現在、外壁塗装の「臭い」に悩まされている方、また過去悩んだ記憶のある方もいるのではないでしょうか。
外壁塗装というものには多かれ少なかれ臭いがつきものです。場合によっては人体に影響が出てしまうこともあります。
なぜそんな臭いが発生してしまうかというと、その要因となっているものは外壁塗装時に必ず使用する「塗料」なのです。
本記事ではそんな外壁塗装真っ最中、または過去に外壁塗装した際に「臭い」に気になった方・またその臭いに悩んでいたり、過去悩まされたりした方もいる方へ、その発生要因と対策をお伝えいたします。
1. 臭いの対策法~現在外壁塗装中の方へ~
皆さんが最も気になるのはやはり臭いをどう対処していけばいいのかというところかと思います。
前段でもお伝えしたように、臭いの発生要因は「塗料」です。またどの塗料にも臭いはつきものですが、塗料の種類によっても臭いレベルというのが変わってきます。塗料は水が主成分の水性塗料と、シンナーなどの有機溶剤が主成分の油性塗料に分けられます。感じ方は人それぞれで一概には言えませんが、やはりシンナーが入っているという点で油性塗料の方が臭いがきついと感じる方が多いかと思います。
ここではまず現在進行形で自宅の外壁塗装が行われており、すぐにでも対策を打ちたい!という方におすすめの臭い対策法についてまとめてみました。
1-1. マスクを購入する
まず、すぐに取り入れやすいのが、手軽にホームセンターや薬局で購入できる臭い対策用のマスクです。
有機ガス高濃度用防毒マスクといい、「防毒マスク」、「キーメイトマスク」という商品名で販売されています。価格相場は3,000~4,000円ほどで少し高めですが効果は期待できます。
実際にご自宅の塗装現場を間近で確認したいが臭いが気になるのでできない・・・という方はこれを使用することをお勧めします。
画像出典:http://www.mmm.co.jp/ohesd/gas/
しかしこちらのマスクは非常に大きなマスクなので、さすがにずっとはつけられませんし、有効時間が過ぎたり感覚的に息苦さや臭気を感じたりした場合にマスク内の吸収缶を交換する作業が発生します。
よって四六時中つけるには活性炭入の不織布マスクがおすすめです。こちらの価格相場は1,000~2,000円ほどでお求めやすいのも利点です。
画像出典:http://www.mask.co.jp/bouginmask01/kagaku/kagaku01.htm
1-2. 換気する・外に向かって扇風機をまわす
臭いに悩まされる方の多くは、外の臭いを中に入れないよう窓を閉め切っているのに隙間から臭いが入ってきて部屋に溜まるように感じ、結果臭いが部屋中に充満してしまっているという方も多いかと思います。外壁の外側に足場を組み、その周りをネットで覆っているので風通しが悪くなり臭いが溜まっていることも考えられます。
換気をすることでいくらか解消はされますが、ご自宅にあるものでできる対策として外に向かって扇風機をまわし、臭いの流れを外に向けるという方法もあり、実際にやってみるとかなり効果的のようです。
1-3. 塗装中は他のところに住む
妊婦さんや赤ちゃんがいる家庭の方は臭いもですが、シンナー等の影響をできるだけ受けないためにも短期的に他のところに住むことが一番良いと考えられます。実家、親戚の家を頼るか、マンスリーマンションやウィークリーマンションも検討してみるといいでしょう。
2. 臭いの対策法~これから外壁塗装をされる方へ~
これから外壁塗装を検討する、または既にすることは決まっていて、今から塗装仕様等を決めていく方もいるでしょう。ここではそんなこれから外壁塗装をする、という方への事前対策法についてまとめてみました。
何度も申し上げますが、外壁塗装時の臭い発生の要因は使用する塗料にあります。よって使用する塗料を選ぶ際に、臭いをポイントとして選んでみることで施工中の不快感はかなり低減されるのです。ここでは臭いに配慮した塗料を種類別に見ていきます。外壁塗装での使用塗料を決める際に是非参考にしてみてください。
塗料の種類 | 詳細 | オススメ商品 |
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①F☆☆☆☆(エフフォースター)塗料 (上画像はF☆☆☆☆塗料の缶ラベルやパンフレットに記載されている内容) | 人体・環境に配慮した塗料を選びたい方におすすめなのが、ホルムアルデヒドの発散量がゼロか微小で使用制限のない材料を意味するF☆☆☆☆(エフフォースター)塗料です。 ホルムアルデヒドとは濃度によって粘膜への刺激性を中心とした急性毒性があり、蒸気は呼吸器系、目、のどなどの炎症を引き起こし、いわゆる「シックハウス症候群」の原因物質のうちの一つとして知られております。塗料を始めとした建材、家具などから空気中に放出されることがあり、濃度によっては人体に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。 「F☆」マークは、建築基準法規制対象建材のホルムアルデヒド放散速度(放散量)についてその程度を容易に判別できるよう表示をするためのマークで、Fの後につく☆の数に応じて発散量が分かるようにされています。
※下記参考資料:F☆☆☆☆表記の見方 ・F☆☆☆☆:使用面積制限なし | エコフラット70(日本ペイント)、エコホルスF4(関西ペイント)、ガイナ(日進産業)、シリコンフレックス(アステックペイント)
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②匂いつき塗料 | 臭いを消したいというよりもはや良い匂いを出してほしいという方におすすめなのが匂いつき塗料です。 水性塗料の中でも塗装時の臭い対策に特化した塗料で、塗料にバラの香りの芳香を付けており、塗装時の塗料臭が目立ちにくい塗料構造となっています。 | ハナコレクション100水性、ハナコレクション100ファイン、ハナコレクション200UVファイン、ハナコレクション300UVファイン(すべて日本ペイント) |
③自然塗料 | 木目の外壁であり、且つ臭いだけでなく環境や人体への影響にもこだわりたいという方におすすめなのが自然塗料です。 自然塗料は化学技術の多用化によるシックハウス症候群など、室内環境の意識の高まりから見直されてきた塗料で、原料に石油や合成顔料を含まない天然の素材が主原料の塗料です。 しかし現状、日本で自然塗料に明確な定義はないため、ラベルに自然塗料の表記をしながら限りなくシンナー臭がするもの、ドイツ系自然塗料のように柑橘系の香りが強いもの、テルピンオイルの臭いが強いものなど様々あります。 ※自然塗料に関してより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください→安全な自然塗料を選ぶために知っておくべき知識 | オスモカラー(ドイツ:オスモ社)、リボス(ドイツ:リボス社)、バトン(大谷塗料株式会社)、ユーロ(大阪塗料工業株式会社) |
3. 外壁塗装時の臭いって?人体への影響有無
ここまで最も気になるであろう臭いの対策法を見てきましたが、その臭いの正体と、人体への影響についてもまとめてみました。
3-1. “塗料の臭い”とその正体~なぜ臭いが発生するのか~
外壁塗装時の特有の臭いですが、本記事のはじめに記載したように、水性塗料より油性塗料の方が臭いがきつく、シンナーのような臭いがします。
なぜそのような臭いがするかというと、基本的に油性塗料には溶剤としてイソプロピルアルコール、ブタノール、メタノール、キシレンなどのシンナー(有機溶剤)が利用されており、それが刺激臭を引き起こしているからなのです。
では水性塗料であれば臭いはないのか、というと無臭というわけではありません。塗料を安定させるためのVOCが若干入っているためです。VOC とは揮発性有機化合物(きはつせいゆうきかごうぶつ:Volatile Organic Compounds)の略称で、塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナーなどに含まれる物質です。
3-2. 人体への影響はあるのか~大人から子供まで~
ここで気になるのが果たしてこの臭いは人体への影響はないのかという点でしょう。
結論から申し上げますと、影響が全くないとは言い切れません。
近年では1-1でも出てきたVOCの放射量が少ない塗料が多く、環境や人体にも優しくなってきています。しかし100%なくなったというわけではありません。個人の体質やシンナー・VOCの濃度にもよりますが、特に油性塗料を使った外壁塗装時の健康被害の中には、軽度の物でも吐き気、めまい、睡眠障害、頭痛、月経不順などの月経症、目、口(またはのど)、鼻などの粘膜に刺激を感じたり不快感が出たりします。
上記は主に成人した大人に起こる症状ですが、より注意してあげるべきなのは赤ちゃんへの影響です。塗料に含まれるシンナー等の化学物質は、大人よりも赤ちゃんへ強く影響してしまいます。例えば、マニキュアの除光液に含まれる有機溶剤ですら、赤ちゃんへは悪影響です。実際に除光液を塗り終わるまでに赤ちゃんは中毒になり、嘔吐やぐったりしてしまったなどの事例が挙げられています。妊娠中の場合は、母親が吸ってしまったシンナーが濃縮されてお腹の中の赤ちゃんに届いてしまう可能性もありますので、できれば外壁塗装を行うことは避けた方がいいでしょう。
4. 【補足】これから外壁塗装をする方へ 近隣住宅からのクレーム対策法
外壁塗装をする際に忘れがちなのが周囲への配慮です。外壁塗装時の臭いは自身が気になるのと同様に、近隣住宅の人々にも影響を与えます。ここでは補足情報として近隣の方々との関係性を悪化させないためのクレーム対策法をお伝えいたします。
クレームを防ぐためのポイントはただひとつ、「外壁塗装前の近隣への挨拶」です。これは簡単なように見えてとても重大なことなのです。
外壁塗装が行われる前に必ず自ら近隣住宅へ出向き、「○日~○日まで外壁塗装工事を行うので、工事中の音や塗料の臭いでご迷惑お掛けすることもあるかと思いますが、よろしくお願いいたします」と挨拶へ行きましょう。
その際下記のような事項が発生することをあらかじめ伝え、了承を得ることがポイントです。
・外壁塗装時の臭い
・工事用の大きな車が出入りする(小さな子供がいる家庭には必ず伝える)
・足場設置や工事中に大きな音が発生することがある
・足場が建物敷地内に侵入してしまうことがある
一般に家と家の間が離れている環境だとクレームはそこまで起きやすくはありませんが、住宅密集地帯での外壁塗装には特に配慮が必要です。施工業者のみが近隣住宅へ挨拶に行っている光景はよく見かけるかと思いますが、自分で依頼して工事してもらうわけなので施主本人も一緒に挨拶回りをするのが基本です。
5. まとめ
いかがでしょうか。この記事では現在外壁塗装の臭いに困っている方・またこれから外壁塗装をされる方への臭い対策を中心にお伝えしました。ご自身やご家族の健康に関わるものですので、軽く考えずに細心の注意を払うことをお勧めいたします。この記事を読むことで、みなさんの外壁塗装時の臭いに関するストレスが軽減されれば幸いです。