こちらの記事で基礎のひび割れに関する基本知識や、補修すべき劣化症状について説明してきました。
もしマイホームの基礎がここで挙げた劣化症状に当てはまるようであれば、基礎の補修について本格的に考える必要がでてきます。
そこでこの記事では、実際に基礎のひび割れを補修する際の流れや費用相場、自分で補修する方法までを説明させていただきます。
代表的なひび割れ補修方法
まずは、代表的なひび割れ補修方法を紹介させていただきます。基本的にはこちらで紹介する方法で補修していくのですが、業者に依頼しなければならない補修方法もあります。
業者に相談する場合の予備知識としても役に立ちますので、ぜひご参考にしてください。
Uカットシール工法(Vカットシール工法)
Uカットシール工法とは、コンクリートのひび割れ部分を専用の電動工具(ディスクグラインダー)にU字型の溝入れカッターを使用してカットしたあと、その部分にシーリング材・エポキシ樹脂を充填し、モルタルなどを塗布して表面を整える工法です。
幅の広いひび割れや、シーリング材が奥まで届かない深いひび割れに対応できる補修方法です。
カッターの種類によって、Vカットシール工法などとも呼ばれています。
ビックス工法
ひび割れ表面に設置したパイプにゴム製の注入器を設置し、ゴムの圧力で長時間を掛けてエポキシ樹脂を注入していく方法です。
幅0.1mm以下の微細なひび割れにも樹脂を充填することが可能です。
画像出典:http://www.netis.mlit.go.jp
アラミド繊維シートの貼り付け
アラミド繊維とは、タイヤや光ファイバーなどにも使用されている非常に強度の高い素材です。
鋼材の7倍の引張り強度があるとされるこのシートを基礎の部分に貼り付け、その上からモルタルなどを塗布して表面を平滑にしていきます。
軽微なひび割れの補修に使用するにはやや費用がかかりますが、耐震性の向上が大いに期待できる工法です。
画像出典:http://www.nippon-ec.com/
それぞれの補修方法が対応できる劣化症状と、おおまかな費用相場についてまとめたものが以下の表です。
補修方法 | 対応できる劣化症状 | 費用相場(m) |
---|---|---|
Uカットシール工法(Vカットシール工法) | ひび割れ全般 | 4,000円~6,000円 |
ビックス工法 | 微細なひび割れ | 10,000円~20,000円 |
アラミド繊維シートの貼り付け | ひび割れ全般 | 20,000円前後 |
ひび割れ補修の流れ
基礎に発生したひび割れは、どのように補修するのでしょうか。施工の流れを、写真付きで解説させていただきます。
横方向にひび割れが発生しています。このようなひび割れは基礎に大きな力が加わった場合に発生する可能性があるため補修工事を実施しました。
今回の補修では、幅の広いひび割れにも対応できる「Uカットシール工法」という補修方法を採用しています。
それでは、実際の施工の様子を見てみましょう。
まずは高圧洗浄によって、基礎についたコケ・藻などの汚れをきれいに洗い流していきます。
ひび割れ部分を専用電動工具を使ってU字型にカットしていきます。
U字型にカットした部分にエポキシ樹脂を充填していきます。
モルタルを塗布して表面を平滑に整えていきます。
画像出典:プロタイムズ金沢駅西店・富山中央店
基礎用の防水材を塗装することで、補修部分を目立たなくするだけでなくコンクリートが雨水を吸水することを防止することができます。
内部の鉄筋を錆から守るためには、非常に重要な工程です。(基礎の塗装については、こちらの記事で詳しくまとめられています。ご参考にしてください)
ひび割れ補修の費用は1箇所あたり1~2万円程度
基礎のひび割れ補修工事の費用相場は、1箇所あたり1~2万円程度となっています。
どの程度ひび割れが発生しているかによりますが、お家全体で10万円程度はかかると見ていいでしょう。ちなみに、工事期間はおよそ2~3日程度です。
自分で補修する場合のツールをご紹介
2章で紹介したような深刻なひび割れの場合は業者に相談することをおすすめしますが、表面の化粧モルタルが割れた程度のものであればご自身で補修することも可能です。
以下で、ホームセンターなどで購入できる代表的な補修材を紹介します。
アサヒペン「コンクリート クラック・止水補修材」
ひび割れの上から塗布することができる補修用モルタルです。
基礎コンクリートだけでなく、モルタル外壁のひび割れにも対応可能。すばやく固まるため、水漏れ防止に効果的です。
アサヒペン「ワンタッチ カベ用コンクリートひび割れ補修材」
ひび割れ箇所に直接中身を押し出して使用できる、パウチ容器の補修材です。誰でも簡単にひび割れを補修することが可能です。
インサル クラックシャット
ひび割れ箇所にセメントを吹きかけるだけでヘアークラックを補修できる、スプレータイプの補修材です。非常に簡単に施工できるため、基礎に微細なひび割れが発生しても安心です。
基礎のひび割れ補修を業者に頼む前に知っておきたいポイント
最後に、基礎のひび割れ補修を業者に頼む際の注意点を紹介させていただきます。悪徳業者に騙されず、適正価格でひび割れを補修するためにぜひご参考にしてください。
基礎のひび割れ補修はリフォーム会社・塗装会社に依頼しよう
基礎のひび割れ補修は、いったいどんな業者に依頼すればいいのでしょうか。
基本的には、外壁・外構工事や耐震工事などを手掛けるリフォーム会社などであれば施工は可能です。
防水性を高めるために基礎を塗装したい場合は塗装などの外壁リフォームを行っている会社を、基礎の本格的な補強工事を行いたい場合は耐震リフォームを行っている業者を選ぶといいでしょう。ホームページで施工事例などを確認し、専門的な知識を持った業者かどうか見極めることをおすすめします。
複数の業者に診断を依頼しよう
訪問販売業者などに多いのが、施主の不安を煽り不必要な工事を高額で受注させるケースです。微細なヘアークラックなどに過剰ともいえる工事を提案したり、ひび割れ補修だけでなく本格的な補強工事を提案してくることで高額の支払いが発生してしまう可能性もあります。
悪徳業者に騙されずに質の高い工事を行なうために、業者と契約する前に、まずは複数のリフォーム業者に基礎を診断してもらうことをおすすめします。業者によって診断結果や提案する工事の内容が異なる場合がありますので、それぞれを比較して信頼できる業者を選定しましょう。
プロタイムズでも無料で診断を行っています。プロタイムズの診断サービスについては下記の記事で詳しく解説しています。