ズバリ、戸建てには定期的な塗装が必要です。定期的に塗装をしなければ、雨漏りが発生するなどして、戸建ての寿命が縮む可能性は十分にあります(このあたりのメカニズムについて詳しくは、下記1章にて解説いたします)。

とはいえ、安くはない塗装工事。「いま、本当に塗装をする必要があるのか」疑問に思われている方もいらっしゃるでしょう。なかには、「費用によって、塗装するかどうか決めたい」という方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、この記事では、戸建て塗装を検討されている方の様々な疑問にお応えするべく、情報をまとめて解説してまいります。戸建てに定期的な塗装が必要な理由をはじめ(1章)、塗装時期を見極める方法(2章)、塗装工事にかかる費用(3章)、信頼できる業者の選び方(4章)まで、プロがかみ砕いてお伝えしてまいります。ぜひ、参考にしてください。

1.戸建ては定期的に塗装すべし

塗装
塗装の役割は、戸建てを保護することです。塗装後にできる塗料の膜が鎧となって、紫外線や雨などの自然環境から戸建てを守っています。
しかしながら、塗装は永続的に鎧の役割を果たし続けられるわけではありません。時間の経過とともに塗装の劣化は進行し、次第に鎧の役割を果たせなくなります。そして、最終的には雨水の浸入を許すように。屋内に入り込んだ雨水は躯体を腐食させてしまうため、最悪の場合、戸建ての寿命が縮んでしまうこともあるでしょう。

つまり、屋内への雨水の浸入を防ぎ、戸建てを長持ちさせるためには、塗装が劣化した段階で改めて塗装を施し、塗装の「鎧」効果を持続させる必要があるということです。戸建てを守るためには、定期的な塗装は必須です。

とすると、気になるのは、「塗装が劣化し鎧の役割を果たせなくなるのは、いつなのか」「我が家は、塗装すべきタイミングなのか」でしょう。下記2章で、塗装時期の見極め方を詳しく解説してまいります。

2.戸建ての塗装時期を見極める3つの方法

この章では、戸建ての塗り替え時期を見極める方法を3つご紹介いたします。

2-1.方法① 一般的な塗り替え周期で考える

簡易的に見極めるならば、「一般的な塗り替え周期」で塗り替え時期を考えるという方法があります。
新築を建ててから、もしくは前回塗り替えをしてから下記の年数が経っている場合は、塗り替えの時期ということになります。

<一般的な塗り替え周期>

約8~12年周期

ただし、上記の塗り替え周期はあくまで目安。外壁材や屋根材の種類、周囲の環境によっては、塗り替え時期が上記の周期から外れることもあります。
よりベストな塗り替え時期を見極めたいという場合は、下記2-2と2-3を参考にしてください。

2-2.方法② 自身で劣化症状をチェックする

外壁チェック
劣化症状をチェックすることで、よりベストな塗り替え時期が見極められます。ずばり、下記のような劣化症状が見られる場合は、塗り替え時期です。

<塗り替えが必要な劣化の症状>

屋根/ひび割れ

屋根/ひび割れ

屋根/藻やカビの発生

屋根/藻やカビの発生

屋根/色あせ・艶ひけ

屋根/色あせ・艶ひけ

外壁/ひび割れ

外壁/ひび割れ

外壁/塗膜の剥がれ

外壁/塗膜の剥がれ

外壁/チョーキング

外壁/チョーキング
※手で触ると、粉状のものが付着する状態

外壁/色あせ・艶ひけ

外壁/色あせ・艶ひけ

外壁/藻やカビの発生

外壁/藻やカビの発生

[注意!]屋根にのぼって劣化症状をチェックするのはNG!

うっかり踏み外すなどして大ケガにつながる可能性もあるため、劣化症状を見るために屋根上にのぼるのは絶対にやめてください。屋根の劣化症状は、ベランダや地上などから見える範囲で確認しましょう。屋根を見下ろせる高い場所や建物がある場合は、そこから双眼鏡等をつかって確認するのも一つの手です。

2-3.方法③ プロに診断を依頼する

外壁塗装診断
最も確かで間違いないのは、プロに依頼するという方法です。プロの診断を受ければ、最適な塗り替え時期を提示してもらえます。

実際のところ、素人が塗り替え時期を自身で正しく判断するのは、まず無理です。特に雨漏りは目に見えるところで発生しているとは限らず、見過ごしている期間が長ければ長いほど、住まいは蝕まれていきます。そのため、2-1、2-2を踏まえた結果、「そろそろ、塗り替え時期かもしれない」という場合には、ひとまずプロに診てもらうのがオススメです。

診断の費用が気になる場合は、「無料診断」を実施している業者にお願いをすると良いでしょう。

▼本サイトを運営しているプロタイムズでも「無料診断」を実施しています。詳しくは、こちらをチェックしてみてください。

外壁・屋根の無料診断

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3.プロが教える!戸建て塗装にかかる費用相場

費用

3-1.ズバリ費用相場は100万円前後!

戸建て塗装(屋根・外壁)の費用相場

80~150万円

ただし、上記はあくまで費用相場です。
そもそも塗装工事は見積もり式であるため、「総額◎◎円だから妥当」といった判断はできません。塗装が必要な面積、使用する塗料の種類、劣化症状等によっては上記費用と大きく異なることもあります。「より正確な費用相場が知りたい」という方は、3-2を参照ください。

3-2.より正確な費用は塗料代・足場代・施工費をもとに算出できる

塗装工事の費用を構成するのは「塗料代」「足場代」「施工費(人件費)」「業者の利益」です。そのため、この「塗料代」「足場代」「施工費」のそれぞれの相場額を掴むことで、戸建ての塗装工事代が総額いくらになるかも、おおよそ自身で算出することができます。

ちなみに、費用の内訳比率は、塗料代は約20%、足場代は約20%、施工費(人件費)が約30%、そして利益が約30%です。


[塗料別の相場目安]

塗料

●屋根

塗料(上塗材)耐久年数費用 ※1缶あたり
ウレタン約3~5年5,000~20,000円
シリコン約5~7年15,000~40,000円
フッ素約7~10年40,000~100,000円
無機約10~15年50,000~120,000円

●外壁

塗料(上塗材)耐久年数費用 ※1缶あたり
アクリル約3~5年5,000~15,000円
ウレタン約5~7年5,000~20,000円
シリコン約7~10年15,000~40,000円
ピュアアクリル約15年~50,000~70,000円
フッ素約15年~40,000~100,000円
(変性)無機約15年~50,000~120,000円

※一般的な2階建て住宅の場合、屋根塗装に使用する塗料缶数(上塗材)は2缶程度、外壁塗装に使用する塗料缶数(上塗材)は3~4缶程度です。
※塗料の費用は、耐久年数が長いほど高く、耐久年数が短いほど安い傾向にあります。
※上記はあくまで目安です。塗料メーカーや製品によっても価格が異なります。


[工事代(人件費)の相場価格]

塗装

工事項目相場価格(円)
飛散防止ネット100~200円/㎡
高圧洗浄100~300円/㎡
養生250~400円/㎡
付帯塗装工事軒天800~1,200円/㎡
雨樋800~1,200円/m
破風板650~1200円/㎡
雨戸2,000~5,000円/枚
シーリング打ち替え900~1,500円/m
シーリング増し打ち500~1,000円/m
諸経費現場管理費1式 30,000~50,000円
廃材処理費等1式 10,000~30,000円

※高圧洗浄/養生/諸経費は、必ずかかります。雨樋などの付帯部と呼ばれる部分を塗装するかorしないかは、住まいの劣化状況や希望等によって異なります。
※上記はあくまでも相場価格です。住まいの劣化状況等によっては、価格が上記と大きく異なることもあります。


[足場代の相場価格]

外壁塗装足場

ステップ①足場架面積(足場をかける面積)を算出。

足場架面積=[家の外周+8m]×高さ

※家の外周に足す8mは、外壁(家)から足場までの距離に相当

ステップ②足場代を算出。

足場費用=足場架面積×(足場費用/㎡+飛散防止ネット/㎡)

※足場費用/㎡は600~800円/㎡、飛散防止ネット費用/㎡は100~200円/㎡

▼戸建ての塗装費用については、こちらの記事も参考にしてください。

2020年版|外壁塗装の費用相場は?単価&見積りをプロが解説!

屋根塗装の相場はいくら?【2021年更新版】

4.信頼できる塗装業者を選ぶために押さえておくべき4つのこと

戸建ての塗装工事を成功させるためには、信頼できる塗装業者への依頼は必須です。そこで、ここでは信頼できる塗装業者を選ぶために押さえておくべきことを4つご紹介いたします。

4-1.見積りは2~3社の塗装業者に依頼すべし

見積書
妥当な金額や工事内容を提示する、信頼できる塗装業者を見抜くために、2~3社の塗装業者に見積りを依頼しましょう。

なぜ2~3社の塗装業者に見積もりを依頼すると、妥当な金額や工事内容を提示する塗装業者が見抜けるかというと、2~3社の見積書が手元にあれば、比較することで自身でも金額の妥当性を探ることができたり、また場合によっては「工事内容が違う」といったことに気づけるためです。

さらに、業者と価格交渉をする場合も、複数社へ見積りを依頼している(相見積りをとっている)ということが、交渉を有利に進めるための材料となることもありますので、少々面倒に思われるかもしれませんが、見積りは2~3社の塗装業者に依頼するのがオススメです。

4-2.選ぶべきは「戸建て塗装」の実績が豊富な塗装業者

塗装業者を選ぶ際、「戸建ての塗装実績」は必ずチェックしましょう。

実績のある塗装業者の方が、経験に裏打ちされた、ノウハウや知識、技術がある可能性が高いのは間違いありません。また、実績が豊富にあるということは、それだけ多くの消費者に選ばれてきた証でもあります。

戸建ての塗装実績は、塗装業者のHPやパンフレットなどでチェックできます。これらに記載がない場合は、塗装業者にズバリ聞いてみましょう。

4-3.診断担当者が有資格者だと安心

外装劣化診断士
塗装業者に診断を依頼した際に(2-3)、診断を担当しているのが有資格者かどうかは、ぜひチェックしておきたいポイントの一つ。具体的には、下記のような資格をもっている担当者が診断をする塗装業者は、より安心です。

・建築士
・建物診断の専門資格「外装劣化診断士」

実際のところ、有資格者でなければ診断ができないというわけではありません。ですが、仮に診断の担当者が知識不足であった場合、十分な診断ができておらず、塗り替えの時期や施すべき工事内容を見誤ってしまう可能性も否定できません。とはいえ、一般の方が、診断の担当者の知識レベルを見極めるのは難しいため、上記の資格有無が一つの判断指標となる、というわけです。

信頼できる塗装会社・塗装職人がもっている資格&許可まとめ

4-4.塗装後の保証体制も一つの判断指標に

保証書
塗装後の「保証体制」も信頼できる塗装業者を見抜くポイントとなります。
塗装業者と契約を結ぶ前の段階で、「保証」についてもよくよく確認しておきましょう。

そもそも塗装工事には、法的に保証の義務はありません。そのため、保証の有無を確認するだけでも、その塗装業者が塗装工事について、どのぐらい責任を負う覚悟があるのかがわかります。

また、保証がある場合にも、なにをどこまで保証してくれるのか、保証内容や範囲についても具体的に踏み込んで確認することで、よりその塗装業者の信頼性を推し量ることができるでしょう。

▼信頼できる塗装業者の見極め方について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。

【塗装業者の見極め方】8つのステップで信頼できる業者を選ぼう!

[信頼できる塗装業者を探している方へ]外壁塗装の評判を調べる方法

まとめ

戸建ては定期的に塗装する必要があります。

「しばらくは経過観察でも…」と放置した結果、雨漏りが発生するなどして、甚大な補修費用がかかってしまうこともあるので、何等か気になる症状等がある場合は、早めにプロに診てもらうのがオススメです。塗装のタイミングについて詳しくは2章にて解説をしております。

また、具体的に塗装を検討する場合は、上記の塗装工事にかかる費用(3章)、信頼できる業者の選び方(4章)も参考にしていただき、ぜひ賢く戸建て塗装を進めてください。