塗装にまつわる、いくつかの資格や許可があることをご存知でしょうか。なかには、「こうした資格や許可を、塗装会社や塗装職人を見極める一つの指標にしたい」と考えている方もいるでしょう。
塗装にまつわる資格としては、塗装職人向けの国家資格「塗装技能士」、建物診断の専門資格「外装劣化診断士」などがあります。その他にも、塗装にまつわる資格や許可がありますが、詳しくは本章で詳しく紐解いてまいります。
この記事では、信頼できる塗装会社・塗装職人がもっている上記の資格・許可等についてわかりやすくかみ砕いて解説いたします。ぜひ参考にしてください。
1.持っていると信頼度UP!塗装の資格&許可まとめ
1-1.塗装職人向けの国家資格「塗装技能士」
「塗装技能士」とは、厚生労働省が定めた実施計画に基づいて行なわれる塗装技能検定の合格者を指します。
一口に塗装技能士といっても、難易度の高い順に「1級塗装技能士」「2塗装技能士」「3級塗装技能士」があり、1級は7年以上、2級は2年以上の実務経験が必要*となります。また、技能試験は、実技試験と学科試験があり、両方に合格する必要があります。つまるところ、塗装技能士の資格を取得している塗装職人は、一定の技術と知識のあることが第三者によって認められているということです。
一つお伝えしておきたいのは、塗装技能士の資格がなければ塗装工事ができないというわけではないということです。また、塗装技能士の資格をもっていないけれども、腕の良い塗装職人もいます。特に年配の塗装職人などは、資格をもっていないケースも少なくありません。とはいえ、塗装職人を見極める際に、「塗装技能士」が判断基準の一つとなるのも、また事実でしょう。
*職業訓練歴、学歴等により短縮される場合があります。
※参考:中央職業能力開発協会
▼塗装技能士について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
1-2.建物診断の専門資格「外装劣化診断士」
一般社団法人住宅保全推進協会の認定資格。
外装劣化診断士の有資格者は、住宅の屋根・外壁などの外装部分の劣化状況や雨漏りのリスクを見極め、塗り替え時期の目安や必要な補修工事、今後のメンテナンス計画を見立てる一定のスキルを持っていることが第三者によって認められています。
塗装前に行なう“住まいの診断”は有資格者でなければならないといった決まりがあるわけではありませんが、仮に知識のない担当者にあたってしまった場合、適切な診断ができないことも。適切な診断ができなければ、劣化状況や雨漏りのリスクも正しく見極められないため、きちんとした塗装メンテナンスの計画はまず立てられません。最悪の場合、工事品質の低下を招いてしまう可能性もあるのです。
外装劣化診断士でなければ、信頼できる診断ができないというわけではありませんが、診断を担当するのが「外装劣化診断士」の有資格者かどうかは、塗装会社の診断の信頼性を推し量る一つの判断指標となることは間違いありません。
▼外壁塗装の診断について詳しくは、こちらの記事を参照ください。
1-3.「建設業の許可」を受けている塗装会社はより信頼できる
建設業法第3条では、請負金額が500万円以上の工事の場合には、国土交通大臣または都道府県知事による「建設業の許可」を受けることが義務づけられています。
戸建ての塗装工事の場合、請負金額が500万円以上となることはまずないため、「建設業の許可」は必要ありません。ただし、「建設業の許可」を取得しているかどうかは、塗装会社を見極める、一つの判断材料になります。
「建設業の許可」を取得するためには、実務経験10年以上もしくは有資格者の職人の配置、自己資本が500万円以上(もしくは、500万円以上の資金調達能力を有すること or 許可申請の直前過去5年間許可を受けて継続して建設業を営業した実績を有すること)など、国が提示する様々な要件をクリアしなければなりません。つまり、裏を返せば、「建設業の許可」を取得している塗装会社は、国が提示する様々な要件をクリアした、一定のお墨付きを得ている会社であるということです。
※建設業の許可について詳しくは、国土交通省のHPにてご確認ください。
1-4.塗り替え色を相談するなら「色彩検定」「カラーコーディネーター検定」の有資格者に
社内に色彩検定やカラーコーディネーター検定の有資格者を配置している塗装会社もあります。
色彩検定とは、公益社団法人 色彩検定協会が試験を実施する文部科学省後援の公的資格。難易度の高い順に1級、2級、3級があります。また、カラーコーディネーター検定試験®は、商工会議所が主催する検定試験。同じく難易度の高い順に1級、2級、3級があります。
塗り替え工事において、塗料の「色選び」に迷う消費者は少なくありません。近年、2色~3色での塗り分けなど表現の幅が広がっているため、消費者はより塗料の色選びに迷う傾向にあります。そこで頼りになるのが、色彩検定やカラーコーディネーター検定の有資格者。
色彩検定やカラーコーディネーター検定の有資格者のいる塗装会社に依頼すると、塗料の色を選ぶ際、色のプロに相談ができるため、より納得度の高い色選びができるはずです。
1-5.持っているとより安心な国家資格「有機溶剤作業主任者」
「有機溶剤作業主任者」とは、労働安全衛生法にて規定されている国家資格。
“有機溶剤”とは、使用や取り扱いに注意が必要な危険物にあたります。塗装工事でも、有機溶剤に該当する溶剤系製品を取り扱うこともあるため、有機溶剤の使用や取り扱いに関する知識は必須です。そして、この知識の有無を推し量る指標となるのが国家資格「有機溶剤作業主任者」。
この「有機溶剤作業主任者」の資格を有している職人のいる塗装会社は、安全に対する意識が高い会社と言えます。
1-6.[補足]足場の組み立てには国家資格「足場の組立て等作業主任者」が必要
足場の組み立てには、国家資格「足場の組立て等作業主任者」をもった人材の配置が義務づけられています[労働安全衛生規則(第565条)ほか]。また、足場を組み立てる作業員は全員、特別教育を受講する必要があります。
塗装工事でも多くの場合、足場が必要となりますが、足場の組み立てには上記の資格等が必要となるため、自社では足場を組まず、専門の足場業者に協力を依頼している塗装会社も少なくありません。
そもそも塗装会社が足場を組まないことも少なくないため、資格の有無が塗装会社を見極めるポイントにはなりませんが、「足場の組み立てには国家資格が必要」「足場は別の協力業者が対応することも少なくない」といった情報は、塗装会社や(足場の設置時に)足場業者とコミュニケーションをとる際に役立つこともあるので、ぜひ頭に入れておきましょう。
2.資格や許可だけでは塗装会社&職人の良し悪しは判断できない
資格や許可が塗装会社や職人を見極める一つの指標であることは、間違いありません。ただし、資格や許可だけでは、塗装会社や職人を完全に見極めることができないというのも、また事実です。
そのため、資格や許可だけを頼りに塗装会社を決めてしまうのは、オススメできません。
では、どうすればいいかというと、資格以外の判断指標も加えて、複合的に塗装会社や職人を見極めるのが良いでしょう。資格以外の判断指標について詳しくは下記3章でご紹介いたします。
3.[参考]資格や許可以外の判断指標もある!信頼できる塗装会社&塗装職人の見極め方
資格以外にも、塗装会社や塗装職人を見極める指標があります。
☑“診断”で見極める
外壁塗装前に行なう“診断”も、信頼できる塗装会社を見極める一つの判断指標となります。上記、“外装劣化診断士”の資格についてご紹介いたしましたが、資格以外にも、診断時に塗装会社を見極めるポイントがあります。
※詳しくは下記記事を参照ください。
☑見積額の妥当性で見極める
信頼できる塗装会社かどうかを見極めるにあたり、見積額の妥当性は外せないポイントです。
※詳しくは下記記事を参照ください。
☑塗装職人の腕で見極める
資格以外にも、腕のよい塗装職人を見極める方法があります。
※詳しくは下記記事を参照ください。
☑保証で見極める
塗装会社を選ぶ際、「保証」は必ずチェックしたいポイントの一つです。
※詳しくは下記記事を参照ください。
▼そもそも「信頼できる塗装会社・塗装職人の探し方が知りたい」という方は、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
資格や許可が、塗装会社や職人を見極める一つの判断指標となるのは間違いありません。上記、塗装にまつわる資格や許可について細かくご紹介しておりますので、塗装会社や塗装職人を見極める指標として、ぜひご活用ください。
また、上記2章&3章でご紹介した通り、資格や許可以外にも塗装会社や職人を見極める指標はあります。ぜひ、このあたりの情報も活用いただき、賢く信頼できる塗装会社や職人を見つけてください。