「業者に脅され、焦って契約をしてしまったが解約したい」
「契約するまで帰らないと言われやむなく判を押したが取り消したい」
「契約して翌日すぐに工事が始まったが、工事内容があまりにもひどいので解約したい」
「うっかり契約したが、のちのち業者を調べて見るととても悪評だったのでもう一度考え直したい」
外壁塗装では、このような訪問販売による契約トラブルが後を断ちません。
そこで、消費者を守る為に整備された「クーリングオフ」という制度があります。皆さんも良く耳にしたことがあるかと思います。
しかし、実際にクーリングオフってどうするの?少し聞いたことはあるが、うちの場合にも適用されるのか、どのような手順なのか、手続きは何が必要なのか、と疑問を持っている方も多くいらっしゃると思います。
ここでは、クーリングオフがどのような制度であり、どのような手順を踏み、手続きが必要なのか、事例も交えてわかりやすく説明していきたいと思います。
1.そもそもクーリングオフとは?
早速、外壁塗装におけるクーリングオフについて内容を理解していきましょう。
外壁塗装においてのクーリングオフとは?
外壁塗装では、悪質な訪問販売による契約トラブルが今でも跡を絶ちません。
クーリングオフは、そんな訪問販売による契約トラブルから消費者を守る為に、訪問販売や電話営業等で契約をした後、解約を行うことが出来る制度です。契約した日から8日以内であれば、クーリングオフ制度が適用されます。
訪問営業や電話営業といった勧誘で、冷静な判断ができない状態での契約をしてしまった際、消費者を守る目的で設けられました。契約自体に問題がなければ、ほとんどの場合で適用されますが、クーリングオフが適用されない場合もあるので、後ほど詳しく説明していきたいと思います。
2.うちの場合はクーリングオフできる?できない?
それでは、クーリングオフが出来る場合、出来ない場合の違いについて説明していきたいと思います。
2-1.クーリングオフが出来る場合
クーリングオフが適用されるケースは以下の通りです。
①クーリングオフが可能な内容が記載された契約書を受け取ってから8日以内の場合
※契約書を受け取った日が1日目となります。
②契約者側から業者を呼び寄せていない場合
※契約者が電話やメールで問合せをした場合は適用されません。
③契約場所が業者の事務所(店舗)で行っていない場合
※無理やり事務所に連れて行かれて契約をしてしまった場合等は除きます。
④個人が法人と契約をしている場合
※法人が法人と契約した場合は適用されません。
また、下記のケースでも適用されます。
⑤契約書等に法律で決められた通りにクーリングオフについての注意書きをしていない等の不備がある場合
※通常は契約書に赤字で記載がされています。
⑥契約書をもらっていない場合
※契約書を受け取っていない場合はいつでもクーリングオフが可能です。
⑦「クーリングオフは出来ない」と業者から嘘をつかれ、出来ないものだと勘違いをし期間を過ぎてしまった場合
※業者がクーリングオフさせないように威圧的にか契約してしまった場合も含みます。
以上のような状況の場合、工事後の着工後でも期間内であればクーリングオフは可能です。
万が一、「工事が始まっているから」等と断られたとしても国民生活センター(消費者生活センター)へ相談することをオススメします。
クーリングオフでは既に始まってしまった工事も元通りにするまで全て業者負担となります。
状況に惑わされず冷静に判断をすることが大切です。
2-2.クーリングオフが出来ない場合
どんな契約でもクーリングオフが適用されるわけではありません。
クーリングオフが適用されないケースは以下の通りです。
①正規の契約書で契約を結び、8日過ぎてしまった場合
②契約者自身で業者を呼んだり、業者の事務所(店舗)に赴き契約をした場合
③契約金額が3,000円未満の現金取引の場合
④過去1年間に取引実績がある業者と契約を結んだ場合
⑤日本以外で契約を結んだ場合
3.書類を業者に送るだけ!クーリングオフの手続きの流れ
外壁塗装において、少しでも契約に不満、後悔があればクーリングオフを視野にいれましょう。
実際にクーリングオフをすると決断した場合、8日間の期限も迫っている、何から始めたら良いのか全くわからないと焦ってしまうかもしれませんが、大丈夫です。先ずは落ち着いて状況を整理して手続きを行っていきましょう。
3-1.まずは契約書の確認
先ず一番初めに、今回の契約状況でクーリングオフが適用になるかの確認が必要です。2-1.の内容をもとに今一度、契約書内容が適正かどうか、また適正な場合は契約書を受け取った日等を確認しましょう。
確認してクーリングオフが適用される内容でしたら次のステップとなります。
3-2.準備しておくべきもの
クーリングオフで必要なものを準備しましょう。申請は書面で行いますが、通知方法の形式には決まりがありません。ハガキや封筒、FAXで出すことが可能です。
【準備物】
・契約書の控え
・契約した会社の資料
・ハガキか封筒、もしくはFAX用紙
【記載内容】
・契約書を受け取った日付(契約書に記載のある日付)
・契約した商品名(外壁塗装の場合は工事名)
・金額
・契約先の業者名
・業者の担当者名、代表者名
・契約の解除をしたい旨(理由)の意思表示
・申し出日(クーリングオフを申し出た日)
・自分の住所(契約者)
・自分の名前(契約者)
ハガキや封筒で出す場合は、必ず証拠として中身をコピーして保管しましょう。また、郵送した記録を残す為に特定記録、簡易書留、書留で郵送することをオススメします。
悪質な業者はクーリングオフの書面を受け取らない場合もあります。そのような事態に備えて、内容証明郵便を使用されることをオススメします。そうすることで相手が言い逃れが出来なくなります。
※内容証明郵便とは、「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」ということを郵便局(郵便事業株式会社)が公的に証明してくれる郵便です。
3-3.クーリングオフの書面の書き方
では実際のクーリングオフの書面の書き方をお伝えしたいと思います。
書面は縦書きと横書きはどちらでも問題はありませんが、以下の点を注意して書面を作成しましょう。
①書面は3つ作成する
業者への送付分、自分の控え分、郵便局で保管する分(※内容証明郵便の場合)の3つを作成します。
②文字数や行数の制限に注意(※内容証明郵便を利用する場合)
1枚の書面にかける文字数や行数には決まりがあります。
・縦書きの場合「1行20文字以内×1枚26行以内」
・横書きの場合「26文字以内×20行以内」or「20文字以内×26行以内」or「13文字×40行以内」のいずれか
加えて、句読点やカッコも1文字とカウントし、カッコは2つで1文字扱いとなります。また、枚数が2枚以上になる場合は契印(ページ間の割印)が必要なので注意が必要です。
※内容証明郵便を利用する場合には文字数や行数に制限があります。
③使用できる文字は限定されている(※内容証明郵便を利用する場合)
書面を作成する際、漢字、ひらがな、カタカナ、数字うぃ使用することが出来ます。また、英字に関しては社名、商品名に限定して使用することが可能です。
※内容証明郵便を利用する場合には文字に制限があります。
④訂正方法
書面を書き間違えた際は、間違った文字の上に二重線を引き、差出人の訂正印を押印し、その付近に正しい文字を書きます。また、削除した文字数と訂正した文字数も「◯字削除・◯字加入」と書きます。
⑤郵送の年月日・差出人・受取人の名前と住所を書く
郵送した年月日、差出人、受取人の名前、住所を必ず書きます。(差出人の任意で差出人のところに捺印)
⑥用紙・筆記用具に縛りなし
書面の作成において、どんな用紙、筆記用具でも問題はありません。もちろんパソコンでも問題ありません。
ただ、手書きの場合は文字が消えないよう消せないペンで書くことが好ましいです。
⑦封筒の書き方
封筒を使用する場合、書き方は普段の封筒の書き方で問題ありません。
表に受取人の住所、氏名、裏に差出人の住所、氏名を書きます。
【記入事例】
実際のクーリングオフの記入方法を以下の事例を用いてご紹介します。
施主の□◯花子さんが、株式会社◯◯塗装店にて屋根・外壁塗装リフォームを契約した。
しかし、◯◯塗装店とは訪問販売で半ば強引に契約しており、実際、施工が始まると品質に疑問が出てきたので、やはり他の業者に依頼したいと思いクーリングオフを決心した。
・契約書を受け取った日付(契約書に記載のある日付):2017年2月1日
・契約した商品名(外壁塗装の場合は工事名):屋根・外壁塗装リフォーム
・金額:1,400,000円
・契約先の業者名:株式会社◯◯塗装店
・業者の担当者名、代表者名:◯◯太郎
・契約の解除をしたい旨(理由)の意思表示:上記日付の契約を解除します。尚、支払い済みの1,400,000円をすみやかに返金し、商品を引き取って下さい。
・申し出日(クーリングオフを申し出た日):2017年2月5日
・自分の住所(契約者):◯◯市◯◯区◯◯町◯◯番地
・自分の名前(契約者):□◯花子
※あくまでクーリングオフの例文ですので、必ずしもこの通りに書かなければならないということではありません。
3-4.あとは書類を送って完了
書面が完成したら業者へ送付しましょう。内容証明郵便で出す場合は、郵便局で手続きを行いましょう。
※内容証明郵便を扱う郵便局は郵便物の集配をする郵便局と特定の郵便局です。もし、わからない場合は、電話で近くの郵便局に確認して下さい。
内容証明の加算料金は430円 (2枚目以降は260円増)です。
また、クーリングオフで契約が適用される期間は、クーリングオフ書面を差し出した郵便物の消印がされた日となります。
3-5.クーリングオフ後の対応
クーリングオフの後は契約はなかったことになるので、損害賠償や違約金を支払う必要はありません。
また、業者には建物を契約前の状態に戻すことが義務付けられています。建物を契約前の状態に戻す為の費用等は全て業者が負担します。何か取り付けたもの、設置された物も業者負担で元の姿にすることが出来ます。
4.わからない時にはすぐに相談を!
ウチの場合はクーリングオフが適用できるのか、クーリングオフを申請しても相手にされない等といった問題があった場合はすぐに国民生活センター(消費者センター)へ相談しましょう。
国民生活センター(消費者センター)では、商品やサービス等の消費生活全般に関する苦情や問合せ、消費者からの相談を専門の相談員が受付け、公正な立場で処理にあたってくれます。
何事も早め早めの対応が大切です。何か問題があった場合はすぐに相談しましょう。
5.実録!実際にあった外壁塗装のクーリングオフ事例
外壁塗装における契約トラブルは数え切れないほどたくさんあります。今回はトラブルの例をご紹介します。
5-1.事例①「訪問販売業者にしつこく迫られ契約してしまった」
一つ目は強引な契約方法をとられた事例です。
「今日中に契約したら半額になります。」「明日になれば通常価格になりますよ」と言われ続け、長時間居座り契約を迫られたという案件があります。
このような場面になってしまっては根比べになってしまい、あまりのしつこさにもう契約するしかないと諦めに近い感情での契約となります。もちろん、このようなやり方では不満が出やすくなります。
契約するまで居座りする行為は訪問販売でよくある事例の一つです。しかし、上記の例は訪問販売での案件となるので無事にクーリングオフが適用されました。契約書を書いて冷静になってきちんと対処できたことがカギとなります。
5-2.事例②「モニターになっていただくと大幅値下します」
二つ目もよく聞く事例だと思います。「モニターになれば費用は大幅削減します」「半額にしますよ」と嘘の内容を説明し、実際は高額な契約を迫られた案件があります。
訪問販売で案件獲得の為によく使われる文言です。いざ診断をして見積りをもらったらものすごく高額ですが、営業マンの言葉巧みな説明にうっかり契約をしてしまうケースもあるみたいです。しかし、契約者も契約後に冷静になってからやっぱりおかしいとクーリングオフで解約に至りました。
悪徳リフォーム業者の手口については下記の記事でもまとめていますので、ぜひご覧ください。
【保存版】知らないと損!悪徳リフォーム業者の手口と絶対に騙されない為の全知識
まとめ
いかがでしたか?
クーリングオフと良く聞くが、いざとなったらどのような手続きをしたら良いのか、わからないものです。
きっとこの記事を見られた方の中にも、急ぎで読んでいる方もいらっしゃるかと思います。
ですが、とにかくそのようなときこそ冷静な対処が必要です。
要点を押さえ、納得のいかないものはクーリングオフで対処をしていきましょう!