マンション塗装

「外壁塗装中の塗料独特の臭いが気になる」「塗料の臭いに含まれる物質が健康被害に繋がるのではないかと心配」このように考えられている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そもそも塗料の臭いの正体はシンナー成分で、溶剤系塗料に希釈液として含まれています。

このシンナー成分が乾燥時に気化することで塗料の臭いになるのです。

シンナーと聞くと不安になるかもしれませんが、塗料は体に有害な化学物質の規制である「特定化学物質障害予防規則」に則って製造・使用されているため、身体に悪影響を与えないような設計になっています。

それでも「臭い」が気になり始めると、どうにかしたいとストレスを感じてしまいますよね。

そんな塗装中の臭いによるストレスを解消したいあなたのために、本記事では様々な臭い対策をお伝えさせていただきます。

1.マンションの塗装中の臭いを解消するための7つの対策方法

塗料

1-1.塗料の臭いが部屋に入ってくる要因を減らす

冒頭でもご説明しましたが、塗装中の臭いが発生する原因は、塗料が乾燥する際に含まれる成分が蒸発して気体となることです。
この蒸発した成分が空気中を漂い、塗料独特の臭いを私たちは嗅ぎ取り「臭い」と感じています。
なので、下記の要因を減らすことで、塗料の臭いを解消しましょう。

■塗装をしている場所、塗装をしたばかりの場所に近い窓は開けないようにする

塗装したての場所は塗料の成分の蒸発量が多くなるので、付近の窓を開けると臭いが部屋に入ってくる要因になります。

■風通しの悪い立地の地表に近い階層に住んでいる場合は、窓の開け閉めを減らす

塗料の臭いの原因であるシンナーは空気の3倍程度の重さがあるため、低い場所に溜まりやすい性質があります。
そのため、風通しの悪い立地の場合は地表に近い場所に気化したシンナーが滞留している可能性があります。
1階などの低い階に住んでおりなるべく塗料の臭いを軽減したいという方は、窓の開け閉めを減らすことをおすすめします。
また、塗装後も臭いが滞留していると感じられる場合には、塗装業者に相談してみると大型の扇風機などで建物付近の空気を循環させるなどの対応を取ってくれる場合もありますので、相談してみると良いでしょう。

■通気口を必要に応じて塞ぐ

マンションのような密閉された空間には、室内の空気を循環させるために通気口が設けられています。しかし、通気口を通じて塗料の臭いが室内に入ってくることも考えられますので、塗装中には開閉可能な通気口を塞ぐなどの工夫によって、塗装の臭いが軽減されることが期待できます。
また、室外機がカバーで覆われるなどしてエアコンが使用できなくなることもあります。業者に相談することでエアコンを使用できるように工夫してくれることもありますので、室内環境をエアコンで調整したい真夏や真冬には相談してみるといいでしょう。

1-2.部屋の外に部屋にこもった臭いを追い出す

外壁塗装の際には、塗装する側の窓をテープで養生していますが、その隙間から臭いが入ってきてしまいます。


部屋に臭いがこもっていると感じていて、塗装作業場所の反対側(または、塗装箇所から遠い場所)に窓がある場合は、窓を開け換気をしましょう。サーキュレーターや扇風機があれば、窓の外に向けて風を送り出すといいでしょう。

また、マンションの廊下が塗装中で廊下側に換気扇がある場合は、部屋の中に臭いが入ってくる原因になるので使用しないことをおすすめします。

1-3.マスクを使用する

マスク

「臭いがどうしても気になる。」
そんな臭いに敏感で、ひどい場合は頭痛を引き起こしてしまうような方は、マスクの着用がおすすめです。

手軽なものでは、活性炭が臭いを吸着してくれる「活性炭入りの不織布マスク」があります。
300~500円程度で購入できますので、短期間の工事の際などの使用でおすすめです。

また、臭いがどうしても気になる、臭いによる症状がひどいという方は「有機溶剤系の防毒マスク」をおすすめします。
通販などで1,000~5,000円程度で購入できます。

上記のマスクをすぐに手に取れる場所に置いておくと、塗料の臭いを軽減する対策として安心できるのではないでしょうか。

1-4.フィトンチッドを入りの消臭剤を使用する

空気中に塗料の臭いが広がっている場合は、消臭材の中でも「フィトンチッド」入りのものをおすすめします。
フィトンチッドは、樹木が葉や幹から発散している揮発性物質で、空気を浄化・消臭する働きがあります。
また消臭効果だけでなく、脳のアルファ波を増加させる働きもあるため、塗装の臭いがストレスになっている状態を軽減させてくれる効果も期待されます。フィトンチッド入りの消臭剤は、1,600~5,000円程度で購入できます。

他にも、VOC用の消臭スプレーも市販されており、シンナーなどの臭いに効果的にアプローチできます。
VOC用消臭スプレーについては、空気中の臭いの吸着に役立つことが期待されるため、「塗装中」ではなく「塗装後」のシンナーの臭いを消臭する際に使用することをおすすめします。

空気清浄機では臭いは解消できない~

空気清浄機は、空気をきれいにしてくれるのだから塗料の臭いを解消してくれるだろう。そんな風に思えるのですが、空気清浄機では塗料の臭いに対応できないのです。
なぜなら、空気清浄機の仕組みが、内蔵されているファンで空気を吸い込み、空気中の花粉やホコリなどの浮遊物質をフィルターで除去することで空気をきれいにするといったものであり、シンナーのような気体はフィルターでは除去できないためです。
※製品によって構造に差があります。空気清浄機

1-5.洗濯物は家の中に干すかコインランドリーを利用する

外壁塗装中に、外に洗濯物を干してしまうと臭いが洗濯物に付く可能性があります。臭いの原因となる粒子が洗濯物に付着してしまうことが原因として考えられますので、服に塗料の臭いの付着を防ぎたい方は、室内干しかコインランドリーなどの利用をおすすめします。

マンションの外壁塗装の期間としては、50戸未満のマンションであれば1~2ヶ月程度、50戸以上のマンションであれば2ヶ月以上となることが考えられます。臭いをつけたくない衣服はコインランドリー、タオル類は室内干しなどの計画的な利用をするといいのではないでしょうか。

1-6.塗装中は外出する

外壁塗装を行っている日中に外出することも、臭い対策の一つとして挙げられます。長期間の塗装工事になる場合は毎日外出することは難しいと思われますが、定期的に外出することで臭いから一時的に離れられるので、ストレスを軽減できるでしょう。

塗装が昼前に始まった場合は、昼過ぎ頃が最も空気中に漂う臭いの原因となる成分が多くなると考えられます。その期間に外出することで、最も臭いの気になる時間を家で過ごさずに済むため、少しだけ安心できますよね。

また、塗装工事は塗料の乾燥時間を考慮して夕方前までに終わることが考えられますので、夕方以降に帰宅すると更に臭いの少ない家に帰れることが期待できます。

1-7.実家に帰省する・仮住まいを利用する

塗装中の臭いがどうしても気になる場合は、「実家への帰省」や「仮住まいの利用」を、臭いの悩みを抱えずに済む最も確実な方法としておすすめします。

日中、会社や学校などに出かけている人にはいいかもしれませんが、家の中で長く過ごして臭いが気になっている場合は、その積み重ねが大きなストレスにもなり得るのです。可能であれば塗装の期間だけでも実家に帰省する、仮住まいを利用するなど、家族がより快適に過ごせる方法を選んでみるといいのではないでしょうか。

仮住まいについて簡単に知りたい方は、こちらの記事もご参考ください。

リフォーム中の仮住まいの選び方・よくある悩みと解決方法

[塗装前にやっておくとおすすめ]工事のスケジュール表を事前にもらっておく

塗装工事で知っておくと役立つのが、工事のスケジュールです。例えば、塗料を使用する工程ではない期間は塗料の臭いの心配がほとんどなく、塗料を使用する期間を中心に臭いの対策をとることで、臭いに悩まされることを軽減できるのです。
工事のスケジュールは塗装業者にお願いするともらえるはずなので、気になる方は塗装業者に聞いてみてください。

2.犬や猫がいるご家庭でマンション塗装の臭いが気になるときの対策

犬や猫などは臭いに敏感ですから、塗装による臭いによる影響が気になりますよね。ここでは、犬や猫などの家族も安心して過ごすための対策方法をお伝えします。

2-1.塗装中だけ知人・実家・親戚に預かってもらう

ペットの性格にもよりますが塗料の臭いによる影響が気になる場合は、塗装中だけ、知人・実家・親戚に預かってもらうのも一つの手です。少しの間でも離れるのは寂しいかもしれませんが、家族の体調が第一優先と考えると背に腹は代えられませんよね。

2-2.塗装中だけペットホテルを利用する

マンションの外壁塗装の場合、戸建ての建物よりも塗装の工程が長期間になります。そのため、気軽に頼れる人がいない場合、家の中にペットを一人ぼっちにしておくのは不安ですよね。そんな時におすすめなのが、ペットホテルです。

ペットホテルの場合、一時的な利用から長期に渡っての利用まで、プランは様々です。仕事の間だけ預かってもらうことも可能ですし、よりストレスのない環境で生活させてあげたいという場合は1週間以上預かってもらうことも可能です。

ペットホテルの平均利用料金を下記にまとめましたので、利用を検討の際には参考にしてみてください。

動物ごとの一泊の平均料金
小型犬:3,000~4,000円

中型犬:3,500~4,000円

大型犬:5,000~6,000円

猫:3,000~7,000円

うさぎ:1500~3,000円

3.どうしても塗装の臭いが気になる方へ|知っておくと安心できる3つの知識

「安全だとはわかっていても、どうしても臭いが気になる。」
塗料の臭いは普段から身の回りにあるわけではないので、臭いに敏感になってもしょうがないですよね。
ここでは、そのように心配されている方の塗料の臭いへの不安感を払しょくするための知識をご紹介します。
塗料の臭いがしても、必要以上に不安にならないための安心材料になれば幸いです。

3-1.外壁塗装に使用される主流な塗料は水性塗料

外壁は居住空間に近いので塗装中に、塗料の臭いが気になる方もいるかもしれません。
しかし、現在、外壁塗装の主流な塗料として使用されているのは水性塗料で、主成分は水です。
塗料独特の臭いがするかもしれませんが、このことを知ると、少しは安心感を持てるのではないでしょうか。

~例外的に弱溶剤系塗料が使用される場面~

マンションの鉄部(鉄製の非常階段、鉄製の手すり、鉄扉)や付帯部(雨樋、換気フード)などには弱溶剤系塗料が使用されることがほとんどです。
理由としては、素材に適した種類の塗料を使用しないと塗装後の不具合が起きる可能性が生じるためです。
その中でも鉄部や付帯部に適している塗料が弱溶剤系塗料であることが多いのです。
「溶剤を使用しているから臭いも強いのでは?」と心配になるかもしれませんが、塗装から数時間すると塗料の臭いはほとんどしなくなるため、過剰に心配する必要はないでしょう。
※臭いが消えない場合は、換気をしたり、業者に相談して対策をとってもらうことをおすすめします。

また、どうしても弱溶剤系塗料が使われている期間だけでも家から離れていたいという方は、鉄部や付帯部を塗装する日程は多くの場合スケジュール表に記載されていますので、業者にお願いしてスケジュール表を受け取ると良いでしょう。
※スケジュール表に記載がない場合は、業者に質問することをおすすめします。

[3分で完璧]溶剤系塗料の全てがわかる ~塗料選びからDIYまで~

3-2.塗料は人体に影響を与えないように設計されている

冒頭でもご紹介いたしましたが、塗料は人体に影響を与えないように製造・使用される設計になっています。

例えば「特定化学物質障害予防規則(特化則)」では、適切な取り扱いをすることで健康障害を起こす可能性のある化学物質を作業者が体の中に取り込むことがないよう、作業方法や作業環境、設備などや事業者の健康診断の受診について定められています。
また、特化則の中では、化学物質の性質に応じて、第一類、第二類、第三類に70種類以上の化学物質が分類されており、使用方法や作業主任者などの厳正な取り決めがあります。そんな中でも、特化則の基準を満たしたより安全性・作業性を追求した塗料もあり、人と環境に優しい塗料が開発されるようになってきています。

他にも「VOC(揮発性有機化合物)」と呼ばれる身体に影響のある成分を使用しないようにする、使用量を最小限に留めるという取り組みも塗料業界全体で行われています。

3-3.私達の嗅いでいる臭いは濃度が低く身体への影響の可能性が低い

「塗料の主成分が水であって、使用する成分も制限を受けているということを知ったとしても、やっぱり臭いがするから不安」と思うことはありますよね。しかし、私たちの嗅いでいる臭いの濃度について考えてみるとどうでしょうか?

例えば、塗料が乾燥している最中に発生している臭いの濃度が100%だとすると、塗料が乾燥した場から離れ、時間が経過した後に私達がその臭いを嗅ぐころには臭いの成分が空気中で分散され濃度が下がっていると考えられます。(参考:東京都健康安全研究センター「塗装工事中のVOC濃度について」
100%の濃度の臭いの成分を体内に吸収し続けていると健康被害が出る可能性もありますが、濃度の下がった臭いの成分を更に濃度を下げながら体内に短期的に取り込んだ場合は身体への影響の可能性が低いと考えることもできます。

もちろん、臭いに悩まされている場合はそれなりの対策をとる必要がありますが、必要以上に心配しないようにすることでストレスも少なくなるのではないでしょうか。

まとめ

本記事では、塗料の臭いが気になる場合の対策と塗料の臭いについての知識をご紹介させていただきましたが、いかがでしたか?

■塗装の臭いを解消するための対策をとる
■塗装の臭いに効果の高い道具を使用する
■塗装の臭いから思い切って離れてみる
■塗料は思っているよりも人の身体に配慮した設計・使用方法となっている

上記のポイントを押さえておくと、塗料の臭いによる悩みを解消し、必要以上に不安にならずに済むのではないでしょうか。
塗料の臭いへの悩みが、ご紹介した方法や知識で少しでも軽減されますと幸いです。