、塗装が劣化して防水性を失ってきたら早々に再塗装を検討するのがオススメです。
※塗装のタイミングについて詳しくは2章を参照ください。
仮にALC外壁を定期的に塗装しなければ…
防水性が失われていき、雨水の浸入を許すようになります。ALC外壁材自体に雨水が浸み込むと、加速度的に劣化が進行し、ALC外壁は早々にダメになるでしょう。ALC外壁に浸み込んだ雨水は、次第に住まい内部へと浸入し、雨漏りやカビ、シロアリなどを発生させてしまうことも。さらに、躯体が腐食するようなことになれば、最悪の場合、住まいが早々に寿命を迎えてしまうことも十分に考えられます。
雨水で腐食した断熱材
もちろん、必要なタイミングで定期的に塗装をすれば、こうした最悪の事態は防げます。外壁材ALCは定期的に塗装などのメンテナンスをすれば、50年を超えて使用することも可能と言われる優秀な建材であることは間違いありません。
※ALC外壁を長持ちさせるためには、塗装とあわせてシーリング(コーキング)の補修も必須です。シーリングの補修について詳しくは、下記5章を参照ください。
また、ALC外壁を塗装すると、外観は新築時のようにキレイになります。そのため定期的に塗装をすることで、住まいの外観を美しく保つことも可能となります。
[参考]外壁材ALC外壁とは?
画像出典:一般社団法人 ALC協会
ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)=高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート。
そして、外壁材ALC(ALCパネル)は50年を超えて使用することも可能と言われる高耐久性の外壁材。重さはコンクリートの約1/4と軽いため耐震性が高く、気泡に含まれた空気が熱の出入りを妨げるため断熱性が高いのも特徴の一つ。そのほか、耐火性や遮音性にも優れています。
●日本のALCパネルメーカー
・旭化成建材
・クリオン
・住友金属鉱山シポレックス。
2.我が家のALC外壁の塗装時期はいつごろ?すぐに塗装が必要?
ALC外壁は必要なタイミングで定期的に塗装をすることで、長持ちさせることができます。とすると、気になるのは「塗装が必要なタイミングは、いつなのか?」でしょう。
この章では、ALC外壁の塗装が必要なタイミングを見極める3つの方法をご紹介します。
2-1.前回の塗装時に使用した「塗料の耐久年数」で塗装のタイミングを見極める
現在ALC外壁に塗装している「塗料の耐久年数」から、次回のおおよその塗装のタイミングを見極めることができます。たとえば、前回使用した塗料の耐久年数が約7年の場合、約7年前後が塗装のタイミングとなる可能性が高いです。
※ALC外壁には必ず塗装が施されています。新築の場合でも、ALCを設置した後、仕上げに塗装を施しているはずです。
◎前回の塗装時に使用した「塗料の耐久年数」を調べる方法
前回の塗装工事の資料を探してみてください。資料の中に、情報があるかもしれません。家を購入してから一度も再塗装をしていない場合は、(新築・中古問わず)購入時の資料に何等かの手がかりが見つかることもあります。資料が見つからない場合は、塗装工事を担当した業者や家の購入先などに問い合わせてみるのも一つの手です。
※使用した塗料製品さえわかれば、塗料メーカーのホームページをチェックする、塗料メーカーに問い合わせるなどして、「耐久年数」は調べられます。
★住まいの環境などによっては、塗料の耐久年数よりも早く、または遅れて塗装のタイミングとなることもあります。より正確に塗装のタイミングを見極める方法は、以下2-2&2-3を参照ください。
2-2.ALC外壁に劣化症状が見られる場合には塗装が必要
ALC外壁に以下の劣化症状が見られる場合は、塗装が必要なタイミングです。
[塗装が必要なALC外壁の劣化症状]
以下の劣化症状は、ALC外壁が防水性を失いかけているサインです。放置すると、1章にてご紹介した通り、ALC外壁が早々にダメになるだけでなく、雨漏りなどを引き起こしてしまう可能性もあります。
チョーキング | ※拡大写真 塗膜(塗装後にできる塗料の膜)表面のひび割れ |
| コケ・藻などの発生 ※コケや藻が発生し始めてすぐ、かつ部分的な発生の場合は、必ずしも塗装が必要とは限りません。洗浄だけで除去できることもあります。 |
|
以下のような劣化症状が見られる場合は、ALC外壁は深刻な状態かもしれません。すでに住まい内部にまで雨水が浸入している可能性もあります。できるだけ早く塗装業者に診てもらってください。
ALC外壁のひび割れ ※ALC外壁にまで(塗膜だけでなく外壁材にまで)ひび割れが進行している場合 | 塗膜のはがれ |
剥落 | 欠損 |
上記のような劣化症状が見られる場合、塗装だけでなく、+αの補修が必要となる可能性があります。すでに雨水が住まい内部にまで浸入していれば、住まい内部の補修も必要となるかもしれません。
2-3.プロに診てもらえば、より正確に塗装時期を見極められる
プロの塗装業者に診てもらえば、ALC外壁の塗装時期をより正確に見極められます。
プロは、ALC外壁を目視で確認するだけでなく、
・ALC外壁や塗装の状態をルーペで拡大して確認する
・ALC外壁を打診棒で叩き、外壁内部の状態を音で確かめる
といった、より専門的なアプローチでALC外壁を診ます。そのため、今すぐ塗装すべきなのか、まだ経過観察でも問題ないのか、塗装のタイミングがより正確にわかります。
※プロに診てもらうと、見積り(塗装にかかる費用概算)も算出してもらえるため、より現実的に塗装を検討できます。
塗装のタイミングを見誤ると、「しばらくは経過観察でも問題ないだろうと放置してしまった結果、雨漏りが発生して、住まいが大変なことに…」といったことにもなりかねません。
そのため、
・前回の塗装時に使用した「塗料の耐久年数」を経過している(2-1)
・ALC外壁に劣化症状が見られる(2-2)
・「もしかすると、塗装のタイミングかも?」と思うところがある
といった場合は、ひとまずプロの塗装業者に診てもらうのがオススメです。
ALC外壁の状態などを診るだけなら、無料で対応してくれる塗装業者も少なくありません。
本サイトを運営している株式会社アステックペイントの住宅塗装のサービスブランド「プロタイムズ」でも、建物診断の依頼を無料で受け付けています。お気軽にお問合せください。
3.ALC外壁塗装にかかる費用相場
ALC外壁の塗装にかかる塗装費用の相場は下記の通りです。
■ALC外壁|塗装費用の相場
80~150万円 (一般的な2階建て住宅/塗り面積200㎡)
※屋根塗装含まず
※上記はあくまで相場価格です。
※住まいの大きさ(塗装するALC外壁の面積の広さ)や劣化の進行具合(必要な補修工事)、選ぶ塗料の種類などによっては、価格が上記と大きく異なることもあります。
※あわせて屋根塗装もする場合、別途、費用がかかります。
4.ALC外壁塗装に失敗しないためには、業者選びが重要
ALC外壁塗装に失敗しないためには、塗装業者選びが非常に重要なポイントとなります。
ずばり、ALC外壁の塗装は、“ALC外壁の塗装実績が豊富にある”塗装業者に依頼をすることを強くオススメします。実績がある塗装業者の方が、経験にもとづく確かな知識や技術力を持ち合わせている可能性が高いことは間違いありません。
ALC外壁の塗装実績がない、もしくは、ほとんどない塗装業者に依頼をしてしまうと、(塗装業者の)知識不足や経験不足のために、キレイに仕上がらない、なんらかの施工不良が発生するなどのリスクはどうしても高まります。
ポイントとなる実績がなぜ「外壁塗装の実績」ではなく、「ALC外壁塗装の実績」なのかというと、塗装する外壁材の種類によって、「選ぶべき塗料の種類」「塗装方法」「気をつけるべきこと」などが異なることもあるためです。当然、ALC外壁を塗装する場合には、ALC外壁塗装用に選ぶべき塗料、ALC外壁ならではの塗装方法、気をつけるべきことなどがあるのです。
もしかすると、「そもそもALC外壁塗装の実績がない塗装業者など存在するのか?」という疑問を持たれる方もいるかもしれません。
日本の外壁の多くは、モルタルやサイディングです。ALCパネルは優秀な建材ですが、ALC外壁の住まいはさほど多くないため、「ALC外壁の塗装工事をしたことがない」「ALC外壁の塗装に慣れていない」といった塗装業者も存在します。それゆえ、塗装業者を選ぶ際には、ALC外壁塗装の実績がどのぐらいあるのかを確認する必要があるというわけです。
ALC外壁の塗装実績については、ホームページやパンフレットなどで確認できます。情報が見つからない場合は、塗装業者にずばり聞いてみるのも一つの手です。
5.ALC外壁を長持ちさせるためには、定期的なシーリング(コーキング)補修も必須
5-1.定期的なシーリング(コーキング)補修が必須の理由
画像出典:プロタイムズ群馬高前店
ALC外壁を長持ちさせるためには、定期的なシーリング(コーキング)補修も必須です。
※シーリングは、ALCパネルとALCパネル、ALCパネルと窓の接合部分に使用するゴム状の材料のことです。
シーリングには様々な役割がありますが、シーリング箇所から雨水が浸入しないように「防水性を維持する」ことも役割の一つです。
ところが、シーリングも塗装と同じく永遠に持つわけではなく、時間の経過とともに劣化が進行し、防水性を失っていきます。そのため、定期的に補修をして、防水性を維持する必要があるのです。
仮にシーリングを定期的に補修しなければ…
防水性を失っていき、防水性を失ったシーリング箇所から雨水が浸入するようになります。浸入した雨水は、構造上、ALC外壁に浸入します。ALC外壁に雨水が浸み込むと、加速度的に劣化が進行し、ALC外壁は早々にダメになるでしょう。1章でご紹介した通り、雨水は住まい内部へと浸入し、雨漏りやカビ、シロアリなどを発生させてしまうこともあるほか、躯体が腐食するようなことになれば、最悪の場合、住まいが早々に寿命を迎えてしまう…といったことも考えられます。
5-2.シーリング(コーキング)補修が必要なタイミング
以下のような劣化症状が見られる場合には、早々にシーリング補修をすることをオススメします。
ひび割れ | 破断 | 剥離 |
上記の劣化症状は、シーリングが防水性を失いかけているサイン。放置すると、5-1でご紹介した通り、ALC外壁の劣化を進行させてしまうだけでなく、雨漏りなどを引き起こしてしまう可能性もあります。
※ALC外壁塗装とシーリング補修を同時にするのも一つの手!
シーリングを補修する際には、足場を設置する必要があります。シーリング補修だけのために高額な足場を設置するのは大変なため、ALC外壁を塗装するタイミングで、一緒にシーリング補修をするケースは少なくありません。
※ALC外壁塗装が必要なタイミングには、多くの場合、すでにシーリングも補修が必要なタイミングとなっています。
5-3.シーリング(コーキング)の補修方法&費用
シーリング(コーキング)は、「打ち替え」という方法で補修するのが一般的です。
打ち替えとは、既存のシーリング材を取り除いて、新しいシーリング材を充填する方法です。
シーリングの「打ち替え」補修にかかる費用相場は下記の通りです。
900~1,500円/m
※足場を組む必要のある場合は、別途、足場費用がかかります。
まとめ
ALC外壁を長持ちさせるためには、定期的な塗装が必須です。
外壁材ALC(ALCパネル)は50年を超えて使用することも可能と言われる優秀な建材ですが、定期的に塗装をしなければ早々にダメになることは間違いありません。
ALC外壁の塗装のタイミングは、
・前回の塗装時に使用した塗料の耐久性
・ALC外壁に見られる劣化症状
をチェックすることで、自身でもある程度は見極めることができます。自身でチェックしてみて「もしかすると、塗装のタイミング?」と思う場合や、「自身での判断に不安がある…」といった場合は、プロに診てもらい、すぐに塗装が必要なのか、まだ経過観察でも問題ないのかを正確に見極めてもらうのが良いでしょう。
※本サイトを運営している「プロタイムズ」でも、ALC外壁のメンテナンスについての相談や建物診断、補修・塗装工事の見積りの依頼を無料で受け付けています。お気軽にお問合せください。