塗料

「塗料って、どれも同じじゃないの?」
「塗料を何種類も提案されたけど、どうせ大差ないだろうから、安いものでOK」

そう思われている方も多いのですが、実は、塗料はどれも同じではありません

なにが違うのかというと、まず耐久性が違います耐久性とは、つまり“持ち”のことで、塗料によって、なんと10年ほど違うこともあります。

性能も違います塗料にはそれぞれ様々な性能が備わっており、どんな性能が備わっているかは塗料によって異なります。そして性能には、たとえば遮熱性や防水性、防汚性、防カビ性など様々なものがあります。

他にも、塗料によって異なるポイントはあるのですが、上記の耐久性と性能の観点で考えただけでも、塗料はどれを選んでも同じではない、ということがわかっていただけるのではないでしょうか。

そうなると、気になってくるのは「じゃあ、どの塗料を選べばいいのか?」ということでしょう。

そこで、この記事では自分の家にぴったりの、かつ予算や要望に合う塗料の選び方をご紹介します。塗料選びに迷っている方は、ぜひご一読ください。

1.【外壁塗料の選び方】「どうやって選べばいいの?」にズバリ回答!

1-1.外壁塗料に迷ったときは『シリコン塗料』を選べば間違いない

「あれこれ比較・検討するのは面倒…」「一番スタンダートな塗料で十分」という方は、シリコン塗料を選ぶのがオススメです。

シリコン塗料は、建築塗料市場において80%のシェアを占める人気塗料。そのため、特にこだわりがないという方は、シリコン塗料を選んでおけば、まず間違いありません。

多くの業者は提案時、「松・竹・梅」のようなイメージで、何種類か性能違いの塗料を提示してくれますが、その中に、シリコン塗料はまず間違いなく入っています。

一口に“シリコン塗料”といっても様々な製品がありますが、「シリコン」に絞るだけでも、余計な選択肢がなくなり、随分とスムーズに選べるようになるはずです。

[シリコン塗料]

■耐久年数:約7~10年

■相場価格(1缶あたり):15,000~40,000円

 

シリコン塗料を提案された際には、上記価格を参照してみてください。製品によっては、上記価格より上下することもありますが、大幅に違う場合は、なぜ「高いのか」「安いのか」を確認してみてください。

1-2.塗料の『耐久年数&相場価格』から考えると失敗しない

「どのような観点で塗料を選べばいいかわからない」という方は、耐久年数&相場価格から考えると、失敗がありません。

塗料は樹脂の違いによって、耐久性が異なります。耐久年数は下記の表を参照ください。

[樹脂別!塗料の耐久年数&相場価格]

塗料耐久年数相場価格 ※1缶あたり
アクリル約3~5年5,000~15,000円
ウレタン約5~7年5,000~20,000円
シリコン約7~10年15,000~40,000円
ピュアアクリル約15年~50,000~70,000円
フッ素約15年~40,000~100,000円
無機約15年~50,000~120,000円
光触媒約15年~50,000~100,000円

※上記はあくまで参考情報。詳細な耐久年数や費用相場は、見積書にてご確認ください。

見積書を手に塗料を比較・検討する際には、価格帯の妥当性もチェックしてみましょう。基本的には、耐久年数の長い塗料ほど価格が高くなる傾向にあります。

[補足情報]価格が安い塗料=お得ではない

上記の[樹脂別!塗料の耐久年数&相場価格]の表を一見すると、アクリルやウレタンがお得に見えますが、実は必ずしもそうとは限りません。なぜならば、アクリルやウレタンを選べば、1回の塗り替え時にかかる塗料代は抑えられるものの、耐久年数が短いために、塗り替え頻度が多くなり、都度、工事代がかかることまで考えれば、かえって費用がかさんでしまう可能性も十分に考えられるからです。

塗料代の費用を考える際には、耐久年数をもとに、塗り替え回数まで含めて考えるのが塗り替え費用を安く抑えるコツです。

1-3.『遮熱性』や『防水性』などの性能にも考慮すべし

塗料を選ぶ際、できれば考慮しておきたいのが、塗料の性能。

塗料の性能には、『遮熱性』や『防水性』、『防汚性』、『防カビ性』などがあります。

性能詳細
遮熱性温度上昇の原因となる近赤外線を反射することで温度上昇を抑える塗料の性能。遮熱性の塗料には、室内の温度上昇を抑えるだけでなく、熱による建物の劣化を抑制する効果もある。

▼遮熱塗料について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
遮熱塗料で涼しく省エネ!~選び方からメンテナンスまで〜

防水性総じて、雨水が建物内部へ浸入することを防ぐ性能を指す。具体的には、雨水が浸透を防ぐ働き、塗膜が伸びることでひび割れから建物内部へ水が浸入することを防ぐ働きなどを『防水性』と総称。

▼防水塗料について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
塗り替え初心者は必読!雨水の浸入を防ぐ「防水塗料」の種類

防汚性汚れの付着を防ぐ働きのこと。防汚性能の一つとして、雨水で汚れを洗い流すセルフクリーニング性能を持ちあわせた塗料も。
防カビ性カビや細菌、藻類の発生を抑える性能。
防錆性錆の発生を抑える性能。

建物を蝕む一番の要因は雨水です。そのため、「どんな性能の塗料を選べばいいかわらかない」という場合は、防水性のある塗料を選ぶのがオススメです。

一つ補足しておくと、塗料が持ちあわせている機能は一つとは限りません。たとえば、「遮熱性・防水性・防汚性に優れた塗料」など、複数の性能を兼ね備えた塗料も沢山あります。

1-4.ニオイが気になる場合は、油性塗料より『水性塗料』

塗料は液状にするために、「水」もしくは「溶剤」が入っています。そして水が入っている塗料を「水性塗料」、溶剤が入っている塗料を「溶剤系塗料(油性塗料)」と言います。ちなみに、水も溶剤も、塗装後に蒸発・揮発します。

水性塗料と溶剤系塗料(油性塗料)は、性能的には一長一短あり、どちらが良いと一概に判断することはできません。

ただし、ニオイが少ないのは、断然「水性塗料」です。特に外壁に使用する塗料のニオイは窓から室内に入り込みやすいため、ニオイに心配・不安のある場合は、水性塗料がベタ―

[補足情報]DIY塗装には、水性塗料がオススメ

DIY塗装で使用する塗料は、水性塗料を選びましょう。

<DIY塗装に水性塗料をオススメする3つの理由>

●理由① ニオイが少ない
 前述の通り、水性塗料はニオイが少ないため、作業中に気分が悪くなるといった心配があまりありません。また、近隣へのニオイ被害のリスクもなく、安心です。

●理由② 取り扱いが簡単
水性塗料は、揮発性溶剤をほとんど含まないため、引火性がなく安全です。そのため、保管時の特別な注意も必要ありません。また、水性塗料のついた刷毛やローラーなどの道具は水で洗うことができます。

●理由③ 室内での使用も安心
シックハウス症候群などの健康被害や大気汚染などの健康被害を引き起こす原因の一つとされるVOC(揮発性有機化合物)の排出量が少ない水性塗料は、多くの製品が室内でも安心して使用できます。

 

▼水性塗料について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
【保存版】水性塗料に関する疑問をすべて解消!

1-5.[参考情報]“塗料メーカーの知名度”と“塗料の性能”の関係性

塗料を選ぶにあたり、「どの塗料メーカーの塗料か」を気にしている方も多いのではないでしょうか。業者に知らない塗料メーカーの塗料を提案され「聞いたことのない塗料メーカーだけど、大丈夫かな…」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

“塗料メーカーの知名度”と“塗料の性能”の関係性はこう、と言い切ることはできませんが、「大手だから安心」「聞いたことがない中小だからダメ」という判断は安易と言えます。なかには聞いたことのない中小の塗料メーカーが、ある性能に特化した塗料では業界随一というケースも

とはいえ、一般の方が、こうした情報までリサーチするのは難しいかもしれません。そこで、提案された塗料メーカーに心配・不安のある場合には、業者にズバリ聞いてみるのがオススメです。その際、塗料メーカーの情報だけでなく、「なぜ、この塗料メーカーの、この塗料を提案したのか」まで踏み込んで確認することで、納得感が得られることもあるでしょう。

下記、主要な塗料メーカーをまとめております。すべての塗料メーカーを網羅しているわけではありませんが、塗料メーカーの一つの情報として、ぜひ参考にしてみてください。

<主要な塗料メーカー>

■エスケー化研
■日本ペイント
■関西ペイント
■アステックペイント
■日進産業
■水谷ペイント
■菊水化学工業

2.外壁塗料を選ぶときには「色」まで検討するのが正解

2-1.塗料の製品によって選べる色が違う!?

はじめに知っておいていただきたいのは、塗料は製品によってラインナップしている色が違うということです。

そのため、「こんな色がいいな」とイメージする色がある場合には、選んだ塗料製品にイメージする色のラインナップがあるか、契約前の見積りの段階(塗料を選ぶ段階)でチェックしておくのがオススメです。

契約した後(塗料を選んだ後)では、選んだ塗料製品のラインナップの中から選ぶより他なくなります。そのため、「色」にこだわりのある場合には特に、塗料を選ぶ段階で「色」まで踏み込んで確認しましょう。といっても、塗料を選ぶ段階では、なんとなくイメージに近しい色があるかどうかを確認する程度で十分です。実際どの色にするかは、契約後に業者と打ち合わせながら決める方が失敗がありません

[補足情報]色選びに失敗しないために知っておきたい基本情報

外壁の色は「好みで選びたい」と思われる方も多いと思いますが、外壁の色選びは好みなどの感覚だけで選ぶと失敗するリスクがあるため、注意が必要です。

失敗してしまう要因はいくつかありますが、最大の要因は、塗料の色見本で見る「色」と、住まいに塗装したときに受ける「色」の印象が大きく異なることにあります

では、どうすれば失敗しないかというと、色を選ぶ前に「色選びの基本情報」を押さえておくことが有効です。

たとえば、“塗料の色見本を見るときに注意すべきポイント”や“色を選ぶときに気をつけるべきポイント”、さらに“何を手がかりに色を選べばいいか”など、色選びに失敗しないための情報がいくつかあり、それを踏まえてさえおけば、好きに色を選んでも「しまった」という結果になるリスクを大きく軽減することができます。


▼詳細な色選びの基本情報について詳しくは、下記のサイトでチェックしてみてください。
カラーコンサルタントが教える!住宅塗装の色選び
絶対失敗しない外壁の色選びの8つのポイント
【全国50事例付き】塗装業者が教える外壁・屋根塗装の色選びで失敗しないための秘訣
外壁のオシャレな色分け35選!色選びのポイントも要チェック!
外壁の人気色を参考に!色選びに失敗しない方法
【外壁塗装の色選び】人気の組み合わせと失敗しない塗り分け方法
おしゃれな外壁大特集!リフォームで外壁を素敵に演出!

2-2.デザイン性のある塗料を選べば、さらにオシャレ感UP

塗料のなかには、塗料自体に意匠性のある「多彩模様塗料」と呼ばれる塗料製品があります。この多彩模様塗料は、「色」に加えて、「素材感」で住まいをデザインすることができます。

[例]多彩模様塗料『グラナートSP(アステックペイント)』

3.押さえておくべき外壁塗装の基本情報

3-1.業者の良し悪しが塗装品質に大きく影響する

どんなにこだわって塗料を選んでも、工事品質に問題があれば、残念ながら納得の仕上りとはなりません。

塗料は、工事をしてはじめて意味がある製品となります。そして、塗料の性能を十分に活かす塗装工事をするためには、それなりの知識や経験が必要になります。

そのため、塗料選びと同じぐらい、もしかするとそれ以上に業者選びは重要です。

▼業者選びについて詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
【塗装業者の見極め方】8つのステップで信頼できる業者を選ぼう!
悪徳業者に注意!外壁塗装の業者選びに失敗しない方法!
信用できる外壁塗装の営業員を見抜く3つのポイント

3-2.塗料代は外壁塗装の約20%

塗料代は、外壁塗装にかかる費用総額の約20%が目安です。ちなみに、その他の内訳の比率は、「施工費(人件費)」が約30%、「足場代」が約20%、そして利益が約30%です。

なにが言いたいかというと、外壁塗装にかかる費用について考えるならば、20%の塗料代だけでなく、50%を占める施工費(人件費)や足場代についても考慮する必要があるということです。

見積書を手にしたら、塗料代だけでなく([1-2.「耐久性で選ぶ」というのも一つの手]参照)、施工費(人件費)と足場代の妥当性も確認しましょう。施工費(人件費)や足場代の妥当性を見極める方法について詳しくは、こちらの記事「外壁塗装の適正価格は?見積額の妥当性を見極める3ステップ」を参照ください。

▼外壁塗装の費用について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
外壁塗装の費用|最新2017年版!塗装のプロが解説!

3-3.外壁と屋根はいっしょに塗装した方がお得!

外壁の塗装をする際には、屋根の塗装もいっしょに考えましょう。なぜならば、外壁と屋根は別々に塗装するより、いっしょに塗装した方が費用が抑えられるからです。

その理由は、足場の費用が大きく関係しています。外壁を塗装する場合にも、屋根を塗装する場合にも、足場が必要になります。そして、その足場に大きく違いがありません。そして、その足場代は、塗装工事費の約20%を占めるほど高額です。

1回の塗り替え費用だけを見ると、外壁だけを塗装した方が安いような印象を受けがちですが、長いスパンで考えれば、外壁と屋根はいっしょに塗装した方が間違いなくお得です。

4.まとめ

「塗料に特にこだわりがない…」という方は、ひとまずシリコン塗料を選ぶのがオススメです。どのシリコン製品にするかは、[1-3.『遮熱性』や『防水性』などの性能にも考慮すべし]を参考に、どんな性能の塗料がベストか業者と相談して決めましょう。

「より自分の家にぴったりの塗料が選びたい」という方は、[1-2.「耐久性で選ぶ」というのも一つの手][1-4.ニオイが気になる場合は、油性塗料より『水性塗料』]を参考に、選んでみてください。

 

また、塗料選びについては、こちらの記事も、ぜひ参考にしてください「【初心者のための外壁塗料講座】プロが教える外壁塗料を選ぶ4つの基準」「マイホーム塗り替え前に知りたい外壁塗料選びの3つポイント