スレート屋根

「スレート屋根ってどのくらい保つのだろう?」「メンテナンスは何をしたらいいのだろう?」と、スレート屋根(通称:カラーベスト、コロニアル)の家にお住まいの方であれば一度は思ったことがあるのではないでしょうか?

「屋根ってあまり見えないし、どんな状態かわからない」「何もしないで放っておいたらどうなるのか」「メンテナンスは何をしたらいいのかわからない」と悩みは尽きません。

万が一、スレート屋根の劣化により雨漏りが発生してしまったら大変です。基材の腐食やカビやシミの発生の原因となってしまいます。

そこで今回は戸建住宅に多く使用される平板スレート(以下:スレート屋根)にポイントを当てて「耐久性はどのくらいか」「どのような劣化が起こってしまうのか」「耐久性を上げることができるのか、どのようなことをしたらいいのか」についてお伝えします。

1.スレート屋根の耐久性はどのくらい?

1-1.スレート屋根の耐久性は10~20年

屋根

スレート屋根は厚さが4.5mmで内容成分の85%がセメント、15%が石綿で形成されています。主成分がセメントであることからスレート屋根自体に防水性はなく、塗装で守ってあげることが必要な屋根材です。

そのスレート屋根の耐久性は、メーカーによるはっきりした公表はありませんが、20年ぐらいが一般的な耐久年数と考えると良いでしょう。もちろん、家が建っている気象条件、環境によっての劣化の進行具合は変わるので一概に20年とは言えません。スレート屋根の劣化は塗膜が劣化し、防水性が失われると同時に一気に進みます。その為、条件によっては10年しか持たない場合ありますし、30年以上も持つスレート屋根もあります。

厚さが4.5mmと薄いため強度は高くありませんが、2004年以前のものにはアスベスト(石綿)が15%含まれており、スレート屋根自体の強度を高くする為に重要な役割を果たしていました。アスベストは非常に細い繊維で構成されている為、セメントと一緒に混ぜ合わせることで高い耐久性を発揮していました。スレート屋根に使用されているアスベストは瓦自体が割れて欠けたりすることがない限り、周囲に飛散することはなく人体に悪影響はありませんが、定期的に塗装を行い、瓦が割れないようにすることが重要です。

※人体に悪影響を及ぼしてしまうものとして2004年10月にアスベストが禁止され、その時期以降のスレート屋根にアスベストは含まれておりません。

 

1-2.他の屋根材の耐久性

スレート屋根以外の屋根材の耐久性をみていきたいと思います。ここでは日本瓦屋根とガルバリウム鋼板屋根と比較した場合のメリット・デメリットをお伝えします。

スレート屋根日本瓦屋根ガルバリウム鋼板屋根
耐久性低い高い高い
メンテナンス必要不必要不必要
耐震性高い低い高い
多い少ない少ない

それでは、以下でそれぞれの屋根材の比較を詳しく説明していきます。

日本瓦屋根

瓦-無料素材

まずは日本瓦屋根とスレート屋根の比較をしていきます。

スレート屋根のメリット

①日本瓦屋根は約165kg/坪の重さがあり、約68kg/坪のスレート屋根の2.5倍もある為、軽いスレート屋根の方が耐震性が高くなります。

②日本瓦屋根は一般に塗装が出来ない為、色の選択肢がありません。一方、スレート屋根はカラーバリエーションが20色以上あり、選択肢が豊富です。

③日本瓦屋根より構造が簡易であり、修理に手間がかからず、修繕費も安く収まります。

スレート屋根のデメリット

①日本瓦屋根は素材自体をガラス質の釉薬というもので覆われた陶器である為、塗装によるメンテナンスは不要で50年~100年は保つと言われていますが、スレート屋根は定期的に塗装をしなければ劣化してしまいます。

②以前の日本建築で主流であった日本瓦は厚さが10mm~20mmほどありますが、スレート屋根は4.5mmと薄い為、強度は高くありません。

③断熱性が悪い。

④台風など強風に弱い。

 

ガルバリウム鋼板屋根

ガルバリウム鋼板

続いて、ガルバリウム鋼板屋根とスレート屋根との比較をしていきます。

銅板に亜鉛アルミメッキで塗装されたガルバリウム鋼板屋根は、30年~50年間はメンテナンス不要です。ただ、金属屋根のひとつである為、沿岸部等に家がある場合は錆びにより耐久性が落ちる可能性があります。

スレート屋根のメリット

①薄い金属の鋼板であるガルバリウム鋼板屋根はヘコみやすいですが、スレート屋根はヘコむことはありません。

②ガルバリウム鋼板の色はまだまだ数種類と限られていますが、スレート屋根は20色以上と、選択肢が豊富です。

スレート屋根のデメリット

①雪降ろしが出来ない為、寒冷地ではほとんど使用されておらず、北海道では1棟も使用されていません。

②ガルバリウム鋼板屋根は30年~50年はメンテナンス不要で保ちますが、スレート屋根自体は10年~15年ごとに塗装が必要です。

 

1-3.スレート屋根の劣化事例

スレート屋根に施されている塗装の状態にもよりますが、スレート屋根の塗装の劣化により以下のような劣化症状が起こる可能性があります。

症状内容
変色

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出典:http://www.oliver-reform.jp/

 塗膜が劣化し、防水性が失われている為、水分を吸収しやすくなっている為、藻や苔の発生、凍害を引き起こす原因となる。
藻や苔の発生image020

 

 スレート瓦自体に水分が滞留し湿気が高くなる為、藻や苔が発生してしまっている。
凍害

ひび割れ

 塗膜の防水性が失われ、水分が瓦に吸収され冬場や夜間に凍結、水分の乾燥を繰り返し瓦自体にヒビが入ってしまい、欠損を誘発してしまう可能性がある。
滑落

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出典:http://gaihekisan.net/

滑落をそのままにしておくことでヒビが大きくなり、瓦が割れてしまう。割れた瓦が落ちてしまうと大事故に繋がるので注意が必要。
反り

瓦の反り

水分の浸透と乾燥を繰り返して起こる。放置しておくと反りが大きくなり雨漏りの原因となる。

※反りは塗装で直らないので、早めのメンテナンスをオススメします。

以上のような劣化症状により雨水が野地板を腐食し、雨漏りが発生してしまう恐れがあります。

更に、カビやシミによりシックハウス症候群等の健康障害を引き起こす恐れもあります。

そのような状況になる前に、定期的なメンテナンスが必要です。

2.スレート屋根を長持ちさせる方法は?

2-1.スレート屋根は塗装で長持ちさせる

前の項目でも述べましたが、スレート屋根の主成分はセメントであり、スレート屋根自体に防水性はありません。その為、塗膜で守らずそのままにしておくと雨水や夜露を吸収してしまい、スレート屋根の強度が一気に低下してしまいます。

その為、塗装を施すことによりスレート屋根の耐久性を上げることが出来ます。塗装を定期的に行うことで30年~50年は保つと言われています。塗装をしないと劣化が進行し、手遅れになることで葺き替え等を行うしかなくなり、費用もその分高くなってしまいます。出来るだけ長くスレート屋根を保たせる為に定期的に塗装することをオススメします。

2-2.塗装費用の相場

スレート屋根を塗装する場合、洗浄、ケレンなどの下地処理、下塗り、中塗り、上塗りといった工程が必要となります。塗料代や業者ごとの施工費によって価格に違いはありますが、おおまかに30万円~40万円程が相場となります。

高価な塗料ほど、耐久性も高くなります。下の表を参考にして下さい。

塗装代(㎡あたり)の相場は以下の通りです。

塗料耐久年数費用(材料費・施工費込)
アクリル約3~5年1,000円~2,000円/㎡
ウレタン約5~7年1,500~2,500円/㎡
シリコン約7~10年2,000円~3,500円/㎡
フッ素約15年以上3,000~5,000円/㎡
無機約15年以上3,500~5,000円/㎡

※上記はあくまで目安です。塗料メーカーや製品によっても価格が異なります。

↓以下のサイトを参考にされてください。

【完全解説】屋根リフォームにかかる費用と工事の種類について

3.劣化が進みすぎた場合の対処方法は?

3-1.葺き替え・カバー工法(重ね葺き)

スレート屋根の劣化が著しく塗装が出来ない場合、葺き替え・カバー工法でメンテナンスする方法があります。

工事の種類費用メリットデメリット
屋根塗装工事30万円~140万円塗料の種類により費用が抑えられる塗替えが必要
屋根重ね葺き工事50万円~120万円廃材費用が不要家への負荷が大きくなる
屋根葺き替え工事70万円~140万円耐久年数が長い廃材処理が必要

費用は、屋根面積(広いほど割安、狭いほど割高)、工事方法、工事範囲(雨漏りの有無)、足場組立の有無に関係します。

葺き替え

既存のスレート屋根を取り外し、全く新しい屋根に取り替える工法です。スレート屋根は野地板・ルーフィングシート(防水シート)・スレート瓦の3層で形成されていますが、屋根の劣化具合によっては野地板まで取り替える場合があります。そのような状態まで劣化してしまうとさらに費用がかさんでしまいます。

 

カバー工法(重ね葺き)

既存のスレート屋根を取り外さず、そのまま新しい屋根材を取り付ける工法です。葺き替えよりも費用は安く施工出来ますが、既存の屋根が水分を含んだまま十分に乾燥せず、野地板を腐食させてしまう可能性があります。そのような状態になってしまうと葺き替えよりも費用がかさんでしまう可能性があります。また、屋根の重さが増加しますので構造面での確認も必要になります。

 

3-2.メンテナンス費用の相場

葺き替え

業者ごとの施工費等によって価格に違いはありますが、おおまかに70万円~140万円程が相場となります。既存の屋根の撤去費、廃材処理費が掛かるため、カバー工法(重ね葺き)より費用は高くなります。なお、アスベストが含まれている屋根の場合、廃材処理費が高額になります。事前に業者と打ち合わせを行い、どのくらいの費用が掛かるのか確認しておきましょう。

カバー工法(重ね葺き)

業者ごとの施工費によって価格に違いはありますが、おおまかに50万円~120万円程が相場となります。既存の屋根を解体せず、廃材処理も不要のため、葺き替えよりも費用を抑えての施工が可能です。

↓以下のサイトを参考にされてください。

【完全解説】屋根リフォームにかかる費用と工事の種類について

 

まとめ

いかがだったでしょうか?スレート屋根自体の耐久性は他の屋根と比べて劣る部分もありますが、メンテナンス次第では他の屋根と同等の期間保たせることが出来ます。
一概に耐久性が良いからその屋根が良いとは限りませんし、耐震性の点でスレート屋根は注目できるの屋根材です。
建物を雨から守るスレート屋根を長く保たせるには塗装でのメンテナンスが必要不可欠です。メンテナンスを怠ると経年劣化で葺き替えやカバーといった施工が必要となる場合があります。
スレート屋根を長持ちさせ、その結果建物を長く守るためにも定期的なメンテナンスを行ないましょう。