外壁の塗装面のひび割れ

家の外壁の塗装面にひび割れ(クラック)を見つけて、
「原因は何!?」「なぜ外壁の塗装面にひび割れが…?」
といった疑問を持った方は少なくないでしょう。

ずばり、外壁塗装にひび割れが発生する主な原因は5つあります。
① 外壁塗装の経年劣化
② 外壁塗装の施工不良
③ 車や電車などの振動
④ 地震
⑤ 住まいの構造の問題など
外壁塗装に生じるひび割れの多くは、①の経年劣化が原因です。早々にひび割れが生じた場合には②の施工不良の可能性もあります。場合によっては、③④⑤などの原因でひび割れが生じることも。このあたりを詳しく解説します。

その他、
・外壁塗装のひび割れを補修すべきかどうか見極める方法
・ひび割れ補修をプロに依頼するのがオススメな理由
・(プロに依頼した場合)ひび割れ補修にかかる費用相場
などについても、徹底解説いたします。

家の外壁塗装のひび割れにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

1.外壁塗装にひび割れ(クラック)が発生する5つの原因

外壁塗装にひび割れ(クラック)が生じる主な原因は、下記の5つです。

原因① 外壁塗装の経年劣化

外壁塗装は時間の経過とともに劣化が進行します。ある程度劣化が進行すると、劣化症状としてひび割れが生じることがあります。

外壁塗装をしてから数年後にひび割れが生じた場合は、経年劣化が原因である可能性が高いです。

外壁塗装に生じるひび割れの多くが、この経年劣化が原因です。
※場合によっては、シーリングの経年劣化が原因で外壁塗装にひび割れが生じることもあります。

原因② 外壁塗装の施工不良

外壁塗装時に施工不良があった(塗装業者による施工内容に不備があった)場合にも、ひび割れが生じることがあります。

外壁塗装をしてすぐ、数ヶ月~1年以内にひび割れが生じた場合には、施工不良が原因の可能性があります。塗装をしてから数年経って生じたひび割れの原因が施工不良であることは、まずありません。

ひび割れを生じさせる施工不良の例は、下記の通りです。

[施工不良の例]

◎乾燥不足
[一般的な外壁塗装の流れ]下塗り⇒(乾燥時間)⇒中塗り⇒(乾燥時間)⇒上塗り
上記の通り、下塗り後、中塗り後には、塗料を乾燥させるための時間「乾燥時間」を必要とします。ちなみに、どれぐらい乾燥時間が必要かは、各塗料メーカーによって製品ごとに定められています。
この乾燥時間を守らず、下塗りや中塗りが乾かないうちに次の工程を進めてしまうと(上から塗り重ねてしまうと)、ひび割れが発生してしまうことがあります。

◎塗料の選択ミス
塗料を選ぶ際に注意しなければならないのが、
・外壁材(下地)と、下塗り塗料の相性
・下塗り塗料と、中塗り・上塗り塗料の相性
(中塗りと上塗りには、同じ塗料製品を使用するのが一般的です)
です。塗装業者の知識不足等により相性のよくない塗料を選んでしまうと、外壁塗装のひび割れや、塗膜の膨れ・剥がれなどの不具合を引き起こしてしまうことがあります。

※上記以外の施工不良が原因で、外壁塗装にひび割れが生じてしまうこともあります。

原因③ 車や電車などの振動

トラック(イラスト)

車(特に大きなトラックなど)や電車などが通過する時には、少なからず振動が生じます。この振動が地面を伝って住まいにも振動を与え、その結果、外壁塗装にひび割れが生じてしまうことがあります。

特に大きな道路沿い、線路の近くなどに住まいがある場合には、頻繁に振動を受け続けることになるため、外壁塗装のひび割れが生じやすい傾向にあります。

原因④ 地震

地震の様子(イラスト)

地震による揺れが原因で、外壁塗装がひび割れることもあります。

この場合、表層の外壁塗装だけではなく、外壁材などもひび割れている可能性が高いです。

原因⑤ 住まいの構造の問題など

・住まいの構造の問題
・地盤の問題(住まいを建てている地盤に弱い箇所があるなどの原因で、住まいが傾いてしまうことがあります)
がある場合にも、外壁塗装にひび割れが生じることがあります。

この場合、地震の場合と同じく、表層の外壁塗装だけではなく、外壁材などもひび割れている可能性が高いです。

[参考]外壁塗装のひび割れの原因は、1つとは限らない

外壁塗装のひび割れは、1つの原因で生じるとは限りません。複合的な原因で、ひび割れが生じることもあります。

例)
・主な原因は経年劣化だが、車の振動の影響も少なからず受けている
・経年劣化によってひび割れが生じやすい環境となっており、地震の発生によって、ひび割れが生じた

2.外壁塗装のひび割れ(クラック)は放っておいて大丈夫?補修が必要?

外壁塗装のひび割れ(クラック)の進行段階によって、補修が必要かどうかを判断するのが一般的です。
以下、「ひとまず経過観察でもOKなひび割れ」「補修が必要な危険度の高いひび割れ」について具体的にご紹介いたします。

2-1.ひとまず経過観察でもOKなひび割れ

ヘアークラックの様子

外壁塗装のひび割れが幅0.3mm未満の場合、ひとまず経過観察でも問題ありません。
※幅0.3mm未満のひび割れのことを、「ヘアークラック」と言います。

ただし、幅0.3mm未満のひび割れも、時間の経過とともに、いずれは大きなひび割れに進行する可能性もあります。そのため、ひび割れが大きくなっていないか、今後も定期的にチェックをする必要はあります。
もしくは、幅0.3mm未満のひび割れの段階で、早々に補修をしてしまうのも一つの手。塗装業者に依頼をしても良いですし、幅0.3mm未満のひび割れであれば自身での補修も可能です(詳細は4章参照)。

ちなみに、ひび割れの幅は「クラックスケール」という道具で測定するのがオススメです。クラックスケールは、ホームセンターやインターネット等で購入できます。
ひび割れの幅の計測をしている様子

2-2.補修が必要な危険度の高いひび割れ

①幅0.3mm以上のひび割れ

幅0.3m以上のひび割れのイメージ

外壁塗装のひび割れが幅0.3mm以上の場合は、補修を検討しましょう。

ひび割れの問題は、見た目が悪いだけではありません。
ある程度、ひび割れが大きくなると、次第に雨水の浸入を許すようになります。外壁材に雨水が浸み込めば、外壁材は加速度的に傷んでいきます。さらに、躯体にまで雨水が浸入してしまうと、雨漏りが起こる可能性が高まるほか、カビやシロアリなどが発生してしまうことも。躯体の腐食が進むと、最悪の場合、早々に住まいの寿命を迎える…なんてことにもなりかねません。

ひび割れは放置するほど、進行して幅も広がっていき、ますます雨水が浸入しやすい状態となる可能性大。そのため、現在、ひび割れが幅0.3mm以上の場合は、早めに補修をすることをオススメします。

②外壁材までひび割れている場合

外壁材にまでひび割れが進行している場合は、早々に補修が必要となります。
場合によっては、ひび割れ補修だけでなく、外壁材の補修もしくは外壁の張り替え、外壁内部の補修等が必要となることもあります。

※地震や住まいの構造の問題などが原因でひび割れが生じている場合には、住まいの躯体等にまで影響が及んでいることも。その場合、躯体の補修など、大がかりな補修工事が必要となる可能性もあります。

2-3.自身で判断がつかない場合はプロに診てもらうべし

外壁の劣化診断をしている様子

「外壁塗装のひび割れ補修が必要かどうか、自身では判断がつかない」という場合は、プロの塗装業者に診てもらうのがオススメです。“自身で誤った判断をして、ひび割れ補修をせずに放置した結果、住まいが大変なことに…”ということもあるため、少しでも疑問や不安がある場合には、ひとまずプロに診てもらうのが良いでしょう。

プロは、目視以外にも、専門的なアプローチで外壁を診ます。
▼プロの外壁調査(診断)内容例
・外壁塗装や外壁の状態をルーペで拡大して確認する
・外壁を打診棒で叩き、外壁内部の状態を音で確かめる ほか

そのため、ひび割れ補修をすべきかどうか、自身でチェックするよりも正確に判断ができるのは間違いありません。あわせて、ひび割れ補修にかかる費用(見積り)も算出してもらえるため、(プロに診てもらうことで)補修をするかどうか、いつ補修をするか、より現実的に検討することができるはずです。
※プロに診てもらうと、ひび割れ以外の劣化症状や補修の必要有無なども提案してもらえます。

外壁を診るだけなら、無料で対応してくれる塗装業者は少なくありません。
本サイトを運営している株式会社アステックペイントの住宅塗装のサービスブランド「プロタイムズ」でも、診断と見積りは無料で実施しています。
無料の建物診断を依頼する|プロタイムズ

3.外壁塗装のひび割れ(クラック)はプロに依頼すべき?費用は?

3-1.外壁塗装のひび割れ(クラック)補修はプロに依頼するのがベスト

幅0.3mm以上のひび割れ補修はプロに依頼をするのがオススメです。

幅0.3mm以上のひび割れとなると、補修方法は、ひび割れの原因や状態、また外壁材の種類によっても変える必要があります。このあたりを見誤って、間違った方法で補修をしてしまうと、
・外壁材を傷めてしまった
・外壁内部の補修が必要だったが、表面のひび割れ補修しかしていなかったために、躯体の腐食が進んでしまった
などの事態を引き起こしてしまう可能性も十分にあります。

そのため、幅0.3mm以上のひび割れについては、プロに依頼をするのが安心です。

※幅0.3mm未満の軽微なひび割れであれば自身での補修も可能です。ただし、ひび割れが地面から手の届かない高所にある場合には、高所作業となるためプロに依頼をしましょう。脚立などにのっての作業等は大変危険なので、絶対にやめてください。

3-2.ひび割れ(クラック)補修の費用相場

お金と家が並んだ画像

ひび割れの補修にかかる費用は、補修内容によって異なります。

◎ひび割れ補修の費用相場:2,000~3,000円/m程度 
※足場を建てる場合、別途、足場費用がかかります。
※上記はあくまで目安の価格です。補修方法等によっては、上記と実際の価格が大きく異なる可能性も十分にあります(補修方法は、外壁材やひび割れの進行具合によっても異なります)。
※「どのぐらい費用がかかるか」が知りたい場合には、塗装業者に診てもらい見積りを提示してもらってください。

ひび割れ補修をすると補修跡がのこります。そのため、
「補修跡を残したくない」
「ひび割れが多数発生している」
といった場合には、あわせて外壁塗装をするのがオススメです。

中塗り

外壁塗装をすると、補修跡は見えなくなり、外観は新築時のようにキレイになります。
外壁を施工してから(もしくは前回の外壁塗装から)時間が経過しており、ひび割れ以外にも劣化症状が進行している場合にも、外壁塗装を検討するのが良いでしょう。

◎外壁塗装の費用相場:80~150万円(一般的な2階建て住宅/塗り面積200㎡)
※屋根塗装含まず

また、ひび割れが大きく進行している場合には、
・住まい内部の補修(費用相場:補修内容によって費用は大きく異なる)
・外壁材の張り替え(費用相場:200万円~)
などをすることもあります。

さらに、地震や住まいの構造の問題などが原因でひび割れが生じている場合には、躯体の補修など、大がかりな補修工事(費用相場:補修内容によって費用は大きく異なる)が必要となることもあります。

3-3.ひび割れ(クラック)の原因によっては補修費用が無料に!?

ひび割れの原因によっては、補修費用が無料になる可能性があります。

●「 外壁塗装の施工不良」が原因の場合
塗装業者に明らかな落ち度があれば、無料で対応してもらえる可能性はあります。
外壁塗装をしてすぐ、数ヶ月~1年以内にひび割れが生じた場合には、ひとまず、外壁塗装を施工した塗装業者に相談をしてみてください。

屋根&外壁塗装に納得いかない!?やり直してもらうことは可能?

●「 地震」が原因の場合
地震によって外壁材にひび割れが発生した場合等には、地震保険等がおりる可能性があります。地震保険等に加入している場合には、適用要件などを確認してみてください。
[参考]財務省HP

●「住まいの構造の問題など」が原因の場合
住まいの構造の問題や地盤の問題でひび割れが発生している場合には、ひとまず売主等に相談をしましょう。住まいの構造や地盤などに問題があれば、無料で補修してもらえる可能性もあります。

[参考]業者とのトラブル等が発生した場合には第三者機関へ相談を

「施工不良の可能性が高いと思うのだけれど、塗装業者がとりあってくれない」など、困った状況になってしまった場合には、第三者機関に相談をするのがオススメです。

・公共財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」
国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口

・消費生活センター
消費生活全般に関する苦情や相談の窓口

・全国の弁護士会での専門家相談
最寄りの弁護士会で弁護士と建築士との対面相談を無料で利用可

4.[参考]ひび割れ補修方法

参考情報として、代表的なひび割れの補修方法をご紹介します。

●フィラーすり込み
ひび割れの表面に、微弾性フィラーと呼ばれる材料をすり込む。

フィラーすり込みに関するもの

●Uカットシーリング処理
ひび割れ箇所をU字にカットし、カットした部分に専用プライマーを塗布、シーリングと呼ばれる材料を充填。さらに樹脂モルタルと呼ばれる材料等で、表面を平滑に仕上げる。

Uカットシーリング処理

※上記以外にも、ひび割れ補修方法があります。詳しくは、以下記事も参考にしてください。

外壁のひび割れが心配な方へ!補修方法大解説(業者&DIY)

◎自身でひび割れを補修する場合
DIY向けの補修材を使用して、ひび割れを補修します。
DIY向けの補修材は、スティック状のセメントをすり込むタイプ、スプレー状のセメントを吹き付けるタイプ、セメントを注入するタイプなどがあり、各タイプによって、また各製品によってもやり方が異なります。具体的な補修方法(やり方)については、各製品の説明書などで確認してください。

まとめ

家の外壁の塗装面に発生したひび割れ(クラック)について、原因や補修の必要性の有無の判断の方法、費用まで解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

特に、補修の必要性の有無については、実際の状況をよくご確認ください。
ひび割れの幅が0.3mm未満の場合、ひとまず経過観察でも問題ありません。
幅が危険度の高い0.3mm以上の場合は、補修を検討することをオススメします。

そして、その補修の必要有無について自身で判断がつかない場合は、プロの塗装業者に診てもらいましょう。診るだけなら無料で対応してくれる業者も少なくありませんので、気軽に相談してみてください。

もし「補修が必要」という診断結果が出た場合には、正しい補修工事を行うためにも、同じくプロの塗装業者に依頼することをご検討ください。