サイディング外壁について、どれぐらいのことをご存知でしょうか。
“デザイン性の高い、新しいタイプの外壁材”といった認識はあるものの、さらに踏み込んだ専門知識となると、「よくわからない」という方がほとんどだと思います。
この記事では「サイディング外壁」にまつわるリフォームについて、“これだけは知っておきたい”という情報をすべてご紹介します。サイディング外壁の劣化にお悩みの方や、サイディング外壁への重ね張り・張り替えをご検討の方は、ぜひ参考にしてください。
1. シェア率80%!今、サイディング外壁が選ばれる4つの理由
現在、日本の住宅に使用されている外壁材のシェア率は、1位 窯業系サイディング約70%、2位 モルタル壁約13%、3位 金属系サイディング約9%です。つまり、サイディング外壁というくくりでは、約80%のシェアを占めることになります。※リフォーム産業新聞社調べ
これほどまでにサイディング外壁が選ばれるのには、4つの理由があります。
■工場で製造されるため、品質が安定している
■木目調・ストライプ柄・レンガ風・タイル柄etc…、デザインのバリエーションが豊富
■施工が簡単なため、工期の短縮・施工費の削減につながる
■重量が軽く、耐震性に優れている
そんな魅力たっぷりのサイディング外壁について、さらに詳しく見ていきましょう。
2. サイディング外壁は、大きく分けて4種類
2-1. シェア率NO.1の「 窯業系サイディング」
■主原料/セメント・繊維質
前述の通り、外壁材においてNO.1のシェア率を誇る窯業系サイディング。4種類のサイディングの中でも、特に色&柄のバリエーションが豊富。
2-2. リフォーム時に人気の「金属系サイディング」
■主原料/カラー鉄板・アルミニウム合金
リフォーム時に採用されることが多い。軽量で建物にかかる負担が少ないため、重ね張りに最適。耐震性にも優れている。
2-3. 塗装メンテナンスの必要なし「樹脂系サイディング」
■主原料/塩化ビニル樹脂
北欧で主流の外壁材。日本では、輸入住宅の外壁によく見られる。外壁材自体に顔料が練り込まれているため、色褪せや塗膜の剥がれ等の劣化は発生しない。つまり、塗り替え不要。日本での普及率は1%程度で、樹脂系サイディングを施工できる業者は少ない。
2-4.木の風合いが魅力の「木質系サイディング」
■主原料/木材
天然木に塗装を施したサイディング。木ならではの風合いが魅力。断熱性に優れている。消防法の制限から、地域によっては使用できない場合もある。
3.耐用年数とオススメの補修周期
3-1.耐用年数は、サイディングの種類&塗料の寿命を参考に
サイディング外壁の耐用年数は、各製品によって異なるため一概には言えませんが、サイディングの種類や使用している塗料によって耐用年数の目安は掴むことができます。
各製品の正しい耐用年数が知りたい場合は、各メーカーのホームページやカタログ、または施工業者に確認しましょう。
■サイディングの種類
サイディングの種類 | 耐用年数 |
---|---|
窯業系サイディング | 7~8年 |
金属系サイディング | 10~15年 |
樹脂系サイディング | 10~20年 |
木質系サイディング | 10年 |
■塗料の種類
塗料 | 耐久年数 | |
---|---|---|
アクリル | 約3~5年 | |
ウレタン | 約5~7年 | |
シリコン | 約7~10年 | |
ピュアアクリル | 約15年~ | |
フッ素 | 約15年~ | |
無機 | 約15年~ | |
光触媒 | 約15年~ |
3-2.サイディング外壁を長持ちさせるためにオススメな補修周期
美観と性能を長持ちさせるためには、定期的に点検し、補修することが重要です。年に1~2回は点検&掃除をしましょう。劣化しやすいシーリングは約5~10年周期での補修が目安。また塗り替えは劣化症状をみながら、約10~15年周期がオススメです。
補修内容 | 頻度 |
---|---|
点検&掃除 | 年に1~2回程度 |
シーリングの打ち替え | 約5~10年 |
塗り替え | 約 10~15年 ※使用する塗料によっても、塗り替え周期が異なります。 |
重ね張り・張り替え | サイディングの反り・欠けが見られる場合 ※詳しくは「自分でできる?サイディング外壁の補修方法まとめ」の1-3.サイディングの反り・欠けには「重ね張りor張り替え」の症状が見られる場合にてご確認ください。 |
4.サイディング外壁の補修方法
4-1.劣化の症状に合わせた補修が必要
※詳細は「自分でできる?サイディング外壁の補修方法まとめ」の1.劣化症状別!サイディング外壁の補修方法をご確認ください。
4-2.自分でできる補修の範囲
「0.3mm以下のひび割れ」「シーリングの打ち替え」は、DIY可能な補修範囲です。
詳細は「自分でできる?サイディング外壁の補修方法まとめ」の4.自分で補修できる範囲と、その方法にてご確認ください。
4-3.劣化を事前に食い止める!気軽にできる「掃除」メンテナンス
サイディング外壁の劣化を進行させないために、自分でも手軽にできるメンテナンスといえば、「掃除」です。
掃除と劣化と何の関係があるのか不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、掃除は、劣化を事前に食い止める有効な手段の一つです。外壁を汚れたままにしておくと、汚れが固まり落ちにくくなるだけでなく、塗料は充分にその機能を発揮することができず、劣化は加速度的に進行してしまうのです。
ポイントは、汚れが気になったときに、早めに掃除をすること。オススメの掃除度は、年1~2回です。
詳しい掃除方法は、外壁の掃除をする前に知っておきたい知識【保存版】にてご確認ください。
■掃除方法/参考資料
・ニチハ株式会社 <窯業系サイディングの場合>
http://www.nichiha.co.jp/wall/maintenance/yogyo.html#mente02
・ケイミュー株式会社 <金属系サイディングの場合>
http://www.kmew.co.jp/shouhin/siding/haruichi/tokucho_12.html
5.【重ね張り・張り替えを検討の方へ】サイディング外壁を選ぶ前に知っておきたい3つのこと
5-1.サイディングの主力メーカー&主力商品
窯業系サイディングと金属系サイディングの主力メーカーと主力商品をご紹介します。ぜひ、サイディング選びの参考にしてください。
■窯業系サイディング
企業名 | 主力商品 |
---|---|
ニチハ | モエンサイディング |
ケイミュー | セラディール・ネオロック |
旭トステム外装 | AT-WALL |
■金属系サイディング
企業名 | 主力商品 |
---|---|
アイジー工業 | ガルスパン http://www.igkogyo.co.jp/syohin/siding/sd_lineup/sd_allitem/jgs4.htm |
旭トステム外装 | 金属Danサイディング |
チューオー | センタースパン |
5-2.メーカーの製品保証&内容を把握しておく
多くのサイディング外壁には各メーカーの製品保証がついています。製品を選ぶ際に、「どんな保証があるのか」「どういう場合に保証を受けることができるのか」を把握しておくようにしましょう。業者に確認するとともに、各メーカーのカタログやホームページ等もチェックしておくと安心です。
5-3.サイディング選びは、6つのポイントで考える
様々な色やデザインのあるサイディングは、カタログやホームページで見ているだけでも、ワクワクするものです。しかし、いざその中から選び抜くとなると、迷ってしまう方がほとんど。何を基準に選べばいいのかわからず、途方に暮れてしまう方も少なくありません。
そんな時に、希望に合うサイディング外壁を選び抜く手がかりとなる6つのポイントをご紹介します。
☑予算から選ぶ
☑耐用年数で選ぶ
☑種類で選ぶ「窯業系サイディング」「金属系サイディング」「樹脂系サイディング」「木質系サイディング」
☑好みの色で選ぶ*
☑好みのデザインで選ぶ
☑保証・アフターサポートで選ぶ
*色選びについては、外壁塗装で成功する色選びの為に押さえる6つのステップや外壁をツートンカラーに塗る前に知っておきたいポイントも参考にしてください。
たとえば「予算」や「耐用年数」を決めるだけでも、ぐっと絞り込むことができます。まずは「これだけは、譲れない」というポイントは何かを考えてみましょう。
6.サイディング外壁|費用相場まとめ
■補修工事費の目安
工事内容 | 費用相場 | |
---|---|---|
シーリング打ち替え | 900~1,500/m | |
塗り替え | 80~150万円(塗り面積200㎡) | |
重ね張り | 150万円~ | |
張り替え | 200万円~ |
■サイディング外壁の材料費目安
塗料 | 費用相場 | |
---|---|---|
窯業系サイディング | 3000円/㎡~ | |
金属系サイディング | 4000円/㎡~ | |
樹脂系サイディング | 9000円/㎡~ | |
木質系サイディング | 6000円/㎡~ |
※上記費用はあくまでも目安です。サイディングの種類によって価格は大きく変わります。
7.業者選ぶ際に押さえておくべきポイント
7-1.サイディング外壁の施工事例をチェック
ポイントは、モルタルでも、タイルでもなく、“サイディング外壁”の施工事例が豊富にあることです。一言で外壁といっても、外壁材によって、施工方法や気をつけるべきポイントは違います。特にサイディング外壁は様々な観点での補修方法を模索する必要があるため、経験と実績がものを言う場合が少なくありません。
また、重ね張りや張り替え工事をする場合は、施工事例が感覚的に“好みかどうか”というのも、業者選びのポイントになります。サイディング外壁は、色や模様(木目調・レンガ風・ストライプ柄etc…)、配色など選択肢が広いため、自身では決めきれず迷ってしまいがちです。そんな時に、好みに合う提案をしてくれるかどうかは、重要なポイントになるのです。
7-2.アフターフォロー&保証内容は要確認
工事後にどのようなアフターフォローがあるか、また何か不具合が発生したときの保証内容と保証期間も、業者選びの際に、注意してみておくべきポイントの一つです。
保証については、サイディングメーカー保証に加え、業者による工事保証も併せて確認しておくと安心です。リフォームは新築とは異なり、工事保証についての法的な義務はありません。だからこそ、その業者がどこまで責任を負う覚悟があるかというのは、品質への信頼における一つの指標となります
※業者選びについて詳しくは、外壁塗装でトラブルを防ぐ『業者選びのポイント』も参考にしてください。
8.まとめ
サイディングはきちんとメンテナンスをすれば、末長く耐久性を発揮する優秀な外壁材です。こちらの記事内容を参考に、ぜひ長期的なメンテナンス計画を立ててみてください。