「お家の外壁を決めたいが、種類が多くて何がどう良いのか分からない」、「選ぶ基準は?」と思われている方も多いのではないでしょうか?
この先、何年も過ごすお家。自分の理想、希望通りのお家にしたいですよね?
そのために、今回は「最低限覚えておきたい外壁」と「外壁選びのポイント」についてご紹介いたします。新築をご検討中の方、外壁の特徴を知りたい方は、参考にされてみてください。
1.よく使われる外壁の種類は4種類!
「外壁」と一言で言っても種類はたくさんあります。
窯業系サイディング、金属系サイディング、セラミック系サイディング、樹脂系サイディング、木質系サイディング、トタン、スタッコ、リシン、吹付けタイル、タイル、天然石材、レンガ、モルタル、ALCなどなど。
様々な外壁がありますが、どういう特徴があるのかを知らないままに選んでしまうと、それが家の寿命に影響を与えることも十分にあります。そこで今回は、日本で多く使われている代表的な外壁4種類、窯業系サイディング、モルタル外壁、金属サイディング、ALC外壁についてご紹介いたします。
窯業系サイディング
モルタル外壁
金属サイディング
ALC外壁
2.各外壁材のメリット・デメリット
外壁材を選ぶためには、その特徴を知ることが重要です。
それぞれの外壁材の特徴、メリット・デメリットを知り、理想の外壁材を選択しましょう。
2-1.窯業系サイディングのメリット・デメリット
そもそも窯業系サイディングとは、何かご存知でしょうか。
窯業系サイディングとは、板状の外壁材で内容成分の80%がセメントで残りの20%が繊維質、増量材で構成されているものです。
窯業系サイディングは現在、日本の住宅の外壁材の約80%を占めていると言われております。
窯業系サイディングの主なメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・バリエーションが多い ・コストパフォーマンスが良い ・防火性が優れている ・工期が短い | ・防水機能が無い ・蓄熱性が高い ・シーリングのメンテナンスが必要
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窯業系サイディングの1番のメリットは「バリエーションの多さ」・「コストパフォーマンスの良さ」です。外壁材は家の外観を決める大きなポイントです。「綺麗に見せたい」、「落ち着いた感じが良い」、「珍しい模様が良い」などなど、人によって理想の外観イメージは異なります。
そういった様々なニーズに応えるためのバリエーションが窯業系サイディングの最大のポイントです。もちろん、性能的にも防火性・遮音性といった優れた部分もありますが、やはり「理想の外観にしたい」という方からの人気が絶大です。
また、価格は性能を高めた高価な商品もありますが、総合的に他の外壁材と比べて安価で施工費も安く、選択の幅が広いことで、様々なニーズに応えることができます。
デメリットとしては「吸水性が高い」ということが上げられます。窯業系サイディングボード自体には防水機能が無く、表面を塗装することで防水機能を持たせています。そのため、表面の塗膜が劣化してしまうと、水がボード内に浸入し、夏の暑さや冬の凍結による膨張等で変形や反り、ひび割れを起こしてしまう可能性があります。
また、ボードとボードをつなぐ「シーリング」というゴムのようなものがありますが、それが劣化してしまうと、同じくそこから水が浸入し、変形や反り、ひび割れを引き起こしてしまう可能性があります。
2-2.モルタル外壁のメリット・デメリット
モルタル外壁とは、ラス(網状の金物)などの上からモルタル(水・細骨材・セメントを調合したもの)を左官で塗って、その上から塗装して仕上げるケースが一般的です。サイディングが普及する前までは、日本の木造住宅の大半がモルタル外壁でした。
モルタル外壁のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・デザイン性が優れている ・耐久性が優れている ・シーリング劣化の心配が無い | ・防水機能が無い ・ひび割れが起こりやすい ・汚れが目立ちやすい |
モルタルはサイディングとは違い、デザインを作ることができます。波模様をつけたり、型をくり抜いたり、タイルを貼り付ける等々、外壁そのものをデザインすることはモルタルにしかできないことです。
サイディングは種類が豊富ではありますが、あくまで工場製品であり、「選ぶ」という作業になります。それに対してモルタルは「作る」という作業が可能なのです。
また、サイディングボードのようにつなぎ目が無いため、シーリングの劣化を気にする必要がありません。
デメリットとしては、モルタル外壁も防水機能を持たないため、塗装で防水機能を持たせる必要があります。また、モルタルは必ずひび割れを起こすと考えておいた方が良いでしょう。モルタルは乾燥収縮を起こすため、ひび割れが起こります。小さなひび割れであれば、心配はありませんが、大きなひび割れになるとメンテナンスが必要となってきます。
ひび割れ
2-3.金属サイディングのメリット・デメリット
金属サイディングとは、表面はスチール板などで施し、裏には断熱材を入れたサイディングのことです。ステンレスのような丈夫さとアルミのような腐食しにくい性質を併せ持った丈夫で低価格なサイディングボードです。
金属サイディングのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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・断熱性が優れている ・耐震性が優れている ・耐凍害性が優れている ・コストパフォーマンスが良い | ・傷がつきやすい ・サビが発生しやすい ・酸性雨、塩害被害を受けやすい |
断熱性とは、簡単にいうと「外の気温の影響を受けない」ということ、また逆に「中の気温を保ち続ける」とも言えます。金属サイディングには優れた断熱性をもつ、硬質プラスチックフォームという断熱材が入っています。また、断熱性の他に「耐凍害性」も金属サイディングの特徴の1つです。
耐凍害性とは、その名の通り「凍害に強い」ということです。凍害とは、外壁材に湿気・水分が入り込み、それが凍結、融解を繰り返すことで外壁材の劣化を起こすことがあります。特に寒冷地では、凍害が発生しやすい。しかし、金属サイディングに使われている硬質プラスチックフォームは水分吸収が少なく、凍害を防ぐことができるため、寒冷地でも多く使われています。
デメリットとしては、金属であるため金属板自体は温度変化が激しくなり、変形してしまったり、衝撃にも弱く、物が当たるとへこんでしまったりすることもあります。また、海岸沿いでは塩害の被害を受け、錆びてしまったりすることもあります。
金属サイディング
画像出典:http://watanabeke.blog.jp/
2-4.ALC外壁のメリット・デメリット
ALC外壁とは、Autoclaved Light weight aerated Concreteの頭文字で、日本語では「軽量気泡コンクリート」と言われています。耐火性・耐震性・断熱性・遮音性等、建物に求められる様々な性能を高レベルで満たす外壁材です。
ALC外壁のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
---|---|
・耐久性が優れている ・耐火性が優れている ・耐震性が優れている ・断熱性が優れている | ・防水性が無い ・吸水性が高い ・表面強度が低い |
ALC外壁の一番の強みは耐火性です。耐火性とは「燃えにくい」ということです。ALC外壁は過酷な耐火試験をクリアした、国土交通大臣認定の耐火構造部材で優れた耐火性能を有しています。また、耐震性も優れています。その名の通り「地震に強い・揺れに強い」ということです。「建物そのものの強さ」や「軽さ」も耐震性に含まれます。ALC外壁は水に浮くほど軽いコンクリートなのです。特にこの2点が他の外壁材より優れており、一般住宅以外にも高層ビルや新幹線等、公共施設や文化財保存施設といった様々な建物にも採用されています。
デメリットとしては、ALC外壁自体に防水機能が無いため、塗装による防水が必要ということです。ALC外壁は小さな気泡が多くあり、イメージとしてはスポンジのようなもので、吸水性が高いです。そのため一度水が入ってしまうと、ひび割れや欠けといった劣化が生じてしまいます。
3.優先するメリットを決めることが外壁選びのポイント
各外壁に様々な特徴がありますが、どのメリットを優先させるかを決めることがポイントになります。価格を優先するのか、断熱性を優先するのか、外観を優先するのか、何を優先させるかで外壁を見る視点も変わってくるのです。
3-1.オシャレ+安価で選ぶなら窯業系サイディング!
特に外観と価格を重視される方には、窯業系サイディングがおススメです。レンガ調、タイル調、ボーダー調等、柄も色も幅広い選択肢の中から理想のデザインを選ぶことができます。また、サイディングボードは工場で大量生産されているため、安価で済ませることが可能なのです。
バリエーション
画像出典:http://paint.cloverhouse.net/knowledge/words-sa.html
3-2.自由なデザイン+高級感ならモルタル外壁
自身で壁のデザインを考えたい。高級感あるお家にしたい。そのように考えられている方には、モルタル外壁をおススメします。モルタル外壁は左官職人が手作業で工事を行うため手間がかかってしまいますが、その分自由にデザインを作ることができ、また質感が良く、高級感を演出することができます。
3-3.断熱性+安価なら金属サイディング!
金属サイディングは、断熱性が高いため、寒冷地にお住まいの方におススメです。また、金属サイディングは新築時よりも改装時に使われることが多くあります。既存の外壁にそのまま重ねて貼る方法も可能なため、既存の外壁を解体することもせず、安価で工事を済ませることができます。
3-4.耐火性+耐震性ならALC!
ALC外壁は外壁材の中でも機能性が総合的に高い。中でも耐火性と耐震性は非常に優れており、その実力は阪神・淡路大震災で防火壁の役割を果たした多くの高性能外壁材ALCによって実証されています。
また、「遮音性」にも優れており、ビルや遮音壁、遮音床に使われることもあり、静かで快適、プライバシーを守る住まいづくりを可能にします。
外壁の種類と比較
外壁材名 | メリット | デメリット | 新築時の㎡単価 | メンテナンス時期目安 | メンテナンス種類 |
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窯業系サイディング | ・バリエーションが豊富 ・メンテナンスが簡単 ・コストパフォーマンスが良い ・防火性が優れている | ・防水性が無い ・蓄熱性が高い ・シーリングのメンテナンスが必要 | 3,000円~ | 10年 | ・割れ、反りのメンテナンス ・苔、カビの洗浄 ・塗装 |
モルタル外壁 | ・デザイン性が優れている ・耐久性が優れている ・シーリング劣化の心配が無い | ・防水性が無い ・ひび割れが起こりやすい ・汚れが目立ちやすい | 4500円~ | 10年 | ・クラック(ひび割れ)補修 ・ピンホール(小さな穴)補修 ・苔、カビの洗浄 ・塗装 |
金属サイディング | ・断熱性が優れている ・耐凍害性が優れている ・耐震性が優れている ・コストパフォーマンスが良い | ・傷がつきやすい ・サビが発生しやすい ・塩害を受けやすい | 4,000円~ | 10~15年 | ・サビ取り ・シーリングのメンテナンス ・塗装 |
ALC外壁 | ・耐久性が優れている ・断熱性が優れている ・耐火性が優れている ・耐震性が優れている | ・防水性が無い ・吸水性が高い ・表面強度が弱い | 7,500円~ | 10年 | ・シーリングのメンテナンス ・苔、カビの洗浄 ・割れ、浮きのメンテナンス ・塗装 |
まとめ
いかがだったでしょうか?外壁材の種類や特徴が様々あります。そのうち、どの特徴を重視するのかが最大のポイントです。
外壁材のメリット・デメリットと、立地環境や希望のデザイン、そして予算との兼ね合いも考えながら、理想の外壁を検討してみてください。