基礎塗装

「基礎も塗装が必要なの?」「塗料は外壁を塗る塗料と同じで良いの?」というような疑問を持たれた方は少ないかもしれません。

屋根や外壁の塗装・リフォームとなると、どうしても「屋根」「外壁」そのものに目がいきがちですが、その「屋根」「外壁」を支えているのは「基礎」なのです。

今回は、知っているようで知らなかった基礎の役割、基礎の塗装の必要性についてご紹介いたします。決して目立つような部分ではありませんが、建物を守るためにはとても重要な部分です。

建物のメンテナンス、塗装を考えられている方はぜひ、参考にしてみてください。

1.基礎に塗装は必要か?

1-1.基礎の一番の役割は建物をしっかり支えること

そもそも基礎はなぜ必要なのでしょうか。基礎がないと建物はどうなってしまうのでしょうか。

基礎は、建物の重みを支える役割を持っています。建物の荷重や外的要因で加えられる力(地震や強風)など、バランスを良く地盤に伝えるためのもので、地盤と建物をつなぐ重要な役割があります。

また、地面の湿気から建物を守る役割も持っています。

基礎がないと建物の重みを支えるものがなくなり、また、地面の揺れが直接外壁に伝わったり、外壁に加わる力をうまく逃がすことができずに、建物の劣化を早めてしまう可能性があります。

建物を長く保たせるためにも、基礎も十分に長く保たせなくてはならないのです。

1-2.基礎を塗装するメリット

建物を守るために大切な基礎。それでは、その基礎を守るものは何でしょうか?
それが「塗装」なのです。

ここでは基礎を塗装することで得られるメリットをご紹介します。

基礎塗装のメリット・基礎の吸水性を抑える

・防水性が高まる

・コンクリートの中性化を抑える

・美観性が高まる

・カビ、コケの発生を抑える

日本の住宅で主に基礎として使われているのは、コンクリートやセメント、モルタルが一般的です。
コンクリートより以前は、木や石が基礎として使われていましたが、強度的な問題から徐々にシフトして行きました。

コンクリートやセメントは素材自体に防水性がありません。むしろ、吸水性が高い素材です。
ですから塗装をすることで吸水性を抑え、むしろ防水性を高めることが出来ます。

さらにかびやコケの発生を抑え、基礎に色も付き、美観性を高めることも出来ます。

1-3.基礎を塗装をしなかった場合のデメリット

それでは続いて、塗装をしなかったことによって起きる可能性のあるデメリットについてご紹介します。

先ほども述べましたが日本の住宅の基礎は、コンクリートやセメント、モルタルが一般的で防水性がないということがデメリットです。

防水性がないと、水分を吸い込み、ひび割れにつながります。
コンクリートやモルタルは水分を含んだ状態で気温の変化により、乾燥と収縮を繰り返します。
その結果、ひび割れが発生してしまう場合があります。

そのひび割れ部分から、さらに水が浸入することで、鉄筋の腐食等を誘引し、基礎の構造安全性・耐久性を劣化させる原因となるのです。
コンクリートはアルカリ性、空気中に存在する炭酸ガス、二酸化炭素が原因で中性化を起こします。
コンクリートが中性化することで、中にある鉄筋を腐食させます。
腐食した鉄筋は体積が膨張するため表面のひび割れを促進してしまったり、剥離、落下といったような劣化症状を引き起こします。

しかし、中性化しても問題が起きない場合もあります。それは鉄筋が入っていない「無筋コンクリート」の場合です。ですが、絶対に起きないとは限りませんので、
塗装することをおススメします。

【基礎のひび割れ】注意すべき6つの劣化症状と効果的な補修方法まとめ

基礎のひび割れ補修の進め方と効果的な補修方法

2.基礎の種類と基礎専用塗料

2-1.基礎の種類は3種類

ベタ基礎
近年の住宅のほとんどが、このベタ基礎を採用しています。
家が建つ予定の場所のほとんど全ての場所をコンクリートで覆い、面で支える基礎ですので、シロアリ対策にも優れているとされています。
また、不同沈下にも強く、施工の手間がさほど必要ではないことからも採用されることが多くなっています。

布基礎
住宅の外周や間仕切りの壁や柱が入る部分を中心に支えるのが布基礎です。
今はベタ基礎が主流ですが、地盤がしっかりしている土地、既に丁寧に地盤改良が行われている土地であれば、この布基礎でも問題はありません。
上記のベタ基礎は家が建つ部分のほとんどをコンクリートと鉄筋で覆ってしまいますので、資材の面ではコストが高くなります。
施工の手間はベタ基礎よりもかかってしまいますが、資材を最小限に留めることができます。コンクリートや鉄筋の量が少なく済むので、基礎そのものが軽量となるメリットがあります。

独立基礎
建物の主要部分以外に基礎が必要となるケースがあります。
玄関ポーチを支えたり、デッキ部分を支える等、独立して支えが必要な部分に対して使用するものが独立基礎です。
これは独立フーチング基礎とも呼ばれ、家の作りによって必要となることがある住宅基礎です。

2-2.基礎専用塗料の種類

基礎を塗装する際に使用する「基礎専用塗料」があります。
外壁や屋根用の塗料が存在するように、基礎にも基礎用の塗料が存在するのです。

ここでは、基礎専用塗料を紹介いたします。

【ガッツモルタルNo.1】日本ペイント株式会社

ガッツモルタル①
画像出典:http://www.dcm-ekurashi.com/goods/81055

住宅の基礎や塀に使用されるモルタル・コンクリート面・コンクリートブロック面に使用できる水性フッ素系着色吸水防止剤です。

塗装することで素材の質感を生かしたまま、新築のような美しさを復活させます。
また、優れた透湿性で基礎内部から染み出す水分を原因としたとした膨れ・剥離の発生を防ぎます。

フッ素配合による強力な耐久性(7~10年)が特徴で、雨水等の吸水を防ぎます。
また、カビやコケ、藻の発生、基材の中性化を防ぎ、美しい外観を長く保ちます。

【水性シリコン浸透ガード】日本ペイント株式会社

水性シリコン浸透ガード①
画像出典:http://store.shopping.yahoo.co.jp/paintshophimawari/np-sirikonsintougard-15kg.html

ガレージ壁や住宅基礎、住宅コンクリート壁に使用できる住宅コンクリート用浸透性吸水防止塗料です。

遮水効果、超薄膜化により、膨れや剥離の発生を抑えます。
吸水防止効果を付与し、水蒸気透湿性にも極めて優れているため、結露から建物を守ります。

また、シリコン・フッ素の保護膜を形成するため、基礎部の中性化防止の効果も発揮します。

【基礎ガード】菊水化学工業株式会社

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基礎ガードは微弾性機能を持っており、基礎のひび割れをカバーします。
また、ポリマーセメント系塗り材でありながら、白華を抑え、上塗りをせずに仕上げることができます。

さらにコンクリートの中性化を抑える機能、防水性、密着性も持っており、基礎ガードは水系のため、環境にも配慮した塗料です。

【ベースガード】株式会社アステックペイント

ベースガード
画像出典:http://astec-japan.co.jp/products/234

ベースガードを基礎に塗布することにより、ひび割れが起きた場合も塗膜がひびに追随し、表面に出しません。
ひび割れを表面に出さないことで、水の浸入を防ぎ、コンクリートの中性化を防ぎます。
また、防水性とともに透湿性も兼ね備えています。基礎は地面と接しているため、必ず地面の水を吸水します。
すると内側に湿気が発生し、膨れを起こしてしまう可能性があるため、それを外へ出す透湿性も必要となるのです。

また、耐候性試験3000時間(12年相当)をクリアした高い耐久性も兼ね備えた塗料です。

【フューチャーコート】株式会社 エイブル

フューチャーコート
出典画像:http://c.samidare.jp/kg/kg/?p=log&l=370700&c=2756

フューチャーコートも同様に弾性があり、表面にひび割れを出しません。
透湿性もあるので膨れを起こさず、モルタル仕上げのように白化や、しま模様を起こしません。
またモルタル仕上げだと落ちにくい泥汚れが、フューチャーコートでは水で洗い流すことができます。

3.基礎塗装のメンテナンスと費用相場

3-1.基礎に起こりうる劣化症状

上記でも触れてきましたが、ここで基礎に起こりうる劣化症状についてご紹介いたします。

劣化の種類ひび割れ・剥離

浮き

空洞化

表面気泡

サビ汁

変色

一番多い劣化症状の1つは「ひび割れ・剥離」です。
基礎がコンクリートやモルタルの場合は、施工時に水分が入っており、施工後に乾燥収縮を起こすため、ある程度のひび割れは材料の特性から避けられない状態となっています。しかし、ここで出るひび割れはヘアクラック(髪の毛のように細いひび割れ)と呼ばれ、建物へそれほど大きな影響を与えるようなひび割れではありません。

ひび割れが起きてしまう一番の要因は「水の浸入」です。
1つは「雨水」です。雨水が基礎に浸入し、基礎内部の鉄筋を腐食させます。
腐食した鉄筋は酸素と結合し、膨張します。それがさらなるひび割れや欠損を誘発するのです。

さらに水の浸入は雨水だけでなく、地面からも起きています。地面の水分を吸収しているのです。
雨水の浸入を防止するために塗装をした場合、雨水の浸入は防いでも地面からの水の吸収は防ぐことができず、
むしろ表面の塗膜が基礎から湿気を逃がす邪魔をしてしまうことになってしまいます。
そうならないためにも、基礎用の塗料には「防水性」と「透湿性」が必要となるのです。

また、コンクリートの中性化や塩害、凍害が原因で起こる劣化症状として、鉄筋のサビによるサビ汁や変色もあります。

空洞化、表面気泡とは基礎部に空洞や小さな穴のようなものができる現象で、これは地盤沈下や施工の不良というものが原因に上げられます。

【基礎のひび割れ】注意すべき6つの劣化症状と効果的な補修方法まとめ

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3-2.基礎塗装の費用相場

建物を長く保たせる、きれいに見せる。そのためにもやはり基礎の塗装は必要です。

塗装工事の流れとしては
①下地処理・高圧洗浄
②乾燥・養生
③塗装
④養生撤去・清掃
というような流れが一般的です。

基礎専用塗料の価格は
10,000~35,000円が相場です。
塗料の性能・容量によって幅は出てきますが、
この辺りが相場です。

基礎の塗装工事に関しては、まれに屋根・外壁塗装の際にサービスでやってくれる業者さんもいらっしゃいますが、基礎の塗装にも手間はかかるため、基本的には㎡当たり3,500~4,000円と考えておくと良いと思われます。

まとめ

これまで「住宅の基礎は塗装しないもの」と考えられていた方も多いのではないでしょうか。

建物を守るために重要な役割を果たしている基礎。

建物を丈夫できれいに長持ちさせるためにも基礎のことまでしっかりと考えて、塗装を検討してみてください。