私の好きな色はあるけど、お家の外壁や屋根の場合ってどうなんだろう?
家族はそれぞれ「赤がいい!」「緑がいい!」と話しているけど、
一度塗ったら簡単に塗り替えられないし、近所の目もあるから失敗だけはしたくないな。。。どこに気をつければいいんだろう?
外壁塗装の色選びをされている方の中には、このように悩まれている方も
多くいらっしゃると思います。確かに、お洋服やバッグ、お気に入りの靴のように、”好きな色”という理由だけで外壁の色を選ぶと思いもよらない失敗が待ち受けていることがあります。
本記事では、そんな外壁塗装の色選びでのポイントをまとめております。
外壁塗装の色選びを始める前にぜひご参考にされてみてください。
1.外壁塗装の色選びはポイントを押さえておくことが重要
人生に数回しかやってこない、大切なお家の塗り替え。毎日見る我が家をお洒落に、思い通りに蘇らせたいと多くの人が思われていると思います。
そんな願いを叶えイメージ通りの外壁塗装をする上で、一番難しいのは「完成するまで実物を見ることが出来ない」という所にあります。
外壁塗装の契約をしてから着工するまで、会社や季節にもよりますが早ければ2週間ほどです。その間に納得がいくまで熟考して色を決める為には、事前にポイントを押さえて予めイメージを膨らませておくと効果的です。
塗料の色選びには、基本的にメーカーが出している色見本帳を使いますが、小さいチップから色を決めることになります。その小さいチップのみで色を決めてしまうと、後々失敗してしまったり、100%満足が出来ない外壁塗装になってしまいます。
心から満足出来る色でお家を蘇らせるためにも、色選びの前にいくつかのポイントを押さえておくことが重要です。第2章ではそのポイントをご紹介いたします。
2.失敗しないために押さえておきたい外壁塗装の色選びのポイント
2-1.【ポイント①】面積の大小で色の見え方は変わる
上記の2つのピンクの四角を見比べてみてください。
どちらのほうが色が濃く(鮮やかに)見えるでしょうか?
ほとんどの方は「大きい方」と感じられたのではないでしょうか。実際は、全く同じ色が使用されています。
これは面積効果という色の特性に起因するものです。基本的に、面積が大きいほど、明るい色はより明るく、鮮やかな色はより鮮やかに、暗い色はより暗く感じます。
これを知らずに色を選んでしまうと、「思ったよりも派手になってしまった・・・」「想像よりもメルヘンチックになってしまった・・・」と完成後に感じてしまう事になります。
【まとめ】
□イメージを掴むために、大きい塗板見本やカラーシミュレーションを業者に依頼する
□色味のズレを踏まえて、1トーン薄い色を選ぶ
2-2.【ポイント②】色を選ぶシチュエーションに留意する
2-1での「面積効果」を注意しても、選んだ色と出来上がりが微妙に違うと感じることがあります。その理由として、面積効果の他に、「光源色の差」「反射率」という2つの作用が挙げられます。
下記の2つの写真をご覧ください。
※出典:東洋インク 色の見え方
上記写真は、一般蛍光灯と高演色蛍光灯という2種類の光源での見え方の差を実験しています。光源から発せられた光が対象物に反射して人間の目に届くことで、私達は「色」を認識しています。(下図参照)
※出典:東洋インク 色の見え方
つまり、蛍光灯の下で見た色と、屋外で見た色では光源が違いますので、色の見え方が変わります。さらに、屋外で見る場合も、朝、昼間、夕方と日の照り方で色味は変化します。一般的に、反射率の高い晴れの日は明るく感じ、夕方は太陽が赤みを帯びるために色味が変化します。
【まとめ】
□色を見る時は、蛍光灯の下だけでなく、屋外でも確認をする
□晴れの日、曇りの日、夕方など様々なシチュエーションで確認する
2-3.【ポイント③】色の艶による差に留意する
落ち着いた感じにしたかったのに、仕上がりを見たら家がテカテカ光ってて安っぽく見える・・・こんな失敗事例もよくあります。これは塗料の「艶(つや)」に起因する失敗です。
2-2にて、色の見え方が「反射光」に大きく左右される事をお伝えいたしましたが塗料の「艶(つや)」は反射光に大きな影響を及ぼします。
外壁に使用する塗料には「艶あり」「3分艶」「艶なし」など様々な種類があります。
左:艶あり 右:艶なし
(※詳しくは下記のページを御覧ください。)
「光沢度」「マット感」という言葉で表現すると耳馴染みがあるかもしれません。艶消しと呼ばれる材料は、表面に微細な凹凸をつけることで艶(=反射光)を拡散させ、落ち着いた印象の見え方になっています。
※出典:東洋インク 色の見え方
【まとめ】
□塗料を選ぶ際には、その商品の艶の有無も確認する
□不安であれば、実際に使用する塗料の塗板見本を業者に依頼し、質感を確認する
2-4.【ポイント④】街並みや風情を考えて色選びをする
京都などの歴史的建造物が多い所に行くと、コンビニの看板が普段見慣れている色でなく、落ち着いた色やデザインになっていることがあります。
街並みや風情にあわせたデザインになっている訳ですが、実はこのようなケースの多くは、店舗側が自主的に対処しているのではなく、各自治体の【景観法】に則っておこなっています。
※出典:東京都色彩景観ガイドライン
景観法は各自治体によって様々ですが、実際に一般住宅で強い規制が掛かることはほとんどありません。
しかし、「私の大好きな赤一色で全面塗装したい!」「風水から考えてお家は黄色に塗り替えよう!」というような個人(世帯)の趣味嗜好だけでなく、「私の街の雰囲気ってどういう感じ?」「この通りってどういう色のお家が多い?」など、近隣や街並みの風景と馴染むかどうかという視点も、外壁塗装の色選びの際には大切なポイントであるといえます。
【まとめ】
□色を選ぶ際は、街並みや風情に馴染むかどうかという視点も持っておく
□原色などの鮮やかで目立ちすぎる色の使用の際は特に注意が必要
2-5.【ポイント⑤】汚れがつきやすい色に留意する
お家の外壁は、どんなに高価な塗料を選んでも、汚れはいずれ必ず付いてしまいます。立地条件などによっては、想定する耐久年数よりも早く汚れや苔が目立ってしまう場合もあります。さらには塗り替えた後の色次第で、「塗り替え前よりも汚れが目立つようになった」と感じるケースも出る可能性があります。
色には「汚れが目立ちやすい色」と「目立ちにくい色」があります。
【汚れが目立ちやすい色】
1.白色
2.黒色
3.白や黒に近い色
【汚れが目立ちにくい色】
1.グレー
2.ベージュ系
3.薄いブラウン系
これは、外壁に付く汚れの多くが【中間色】であることに起因します。
中間色とは、純色に灰色を混ぜた色のことを指します。土やホコリの多くが中間色であることから、これらに近い色は必然的に汚れが目立ちにくい、というわけです。
色とは直接関係はありませんが、汚れに強い、雨などでセルフクリーニングする機能を有する塗料もあります。
汚れが特に気になる方は、色と併せて塗料の種類にもこだわると良いかもしれません。
【まとめ】
□外壁に付く汚れの多くは【中間色】
□中間色から遠い白や黒は汚れが目立ちやすい
2-6.【ポイント⑥】退色しやすい色があることに留意する
お隣さんと築年数も塗装時期も同じなのに、色あせの進み方に大きな差が出てしまうことがあります。もしそうなってしまうと、不良施工?材料の問題?と思われる方も多いと思います。
確かに、その可能性もゼロではありません。しかし、色選びでも同様の現象が起こる可能性があります。そもそも何故、色あせが起こるのでしょうか。
色あせの最大の原因は「紫外線」です。
窓際などに陳列された本やポスターが退色してしまっている様子はよくご覧になるかと思います。
※出典:bookoff online コラム
また、色には退色しやすいものと、そうでないものがあります。専門的に言うと、塗料の色の元となる【顔料】は、原子同士が結合することにより構成されています。この原子同士の結合力は色によって異なり、結合力を超える力が外部から作用することにより色あせが起こります。
【色あせしやすい色】
1.赤色
2.黄色
3.紫
最も色あせが起こりやすい色は、結合力が弱い窒素原子を多く含む赤色系。続いて黄色系、紫色系と続きます。これらは原色に近づくほど色あせを起こしやすくなり、このように顔料を多く含む鮮やかな色は特に気をつけて選んだほうが良いでしょう。
【色あせしにくい色】
1.白色
2.黒色
3.青色
白色の顔料は酸化チタンという無機顔料であるため、紫外線の影響を最も受けにくい色となります。
黒色の顔料はカーボンブラックなどから生成されており、強固な炭素結合であるため、こちらも紫外線の影響を受けにくいと言えます。
青色は原色の1つですが、元素の結びつきが強く、退色しにくいという特性を持っています。
【まとめ】
□色によって色あせをしやすいものとそうでないものがあることを踏まえて外壁塗装の色選びをする
2-7.【ポイント⑦】配色調和と配色構成に留意する
外壁塗装をする際、多くのお住まいで同時に屋根塗装をおこないます。「外壁は奥さんに選んでもらって、屋根は子どもたちに選んでもらおう」というように選ぶと、バランスが取れずに失敗をしていまうことがあります。
失敗を防ぐには、自宅の形状から考えて、外壁と屋根がどれぐらいのバランスで見えているのか、それも踏まえて全体的にどんなイメージにしたいのか、を考えて選ぶ必要があります。
具体的には【配色調和】と【配色構成】という2つの考え方があります。
【配色調和】とは、簡単な言葉に置き換えると【色の組み合わせ】ということにあります。色味を合わせてまとまる配色にしたり、対比をバランスよく配置して際立たせたりと、その組み合わせは様々で、それによりお家のイメージも大きく変わってきます。
【配色構成】とは、使う色を決めた後に、その構成比を決めることをいいます。
主に、ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーの3種類から構成され
ベースカラー :外壁(全体の約70%)・・・全体のイメージを決定づける。
アソートカラー :屋根や塗り分ける時の外壁(全体の約25%)・・・安定させる役割。
アクセントカラー:車庫の色やテラス、ドアの色(全体の約5%)・・・変化をつける役割。
となっています。イメージを決めたら、どこの部分にどの色を持ってくるか、ということも合わせて考える必要があるのです。
【まとめ】
□部位別に考えずに、全体的なコンセプトを考える
□統一と変化のバランスを考えて配色を決める
2-8.【ポイント⑧】カラーシミュレーションなど資料を印刷する機械による色味の違いがある
冒頭でお伝えしたとおり、色見本だけで我が家の塗り替え後をイメージするのは難しいものです。その一つの解決方法として、2-1でお伝えしたカラーシミュレーションというものがあります。
カラーシミュレーションは、まず塗装を依頼した業者に対応可能か確認をしてみましょう。業者が対応出来ない場合、自分でサイトから実践する方法もあります。
ところが、あまり頼りすぎると、「あんなにシミュレーションしたのにどうして仕上がりが微妙に違うの!」と施工業者にクレームをつけてしまう方もいるようです。
なぜカラーシミュレーションまでしたのにそのような事が起こるのでしょうか?
それは、使う印刷機、インク、画面、紙によって微妙に色味が異なるからです。
カラーシミュレーションはあくまで「イメージを掴むため」に使うツールだということを認識しておきましょう。
【まとめ】
□カラーシミュレーションは「イメージを掴む」ために使う
□イメージが固まったら、色見本や塗板見本などで色を決定する
2-9.【ポイント⑨】新築時のデザインを残す塗装方法もある
近年のサイディング(外壁材の一種)はデザインも多種多様で、オシャレなものが多くなっています。そういったオシャレな多彩模様のサイディングを塗りつぶしてしまうと、以前の外壁とは全く違うイメージのお家になってしまいます。
「新築時のデザインが好きだから残したい」とお思いの方もきっと多いことでしょう。実は、今の外壁のデザインをそのまま残す方法があります。それが「クリヤー工法」と呼ばれるものです。その名の通り、今の外壁に透明な塗料を塗って外壁を保護する工法です。
図工の授業などで木の上にニスを塗った事が皆さんあるかと思いますが、イメージとしてはそのような感じです。
クリヤー塗料には色の元となる顔料などの有機物が入っていないため非常に耐久性も高いものになります。
しかし、このクリヤー工法にも注意点があります。
一番の注意点は、「劣化が激しい外壁には使用不可」ということです。詳しくは施工業者に現場調査を依頼した時に検査をしてもらう必要がありますが、簡単に言えば「チョーキング」の有無がサインになります。ご自宅の外壁を手で軽く擦った時に、チョークの粉のように色が手についた場合はチョーキングが発生しているということです。その場合はクリヤー工法は適用出来ない場合が多いのでご注意ください。
【まとめ】
□外壁は塗り替える以外にも、デザインそのままの「クリヤー工法」がある。
□既存外壁の劣化が激しいと施工不可となるので、早めの塗装がおすすめ。
3.【補足】迷った時は実際の外壁塗装の事例を参考にする
ここまで読んで頂くと、外壁・屋根塗装の色選びが実に難しく、どうやって決めてよいか不安に思われている方もいらっしゃるかと思います。
そんな際には、是非実際に外壁・屋根塗装をされた事例を見て、自宅に似ている形状のものや好きな配色のものを参考にされることをおすすめいたします。
まとめ
外壁塗装の色選びは、様々な考慮すべきポイントがあることがおわかりいただけたでしょうか?
実際に外壁塗装の色を選ぶときには、上記9つのポイントや外壁塗装の事例などを参考にされながら、後悔のないようにご家族でじっくり話し合って決められることをおすすめいたします。