雨の時期になると家電の調子が悪くなる、消費電力の高い家電は使っていないはずなのにブレーカーが落ちる・・・。
こんな症状がある場合は、雨漏りによる漏電が起きているかもしれません。漏電は、家電の故障や停電だけでなく、感電や火災をも引き起こし、命に関わることもある危険な状況ですから、早急に正しい対応をとり、修繕する必要があります。
この記事では、雨漏りによる漏電の症状、対応方法、修繕費用について、順を追って解説していきます。
被害の拡大を防ぐために、ぜひ参考にしてください。
雨漏りによる漏電の危険性
雨漏りは漏電を引き起こす
住宅の雨漏りは、屋根瓦のズレ、外壁のヒビ、コーキングの隙間、もしくは雨樋の詰まりなどに水が入り込むことによって発生します。
雨漏りは、建物を腐食し、カビやシロアリを呼び寄せるなど、様々な被害を生み出しますが、中でも最も危険と言われるのが、漏電による被害。
通常、電気配線や電気器具類には、電気が漏れないように「絶縁」という処理がされていますが、雨漏りによって雨水が天井裏や壁面内を伝い、電気配線やコードの絶縁体の隙間に入り込むと漏電が起こる場合があります。
漏電と感電
通常、電気は絶縁(電気が遮断されている状態)された物で保護されています。しかし、湿気や経年劣化などで絶縁が悪くなると電気が他の場所へ漏れてしまいます。これが「漏電」です。
漏電している器具に触れると、電気はその人の体に流れていきます。これが「感電」です。
漏電による一次被害
漏電によって起こる一次的な被害には下記があります。
■ 家電の故障により、修理・買い替えが必要になる
家電のコードや本体が水で濡れ、絶縁不良による故障を起こすと、修理・買い替えが必要です。
■ 停電により生活が不自由になる
漏電ブレーカーが漏電をキャッチすると、電気回路を遮断し、停電が起きます。家電自体に漏電が起きている場合、その家電のコンセントを抜き、使用しなければ問題ありません。
しかし、屋内の電気回路で漏電が起きていれば、業者による応急処置、修繕が完了するまで、一部の配線を使用できず、不便な生活を強いられることになります。
■ 電力損失により電気料金が高くなる
漏電が起きていると、電気回路の外に電気が漏れており、家電を動かすのに必要以上の電気を必要とするため、電気料金が急激に上がってしまいます。
最も恐れるべきは、漏電による二次被害の危険性
漏電は、ときに住人の命を脅かす被害を引き起こします。漏電を絶対に放置してはいけないと言われるのは、次の2点の二次被害が起こるリスクが潜在しているためです。
■ 感電
感電とは人体に電流が流れて傷害を受けることです。
絶縁状態が悪い洗濯機や電気温水器等の水気・湿気の多い場所で使用する電気器具、井戸ポンプ等の屋外で使用する電気器具や雨漏りで浸水している照明器具などに触れると感電する恐れがあります。
画像出典:http://www.sharp.co.jp/support/advice/washer/move_b1.html
なお、漏電時に事故を避ける役目をしているのがアースです。もし、電気製品にアースがあれば、金属部分に触っても、電気がアースの方に流れるので人体は感電の可能性が低くなります。
100Vの電圧に感電すると、皮膚が乾燥している場合は、25mA、皮膚が湿っている場合は、50mAの電流が流れると言われています。
電流が人体に流れた時の反応としては、10mA程度の電流でも触れた手が吸い付き、筋肉が痙攣します。50mA以上の電流に触れると、やけど、呼吸が停止し、通電時間が長いと最悪の場合死に至ることもあります。10~20mA以上の電流が人体に流れると、筋肉が痙攣して自由が利かなくなるため、感電している箇所から離れられなくなります。これにより、通電時間が長くなって死に至ることがあります。
交流電流が人体に流れた時の反応
電流の量 | 反応 |
---|---|
0.5mA | 通常、無反応 |
1mA | ビリビリと感じる |
5mA | 相当な苦痛がある |
10~20mA | 耐え難い苦痛があり、筋肉が収縮して体が動かなくなる。 |
50mA | 相当危険で死に至ることがある |
このように漏電している電気機器は大変危険です。直接触らず、電気工事士などの資格を持った専門家へ対応を依頼するようにしましょう。
■ 火災を引き起こす危険性
漏電が起きると、ラス網(モルタル下地として使用される金網)などの金属が発熱して、壁の内部の木材やホコリなどが発火する場合があります。
このような漏電によって壁の中に起きた火災は目に見えないため、発見した時にはかなり火災が進行している場合が多いのです。
漏電による火災が起きやすい建物
・外壁や屋根に金属製の部材を使っている建物。
・外壁がモルタル塗で、その下地に金網(ラス)が使われている建物。
家庭内の分電盤には、漏電遮断器が付いているところが多いですが、アース線をちゃんとアース端子に付けられていますか?
アース線をアース端子に取り付けていない状態だと、漏電していても漏電遮断器が漏電が起きていることを感知できず、自動で電気が止まらないことがあります。
ですから、安全のために必ずアース線はアース端子に取り付けるようにしましょう。
尚、ラスモルタル作りの建築物には漏電時に警報が鳴る、漏電火災警報器の設置が義務づけられています。
こんな症状があったら漏電している可能性!
これから紹介するような症状がある場合、漏電が起きている可能性があります。このような症状が見られる場合は電気工事士などの資格を持った専門家へ対応を依頼するようにしましょう。
建物の金属部分に触れるとビリビリする
建物の金属部分に触れるとビリビリとした感覚がある場合は漏電の疑いがあります。具体的にどこが漏電しているかはわかりませんので、専門業者に調査を依頼することをおすすめします。
雨が降ると停電してしまう
雨が降った時に限って停電が起きてしまう場合は、雨が原因で漏電している可能性が高いです。上述したように雨漏りによって漏電が起きている場合や、庭など外に設置してある外灯やコンセントの防水が不完全で起きている場合もあります。こちらも具体的にどこが漏電しているかはわかりませんので、専門業者に調査を依頼することをおすすめします。
家電から水漏れ、水をかぶってしまった
照明器具などから水漏れしている場合、漏電している可能性が高いです。雨漏りやマンションなどで上階層の漏水から起きていることもあります。
照明器具を外すと水が溜まっていた!なんてこともあります。危険ですので必ず専門業者に依頼しましょう。
また、照明以外にも水をかぶってしまった電気機器は簡単に漏電してしまいます。濡れてしまった電化製品は危険ですので使用しないようにしましょう。
漏電遮断器(漏電ブレーカー)が落ちる
画像出典:中部電気保安協会
分電盤内には家庭内で電気を使い過ぎたときに落ちるメインブレーカーがあるのは皆さんよくご存じだと思います。分電盤内にはメインブレーカーの右側に漏電遮断器(漏電ブレーカー)というものがあります(例外あり)。漏電遮断器(漏電ブレーカー)が落ちていた場合は電気機器の破損、湿気、結露などによるショート、絶縁の劣化などにより漏電が起きている可能性が高いです。
漏電ブレーカーが落ちた時の対処法
①全てのブレーカーを切る
②漏電ブレーカーを入れる
③端から配線用のブレーカーを入れていく
④どれかの配線用ブレーカーを入れた時に漏電ブレーカーが切れたら、その配線用ブレーカーの回路が漏電していることになる。
⑤該当の回路を専門家に診てもらう
この時、該当の回路以外のブレーカーを入れれば電気を使用できます。
補足:雷で漏電ブレーカーが電流差を検出して落ちることがあります。この場合は漏電ではないので普通にブレーカーを上げましょう。
突然、電気代が異常に高くなった
漏電が起きると電気の供給が非効率になってしまい、その結果電気代が上がってしまいます。電気代が急に上がった場合は漏電を疑ってみましょう。
上記のような症状が無いかも確認してみてください。
このような症状がある場合は迅速に対応が必要です。対応方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。