あなたの住まいの屋根瓦は、スレート瓦ですか?もしそうなら、屋根塗装の際に絶対に必要な作業工程があります。
それは瓦の「縁切り」。
物騒な名前ですが、屋根塗装においては「切らなければならない縁」なのです!
これを切るか切らないかで、屋根の寿命が大きく左右されます。それほど屋根に大きな影響を与えるのに、なかなか聞き馴染みのない「縁切り」とは一体何なのか。
そのすべてを解説します!
1. 屋根塗装で絶対にしてもらうべき「縁切り」とは
まず「縁切り」とはなにか、そして絶対に知ってほしい「縁切り」の必要性についてお話しします。
これを読むと、我が家の屋根は「縁切り」されているかどうか、気になって仕方なくなるかもしれません。
1-1. 「縁切り」とは
スレート瓦の屋根をローラー等で塗装すると、瓦の重ね目に塗料が入り込み、そのまま乾燥すると重ね目が塞がった状態になります。
「縁切り」とは、塗料乾燥後に塞がった隙間の塗膜を切って、水の通り道を確保する工程のことを指します。
尚、新築時にはスレート瓦は塗装しないので、新築後初めての屋根塗装の場合は「縁切り」は必要ありません。「縁切り」が必要になるのは、2回目以降の屋根塗装の場合です。※
※新築後初めてでも、縁がふさがっている場合は縁切りをおこなう必要があります。
1-2. 「縁切り」はどうして必要か
屋根に降り注いだ雨水は、スレート瓦の重ね目の隙間を抜け出ることで、屋根内部に溜まらないようになっています。
しかし、重ね目の隙間が塗膜で塞がっていると、スレート瓦をつたって屋根内部に雨水が浸入し、雨漏りなどの原因になります。
雨漏りはなかなか症状が目に見えず、気づいたときには重症化していることが多い住宅トラブルの代表格。「縁切り」は、重ね目の塗膜をひとつひとつ丁寧に切っていく大変手間のかかる工程ですが、するとしないとでは、住まいに与える影響がとても大きいのです。
2. これなら安心!正しい「縁切り」
では次に、「縁切り」とはどんなことをするのか、具体的に見ていきましょう。
2-1. 「縁切り」の方法
「縁切り」はカッターなどの工具を使って、スレート瓦の重ね目を塞いでいる塗膜を切ります。この方法の場合は、上塗り塗装後に作業をします。
最近では、後述する「タスペーサー」を使った方法が主流になっています。尚、右の写真は、下塗り塗装後に余分な塗料を除去しながらタスペーサーを挿し込んでいる様子です。
2-2. 縁切り不要の「タスペーサー」
「タスペーサー」とは、スレート瓦の重ね目に挿し込んで隙間を確保する縁切り用部材です。
下塗り塗装後に、約15センチ間隔でスレート瓦の重ね目に挿し込み、30坪程度の屋根だと1,000個ほど使います。1,000個と聞くと多く感じるかもしれませんが、費用としては3万円~5万円程度です。
タスペーサーを使う場合は、カッター等で切る従来の「縁切り」は必要ありません。
最近は、このタスペーサーを使う方法が主流となっていますが、コスト節約などを理由に従来の「縁切り」をする場合もあります。
3. 「縁切り」されていなかったために起こったトラブル
スレート瓦の屋根塗装では必須中の必須工程であるにもかかわらず、「縁切り」がされていないケースは珍しくありません。
それはなぜか。答えは簡単です。
この「縁切り」、実に手間がかかる作業なのです。場合によっては、縁切りをしなくていいケース(新築後初めての塗り替え)に比べて、作業時間が3倍近くになることもあります。
その手間を惜しまず仕事をする業者か、それとも面倒と思ってしまう業者か、そこがトラブル発生の分かれ道になるのです・・・。
3-1. 【衝撃映像!】瓦のあいだから水が流れる!
実際に「縁切り」がされなかったらどんな事態になったか。ここで衝撃的な映像をご覧いただきましょう。
雨でもないのに瓦の隙間からダラダラと流れる水・・・。
「縁切り」がされていないとこれだけの水が屋根に溜まるのです。どう考えても、屋根にいいわけがありません。この先の影響を考えただけでゾッとしますね。
3-2. トラブルを回避するために
「縁切り」でのトラブルを回避するために、次のことに気を付けてみてください。
(口頭での約束ではなく、きちんと見積書や工程表などの書面に記載してもらいましょう。)
(きちんと「縁切り」したか、またはタスペーサーを挿入したか、写真で確認しましょう。)
3-3. 「縁切り」されていないことがわかったら
まずは、屋根と屋根裏の状態を早めに確認しましょう。
ご紹介した動画のように、すでに雨水が溜まっている可能性もあります。そうなると雨漏りないし、雨漏り予備軍の劣化症状がすでに発生している危険もあるので、早めの対処が何より肝心です。
屋根に上がるのは危険をともなうので、確認は、塗装専門店など屋根診断を行っている業者にお願いすることをおすすめします。屋根塗装をお願いした業者に診てもらってもいいですし、その業者に不安があるようなら、ほかの業者に屋根診断だけ依頼して第三者意見をもらうのもいいでしょう。
4. まとめ
我が家の屋根が「縁切り」されているかどうか、気になって仕方なくなったのではないでしょうか。
もし、気になることや不安があれば、塗装専門店などに相談して診断資格をもったスタッフに屋根の状態を診てもらうといいでしょう。診断までは無料でしてくれるところが多いので、ぜひ利用してみてください。
- 「縁切り」とは、塗料乾燥後に塞がった隙間の塗膜を切って、水の通り道を確保する工程のこと。
- 「縁切り」をしないと、スレート瓦の重ね目の隙間が塗膜で塞がり、屋根内部に雨水が浸入して雨漏りなどの原因になる。
- 最近では、タスペーサーも使う方法が主流になっている。
- 「縁切り」されていないことがわかったら、早めに屋根・屋根裏の状態を確認する。