たとえば、『雨漏りが発生したとき』、『雨漏り補修について業者とトラブルになったとき』、『雨漏り補修について何らかの保証が受けられないか知りたいとき』、どこに相談すればいいかをご存知でしょうか。
普段あまり馴染みのない雨漏り。そのため、いざ雨漏りに関する問題を解決しようとしたときに、知識や経験がないがゆえに、“どうすればいいかわからない”という事態に陥ってしまうことも少なくありません。そんなとき、雨漏りの解決法は自分で見出せなくても、どこに相談すべきかを正しく判断できるだけで、解決の道がグッと開けます。
そこでこの記事では、“雨漏り”について悩んだときに頼れる相談先をご紹介します。さらに、雨漏りのよくあるトラブル事例とその対処法、自身で雨漏りのリスクを見極める方法などもお伝えしてまいります。雨漏りについて何等かのお悩みをお持ちの方は、ぜひチェックしてみてください。
1.持ち家 or 賃貸で違う?!“雨漏り”の頼れる相談先まとめ
いざ、雨漏りをなんとかしようと思い立ったとき、頼るべき相談先は、お住まいが「持ち家」か「賃貸」かによって異なります。
1-1.「持ち家」で雨漏りが発生した場合
戸建ての持ち家にお住まいの方の場合、雨漏りを見つけたら、すぐに専門業者に相談しましょう。
雨漏りは、日々の生活に支障をきたすだけではありません。住まいの内部に入り込んだ水は、次第に躯体を腐食させ、住まいの寿命を縮めてしまうことがあります。また、場合によっては喘息やアトピー、アレルギー性気管支炎アスペルギルス症(ABPA)などを引き起こす原因となる、カビや菌を発生させてしまう可能性もあるのです。
そこで、持ち家のお住まいにて雨漏りが発生したら、スグに専門業者に相談しましょう。
専門業者へ相談をすると、まずは雨漏りの状況を調べ、メンテナンス計画を立て、補修費用を算出するために、住まいの診断をすることになります。雨漏りの発生有無が不確かな場合にも、診断をすることで、ほんとうに雨漏りが発生しているかどうかを調べることができます。診断の費用は専門業者によって様々ですが、診断だけなら無料で対応してくれるケースも少なくありません。詳細は専門業者に問い合わせてみてください。
診断後は、専門業者から提示されるメンテナンス計画をもとに、すぐに補修するのか、どこを補修するのかなどを決めていくことになります。
▼具体的な業者の選び方については、こちらの記事を参考にしてください。
「雨漏りの調査方法から業者の選び方までをすべて解説」
「【保存版】知らないと損!悪徳リフォーム業者の手口と絶対に騙されない為の全知識」
[補足情報]
引き渡しから10年以内の新築住宅の場合は、売主に相談すべし
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)において、新築の住宅瑕疵担保責任保険*の期間は10年と定められています。そのため、引き渡しから10年以内で、かつ新築住宅であれば、売主に雨漏りにかかる費用を請求することができます。
そこで、引き渡しから10年以内の新築住宅にて雨漏りが発生した場合には、売主に相談しましょう。
*住宅瑕疵担保責任保険とは
新築住宅に瑕疵(欠点・欠陥)が見つかった場合に、その補修費用をまかなう保険のこと。
<保険の仕組み>
※画像出典:国土交通省
<保険の対象となる部分>
※画像出典:国土交通省
※住宅瑕疵担保責任保険について詳しくは、国土交通省のホームページをご覧ください。
1-2.「賃貸」で雨漏りが発生した場合
賃貸にお住まいの場合、雨漏りが発生したら、まずは管理会社や大家さんに相談しましょう。
管理会社や大家さんなど住まいを貸している貸主には、民法606条により、“借主が適切な状態で住まいを使用できるよう、何らかの欠陥がある場合には修繕すること”が義務づけられています。そのため、雨漏りが発生した場合にも、管理会社や大家さんが補修をすることになります。
ただし、ここで注意しておきたいのは、管理会社や大家さんに義務付けられている補修の範囲は、“経年劣化(時間の経過とともに、劣化が進行し、品質や性能が低下すること)”に限られるということです。
そのため、たとえば雨漏りの原因が「ベランダを掃除していなかったため、排水溝が詰まっていたから」など、借主の過失によるものである場合には、管理会社や大家さんに補修の義務は生じません。そのため、借主の過失によって発生した雨漏りの補修費用は、借主が負担することになります。
とはいえ、雨漏りが発生した時点で、自身で雨漏りの発生原因を突き止めるのは困難なため、まずは管理会社や大家さんに相談してみましょう。
1-3.「分譲マンション」で雨漏りが発生した場合
分譲マンションにお住まいの場合、管理組合に相談しましょう。
分譲マンションの場合、雨漏りの発生原因が専有部分が共有部分かによって対処方法が大きく異なります。そこで、まずは発生原因を突き止めることが先決です。
それならば自身で業者に依頼した方が早いのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、マンションの場合、雨漏りの発生原因を突き止めるにあたり、例えば上階の住まいなどに入らせていただく必要のあるケースもありますので、近隣トラブルを避けるためにも、まずは管理組合に相談するのがオススメです。
基本的には、雨漏りの原因が専有部分にある場合は自身の責任のもと、共用部分にある場合は管理組合の責任のもとで補修を進めることになります。
[補足情報]
マンションの場合、雨漏りではなく、水漏れの可能性も?!
たとえば天井に雨染みを発見したとき、「雨漏り」と断定するのは時期早尚でしょう。なぜならば、水漏れの可能性も大いにあるからです。よくあるのが「上階の住まいからの水漏れ」。洗濯機のホースが外れていた、お風呂の水が溢れていた等の原因で、下階の住まいに水漏れを発生してしまうケースは少なくありません。その他にも、配管から水漏れしている、ということもあります。
とはいえ、水漏れの場合も、雨漏りの場合も、頼るべき相談先に違いはありません。仮に「上階からの水漏れに違いない」と思っても、本当にそうなのかを検証する必要がありますので、まずは管理組合に何らか水が漏れていることを伝え、発生原因を探ることが重要です。
2.雨漏りに関するトラブル事例3選
ここでは雨漏りのトラブル事例と、その対処法をご紹介します。そもそも、どんなトラブル事例があるのか、また現在抱えているトラブルと似た内容のものがあれば、その対処法も参考にしてみてください。
2-1.補修後すぐに雨漏りが再発した
雨漏りの原因を突き止めるのは、プロでも非常に難しいと言われています。そのため、雨漏りが再発したというトラブルは跡を絶ちません。
補修後すぐに雨漏りが再発したら、補修をした業者に連絡を入れ、再度補修をしてもらいましょう。「すぐ」の定義に迷われる場合には、リフォーム瑕疵保険や業者による保証、また新築の場合には瑕疵担保責任保険の保証期間を確認しましょう。保証期間内であれば、きちんと補修してくれるはずです。
ただし、補修後すぐに雨漏りが再発するという事態を繰り返している場合には、再度同じ業者に依頼をしても解決してもらえるのか不安の残る方も少なくないでしょう。そこで、こうしたときは、雨漏りの知識に長けた第三者の建築士等に診てもらい、雨漏りの原因・対処法を探ってもらうというのも一つの手です。
「雨漏り補修を含むリフォーム工事をしたが、補修後も雨漏りを繰り返している。」
「雨漏りのリフォーム後、1年以内に再び雨漏りが発生したが、施工業者が対応してくれない。」
(出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
2-2.中古住宅を購入後、すぐに雨漏りが発生
まずは、売買契約における瑕疵の保証期間を確認しましょう。中古住宅の場合、新築住宅とは異なり、一様に保証期間が設定されているわけではありません。そこで、各々契約内容を確認する必要があるのです。
傾向としては、宅建業者が売主の場合は2年程の保証が一般的です。宅建業者の仲介によって、個人が売主となっている場合には、保証がついていないことも少なくないので注意が必要でしょう。そして、保証期間内であれば、売主に補修を求めることになります。
ただし、もしも物件を購入する前から雨漏りが発生していて、かつ中古住宅の売主がそのことを知っていて伝えていなかった場合には、民法572条により、保証の有無にかかわらず、買主は売買契約の解除もしくは損害賠償を請求することができます。
▼こちらの事例も、ぜひ参考にしてください。
「中古戸建住宅に入居したら1ヶ月半で雨漏りが発生」
(出典:住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
2-3.太陽光発電パネルを設置したら、雨漏りが発生した
まずは、雨漏りの発生が太陽光発電パネルによるものかどうか、原因を明らかにする必要があります。
調べた後、太陽光発電パネルの設置が原因で雨漏りが発生していることが明らかになれば、太陽光発電パネルを設置した施工業者に補修を依頼しましょう。また、太陽光発電パネルの製品によっては、メーカー保証がついているものもあるので、確認してみてください。
このほかにも、様々な雨漏りトラブルが発生しています。その他のトラブル事例について、「住宅リフォーム・紛争処理支援センターの相談事例」も参考にしてみてください。
2-4.解決の糸口が見えないときは第三者機関に相談すべし
「相談先を頼ってみたけれど、どうにも解決できそうもない」、「そもそも、どこに頼ったらいいかわからない」など、解決の糸口が見えない状態に陥ってしまったときは、とりあえず第三者機関に相談するのがオススメです。また「何等かの公的保証が受けられないか」などの相談にも第三者機関が応じてくれます。
3.【参考情報①】雨漏りの危険性を自身で見極める方法
「確信はもてないけれど、もしかして、雨漏り?!」と思ったとき、まずは自身でチェックしてみるというのも一つの手です。下記の劣化症状が一つでもある場合、見えるところに雨漏りの形跡がなくても、人知れず雨漏りが発生している可能性があります。
<雨漏りを引き起こす可能性のある住まいの劣化症状>
劣化症状 | |
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ひび割れ(0.3mm以上) | 欠けている箇所がある |
ベランダのひび割れ | 樋の割れ |
雨漏りは放っておくと、どんどん住まいを蝕んでいきます。気になる症状がある場合には、早めに業者に相談して、雨漏りの発生有無だけでも確認してもらいましょう。
▼自身でもできる雨漏りチェックについて詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
「【雨漏り解決】【雨漏り解決】雨漏りの原因がわかる5つのポイント」
4.【参考情報②】自分でもできる雨漏りの応急処置!
「ひとまず、今すぐに雨漏りをなんとかしたい」という場合、応急処置を施すのがオススメです。応急処置をしておけば、雨漏りの被害がそれ以上に深刻化することを一時的に防ぐことができます。
ただし、応急処置は、あくまでも急場をしのぐための間に合わせに過ぎません。応急処置によって一時的に雨漏りを止めることはできても、完全に補修できているわけではないため、また、どこかのタイミングで再発することになるでしょう。そこで、応急処置を施した後もしばらくは大丈夫だろうと放置してしまうのではなく、いち早く補修をすることが重要です。
<応急処置Ⅰ>
ブルーシートで覆う
古典的な手法ですが、抜群の効果があります。雨水が浸入している箇所が明確にわかっていなくても、浸入の疑いのある箇所を覆うことで、一時的ではあるものの雨水を建物内部に入れるのを防ぐことができます。
ブルーシートが風にあおられては意味がないので、壁にそってきちんと留めるのがポイントです。
■準備物:ブルーシート
※画像出典:http://store.shopping.yahoo.co.jp/okacho-store/2700725001.html?sc_e=slga_pla
<応急処置Ⅱ>
雨水の浸入口を防水テープで防ぐ
雨水の浸入箇所がわかっている場合には、防水テープでの応急処置がオススメです。防水テープを雨水の浸入箇所に貼るだけなので、素人でも簡単にできます。
■準備物:防水テープ
※画像出典:https://gomu.jp/item/13840/13840-0001-1?gclid=CP2Rj_700c0CFVYAvAodUOcMHA
▼雨漏りの応急処置について詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
「これで安心!自分でできる雨漏りの応急処置」
5.まとめ
雨漏りは、放っておくと住まいをどんどん蝕んでしまうため、見つけたらすぐに何らかの対応をとることが重要です。まずは「1.持ち家 or 賃貸で違う?!“雨漏り”の頼れる相談先まとめ」を参考に、該当の相談先をあたってみましょう。