リフォーム瑕疵保険

我が家もそろそろリフォームや外壁塗装の時期なのか?でもなんだかリフォーム業者も工事も不安だなぁ。なんて考えていらっしゃる方は多いかと思います。不安に思われるもの無理もありません。国土交通省の管轄する公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理センターによると屋根・外壁のリフォームトラブルは年間1,700件以上も相談されているのです。

しかし、なんのメンテナンスもしないまま住まいをこのまま放置すれば最悪、雨漏りや住宅の重要な基材への欠陥につながりかねません。リフォームや外壁塗装をするのは不安だが、メンテナンスしなければ住まいが傷む…そんなジレンマに陥ってしまいますよね。

「住宅瑕疵担保履行法」というものをご存知でしょうか?現在、新築を供給するすべての業者には品確法にもとづき、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。万が一その業者が倒産し、その後に住宅に瑕疵が見つかった場合、補修金額の一部を補填してくれる保険・供託の制度です。

上記のような制度が実はリフォームや外壁塗装でもあるのをご存知ですか?それを「リフォーム瑕疵保険」と呼びます。今回は、安心してリフォームをしてもらえるようリフォーム瑕疵保険の仕組みを詳しくご紹介します。

1.リフォーム瑕疵保険とはなにか?

1-1.リフォーム瑕疵保険の概要を知る

1-1-1.リフォーム瑕疵保険の基本事項

リフォーム瑕疵保険について知っていく前に、基本的な用語についてご説明します。

瑕疵とは:

瑕疵の直接的な意味は「欠陥」。この記事でいう瑕疵とは契約にしたがって完了した工事に、約束通りの性能や品質が確保できていないこと。

リフォーム瑕疵保険とはリフォームをした際、住宅に欠陥があった場合、事業者が加盟している保険法人が補修費を補填する保険制度の事です。また、仮に事業者が倒産してしまった場合には発注者(あなた)へ直接保険法人から保険金が支払われます。

リフォーム瑕疵保険の概要
リフォーム後住宅に瑕疵があった場合業者が保証の為におこなう補償工事に掛かる費用を保険法人が保険金として負担すので補修工事が確実かつスムーズに実施される。
リフォーム後住宅に瑕疵があり、業者が倒産してしまった場合保険期間内に業者が倒産してしまった場合、発注者が直接保険法人へ保険金の請求をおこなう事ができる。

1-1-2.リフォーム瑕疵保険の適用期間

事故となる事由保険期間
増築工事を除く保険対象工事部分・保険対象工事部分のうち、構造耐力上主要な部分が基本的な耐力性能を満たさないこと

・保険対象工事部分のうち、雨水の侵入を防止する部分から雨漏れが発見されること

5年間
・保険対象工事のうち上記以外の部分が社会通念上必要とされる性能を満たさないこと1年間
保険対象となる増築工事部分(特約)

※既存住宅の基礎外周部の外側において基礎の新設をおこなう工事

・保険対象工事部分のうち、構造耐力上主要な部分が基本的な耐力性能を満たさないこと

・保険対象工事部分のうち、雨水の侵入を防止する部分から雨漏れが発見されること

10年間

※参考文献:株式会社日本住宅保険検査機構 JIOリフォームかし保険 事業者用要項説明書

1-1-3.リフォーム瑕疵保険が適用される工事

リフォーム瑕疵保険はどの部分へも適用される訳ではありません。ざっくりと結論を言えば、保険の適用部分は「構造耐力上主要な部分」と「雨水侵入を防止する部分」です。適用箇所を図にまとめたものが下記です。

画像出典:http://www.jio-kensa.co.jp/insurance/reform/common/pdf/default_04.pdf

構造耐力上主要な部分とは、柱や筋交いなど住宅を支える際に重要な部分の事です。また、雨水の防止とは雨漏りに関係する部分のことです。これだけではいまいちまだ分かりませんね。更に詳しく、どの部分が適用範囲なのかまとめました。

工事別 リフォーム瑕疵保険対象工事 例瑕疵の事象例
コンクリート工事玄関土間等の構造耐力上主要な部分以外のコンクリート部分著しい沈下、ひび割れ、不陸または隆起が生じること
木工事床、壁、天井、屋根又は階段等の木造部分著しいそり、すきま、割れ または たわみが生じること
ボード、表装工事床、壁又は天井等のボード又は表装工事による部分仕上材に著しい剥離、変形、ひび割れ、変質、浮き、すき または しみが生じること
建具、ガラス工事内部建具の取付工事による部分建具または建具枠に、著しい変形、亀裂、破損、開閉不良または がたつきが生じること
左官、タイル工事壁、床又は天井等の左官、吹付け、石張又はタイル工事部分モルタル、プラスター、しっくい または石・タイル等の仕上部分もしくは石・タイル仕上げの目地部分に、著しい剥離、亀裂、破損または変退色が生じること
塗装工事塗装仕上の工事による部分著しい白化、白亜化、はがれ または亀裂が生じること
屋根工事屋根仕上部分屋根ふき材に著しいずれ、浮き、変形、破損または排水不良が生じること
内部防水工事浴室等の水廻り部分の工事による部分タイル目地の亀裂または破損、防水層の破断もしくは水廻り部分と一般部分の接合部の防水不良が生じること
断熱工事壁、床又は天井裏等の断熱工事を行う部分断熱材のはがれが生じること
防露工事壁、床又は天井裏等の防露工事を行う部分適切な換気状態での、水蒸気の発生しない暖房機器の通常の使用下において、結露水のしたたり または結露によるかびの発生が生じること
電気工事配管又は配線の工事を行う部分
コンセント又はスイッチの取付工事を行う部分
破損または作動不良が生じること
給水、給湯、温水暖房工事
配管の工事を行う部分
蛇口、水栓又はトラップの取付工事を行う部分
厨房又は衛生器具の取付工事を行う部分
破損、水漏れ、排水不良または作動不良が生じること
排水工事配管の工事を行う部分排水不良または水漏れが生じること
汚水処理工事汚水処理槽の取付工事を行う部分破損、水漏れ または作動不良が生じること
ガス工事
配管の工事を行う部分
ガス栓の取付工事を行う部分
破損、ガス漏れ または作動不良が生じること
雑工事小屋裏、軒裏又は床下の換気孔の設置工事を行う部分脱落、破損または作動不良が生じること

※参考:http://www.jio-kensa.co.jp/insurance/reform/reform01.html

屋根・外壁の塗装工事では著しい白亜化、はがれ、亀裂が対象となり、屋根の葺き替え、カバー工事では葺き材にずれ、浮き、変形、欠損、雨漏れが生じた際が対象となります。

 

1-2.リフォーム瑕疵保険を販売している会社を知る

次に、リフォーム瑕疵保険を取り扱っている会社について知っていきましょう。このリフォーム瑕疵保険はどの会社でも取扱出来るわけではありません。現在、国土交通大臣が指定したリフォーム瑕疵保険を取り扱っているのは下記の5法人です。

保険法人商品名金額
㈱住宅あんしん保証あんしんリフォーム工事瑕疵保険保険料+検査手数料
住宅保証機構㈱まもりすまいリフォーム保険保険料+検査手数料
㈱日本住宅保証検査機構JIOリフォームかし保険保険料+検査手数料
㈱ハウスジーメン住宅かし保険保険料+検査手数料
ハウスプラス住宅保証㈱リフォーム工事瑕疵担保責任任意保険保険料+検査手数料

どの保険も、保険料と検査の手数料を保険法人へと支払います。金額は、平米数や構造耐力上主要な部分への工事の有無、増改築の有無で変わってきます。詳しく知りたい方は各保険法人の案内をみてください。参考として、どのような工事でどのくらいの保険加盟料がかかり、瑕疵があった場合どのくらい補填されるのか一例をあげます。

リフォーム工事の内容請負金額保険金支払限度額保険料検査回数検査料金/1回
外装(外壁・屋根)工事の全面改修180万円200万円22,900円2回中間検査13,500円

完了検査14,100円

保険料総計:50,500円

工事の種類や請負金額にもよりますが、だいたい3万円~5万円が相場ではないでしょうか。工事の内容が躯体や防水に関わる事の場合高くなる傾向にあります。また、金額負担は請負者が全額負担か発注先のリフォーム業者と折半というのが多いようです。

 

1-3.リフォーム瑕疵保険へ加盟している業者を知る

実際にリフォーム瑕疵保険を使って、契約をしたいと思った方もいるかと思います。ただし、このリフォーム瑕疵保険は、どのリフォーム業者でも使用できる訳ではありませんので注意が必要です。このリフォーム瑕疵保険はリフォーム業者が事前に保険法人へ申込をし、事業者として登録されないと使用ができないのです。リフォーム瑕疵保険が仕えるリフォーム会社は下記より検索ができます。

住宅かし保険 登録業者等の検索サイト

URL:http://search-kashihoken.jp/

また、上記のサイトではリフォーム瑕疵保険をどのくらい使用したのかという実績を調べる事も可能です。確実にリフォ―ム瑕疵保険を使用したい方は、使用実績の多い業者を選定すると良いでしょう。

 

1章ではリフォーム瑕疵保険の概要に関してご説明しました。おさらいのポイントは下記の通りです。

■リフォーム瑕疵保険は瑕疵(欠陥)があった際に保険法人が補修費用を補填する保険制度のこと

■リフォーム瑕疵保険は国土交通省が推奨する保険制度(ただし義務ではない)

■リフォーム瑕疵保険は主に「構造耐力上主要な部分」と「漏りに関係する部分」の保証をおこなう

■リフォーム瑕疵保険はどの業者でも使用できるものではなく、事前に業者が加盟をしないといけない

 

2.リフォーム瑕疵保険のメリット・デメリット

リフォーム瑕疵保険はメリットのある制度ですが、もちろん反対の側面も持ち合わせています。リフォーム瑕疵保険を使用する際はメリットとデメリットの両面を知った上で使用するのが賢いでしょう。

2-1.リフォーム瑕疵保険のメリット

リフォーム瑕疵保険のメリット
瑕疵が見つかった場合、修繕費として保険会社から修繕費用が支払われる
リフォーム業者が倒産した後に瑕疵が見つかった場合保険会社に修繕費用を請求できる
工事中に第三者(建築士)による検査がおこなわれるので、施工品質を確保できる
リフォーム瑕疵保険に加盟をしているリスクヘッジのできる業者を選定できる

リフォーム瑕疵保険のメリットは施工品質を確保でき、万が一に備えられる点です。また、リフォーム瑕疵保険の制度に加入している業者はリスクヘッジができていると言っていいでしょう。自分の会社にもしもの事があった場合にも、工事をさせてくださったお客様に迷惑を掛けないという会社柄が伺えます。

2-2.リフォーム瑕疵保険のデメリット

リフォーム瑕疵保険のデメリット
保証期間が短い(雨漏りの場合引き渡しより5年)
保険料が高い(外装工事の場合平均5万円前後)
工期が伸びる

余り知られていないデメリットは保証期間が短い事です。通常引き渡しから5年で瑕疵による雨漏れ等が発生する事はありません。特に、現在の住居は気密性と保温性に優れている為、壁面や屋根の断熱材や防水紙がある程度の雨水を食い止めるので発見が遅れる傾向にあるのです。

2-3.リフォーム瑕疵保険はこんな人におすすめ!

リフォーム瑕疵保険にはメリット、デメリットがあります。では、どんな人にリフォーム瑕疵保険が必要なのかご紹介します。

リフォーム瑕疵保険はこんな人におすすめ!
リフォーム金額が高額な方リフォームの金額が高額になる場合、工事がうまく進まない、瑕疵が発生した場合のリスクも高くなります。費用は掛かってしまいますが、リスクヘッジの為に加入するのも良いでしょう。
リフォーム工事に不安を持っている方今まで、リフォーム工事で失敗したり、知り合いからそのような話を聞いた事がある方は工事に不安を持たれていますよね。その不安を第三者の検査を挟むことで軽減させる事ができます。
業者まかせにしたくない方工事を業者まかせにして大丈夫なのか?と不安に思っている方はリフォーム瑕疵保険への加入をおすすめします。なぜなら、検査には専門の資格(建築士)を持った方が実施してくれるからです。第三者のチェック体制により、安心の工事をおこなう事ができます。

いかがでしょうか。基本的には、リフォーム工事を業者まかせにせず、第三者のチェック体制が欲しい方は加入をおすすめします。

 

2-4.リフォーム瑕疵保険使用の流れ

では実際にリフォーム瑕疵保険を使いたい場合、どのような流れなのか知っておきましょう。

【リフォーム瑕疵保険使用の流れ】

STEP1:リフォーム瑕疵保険が使える業者を選定する

前章で記載したとおり、リフォーム瑕疵保険はどの業者でも使える訳けではありません。まずはリフォーム瑕疵保険が使える業者を選びましょう

STEP:2リフォーム瑕疵保険の説明を受け、申込をする

業者が決まったらリフォーム瑕疵保険を使用したい旨を伝え、それを踏まえた見積りを出してもらう。リフォーム瑕疵保険の金額をどちらが持つのかは業者に寄りますが、注文者であるあなたも負担をする事がほとんどです。

STEP:3中間検査を受ける

リフォーム瑕疵保険に加入して工事をすると、中間検査をする必要があります。中間検査には第三者の建築士等が派遣され、正常に工事がされているかを検査してくれます。

STEP4:リフォーム後瑕疵を発見した場合

リフォーム後に瑕疵を発見した場合、業者へ連絡をしましょう。リフォーム瑕疵保険の保証期間であれば、補修費用を保険会社が保険してくれます。また、業者が倒産してしまっていた後瑕疵を発見した場合は保険会社に連絡をします。保証期間内であれば保険会社があなたへ直接補修費用を支払います。

2章ではリフォーム瑕疵保険のメリットとデメリットを説明しました。重要な項目を下記に記載します。

■リフォーム瑕疵保険は第三者が検査をし、欠陥があった場合は補填してくれる良い面を持つ

■リフォーム瑕疵保険は保険料や調査料など金銭的負担が増え、保証期間は最長5年と短い

 

3.あわせて大事な業者選びの基準

リフォーム瑕疵保険はとても良い制度ですが、果たしてそれだけで良いのでしょうか。リフォーム瑕疵保険は欠陥があった場合の最終手段。「この業者なら安心だ」と選定し、高いお金を払っておこなう工事です。本来は瑕疵なんてあってはなりません。リフォームの欠陥をそもそも避ける為に必要なのは、業者選びです。長く付き合える業者の基準がどんなものなのか知っていきましょう。

3-1.専門性のある業者を選定しよう!

リフォームトラブルの中でもっと多いのが、業者の専門性がないが為、使用する材料や施工方法を誤り瑕疵に繋がる事です。その原因は「業者の知識不足」なのです。リフォーム業、塗装業は特別な資格が必要なわけでもなく開業できることもあり、専門知識の少ない業者も存在します。

工事を発注する前の段階で業者に専門性があるか、ないかを見極める簡単な方法は資格をもっているかを確認するのがよいでしょう。下記に住宅診断に関する資格の一例を乗せています。

資格概要
建築士建築士は建物の設計、工事監理を行なえる技術者です。
 
画像出典:http://www.kenchikushikai.or.jp/touroku/kenchikushi/

 

資格概要
雨漏り診断士雨漏りをしている箇所の特定や補修方法の提案をおこなう技術者です。
 
画像出典:http://www.amamorishindan.com/

 

資格概要
外装劣化診断士住宅の劣化状況を総合的に調査する専門者です。
 
画像出典:http://jutaku.shiminkouza.or.jp/point/

 

3-2.保証制度を確認しよう!

現在のリフォーム工事では、業者やメーカーが保証を出してくれる事がほとんどです。保証には2つの種類があります。

□製品保証・・・製品に瑕疵があった場合の保証でメーカーが製品代を上限とし保証する

□工事保証・・・塗装工事に瑕疵があった場合、施工店が工事に対しての保証

ここで注意したいのが、製品保証は製品に瑕疵があった場合にのみ使えるということと、工事保証は業者が存続する限りで使用できるという事です。つまり、製品に欠陥があるケースは少なく、瑕疵の大半は業者の施工不良から起こるのです。また、業者が保証するのは存続する限り、つまり倒産してしまえば使えないという事です。

最近では、業者がフランチャイズに加盟し、倒産してしまった場合には本部が保証を引き継ぐという形態をとっている所もあります。これもリフォーム瑕疵保険に通ずるリスクヘッジの一つといえるでしょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はリフォーム瑕疵保険にフォーカスをあて、詳しくご紹介しました。

1章では、リフォーム瑕疵保険とはそもそもどういうものなのか?どんな保険会社が取扱い、いくら位かかるのかまで詳しくご紹介しました。また、2章ではそんな便利なリフォーム瑕疵保険にもメリットとデメリットがあるのだという事を説明しています。3章では、それを踏まえ私たちに求められるのはリフォーム瑕疵保険という最後の切り札を使わずとも、良い会社と巡り合うための選定基準を知ることだとご紹介しました。

リフォーム瑕疵保険を検討し、工事をしたいと思われているあなたはきっと住まいのことを真摯に考えているのでしょう。リスクを回避し、より良い工事をおこなうならばまずは業者選定から見直し、永く付き合っていける業者を選び、そこでリフォーム瑕疵保険を使用するのが良いでしょう。まずは信頼できる業者を選定する事からはじめましょう。