雨樋

「外壁塗装の見積書に記載されている、付帯部って何のこと?」といった疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。
付帯部とは、雨樋・幕板・雨戸・戸袋・笠木などのことです。付帯部について詳しくは、図解を1-1に掲載しておりますので、ぜひそちらをご覧ください。

また、なかには「外壁と一緒に、付帯部まで塗装する必要があるのだろうか?」といったことが気になっている方もいるかもしれません。
付帯部を塗装する場合は、外壁塗装と一緒に行なうのが一般的です。付帯部の塗装が必要かどうかは、“どの付帯部か” “付帯部の劣化がどのくらい進行しているか”などによって判断します。このあたりの内容については本章で詳しくご紹介いたします。

この記事では、“外壁塗装と一緒に行なう付帯部塗装”について徹底解説いたします。ぜひ、参考にしてください。

1.はじめに押さえておきたい!付帯部のこと&外壁と一緒に付帯部を塗装する理由

1-1.[ 図解 ]そもそも付帯部とは?

「そもそも、付帯部が何なのかよくわからない」という方も少なくないでしょう。付帯部とは、雨樋・幕板・雨戸・戸袋・笠木などのことです。具体的には、下記部分が主な付帯部となります。

外壁の部位の名称

 

屋根の部位の名称

基本的に、付帯部も定期的な塗装が必要ですが、なかには、「今回の外壁塗装時には塗装をしなくても良い付帯部」「必ずしも塗装をしなくても良い付帯部」などもあります。詳しくは、下記2章にて詳しく解説いたします。

1-2.外壁と一緒に付帯部を塗装するのはなぜ?

一般的に、外壁を塗装するタイミングで付帯部も(塗装を必要としている付帯部については)一緒に塗装をします。

もしかすると、「外壁塗装と一緒にしなくても…」「付帯部の塗装が必要になった時に、付帯部だけ塗装すれば良いのでは?」などと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、付帯部塗装は外壁塗装と一緒に行なうのが現実的です。その理由は、下記の3つです。

■外壁塗装と付帯部塗装を別のタイミングで行なうと、余計に費用がかかる可能性大

外壁塗装時にも付帯部塗装時にも足場が必要となりますが(※)、外壁塗装と付帯部塗装を一緒に行なえば足場代は1回分で済みます。ところが、別のタイミングで行なうと足場代は倍かかることになります。一般的に足場代は数十万円かかりますから、それが倍かかるとなると、どうでしょう。
また、外壁塗装と付帯部塗装を同時に行なった場合は、外壁塗装の合間に付帯部塗装を…とうまく時間を活用してもらえるため人件費が抑えられることもありますが、外壁と付帯部を別々に塗装した場合は、相応に人件費がかかることになるでしょう。

費用については様々な要因がからんでくるため一概には言えない部分もありますが、外壁と付帯部は一緒のタイミングで塗装をした方が、費用が抑えられる傾向にあることは間違いありません。

※付帯部塗装については、一部、足場が必要のないケースもあります(地面から届く範囲にある付帯部の塗装など)。

■外壁だけ塗装した場合、付帯部の傷みや汚れが悪目立ちすることに

仮に外壁だけ塗装して付帯部は塗装しなかったとすると、外壁がキレイになった分だけ、より付帯部の傷みや汚れが悪目立ちすることになるでしょう。付帯部の傷みや汚れがひどいほど、美しくなった外観とのコントラストが引き立つことに。
美観の面で考えても、外壁と付帯部は一緒に塗装をするのが良いのです。

■付帯部を改めて塗装しようと思う人は稀(まれ)

塗装には、時間と手間がかかります。塗装業者に連絡をして状態を診てもらい、見積りを検討し、色選びなどの打ち合わせを行ない、スケジュールを調整。工事期間中は窓を自由に開けることができないなどの制限もあります。こうしたことを付帯部塗装だけのために改めて行なおうと思うのかというと、どうでしょうか。多くの人が「まあ、いいか」と思うのではないでしょうか。そもそも「付帯部の塗装について考えることすらないかもしれない」という方も少なくないはずです。

しかしながら、付帯部は、塗装をせずに放置することで、その性能を十分に発揮しなくなるだけでなく、雨漏りを発生させる原因となってしまうことも(詳細は2章を参照)。
「付帯部塗装を後回しにして放置した結果、最悪の事態を引き起こってしまった…」といったことのないよう、塗装を必要としている付帯部については、外壁塗装をするタイミングで一緒に塗装をしてしまうのが良いというわけです。

 

2.外壁塗装と一緒に塗装すべき付帯部はどれ?

2-1.外壁と一緒に塗装することの多い付帯部

外壁と一緒に塗装することの多い付帯部は、下記の通りです。
“なぜ塗装が必要なのか” “具体的にどんな場合に塗装が必要なのか”等について、付帯部ごとに解説してまいります。「今回、外壁塗装と一緒に各付帯部を塗装すべきかどうか」を判断するための情報としても、参考にしてください。

●雨樋
雨樋

外壁がキレイになると、外壁を縦断している雨樋の傷みや汚れはより悪目立ちすることになるため、多くの場合(雨樋に傷みや汚れが生じている場合)、外壁の塗装をするタイミングで雨樋も塗装します。塗装をすることで、雨樋の耐久性を高める効果も期待できます。

ただし、ひび割れや欠損が生じているなど劣化が大きく進行している場合には、塗装では補修しきれないため、雨樋の部分交換等を行なうことになります。

雨樋の塗装に関する全知識【わかりやすい写真付】

●幕板
23 幕板
ひび割れや塗膜の膨れ・はがれなどの劣化が進行をすると、幕板が原因での雨漏り(住まい内部への雨水の浸入を許してしまう)の発生リスクが高まります。そのため、劣化が生じている場合には、外壁と同タイミングで塗装をして補修するのが一般的です。美観の面で考えても、外壁を塗装して外壁を横断する幕板を塗装しなければ、俯瞰して見た時に幕板の傷みや汚れが際立って見えてしまうことは容易に想像していただけるのではないでしょうか。

ただし、塗装で補修しきれないほど幕板の劣化が大きく進行している場合には、幕板の交換等を行なうこともあります。

●軒天
軒天
軒天にひび割れや塗膜の膨れ・はがれ、カビ・藻の発生などの劣化が生じている場合、通常、外壁と同タイミングで塗装をして補修します。ちなみに軒天の塗装をする場合は、屋根も同タイミングで塗装するケースがほとんどです。

劣化症状の中でも、シミが発生している場合は、塗装では補修しきれないことが少なくありません。というのも、シミの原因は雨漏りが発生している可能性が高いためです。仮に雨漏りが原因でシミが生じているとすると、塗装ではなく、軒天や破風などの張り替えを行なうことになります。

軒天の塗装方法・単価・塗料・DIY・色選びまで全解説

●破風・鼻隠し
破風・鼻隠し
外壁とあわせて屋根も塗装する場合、破風・鼻隠しも一緒に塗装をするのが一般的です。
破風や鼻隠しは住まい(屋根)の先端部にあるため、太陽光や雨風などの外部環境の影響を受けやすく、ひび割れや塗膜の膨れ・はがれなどの劣化が進行しやすい傾向にあります。劣化が大きく進行すると、雨漏り(雨水が住まい内部へ浸入してしまう)のリスクが高まるため、多くの場合、外壁塗装・屋根塗装をするタイミングで破風・鼻隠しも塗装をして補修をします。

塗装で補修しきれないほど劣化が進行している場合には、交換等を行なうことになります。

破風板の塗装は材質ごとに適した塗料の選択が必要!

その他、
●庇
●換気フード
なども、外壁と一緒に塗装することの多い付帯部です。

2-2.外壁と一緒に塗装することもある付帯部

下記付帯部は必ずしも塗装をする必要はありませんが、「劣化が進んでいるので、補修したい」「傷みや汚れがひどいので、見た目をキレイにしたい」「外壁塗装とあわせて、色を変えたい」といった施主(消費者)の希望がある場合に、外壁と一緒に塗装をすることもあります。

・雨戸、戸袋
戸袋

・シャッター
シャッター

・エアコンのダクトカバー
室外機ダクトカバー

上記以外にも、笠木、水切り 、基礎巾木、面格子(鉄)、窓手すり(鉄)、ポスト、ドア、門扉、犬小屋などを塗装するケースもあります。塗装をしたい付帯部等がある場合には、塗装できる箇所なのかどうかも含めて、塗装業者に相談をしてみるのが良いでしょう。

シャッター塗装はプロに依頼?DIY?費用~塗装方法まで全解説!

 

3.付帯部の塗装にかかる費用相場

付帯部の塗装にかかる費用相場は、下記の通りです。外壁塗装費に+α、下記の「付帯部の施工費+塗料費(材料代)」がかかるイメージです。

●施工費の相場

付帯部費用相場
雨樋800~1,200円/m
幕板850~1,420円/㎡
軒天800~1,500円/㎡
破風・鼻隠し650~1,300円/㎡
雨戸2,000~5,000円/枚
シャッター1,500~3,000円/㎡
エアコンのダクトカバー1,000~1,200円/台

※上記はあくまで相場です。劣化の進行具合等によっては、実際の費用が上記と大きく異なることもあります。

●塗料費(材料代)の相場

塗料耐久年数費用 ※1缶あた
アクリル約3~5年5,000~15,000円
ウレタン約5~7年5,000~20,000円
シリコン約7~10年15,000~40,000円
ピュアアクリル約15年~50,000~70,000円
フッ素約15年~40,000~100,000円
無機約15年~50,000~120,000円
光触媒約15年~50,000~100,000円

※上記はあくまで相場です。塗料メーカーや製品によっても価格が異なります。

▼外壁塗装の費用、塗料の費用については、こちらの記事を参照ください。

2023年版|外壁塗装の費用相場は?塗料代が値上げになる?見積りをプロが解説!

 

4.付帯部塗装を失敗しないために!把握しておくべき見積り&色選びのこと

4-1.見積り|付帯部塗装に関する記載も必ず確認すべし

外壁塗装とあわせて付帯部塗装をする場合、見積りの付帯部に関する記載も確認しましょう。特に、下記3つのポイントを“契約を結ぶ前”に確認しておくと安心です。

☑ポイント① 塗装箇所
付帯部の塗装箇所(具体的に、どの付帯部を塗装するのか)についての記載は確認しておきたいポイントの一つ。
「付帯部」「付帯部一式」といった総称しか記されていないなど、具体的にどの付帯部を塗装するのかが見積りに明記されていない場合、「塗装してもらえると思っていた箇所を、塗装してもらえなかった」といったことになりかねません。そのため、見積りに付帯部の塗装箇所が明記されていない場合は、塗装業者に確かめて明らかにしておきましょう。

☑ポイント② 使用する塗料
付帯部塗装に使用する塗料についての記載も確認しておきたいポイントです。具体的には、“外壁塗装に使用する塗料とは別に、付帯部に使用する塗料が明記してあるか”をチェックしてください。
その理由は、塗料には対応素材が定められており、多くの場合、外壁塗装で使用した塗料を付帯部塗装に使いまわすことはできないためです。たとえば、窯業系サイディング用の塗料で雨樋を塗装することはできません。塗料の対応素材を無視して無理に塗装をすれば、塗装後すぐはキレイに仕上がっているように見えても、早々に塗膜がはがれるなどの不具合が生じてしまう可能性大です。

見積りに付帯部に使用する塗料についての記載がない場合は、塗装業者に確認をしましょう。その際、「外壁に使用する塗料で付帯部も塗装する」といった返答の場合は、その塗料が付帯部の素材にも対応しているのかまで踏み込んで確認しておくと、より安心です。

※参考
ちなみに、付帯部に使用する塗料は、外壁に使用する塗料と同じくらいの耐久性(耐候年数)の塗料を選ぶのがオススメです。なぜならば、同じくらいの耐久性の塗料を選んでおけば、付帯部と外壁の“次回の塗装のタイミング”を合わせることができるためです(外壁塗装と付帯部塗装のタイミングを合わせた方が良い理由については1-2参照)。

☑ポイント③ 付帯部の塗装にかかる費用内訳
付帯部塗装の総額だけでなく、施工費・塗料費(材料代)などの費用内訳についても確認しておきたいポイントとなります。見積りに付帯部塗装の総額しか記載がない場合は、何にどのぐらいの費用がかかるかを塗装業者に聞いて明らかにしましょう。
なぜそこまでする必要があるかというと、費用内訳を曖昧にして、施主(消費者)にわからないように塗料のランクを下げるなどして不当に利益を得ようとする心ない業者も一部存在するためです。もちろん、多くは信頼できる塗装業者ですが、そうした心ない業者も存在するということは押さえておきたいところ。こうした心ない業者にうっかり工事を依頼してしまうことのないよう、外壁塗装はもちろん、付帯部塗装についても費用内訳まで確認することが重要です。

付帯部の塗装にかかる費用相場については3章にてご紹介しておりますので、費用内訳をチェックする際に、ぜひ参考にしてください。ただし、劣化が大きく進行している場合などは、3章の費用相場よりも高額となることもあります。このあたりのことは、自身での判断は難しいため、少しでも疑問に思うことがあれば、塗装業者に確認をしてみてください。その際、はぐらかすような態度をとったり、きちんと説明してくれなかったりする場合には、先述の心ない業者の可能性があるため、その塗装業者への依頼はやめておいた方が良いかもしれません。

▼外壁塗装の見積りのチェックポイントについて詳しくは、下記記事を参考にしてください。

外壁塗装の適正価格は?見積額の妥当性を見極める3ステップ

4-2.色選び|付帯部の色も住まいの印象に大きく影響する

色選び

外壁と同じくらい、付帯部の色選びも重要です。こだわって選んだ色で外壁を塗装しても、外壁と付帯部の色の相性がよくないと、住まい全体を俯瞰して見た時に残念な仕上がりとなってしまう可能性も。

付帯部の色選びに失敗しないためには、付帯部の色選びには大きく分けて下記2つのアプローチがあることを押さえておくと良いでしょう。

・外壁(もしくは屋根など)と同系統の色を選ぶ

外壁塗装_色
出典:プロタイムズ坂戸店・飯能店

・全く違う色(アクセントカラー)を選ぶ
付帯部
出典:プロタイムズ福岡北店
上記どちらのアプローチで色を選ぶかで、住まいの印象は大きく変わります。

また、外壁と付帯部の色の相性を確認する際には、カラーシミュレーション等の活用もオススメです。

▼色選びについての内容について詳しくは、下記記事を参考にしてください。

外壁色に迷ったら!2020年最新の人気色と組み合わせTOP20

【50以上の事例付き】プロが教える外壁・屋根塗装を失敗しないための秘訣

まとめ

外壁塗装と一緒に行なう付帯部塗装について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

付帯部を塗装する場合は、外壁塗装と一緒に行なうのが一般的ですが、必ずしも全付帯部を外壁塗装と一緒に行なわなければならないというわけではありません。2章にて、各付帯部ごとに、“具体的にどんな場合に塗装が必要なのか”等をまとめておりますので、参考にしてください。

また、付帯部塗装に失敗しないためには、見積り&色選びの情報も重要です。このあたり4章にまとめておりますので、契約前に、ぜひご一読ください。