家の外壁をメンテナンスのいらないものにしておけば、塗り替えなどの費用も掛からず、ずっときれいなまま。とても経済的で魅力的ですよね。
しかし、どういったものがあるのか、そもそも本当にそんな外壁材があるのかと疑問に思っていませんか?
残念ながら、メンテナンスが一切いらない外壁は今のところ開発されていませんが、メンテナンスが簡単で、壊れにくく汚れにくい(汚れが目立たない)メンテナンスフリーな素材は存在します。この記事では、外壁をメンテナンスフリーに近づけるためのポイントをご紹介いたします。ぜひ、記事を参考に長持ちする外壁をご検討ください。
1. 「永久にメンテナンスフリー」な外壁材は存在しない!?
冒頭で少し触れましたが、永久にメンテナンスのいらないという意味での「メンテナンスフリーな外壁」というものは実質存在していません。一般的にメンテナンスフリーと呼ばれる外壁材は、あまりメンテナンスをしなくて済む素材のことを指しています。加えて、素材そのもののメンテナンスがあまり必要なくとも、素材をつなぎ合わせているシーリングや目地のメンテナンスが先に必要になってくる場合もあります。
そのような外壁のメンテナンス性をより高めるためには、3つのポイントがあります。
①外壁に耐候性の高い塗料を塗って外壁材そのものの耐候性を上げる
②目地の耐候性を上げて長持ちさせる
③ハウスメーカーが開発したメンテナンスフリー外壁を使用する
①と②は、以下の表を参考に検討してみてください。
③も一つの手です。思い切って外壁全体を新しくしたいという方にオススメです。
◎メンテナンス性の高い各外壁材&メンテナンス性を高めるポイント
外壁材名 | メリット | メンテナンスの必要性・時期 | メンテナンス性をより高めるためには |
---|---|---|---|
窯業サイディング | ・メンテナンスが簡単 ・美観保護に長けたもの、親水性に優れたものとたくさん種類がある | ・パネルの継ぎ目を埋めているシーリングが劣化するため、10年を目安にメンテナンスが必要 | ・耐候性の高い塗料を塗ってサイディングそのものの耐候性をあげる ・耐候性の高いシーリング材を使用して劣化を遅らせる |
金属系サイディング | ・水に強い ・ひび割れしにくい ・比較的さびにくいタイプもある。 | ・パネルの継ぎ目を埋めているシーリングが劣化するため、10年を目安にメンテナンスが必要 ・防錆のために10~15年程度で再塗装が必要 | ・無機ハイブリッド塗料を塗ってサイディングそのものの耐候性を上げる ・耐候性の高いシーリング材を使用して劣化を遅らせる |
貼りタイル | ・耐久性に優れている。 ・デザイン性が高い | ・タイルを貼るための接着剤や、つなぎあわせるためのシーリングが劣化するため、15年を目安にメンテナンスが必要。 ・地震や強風などでタイルがはがれた際、メンテナンスが必要になってくる | 吸水防止材を塗って、接着剤やシーリングの劣化によるはがれを防ぐ |
レンガ積み | ・耐久性に優れている。 ・コーキングを使用しない。 ・西洋風のおしゃれな見た目になる。 | ・地震などの揺れによってヒビや崩れが発生しやすく、その際メンテナンスが必要になってくる ・施工に不備があると何もしていなくてもヒビや崩れが発生しやすくなる性質がある | 実際に手がけた事例を見たり、施工実績を調査して、信用できる業者に依頼し、しっかり施工してもらう |
モルタル(セメント、砂) | ・コテ塗りで壁の厚さなどを変えられる。 | ・ひび割れが発生しやすく、10年を目安にメンテナンスが必要 | 耐候性の高い塗料を塗ってモルタルそのものの耐候性を上げる |
2. 外壁をメンテナンスフリーに近づける3つのポイント
さらにメンテナンスフリーに近づける為のポイントを詳しくご説明します。
2-1.外壁に耐候性の高い塗料を塗って外壁材そのものの耐候性をあげる
メンテナンス性を高めるには、既存の外壁の耐候性を上げる事が必要です。近年では高い耐久性を持つ塗料も増えてきました。そのような高耐久性塗料を塗装することで、外壁のメンテナンス性をさらに高めることができます。
近年登場した高耐久性塗料に無機物質を主成分とした無機塗料があります。無機塗料は、トップレベルの耐候性と、汚れにくいという特徴を持ちます。ただ、無機という素材が硬いが故に割れやすいというのがデメリットです。そこで柔軟性も持つ有機塗料とかけ合わせ生まれたのが、「無機ハイブリッド塗料」です。無機塗料を塗るよりも耐候性があり、有機塗料を塗るよりも汚れにくい無機ハイブリッド塗料は、外壁を守り、メンテナンスフリーに近づけることを可能にします。
◆メーカーが出している無機ハイブリッド塗料
・KFケミカル「住宅用プレミアム無機塗料 KFワールドセラシリーズ」
参考:http://www.k-fine.co.jp/paint/paint04/index.php
こんな外壁にオススメ・・・窯業系サイディング、金属系サイディング、モルタル、リシン、吹付けタイルなど
独自のハイブリッド技術により最も耐候性のあったフッ素樹脂塗料を超えた無機塗料のシリーズです。 紫外線や雨、風、塩害に強く、さらに不燃性のため、塗った面は燃えにくく、火災時の延焼も防ぎます。
・アステックペイント「無機ハイブリッドクリヤー/無機ハイブリッドクリヤーJY」
参考:http://astec-japan.co.jp/products/203
こんな外壁にオススメ・・・窯業系サイディング
一般的なフッ素樹脂塗料が15年程で劣化が始まるのに対して、20年以上経過しても光沢保持率80%を維持する長耐久性能を有しています。さらに、汚れにくく、付着した汚れを雨水によってセルフクリーニングされる性能を持ち合わせています。
2-2.目地の耐候性をあげて長持ちさせる
目地は動きを吸収し、地震などによって硬い外壁材にひびができるのを防ぐためのものです。シーリング目地とタイル目地の二種類があります。
・シーリング目地
まず一つ目にシーリング目地とは、サイディングなどのつなぎ目にシーリング材を充填したものです。この充填されたシーリング材が10年ほどで縮んだりヒビが発生したりと劣化を始めます。最近では、シーリング材も改良され、耐候性の高いものも販売されています。ですので、リフォームの依頼先と相談してあらかじめ耐候性の高いシーリング材を使ってもらうことで、メンテナンスフリーに近づけることができます。
◆メーカーが出している高耐候性シーリング材
・ニチハ「超高耐久仕様プラチナシール」
参考:http://www.nichiha.co.jp/wall/yogyo/siding_21.html
こんな外壁にオススメ・・・窯業系サイディング
色持ちがいいだけの「高耐久シーリング」ではなく、シーリングとしての基本性能を最重視して再開発された「超耐久シーリング」。
雨、湿気、熱に強い接着性に加え、いつまでも柔らかいという特性を持つため、長期間にわたって、家内部への水の侵入を防ぎます。
・タイル目地
二つ目に、タイル目地はタイルそのものをつなぎ合わせている目地のことです。雨水などによって劣化したタイル目地から水が浸入し、タイルを貼り付けている接着剤まで劣化してしまうと、タイルが剥がれてしまいます。そんな剥がれを防ぐためには吸水防止材が有効です。
吸水防止材とは、タイル目地に浸透して雨水などの浸入を防いでくれる塗料です。もし仮に内部に浸入してもその水分を放出させる通気性を持ち合わせています。そのため、目地の寿命を延ばすことができ、外壁をメンテナンスフリーに近づけることができます。
◆メーカーが出している吸水防止材
・アステックペイント「ジョイントシールド」
参考:http://astec-japan.co.jp/products/1124
こんな外壁にオススメ・・・磁気タイル
この塗料を磁気タイルの外壁に塗ると、目地に防水層を形成し劣化原因となる目地部への水の浸入を防止してくれます。さらに、外壁内部の湿気を逃す通気性も高いため目地の劣化を遅らせます。
2-3.ハウスメーカーが開発したメンテナンスフリー外壁を使用する
各種ハウスメーカーもメンテナンス性の高いさまざまな外壁材や工法を開発し続けています。具体的にどんなものがあるのか、老舗メーカーでメンテナンスフリーにも力を入れている積水ハウス、へーベルハウスの2社をご紹介したいと思います。
・積水ハウスの陶版外壁「ベルバーン」
参考:http://www.sekisuihouse.com/products/shawood/bell-b.html
「ベルバーン」は、陶器と同じ材料で陶器と同じように作られています。そのため、火に強く焦げにくく、硬度もかなり優れています。台風によって飛んできたものでも傷が付かないくらい硬さです。ただし、エアコンやアンテナなど取り付けたいとなった際に、無理やり釘打ちや穴をあけてしまうと割れてしまう可能性が高いといえます。
価格は外壁の中では高めですが、どのデザインもシックで高級感があります。さらに陶器とほぼ同じであるため、色あせしにくく、時が経つほど味わい深さが出てきます。定期的に掃除をしておけば、無機質なので汚れも簡単に落とせます。おしゃれな外観で、さらにそのデザイン性が長く維持できる外壁がいいといった方にオススメです。
・ へーベルハウスのALCコンクリート「へーベル」
参考:http://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/feature/index.html/?link_id=globalnavi_abouthebel
へーベルハウスでは、トバモライト結晶※を豊富に含んだALCコンクリート「へーベル」を外壁に採用しています。強度に優れ、雨水や湿気などによる腐食や木材など有機物を好むシロアリの心配もいりません。さらに、火災にもかなり強いです。耐久性はそのままに軽量化されてはいますが、3階建てなど高さのある建物や地盤があまり固くない場所だと重さがデメリットになる場合があります。
デザインは、ストライプ・タイル・レンガなど、タテとヨコのラインを組み合わせたベーシックなものが中心です。へーベルハウスにお世話になる場合、一度は勧められる看板商品といえます。シンプルな外観で強度のある外壁がいいといった方にオススメです。
※トバモライト結晶・・・強度に優れ、熱や水で化学変化を起こさない安定した板状結晶構造体のこと。これによって強度や耐火・耐水・耐久性を実現している。
3. メンテナンスフリーの素材ですと業者に言われたら保証を確認しよう
メンテナンス性の高い外壁材の開発にたゆまぬ努力をしている業者がいる一方で、メンテナンスフリーと偽って質の悪いものを販売している悪質な業者もいます。
そんな業者を避けるために、メンテナンスフリーの素材を勧められたときには保証が付くのか尋ねてみましょう。
その際に、気をつけたいのは「もちろんです」と即答する業者。本当に性能が良く、自信のあるものなのか、契約してもらうためについたその場限りの嘘なのか非常に判断がしにくいです。そういったときは、保証について書かれたパンフレットをもらう、もしもの時は必ず保証すると一筆書いてほしいと頼んでみましょう。
何かと理由をつけてパンフレットを渡そうとしなかったり、書くのをしぶるようであれば悪質な業者の可能性が高いです。さらに、書面に残しておくことでもしものときも言い逃れできない証拠として利用できます。
4. まとめ
いかがだったでしょうか。この記事を読んで、メンテナンスフリーに近い長持ちする外壁にするための方法などがわかったと思います。
ぜひこの記事を参考に、長持ちする外壁を検討してみてください。