足場 種類

一口に“足場”といっても、その種類はさまざま。どの足場を選ぶかによって、かかる費用も、足場を建てたり外したりするのにかかる時間も違います。

とすると、気になるのは“どの種類の足場を選べばいいのか”でしょう

今回は、特に、「外壁塗装の足場」に焦点をしぼって、選ぶべき足場の種類をご紹介してまいります。ぜひ、参考にしてみてください。

1.[イラスト付]塗装工事にオススメの足場種類

ここでは、外壁塗装工事に用いられる足場をご紹介します。オススメ度(★の数が多いほど、オススメ度が高い)も併記しておりますので、あわせて参考にしてみてください。

オススメ度足場の種類
★★★★★くさび(ビケ)足場

費用相場:800~1,200円/㎡

住まいの改修工事等によく用いられる。足場を建てるのにかかる工事期間が短くて済み、安全性が高い。

[メリット]
・住宅用の足場の中では、一番作業がしやすい
・設置の工期が短い
・安全性が高い

[デメリット]
・場所によっては、設置できないことがある
・設置時にハンマーで叩いて固定するため、騒音が発生する

 ★★★わく組足場

費用相場:1,000~2,000円/㎡

足場を高く組むことができるため、大規模修繕に用いられることが多い。

[メリット]
・高く組むことができるため、高層階の建物にも対応可
・安全性が高い

[デメリット]
・部材が大きいため、搬入経路や資材置き場等が広い必要がある

★★単管ブラケット足場

費用相場:800~1,200円/㎡

単管に足をのせる板をボルトで固定した足場。単管足場より安全性が高い。

[メリット]
・単管足場より安全性が高い

[デメリット]
・設置の工期が長い
・ボルトが緩むと、揺れやすくなる

単管足場

費用相場:600~800円/㎡

鉄パイプを組み合わせて建てる足場。職人はパイプ2本の上に乗って作業にあたることになるため、非常に危険で安全性は低い。

[メリット]
・あらゆる建物の形状に対応できる
・狭い場所にも設置できる

[デメリット]
・2本のパイプの上に乗るため、非常に不安定
・塗料缶や刷毛を足場の上に置くことができないため、常に片手が塞がった状態になってしまう

脚立足場

費用相場:360円/m
(足場の高さ1.8メートル、期間1ヶ月)

脚立と床材をゴムバンドで緊結して建てる簡易的な足場。部分的な補修の際に用いられることが多い。

[メリット]
・組み立てが簡単で、設置の工期もかからない

[デメリット]
・簡易的な足場のため、墜落の危険性が伴う

【例外|足場を設置しない】
無足場工法費用相場:70~400円/㎡
足場を設置せず、屋上からロープブランコと呼ばれる台を吊るし、その上に乗って作業をする工法。危険性が高く、不安定な状態での施工となるため工事品質に不安がのこる。

[メリット]
・足場を組む分の工期を短縮できる
・足場費用の削減ができる

[デメリット]
・作業自体に時間がかかる
・高度な技術が求められる工法であるため、熟練の職人を登用し人件費がかかる

外壁塗装工事において、現在、主流の足場は「くさび(ビケ)足場」です。

くさび(ビケ)足場が選ばれるポイントは、組み立てや解体に時間がかからないこと、そして安全性の高さです。また、単管足場や単管ブラケット足場と比べて、揺れが少なく、職人が安定して作業ができるので、工事品質を担保するうえでも、有効な足場といえます。

 

2.足場にかかる費用総額はいくらが妥当?

足場の費用について、「㎡単価ではなく、総額の相場が知りたい!」という方も多いのではないでしょうか。

足場の費用は、選ぶ足場の種類や住まいの大きさによって異なるため“ズバリいくら”と明言することはできません。しかし、簡易的な計算で、おおよその費用感は算出することができます。

■簡易版!足場費用の算出方法

[ ステップ① ]
足場の大きさ(足場架面積)を算出します。

足場架面積=[家の外周+8m]×高さ

※8mは、外壁(家)から足場までの距離に相当。

[ ステップ② ]
ステップ①で算出した足場架面積をもとに、足場費用を算出します。

足場費用=足場架面積×(足場費用/㎡+飛散防止ネット/㎡)

※足場費用の㎡単価は、「1.[イラスト付]塗装工事にオススメの足場種類」を参照し、選ぶ足場の種類に応じて変えてください。
[足場費用の相場一覧]
・くさび(ビケ)足場:800~1,200円/㎡
・わく組足場:1,000~2,000円/㎡
・単管ブラケット足場:800~1,200円/㎡
・単管足場:600~800円/㎡
・脚立足場:360円/m(足場の高さ1.8メートル、期間1ヶ月)
・無足場工法:70~400円/㎡
※飛散防止ネットの㎡単価の相場は、100~200円/㎡です。

※上記はあくまで費用感をつかむための、簡易計算です。実際にかかる費用とは異なることもあります。

[補足情報]“足場代無料”には要注意!

外壁塗装の価格の内訳

足場の費用は、塗装費の20%を占めるほど高額です。足場費用の内訳には、足場の材料を運ぶ運搬費をはじめ、足場を組む施工費、解体費等が含まれています。そして、「3-1.足場の組み立てには、国家資格が必要」でご紹介した通り、足場の設置は塗装業者が自身で対応するのではなく、別の足場専門の業者へ協力をあおぐケースが少なくありません。

ここまでの情報で勘づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、これほどの工程、人件費がかかる「足場」を簡単に無料にすることができるはずがないのです。

「足場無料」が企業努力であればよいのですが、「足場無料」の提案を受けた際には、なぜ足場が無料にできるのか、きちんと確認しましょう。

 

▼足場の費用について詳しくは、こちらの記事もチェックしてみてください。

プロが教える!外壁塗装の足場費用はいくらが妥当?

足場無料はあり得ない!足場の価格について知っておくべきポイント

3.[補足]消費者も押さえておくべき「2つの足場の常識」

3-1.消費者にとっても、“足場の安全性”は重要!

もしかすると、「多少、危険性の高い足場をつかっていても、塗装工事さえきちんとやってくれればいい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、万が一、事故が起こってしまったときのことを考えてみてください。工事が中断するなどの物理的な問題が生じるだけでなく、職人が大きなケガをしたとなれば精神的な被害をこうむることにもなりかねません

塗装工事を含む建設業における「墜落・転落」による死傷災害は5,184件、うち死亡災害は134件にものぼり(厚生労働省の労働災害統計|平成28年)、事故の発生は、決して他人事ではないのです。

安全性の高い足場を選ぶだけで、墜落・転落の発生率を大きく下げることができることは間違いありません。ぜひ、足場を選ぶ際には「安全性」という観点も忘れずにもっておきましょう

3-2.足場の組み立てには、国家資格が必要

足場の組み立てには、『足場の組立て等作業主任者』という国家資格をもった人材を設置することが義務づけられています[労働安全衛生規則(第565条)ほか]。また、足場を組み立てる作業員は全員、特別教育を受講する必要があります。

そのため、塗装業者のなかには、自分たちで足場は組まず、足場の組み立てだけ専門の足場業者に協力を依頼するケースも少なくありません。

消費者が、足場の国家資格について詳細に把握しておく必要はありませんが、「足場の組み立てには国家資格が必要」「足場足場は別の協力業者が対応することも少なくない」といった情報は、業者選び、足場設置時に業者とコミュニケーションをとる際などに役立つことも少なくないため、ぜひ頭に入れておきましょう。

 

まとめ

足場の種類、およびオススメの足場についてご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。外壁塗装工事の場合は、足場の種類に迷ったら「くさび(ビケ)足場」を選んでおけば、まず間違いないでしょう。

ご紹介した情報はどれも、足場を選ぶときの手がかりとなる内容となっておりますので、足場を選ぶ際には、ぜひ再度チェックしてみてください。