「なんだか最近、飛び込みの塗装業者がよく来るなぁ」なんて事、ありませんか?
戸建て住宅は、新築やメンテナンスをしてから約10年ほどで塗替えの時期がやってきます。10年も経つと色も褪せ、ヒビが入り、しまいには苔が生えたりします。あなたは、「じゃあうちもそろそろ塗替えを…」と考えているかもしれません。そんな時、あなたはどんな業者と、どのように契約を結びますか?
実は、国土交通省の所管する公益財団法人、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの発表によると不具合部位別のリフォーム相談件数の約50%は屋根・外壁に関するトラブルなのです。数にすると、年間約1,700件もの屋根・外壁リフォームに関する相談が寄せられています。この数字を見てどうでしょうか?こんなに多かったのか!と驚かれたかもしれませんね。
住宅を長く保たせる為に、外壁・屋根塗装をする事は必須事項です。ですが、安い買い物では決してありません。その為にも契約を結ぶ際、使用する契約書はとても大切です。この記事では、住宅の塗替えで使用する契約書はどのようなものなのか、契約する際にはどこに気をつけるべきなのか、もし、あなたやあなたのご家族が契約に失敗してしまった場合、どのような対処をし、どのような機関を頼るべきかを解説しています。契約で失敗しない為に外壁塗装の契約の仕組みを理解しておきましょう。
1.塗装工事のトラブルはなぜ起きる?原因と現状
冒頭でも書いた通り、塗替えで起こるトラブルはとても多く、年間1,700件も発生しています。それにも関わらず、多くの人が「契約書」を軽く扱ってしまう現状があります。まずは、なぜ契約書が必要なのか?基本的な事項を解説します。
1-1.請負契約書はなぜ必要なのか?
業者と契約をする際には、契約書に取り決め事項を記載して、お互いの了承の上で、サインを交わします。どんな約束事も契約書がなければなんの拘束力もなく、なにかあった時に自分の身を守る事ができません。契約書を使用しておこなう契約とは、強制力をもっておこなわれる法律行為です。
契約書が持っている役割は大まかに、下記の3点があります。
契約書の持つ役割 | 概要 |
---|---|
契約内容の明確化 | ・契約書に書面で残す事は、当事者間の解釈の違いや思い違いを埋め共通の要項を共有するのに役立つ。 ・互いの考えのギャップを埋め共通認識を持つ事はトラブルの予防に役立つ。 |
紛争の予防 | ・書面に残っていれば「言った」「言わない」という無用な争いを避ける事ができる。 ・当事者同士の署名、捺印がなされた契約書を見れば互いの合意をもって交わされたと一目で分かる。 ・いざという時の紛争解決手段が書かれていれば迅速な対応ができる。 ・将来起こり得るトラブルと、それを解決する手立てが明記できる。 |
証拠保全と間接的な強制力 | ・契約書はもっとも重要な証拠書類として扱われる。 ・両者間の合意を示す為にも署名と捺印は必須。 ・口約束では相手方が忘れてしまう可能性がある。 ・契約書に書くという事は両者間の記憶にとどめ義務の履行を間接的に強制している。 |
このように、契約書には大切な意味があります。「たかが塗装」と軽く見る事なかれ、どんな小さな工事、どんな小額な工事でも絶対に契約書を結びましょう。次に、リフォーム工事のトラブルの現状についてご紹介します。これらは他人事ではなく、あなたの周りでも起こりうるものです。ぜひ、理解しておきましょう。
1-2.リフォームトラブルの現状
冒頭で書いたとおり、リフォーム工事に関するトラブルは多く発生しています。それでは、どんなトラブルがリフォーム工事で発生しやすいのか見ていきましょう。
主な不具合事象 | 割合 | 件数 | 当該事象が多く見られる部位 |
---|---|---|---|
雨漏り | 17.1% | 589件 | 屋根、外壁 |
剥がれ | 12.1% | 417件 | 外壁、屋根 |
ひび割れ | 11.3% | 391件 | 外壁、屋根 |
変形 | 8.3% | 286件 | 床 |
汚れ | 8.2% | 282件 | 外壁、床、屋根 |
※リフォーム相談のうち戸建て住宅において不具合が生じている相談3415件に対する割合
※データ出典:住宅相談統計年報2015,住宅相談統計年報2015資料編(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)
1-3.実際に寄せられたリフォームトラブルに関する相談
独立行政法人国民生活センターに寄せられたリフォームトラブルに関する相談には下記のようなものがあります。寄せられた相談は、契約書を交わさず、金銭のやり取りをしてしまった後連絡が取れなくなったり、口約束で工事を進めてしまい高額な金額を請求された事例です。
【契約書のない契約!】 両親のもとに突然業者が来訪し、「屋根がずれている」、「雨が降ると大変だからすぐに直す必要 がある」と屋根の補修工事を勧誘した。父は、業者に言われるままに屋根工事の契約を結び、工事代金を支払ったが、契約書はなく、領収書しかない。領収書に記載の連絡先に電話をしたが、 つながらない。 (相談受付年月:2013 年 1 月、契約当事者:90 歳代、男性、兵庫県) |
【業者に急かされた契約を取り消したい!】 突然、家屋のひびや割れ目を補修するという業者が来訪してきた。金額が安かったことと、以前から気にしていたこともあり依頼した。ひびと割れ目の補修は、業者が来訪したその日のうち に終了したが、「屋根瓦がずれている。直さないと地震で崩れてしまう」と屋根工事を勧められた。 業者からすぐに契約するよう急かされ契約してしまったが、やはり解約したい。 (相談受付年月:2013 年 1 月、契約当事者:70 歳代、男性、栃木県) |
【口頭の打合せより1.5倍高い金額を請求された!】 以前にも依頼した知人の業者に自宅の居間のリフォームを依頼した。今回のリフォームに当た って、業者に対し書面を交付するよう契約前にも契約後にも伝えたが、渡されなかった。口頭での打合せはしており、100 万円の工事になるとのことだった。しかし、工事終了後に 150 万円を 請求されている。作り付けの家具の施工内容などに不満があり、業者からは専門でない部分の工 事の出来はその程度だといわれていて納得できない。 (相談受付年月:2013 年 1 月、契約当事者:50 歳代、女性、東京都) |
※情報出典:独立行政法人国民生活センター報告資料『増加する住宅リフォーム工事のトラブル-トラブルは悪質な訪販リフォームだけじゃない!』
これらのリフォームトラブルで、国民生活センターが問題視しているのは特に下記の点です。
■見積書や契約書が発行されない。あるいは内容が不適切。
■特定商取引法に基づく法定書面の交付がないまま工事を初めてしまっている。
■知り合いや紹介を受けた業者では契約をあいまいにしがち。
さらに、このようなリフォームトラブルを回避するために消費者に向けて、業者と話し合った事や契約内容はかならず書面に残すよう呼びかけています。トラブルを未然に防ぐ為にも、トラブルに巻き込まれても早期の解決をおこなう為にも契約書を取り交わす事や契約について知っておくことは必須事項です。
2.知らなかったじゃ済まない!チェックするべき外壁塗装の契約書ポイント
2-1.請負契約書の書式はどういうもの?
それでは、いったいどんな契約書だったらいいのか?ここでは、一般社団法人リフォーム推進協議会が配布している住宅リフォームの契約書雛形を元に、押さえておくべき契約書のポイントを解説します。
画像出典:http://www.j-reform.com/index.html
■契約書は、複写式のものを使用するのが良い
■見積の記載事項と契約書の記載事項に相違ないか確認する
■工事名称、工事場所、工事金額、支払い方法が明確に記載されているか確認する
■クーリングオフに関する記載事項が赤字で8ポイント以上のフォントで記載されているか確認する
画像出典:http://www.j-reform.com/index.html
■工事に関する取り決め事項を記載した工事請負約款が契約書の裏面や2枚目にあるか確認する
■工事請負約款が業者の都合の良いようになっていないか確認する(2章で工事請負約款をさらに詳しく解説しています)
建設工事の請負契約において、すべての工事で所定事項を記載した契約書を交付すうよう建設業法できまっています。現状、リフォーム工事では契約書を取り交わさないまま、工事をすすめてしまったり、曖昧な内容のまま契約をするケースがとても多くなっています。契約の際は「請負契約書」「請負契約約款」「見積」をワンセットとし、内容に疑問を持ったまま契約をしないようにしましょう。
また、自衛の為にも、たとえ小工事や知り合いの業者であったとしても上記のような契約書を用いて契約をするべきでしょう。
2-2.請負契約を取り交わす際、押さえるべきポイント!
契約書を用いて契約を取り交わすことは、そんなに頻繁にありませんから、わからないことも多いですよね。ここでは、契約を取り交わす際の流れと、注意すべきポイントをご紹介します。
STEP1.業者より最終見積の説明を受ける
塗装工事を請け負う業者と、双方納得のいくまで見積の内容を検討しましょう。見積りは、初めに提出されたものから値段や材料の調整によって変更が出る場合がほとんどです。最終的に調整された見積りを書面として出してもらい、きちんと理解できるまで説明を受けましょう。特に見積りを見る時は下記の点を確認するのが良いでしょう。
■材工一式の見積書になっていないか(材料費と工事費に分けて金額が出されているか?)
■使用する塗料の商品名まで記載されているか
■施工する外壁や屋根の面積が算出されているか
■使用する塗料の缶数が記載されているか
STEP2.契約書の内容を確認する
見積書の内容に納得し、契約の意志が固まったら契約書にサインする前に、契約書記載事項について確認をしましょう。工事名称、工事場所、工事期間、支払い方法等は通常請負う業者が記載をしてくれます。
画像出典:http://www.j-reform.com/index.html
■工事期間が不明確であったり、未記入ではないか
■工事金額に間違いはないか
■支払い方法に納得をしているか(前金ですべて支払う事はほとんどありません。通常、前金、中間金、完工金等に分けて支払います)
STEP3.契約書約款の説明を受ける
約款は、契約内容の詳細な取り決めや塗装工事後、不具合が出た場合どのようなものなら保証をするかなど工事に渡るすべてが記載されています。契約時に約款の内容をすべて確認する事は現実的に難しいですが、下記のようなポイントには気をつけましよう。
■業者が約款を渡してこない
■「後で確認してください」など約款の内容を読ませない
STEP4.契約書に自筆の署名をする
約款の内容に相違なければ、契約書に署名をします。自筆で記入をし、印鑑を押します。
また、工事金額に合わせた収入印紙をはりましょう。収入印紙は、業者と注文者のあなたが折半をします。
STEP5.契約書はお互いに保管する
契約書は、業者とあなたが一部ずつ保管をする必要があります。内容の改ざん等を防ぐ為にも、契約書は複写式のものを使用するのが望ましいでしょう。契約書は、工事終了後も大切に保管をしましょう。
3.契約書約款とはなにか-確認すべきポイント
前章でも説明した請負契約書約款。約款とは、契約の内容や条件を予め、書面に記載をしておくものです。約款には、工事に関する取り決め事項やトラブルが起こった際どうするか、塗装工事の後不具合が出た場合にはどこまで保証をするかなどが記載されています。ここでは約款の中でも、特に確認しておくべき条項をとりあげます。また、業者によって、約款の条文は異なってきますので、あらかじめ注意してください。
■一括請負・一括委任の禁止に関する項目が書かれているか
工事金額の中間搾取、工事の質の低下、労働条件の悪化、実際の工事施工の責任の不明確化等を防ぐために、業者が請け負った工事をすべて下請けの会社に丸投げするのは建設業法で禁止されています。協力業者や、下請け業者が工事に入る場合、施主の承諾が事前に必要になります。すべて自社でおこないます!など契約の前のセールストークは過剰になりがちです。約款の内容を確認し、工事はどこまで自社で対応するのか、どこを協力業者に任せるのか確認しましょう。
■打合せ通りの工事が困難な場合はどうするのか
例えば、施工の際に床下の白蟻が発見された場合。白蟻の駆除をしないと外壁の塗装が出来ない状況では施主と業者が話し合って工事の内容を変更します。また、その際金額が発生する場合には施主に必ず伝えます。業者が工事中に勝手に仕様を変更したり、追加工事分を工事後に勝手に請求する事はありえません。
■権利の譲渡は通常禁止されている
アフターサービスを受けられる権利や、工事の金額を支払う義務は誰かに譲渡する事は通常、できません。
例:Aさんは施工後1年で家をBさんに売った。Bさんにアフターサービスを受ける権利を譲渡させる事はできないので工事に対する保証や定期点検は行われない。
■第三者へ損害を及ぼした場合はどうするのか
第三者に損害を及ぼしてしまう場合とは例えば、下記のようなものです。
・施工現場の前を通りかかった人に、足場の上から塗料の缶を落としてぶつけてしまった
・隣の家の庭に塗料をこぼして汚してしまった
・吹付をしていたら、隣の家の車について汚してしまった
・高圧洗浄時の汚水が飛んで隣の家の洗濯物を汚してしまった
ただし、台風、地震、雷、竜巻など、自然災害等の不可抗力の場合はその限りではありません。
■目的物へ瑕疵(キズ)がある場合どうするのか
瑕疵とは、キズや欠陥の事です。つまり、工事に不備があった事についてです。目的物に欠陥があった場合、請負者は民法で定められた瑕疵担保責任という賠償責任を負います。
参考 民法634条(請負人の担保責任) 一項 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の 修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。 二項 注文者は、瑕疵の修補の為に、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。 民法635条(請負人の担保責任) 一項 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。 |
また、工事保証は業者によって異なってきますので注意しましょう。たとえば、屋根の塗替えが原因で漏水をした場合には、その該当箇所を補修するなど保証の範囲が書かれています。
■工事期間の変更についてはどうなっているか
注文者で施主は自身の都合により工事を追加、変更、一時中止することができます。例えば、壁面のみだった塗装工事に屋根を追加したり、壁面と屋根を塗装するはずのものを壁面のみにしたり、この期間は塗装して欲しくないと工事を中断することができます。
民法641条では、注文者は、工事が完成するまで、請負契約を自由に解除できるとしています。その代わりに請負人である業者に対して損害賠償をしなければなりません。
また、天候不順など工期が延長せざるを得ない場合、業者は施主に相談し工期の延長をすることができます。
いかがでしょうか。このように、約款には工事に関する重要な取り決め事項が様々に書かれています。約款はかならず確認すべきですし、もし約款に不明点や懸念点があるならば一旦その場での契約はやめ、業者に約款の条項の意味を聞いてみましょう。
4.身につけるべき自衛策!クーリングオフ制度!
クーリングオフという言葉を聞いた事はあっても、意味ややり方を詳しく理解できる方は少ないのではないでしょうか。クーリングオフとはシンプルに言えば、契約の無条件解除です。口のうまい業者に言われるがまま契約してしまったが後悔している、高齢の父母があやふやなまま契約してしまった…など様々な事情により契約を解除したい!と思われるケースもあるでしょう。
一口に無条件解除と言っても、クーリングオフができる場合とできない場合もあります。ここでは、クーリングオフとはどのようなものか、またクーリングオフのやり方はどのようなものかをご紹介します。
4-1.クーリングオフとはなにか-確認すべきポイント
■クーリングオフとは
クーリングオフとは、前述の通り契約の無条件解除です。意味は英語の「頭を冷やす」(Cooling off)からきています。しっかりと考える余裕もない内に、契約してしまった消費者を守るための制度です。基本的には、訪問販売の形をとるものはクーリングオフをおこなう事ができます。
■クーリングオフができる形態とその期間
取引内容 | 期間 | 例 |
---|---|---|
訪問販売 | 8日 | リフォーム業者、シロアリ駆除 |
電話勧誘販売 | 8日 | 資格取得用教材 |
特定永続的役務提供 | 8日 | 語学教室、エステ |
連鎖販売取引 | 20日 | 健康食品、化粧品 |
業務提供誘引取引 | 20日 | 教材の購入 |
訪問購入 | 8日 | 原則、すべての物品 |
■適用期間はクーリングオフの書面を受け取ってから8日
適用の期間はクーリングオフの書面を受け取った日から数えて8日なので注意が必要です。
クーリングオフの適用期間例
Aさんは5月5日に塗装工事の契約を事業者と結んだ。クーリングオフの書面ももらい、説明も受けた。しかし、よく考えたらあまりにも高額なので契約をやめようと考えた。Aさんのクーリングオフ適用期間はクーリングオフの書面が交付された5月5日から8日間なので5月12日まで。 |
4-2.クーリングオフをおこなう流れ
それでは、実際に契約をしてしまったが契約解除したい場合の手順をご紹介します。
STEP1.クーリングオフ通知の書面を書く
クーリングオフ通知の書面は、はがきでも書く事が可能です。下記は、クーリングオフの通知の書き方の一例です。
画像出典:https://www.seikatsu.city.nagoya.jp/soudan/coolingoff/method.html
・特定記録郵便、簡易書留、書留など発信日の残るもので発信をします。
・クレジット契約を結んで商品などを購入した場合は、クレジット会社と 販売会社に同様の通知を送ります。※クレジット会社へ1通、業者へ1通の計2通を送る。
・発信する前に、必ずコピーをとって保管し ておいてください。
STEP2.業者にクーリングオフ通知の書面を送る
クーリングオフが解除できる日数であるかを確認し、8日(もしくは20日)以内の場合書面にて業者に通知をします。万が一の為にも、証拠として書面に残す事が重要です。また、クーリングオフには適用期間があるのでいつ送ったのかが証明されるサービスを利用して発信をおこないましょう。
発信日が証明される | ・特定記録郵便 ・簡易書留 ・書留 |
---|---|
書面の内容、宛先、差出人、発信日が証明される | ・内容証明 |
クーリングオフの適用期間はクーリングオフに関する書面を受け取った日から8日ですが、これは8日以内に業者へ発信をする事という意味です。業者への到着は8日を過ぎても構いません。
例:Aさんは5月5日に契約を行った。クーリングオフの適用期間が5月12日まで。契約をした業者Bの元に、5月12日発信日のクーリングオフ通知書面が5月15日に届いた場合、クーリングオフは適用される。
4-3.期間が過ぎてもクーリングオフができるパターン
もう8日すぎてしまっている…!という際、期間が過ぎてもクーリングオフができる場合があります。それは、業者が契約の際、クーリングオフの約款を渡さなかった場合や「契約してしまったら、もう解約はできませんよ!」など誤認する情報を与えた場合です。
クーリングオフを妨げる為に不実を告げて誤認させたり、脅迫をした場合クーリングオフ期間は、起算されません。クーリングオフ妨害が行われた場合、業者から「クーリングオフ妨害解消書面」を受領した日から起算して、8日がクーリングオフの適用期間になります。
画像出典:http://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/i/kakuka/syohisyacenter/cooling_off/kikan.html
クーリングオフはもうできない…と諦めてしまうのでは無く、まずは契約の際、クーリングオフの書面を受け取ったか?クーリングオフができないような事を言われなかったか?思い出してみましょう。また、もし不安な事があれば、次章の第三者機関をすぐに頼りましょう。
5.契約上のトラブル回避!頼るべき第三者機関
前章にあったようなクーリングオフも含め、もしあなたがリフォームの契約をするに当たって、トラブルに巻き込まれてしまったら一人で悩む必要はまったくありません。下記のような、第三者機関を頼るのが得策でしょう。なかでも、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」は住宅専門の窓口の為、より専門的なアドバイスが受けられるでしょう。
■住まいるダイヤル
国土交通大臣から指定を受けた、住宅専門の相談窓口
URL:https://www.chord.or.jp/index.php |
■消費生活センター
消費生活全般に関する苦情や相談の窓口
URL:http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html |
6.トラブル回避の為に知るべき判断基準
ここまで、契約上の事や、クーリングオフに関してご紹介をしてきました。ですが、そもそも契約上でトラブルに合ってしまうのは最悪のパターンです。高いお金を出し、せっかく家を綺麗にできる機会なのに、トラブルになんて巻き込まれたくないですよね。その為には、私達は業者の選び方から見直すべきなのです。
「塗装工事なんて、どの業者に依頼したってさほど変わりは無いだろう」と思われていませんか?それはまったくの誤解です。塗装工事は業者によって、大いに差が出るのです。塗装工事は専門性の高い知識や技術力が必要であるにも関わらず、事業を始めるにあたり特別な資格を求められる事はありません。いってしまえば、誰でも塗装業者になれるのです。すべての業者がそうというわけでは決してありませんが、残念ながら中には売上主義に走り、大金を消費者から受け取ったにも関わらず劣悪な工事をする心無い業者もいるのです。そして、そんな業者ほど、押しが強くセールストークがうまい…なんて事はよくある話です。
私達は信頼できる業者を選定できる、判断基準を知る必要があるのです。下記は判断基準の一例です。もし、あなたがすでに何社か見積りを取られていたり、よく訪問セールスの業者が家に来るようならばチェック基準として下記のポイントを見てみましょう。
■業者をリサーチする際、チェックしたい3つの条件
・所在地が近くにあるか?
所在地が県外など遠方にある場合には避けたほうが良いでしょう。なにか合った時にすぐ駆けつけられない業者と良い関係性を築くのは難しいものです。工事中も、工事後もすぐにきてくれる範囲、車で片道40分圏内の塗装業者が望ましいです。
・塗装工事の実績が豊富にあるか?
業者の技術力や経験値を探るならば施工実績をチェックするのが一番です。施工実績が豊富な業者の方が提案の幅も広く、技術力が長けている可能性が高いからです。さらに踏み込んで言うならば、近隣で施工した物件を見せてもらうのも一つの手でしょう。
・しっかりした会社組織であるか?
塗装業者が一人親方のような場合、注意が必要です。もちろん技術力は申し分ないとしても、何か合った時の為には会社組織の方がより安心です。工事後のアフタフォローや保証に関しても会社組織の方が整っている事は間違いありません。
外壁塗装ジャーナルでは、業者選びに特化した下記のような記事も配信しています。ぜひ、合わせてチェックしてみてください。
7.まとめ
いかがでしたか?この記事では、塗装工事の契約をする際に注意したい契約書のポイントについて解説しました。
1章では、リフォーム工事におけるトラブルの現状や、実際に寄せられた相談事項から私達自身が契約の際、注意しなければならないとお話しました。また、契約書のフォーマットを用いて、確認して置くべき点もご紹介しています。
2章では、中々見ることのないリフォーム工事の契約書約款について解説をしました。契約書約款は工事の取り決め事項をすべて網羅して書いていると言っても過言ではありません。取り上げた項目がどのように書かれているのか?保証は大丈夫なのか?かならず契約の前にチェックしましょう。
3章では、契約解除をしたい場合の消費者の権利である、クーリングオフについてご紹介しました。よくよく考えて契約するのはもちろんですが、もし契約解除をしたい場合には3章の内容を参考にまずは契約解除ができるどうかをチェックしてみましょう。
4章では、契約や工事の際にトラブルに巻き込まれてしまった時、頼るべき第三者機関をご紹介しています。トラブルに巻き込まれると、ついついパニックに陥り、「なんとかしないと!」と一人で悩んでしまいがちです。まずは焦らず状況を整理し、第三者機関に現状を聞いてもらい対処方法を相談するのが一番です。
5章では、そもそも見直すべき業者選定について解説しました。「塗装業者なんてどこでも一緒!安ければいい!」なんて思っていませんか?塗装工事には知識と技術力が必要です。最低限、見るべき3つの項目と外壁塗装ジャーナルが提供する業者選びについての記事をご紹介しています。
家はどんなに日々、大切に使っていても痛むものなのです。10年もすればメンテナンスを考える必要があります。その時、私達にはより良い業者を選び後悔しない契約をする為に、契約についての知識を持っておくべきです。あなたがもし、塗装工事を考えているならばまずは契約に関しての最低限の知識を持つことから始めていきましょう。