「我が家には赤ちゃんがいるけれども、どうしても外壁塗装を行なわなくてはならない必要性が出てきた」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
育児を終えてから塗装を行なうことが一般的に推奨されていますが、どうしても塗装をしなくては家の劣化症状が進行してしまう状況や、住んでいるまたは近隣のマンションやアパートの塗装が始まってしまう状況、といった塗装を避けることが難しい方もいらっしゃるかもしれません。そのような状況下では、「赤ちゃんが塗料の影響を受けてしまうのではないか」と心配にもなりますよね。
でも、安心してください。実は、塗装は赤ちゃんのいるご家庭でもいくつかの注意点を守ればできるのです。
本記事では、赤ちゃんいらっしゃるご家庭が知っておくことによって、安心して塗装ができるようになる知識を塗装前・塗装中・塗装後の流れに沿って、全てご紹介します。
そもそも、なぜ赤ちゃんがいても外壁塗装ができるのか、何を知っていたら安心して外壁塗装ができるのかということを知りたい方はぜひご一読ください!
1.外壁塗装は赤ちゃんの首がすわって外出ができるようになってからがおすすめ
育児中で、どうしても塗装を行わなければならない状況の方たちには、ズバリ、外壁塗装は生後3ヶ月以降の赤ちゃんが首がすわって、お出かけができるようになってからがおすすめです。というのも、塗装自体には赤ちゃんの健康面でほとんど心配することはないのですが、塗装中のストレス面について考えておくと、外出できるということはとても重要なことだからです。
ここでは、なぜ塗装中に外出できることが重要なのかについて解説していきます。
外出ができると、お母さんもストレスを抱えなくて済む
赤ちゃんは、生後間もない頃から3ヶ月頃までは、体温調整がうまくできないことや免疫力がないこと、首が据わっていないことなどから、外出があまりできません。
外壁塗装中は工事の音や塗装職人の出入りなどで、家の周りで音が絶えない状態になっていたり、家の周りに組み立てられた足場の上を塗装職人が作業を行なっていたりと、塗装業者がどんなに注意を払っていても赤ちゃんやお母さんにとってストレスを溜めやすい環境が続いてしまいます。
そのため、生後3ヶ月以降の赤ちゃんが首がすわって、外出ができるようになってから外壁塗装を行なうのがおすすめです。
外出ができるようになると育児においても、塗装工事においてもストレスを溜めないように工夫することができるため、塗装への心配はほとんどなくなると言えるでしょう。
外壁塗装を行なう際に、どのぐらい外出したらいいのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、おすすめの頻度としては足場の組立中(期間:1日程度)に1回、外壁の塗装中(期間:3日程度)に1回、足場の解体時(1日)に1回の計3回程度です。
外出のタイミングとしては、赤ちゃんがびっくりしてしまう原因である大きな音が立つような作業を行なっている時間に外出するのがおすすめです。
このタイミングについては、「2-4.工事のスケジュールを事前にもらっておく」で解説させていただきます、工事中のスケジュールを参考にしてみてください。
2.外壁塗装前にやっておくと安心なポイント
外壁塗装を安心して行なうためには、塗装前におさえておきたい4つのことがあります。それは、「信頼できる業者を選ぶ」「親身に相談に乗ってくれる塗装業者か確認する」「水性塗料を使用する」「工事中のスケジュールをもらっておく」ことです。ここでは、これらのポイントを1つずつご紹介していきます。
2-1.信頼できる業者を選ぶ
外壁塗装において、まず大切なことは、信頼できる業者を選べているかということです。なぜなら、塗装における技術力やサービスは、塗装業者によって差があるからです。専門知識や技術力は、塗装の提案力や安全性にも関わることなので、しっかりと信頼できる業者を選び、安心して塗装を依頼したいですよね。
では、どうやって、信頼できる塗装業者を選べば良いのかというと、次の6つのことに着目して業者を調べていくと良いでしょう。
1.所在地がはっきりとしている
2.実績がある会社を選ぶ
3.資格を持った塗装のプロが、正しく診断を行なってくれる
4.見積書が適正価格で提示してもらえる
5.塗装後の保証体制がしっかりとしている
6.正しい契約書を書面で提示してもらえる
これらのことを知るためには、塗装業者のHPやご近所さんからの口コミ、ポストに投函されるチラシなどを見て、比較していくことが大切です。
また、業者選びのポイントについてもっと知りたいという方は、「【塗装業者の見極め方】8つのステップで信頼できる業者を選ぼう!」を参考にしてみてください。
2-2.親身に相談に乗ってくれる塗装業者に相談する
妊娠中・子育て中のお母さんに行なっていただきたい、2つめのことは「妊娠していることや赤ちゃんがいることを塗装業者に見積りの際に相談する」ことです。
見積りの際に相談をすることによって、外壁塗装に使用する塗料や工期などについてより安心できる提案を行なってもらえるでしょう。
また、この際にどれだけ親身になって相談に乗ってもらえるかということをチェックしておくと、塗装中などに、どんなに小さなことでも相談できる関係が築けるかということもわかります。
安心して任せることができる塗装業者を選ぶため、安心して外壁塗装を行なうためにも、ぜひ事前に相談をするようにしてみてください。
2-3.水性塗料を使用する
塗料は健康にあまり良くないものを含んでいるという話を聞いたことがあり、心配になったお母さんもいらっしゃるかもしれません。
塗料に含まれる健康にあまり良くないものと呼ばれている物質の正体とは、主に溶剤系塗料に含まれるシンナーなどの有機溶剤のことです。特にシンナーについては、大量に吸い込むと赤ちゃんだけでなく大人も身体に様々な不調が現れます。
しかし、今では一般的な一戸建ての住宅においては、健康面などに気を使ってシンナーなどの溶剤を含まない水性塗料で外壁を塗装することがほとんどです。そのため、外壁塗装によって健康状態が悪くなる可能性は極めて低いと言えます。
したがって、赤ちゃんのいるご家庭では、有機溶剤を含んでいない水性塗料を使用することをおすすめします。
溶剤系塗料、水性塗料について、比較をしてみましたので、どのような違いがあるのかということを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
溶剤系塗料 | 水性塗料 | |
---|---|---|
メリット | ■耐用年数が長い。 ■乾燥時間が環境に左右されず、一定の時間で環境する。 ■錆止め効果に優れている。 | ■主な成分が水であるため、健康被害や環境被害を引き起こす成分の排出量が少ない傾向がある。 ■塗装中のにおいが少ない。 ■F☆☆☆☆(フォースター)といった、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの量を基準に則って評価した目安において、高い評価を受けた塗料が多い。 |
デメリット | ■主な成分が溶剤であるため、健康被害や環境被害を引き起こす成分の排出量が水性塗料に比べて多い傾向がある。 ■溶剤が含まれているため、においが強い。 | ■乾燥時間が環境に左右され、降雨時や気温の低い冬季などに乾燥が遅くなる。 |
もっと溶剤系塗料、水性塗料について知りたいという方は、「【保存版】水性塗料に関する疑問をすべて解消!」を参考にしてみてください。
2-4.工事のスケジュールを事前にもらっておく
塗装工事において、塗装業者は塗装のスケジュールをまとめた工程表というものを作成しています。塗装の工程表には、いつ何を行なうかといった作業の工程が書いてあります。
工程表を事前にもらっておくことで、いつどのような作業があるのかということがわかるため、「足場を立てる時だけ、音に敏感な赤ちゃんが寝ているのを起こさないようにするために外出していよう」、「安全だとは分かっていても、においなどが心配だから塗装中だけ外出していよう」といった、ご自身の行動のスケジュールを立てることができるのです。
また、赤ちゃんと家の中で快適に過ごす方法としておすすめなのが、作業を行なっている場所から一番遠い場所にある部屋で過ごすことです。
塗装業者が細心の注意を払ってもらっていても、多少なりとも音が聞こえたりにおいがしたりということはあります。
しかし、作業を行っている場所から一番遠い場所にある部屋で過ごすことによって、その音やにおいを軽減することはできます。「赤ちゃんが小さなうちは、外出はなるべく控えたい」、「家が一番赤ちゃんがくつろげる場所なので、家で過ごさせてあげたい」という方は、是非実践してみてください。
また、工事スケジュールを塗装業者に貰う前に、赤ちゃんのお昼寝の時間を伝え、その時間にはなるべく大きな音の立たない作業を優先的にやってもらえるよう相談をしてみることもおすすめです。
外壁塗装がどのような工程で行われるのか気になった方は「外壁塗装の工程を詳しく解説」をご参照ください。
3.外壁塗装中にやっておくと安心なポイント
外壁塗装中は、お住まいの環境が普段とは一変してしまうので、ストレスを感じることが多くなってしまうこともあります。子育て中だとなおさら、「赤ちゃんが快適に過ごせるようにしたい」という思いも強まりますよね。そこでここでは、外壁塗装中にやっておきたい4つのことをご紹介していきます。
3-1.窓を開けるタイミングは、塗装箇所から判断する
塗装中も家の換気は生活をする上では重要な事です。
しかし、足場が組まれ、塗装がはじまってしまうと、窓がテープで養生されてしまうために、自由には開けることができません。
それでも塗料のにおいはいろいろな隙間から入ってきてしまうこともあります。
そこで、どのように換気をしたら良いのかというと、塗装業者に塗装を行なう箇所を確認して、塗装箇所からもっとも遠い場所の窓を開けられるようにしてもらうようにお願いしておくのがおすすめです。
その際に、サーキュレーターや扇風機を使用して、より風通しの良い状態にするのもおすすめです。
赤ちゃんのためのなるべく普段と変わらない生活環境を整える工夫として、ぜひ実践してみてください。
3-2.塗装中は外出し、塗装作業終了時を見計らって自宅に戻る
水性塗料を使用しても、塗料独特のにおいがどうしても気になるという方もいらっしゃるかもしれません。
このにおいからどうしても離れたい、という方は塗装中は外出することをおすすめします。
塗料はおおよそ塗装してから3時間後程度で、表面が硬化し、浮遊するにおいも減ってきます。
なので、塗装作業終了時を見計らって自宅に戻ることによって、塗料独特のにおいが軽減された状態の住まいに変えることができるのです。
「毎日外出するのは難しい」という方は、塗料のにおいから離れたいと思った日だけでも外出してみると良い気分転換になるかもしれません。
3-3.塗料独特のにおいが気になる方は、洗濯物はコインランドリーを利用する
外壁塗装の際には、洗濯物ににおいがつくのではないかと気になる方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、塗料を使用している期間は洗濯物に塗料がつかないようにという配慮のもとから、外干しをしないようにお願いされることもあるために、必然的に部屋干しをすることになります。
しかし、塗料に含まれる成分の都合上、どうしても一切部屋の中に塗料のにおいが入ってこないようにすることは難しいのです。
部屋干しをしていても、洗濯物には影響はないのですが、赤ちゃんもいるのでどうしてもにおいが気になるというかたは、コインランドリーなどを利用して洗濯物を乾燥させることをおすすめします。
塗装工事にかかるおおよその期間としては、戸建の場合は10~14日間、アパートの場合は14~21日程度になっています。
洗濯の頻度によって、必要な費用が大きくなってしまうこともありますが、どうしても心配という方は、ぜひコインランドリーを利用してみてください。
3-4.実家や仮住まいに避難する
これまでにお伝えしてきたように、塗装中は普段と生活環境が変わってしまうために、赤ちゃんにとってもストレスを溜めやすい状態になってしまいます。
そこで、なるべく生活環境を変えずに生活をしたいという方には、塗装期間の一部や全期間の間の実家への帰省や仮住まいがおすすめです。
仮住まいの方法としては、近所のマンスリーマンションや、ウィークリーマンションを借りると良いでしょう。
また、塗装後ににおいなどが気になるという方がいらっしゃいましたら、塗装後1週間後程度まで仮住まいで生活をするのをおすすめします。仮住まいの方法や費用などについてもっと詳しく知りたい方は「リフォーム中の仮住まいの選び方・よくある悩みと解決方法」を参考にしてみてください。
赤ちゃんの様子がいつもと違ったら、自己判断せずに病院に行く 塗装工事中、赤ちゃんの様子がいつもと違うと思った場合などには、「においや環境のせいだから」といった自己判断はしないようにしましょう。どの塗料も人体に影響のないように作られているのですが、有害な成分は少なからず含まれており、塗料に含まれる化学成分に敏感な人にアレルギー症状が出る可能性がないとは言い切れないのです。 例えば、頭痛や目や鼻や喉に違和感を抱く、じんましんが出る、吐き気がするなどの症状が出た場合は、シックハウス症候群や化学物質過敏症といった病気になっていることもありえます。特に赤ちゃんは免疫が大人よりも弱い状態であるため、いつもと様子が違うと思った場合は、自己判断はせずに病院に行くようにしてください。 |
4.外壁塗装後にやっておくと安心なポイント
「外壁塗装が終わってから、どれぐらいで塗装の影響がなく生活ができるようになるのか」と思われるかもしれません。実は、塗装が終わり、足場が解体された時点でほとんど生活には影響がない状態になっているのです。
ただし、1つだけ赤ちゃんのいるご家庭で気をつけていただきたいことがあります。それは「赤ちゃんの口の中に塗料が入らないようにすること」です。
ここでは、赤ちゃんの口の中に塗料が入らないようにするためにどのような対策を取れば良いのかということについてご説明していきます。
外壁の塗料が乾燥するまで、赤ちゃんが外壁を触らないように気をつける
外壁の塗料は、塗装後1~2時間で指の腹が塗膜に軽く触れても、塗料が付着しない状態になります。
しかし、上記の乾燥の状態では、表面が乾燥していても内部が乾燥していない状態のため、強く触ってしまうと剥がれてしまう可能性があります。また、その剥がれた塗膜が赤ちゃんの口に入ってしまう危険性もあります。
万が一、塗膜が剥がれ、その剥がれた塗膜が赤ちゃんの口の中に入ってしまうことを防ぐためにも、塗装後約2週間は、赤ちゃんが塗りたての外壁に触ることがないように注意しましょう。
どれくらいの期間で塗料が乾くのか、塗料が完全に乾燥するまでの流れを下記の表にまとめました。
乾燥状態の名称 | 状態 | 塗装後からその状態になるまでにかかる時間(目安) |
---|---|---|
指触乾燥 | 指の腹が塗膜に軽く触れても、指に塗料が付着しない状態。 | 1~2時間 |
半硬化乾燥 | 塗膜を軽くこすっても、擦り跡がつかない程度に乾燥している状態。 | 数時間~翌日 |
硬化乾燥 | 指の腹で塗膜を強くおしても、指紋が塗膜につかない状態。 | 約1週間 |
完全乾燥 | 塗膜が完全に乾き、手で触るだけなら問題のない状態。 | 約2週間 |
完全に乾いてからも、塗装後半年~1年を過ぎるまでは、「可塑剤」と呼ばれる物質が入ったビニール傘や自転車のグリップなどのようなゴム状の柔らかいものを壁に立てかけていると、外壁の塗膜と立てかけたものが一体化してしまうことがあります。
塗膜が剥がれるのを防ぐためにも、ゴム状の可塑剤の含まれるものを壁に立てかけないようにしましょう。
外壁の乾燥のメカニズムについて詳しく知りたいという方は、「【特集!塗料の乾燥】プロが教える塗料を完全に乾燥させるまでの注意点」を参考にしてみてください。
まとめ
本記事では赤ちゃんのいるご家族に知っておいていただきたい知識をご紹介してきましたが、参考になりましたでしょうか。
必要に迫られた塗装でなければ、育児を終えてからの塗装が推奨しますが、どうしても塗装を行わなければならない場合は、水性塗料を使い、塗装業者としっかりコミュニケーションが取ることに気をつければ、心配する必要はありません。
どのようにしたら普段と同じ生活を送ることができるのか、今何が不安でどのようにしたらその不安が拭えるのかといったことを一つずつ、業者としっかりと相談していくことによって、安心して外壁塗装ができるようになるでしょう。
この記事が、子育て中・妊娠中の方がいらっしゃるご家庭の不安を拭うことができるきっかけになれば幸いです。