「外壁は色あせ、ひび割れも目立ってきた。うちもそろそろ塗替え時かな?」あなたも我が家を見ながらため息をこぼす一人でしょうか。住宅は建てられてから約10年がメンテナンスの目安です。その際チェックしたいポイントの一つが『保証』です。なぜ保証が重要なのでしょうか?
なぜなら、保証を意識せず契約した結果、「失敗した!」と感じている方が少なくないからです。
国土交通省の所管する公益財団法人、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの発表によると年間約1,700件もの屋根・外壁リフォームに関する相談が寄せられています。その中には、「保証が口約束で不具合が出ても履行されない」「工事をした業者が倒産してしまいどこに補修を頼めばいいかわからない」といったようなケースもあります。また、保証が履行されず泣き寝入りしてしまう人も少なくないのです。
繰り返しになりますが、外壁塗装を選ぶ時に重視をして欲しいのは『保証』です。
とはいえ、外壁塗装というものは普段買いするものではないので、どんな保証がいいのか基準がわからないですよね。
この記事では外壁塗装の保証とはいったいどのようなものか、またどんな保証であれば安心できるのかをご説明します。
さらに、知らないと損をしてしまう保証に潜む落とし穴についても詳しく解説します。この記事を読んで保証について理解し、業者選びの基準としてください。
1.外壁塗装の保証で知っておきたい3つのポイント
外壁塗装は『半製品』とも呼ばれ、塗料を壁や屋根に塗って初めて完成します。その為、塗装をする職人の腕や施工基準を守っているかで仕上がりに差がでます。
現在ではほとんどの塗装業者が「うちで塗れば何年まではキレイなままで保ちます」という事を約束する工事保証をつけています。保証期間内に保証対象の不具合が起きた場合、塗装業者が補修に応じるというものです。そんな保証ですが、『ここだけは押さえておきたいポイント』があるのでご紹介します。
1-1.保証書は書面で出してもらおう!
外壁塗装の保証で大切なのは『書面で保証書をもらう事』です。
電気屋で家電を買う際も商品と一緒に保証書をもらいますね?それと同じように外壁塗装の保証書も書面で出してもらいましょう。
しかし、外壁塗装という業界では未だに契約や保証を口約束でおこなうケースがあります。
例えば、「そろそろ外壁塗装の時期だな…」と思っていた時に知り合いの小さな塗装屋さんを紹介され工事をおこなう時などです。「知り合いだから大丈夫だろう」という安易な考えで口約束で契約を進めてしまう場合があります。
保証を書面で残しておくメリット |
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☑ 当事者間の保証の範囲や条件などの解釈の違いをなくし、共通認識を持てる ☑ 書面に残すことで「言った」「言わない」という無用な争いを避ける事ができる ☑ 署名と捺印のある保証書は重要な証拠書類として扱われる ☑ 書面に残す事は両者間の記憶にとどめ義務の履行を間接的に強制している |
保証を書面で残しておくという事は形式的な意味だけではなく、上記のようになにか問題があった場合の早期解決の武器となるのです。
1-2.保証の範囲をしっかりと理解しておこう!
外壁塗装の契約をする時、費用や塗料の機能に目がいきがちで保証には中々意識が向かないものです。あまり知られていませんが、保証には「ここまでは保証しますよ」という範囲が決まっています。
つまり、不具合がでればなんでも保証してくれるというわけではないのです。保証の範囲は業者によって様々ですが一般的な保証の範囲は下記のようなものです。
一般的な保証の範囲(参考) | ||
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工事項目 | 対象工事 | 不具合事項 |
外壁工事
| 外壁塗装工事 | 塗膜の剥離、ふくれ 等 |
外壁カバー工事 | 外壁カバー工事が原因で生じた漏水 等 | |
外壁張替え工事 | 外壁張替え工事が原因で生じた漏水 等 | |
外壁補修工事 | 塗膜の剥離、ふくれ 等 | |
屋根工事 | 屋根塗装工事 | 塗膜の剥離、ふくれ 等 |
屋根カバー工事 | 屋根カバー工事が原因で生じた漏水 等 | |
屋根葺替え工事 | 屋根葺替え工事が原因で生じた漏水 等 | |
付帯工事 | 付帯塗装工事 | 塗膜の剥離、ふくれ 等 |
屋上防水工事 | 防水工事 | 防水工事が原因で生じた漏水 等 |
保証対象の不具合は業者によって様々です。多くの塗装業者では色あせやひび割れなどは保証の対象外となっています。なぜなら、色あせは住宅のおかれている環境によって出方が様々な為一概に言えないのです。また、ひび割れも地盤の揺れが多いことから一概に言えず、保証の対象外となる事が多いです。
また、保証の年数は一般的に塗料のグレードによって変わってきます。業者によって使用する塗料も様々な為あくまで参考ですが下記のような年数で出ることが多いでしょう。
一般的な塗料のグレード別の保証年数(参考) | ||
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塗料のグレード | 保証年数 | 耐久年数 |
ウレタン塗料 | 無し~3年 | 約6年 |
シリコン塗料 | 3年~5年 | 約8年 |
ハイクラスシリコン塗料 | 5年~7年 | 約10年 |
フッ素塗料 | 7年~10年 | 約12年 |
無機塗料 | 7年~10年 | 約16年 |
どの塗料も共通して、塗料メーカーが提示している期待耐久年より短い期間を保証年数としています。
また、まとめとして外壁塗装の保証で確認しておくべき必要最低限の事項をご紹介します。
☑ 保証の年数はどのくらいか?
☑ 保証の対象はどこまでか?(付帯工事は保証されないなど)
☑ 保証される不具合はどのようなものか?(漏水が起きた時、剥がれが生じた時に補修する等、業者によって様々)
1-3.製品保証と工事保証どちらもあると安心!
『保証』と一口に言っても実は2種類のものがあることをご存知でしょうか。それが『製品保証』と『工事保証』です。この2つの違いをしっかり理解しておく事が重要です。
塗料メーカーが工事で使用した塗料に対して出す保証。
保証期間中に塗装工事に瑕疵があった場合、施工店が工事に対して行う保証。
施工店や工事内容によって保証年数や保証範囲が異なる。
2.外壁塗装の保証が使えない場合がある!知っておきたい2つのコト
1章では外壁塗装の保証についてお話をしました。皆さん、「じゃあ保証年数が長くて保証対象が多い業者を選べば安心なんだな」と思われたのではないでしょうか。
しかし、それではまだ安心とは言えません。外壁塗装工事の保証には知らないと損する可能性のあるリスクが存在します。そのリスクをしっかりと理解した上で業者選定ができるよう、注意すべきポイントをご紹介します。
2-1.塗装業者が倒産したら保証は使えないので、リスク対策を検討しよう!
以外と知らない方が多いのですが一般的に塗装工事をおこなった業者が倒産してしまった場合、工事保証は使えなくなるケースが多いです。「会社がそんなに簡単に倒産するのか?」と疑問に思われている方も多いでしょうが、建設業の倒産件数は月に162社もあります。この数字は様々な産業の中で、サービス業に次いで多い倒産件数です。(※2014年東京商工リサーチ調べ)
ですので、塗装工事で損をしない為には業者が倒産してしまっても、工事の保証がされるリスク対策が必要だと言えます。ではどのようなリスク対策ができるのか具体案を2点ご紹介します。
塗装業者が倒産してしまっても工事保証を担保できるリスク対策2点 |
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☑ リフォーム瑕疵保険など第三者保険を活用する ☑ 外壁塗装の全国組織に加盟しているなど、倒産後も保証をしてくれる体制を整えている業者を選ぶ |
リフォーム瑕疵保険は、工事をした塗装業者とは別の第三者機構が工事を保証をしてくれる制度です。塗替え後、住宅に不具合が見つかったが、塗装業者がその間に倒産してしまった場合、第三者機構である保険法人が不具合を直すための保険金を補填してくれます。リフォーム瑕疵保険を取り扱っている保険法人は下記のようなものです。
保険法人 | 商品名 |
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㈱住宅あんしん保証 | あんしんリフォーム工事瑕疵保険 |
住宅保証機構㈱ | まもりすまいリフォーム保険 |
㈱日本住宅保証検査機構 | JIOリフォームかし保険 |
㈱ハウスジーメン | 住宅かし保険 |
ハウスプラス住宅保証㈱ | リフォーム工事瑕疵担保責任任意保険 |
リフォーム瑕疵保険についてさらに詳細を知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
また、塗装業者が全国統一基準の組織(例えば塗替えのフランチャイズなど)に加盟している場合、塗装業者が倒産してしまってもその保証を引き続き組織の本部が受け持つ場合があります。
ちなみに、外壁塗装ジャーナルを運営している㈱プロタイムズも塗装業者が全国統一の高品質な施工とサービスをおこなう事を目的として設立された塗装の全国組織の本部であり、このようなダブル保証制度を備えています。
「業者が倒産してしまったら…」なんて事、どの業者を選ぶか検討する時に考えたくない事ではあると思います。
しかし、この時世、『絶対大丈夫』なんて事は存在しません。リスクを回避し、「こんなはずでは…」という事態を避けるために第三者機関での保証の補填についても検討してみましょう。
2-2.こんな事例は保証の対象外!?免責事項を把握しよう!
さらに多くの塗装業者は「こんな場合は保証の対象外ですよ」という事項をあらかじめ、請負契約書に記載しています。その事を『免責事項』といいます。その免責事項をしっかりと把握しておくことがリスク対策になります。免責事項は業者によって様々ですが一般的には下記のようなものが多いでしょう。
一般的な塗装工事の免責事項(参考) |
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☑ 火災や天災などの不可抗力が生じた場合 ☑ 不適当な管理によって不具合が生じた場合(小さなひび割れを知っているのに放置した結果、漏水したなど) ☑ 人為的な原因による場合(車をぶつけた事で塗膜がはがれたなど) ☑ 工事を受けた業者以外が補修をしてしまっている場合 |
火災や天災などは予測がしにくい為、心配な方は火災保険に加入しておくと良いでしょう。また、不具合が出た場合はすぐに工事を依頼した業者へ連絡しましょう。小さな不具合だからと自分で補修をしたり、放置した事によって悪化した場合保証の対象外となってしまう場合もあります。
3.保証と合わせて確認したい塗装業者を見極める2つのポイント
外壁塗装は住宅を良い状態に保つ為に必ずおこなわなければなりません。その際には保証という重要な部分をしっかり確認しておく必要があります。
しかし、そもそも保証やリスク対策を考える事はいわば最終手段。奥の手と言ってもいいでしょう。良い業者に出会い、しっかりとした塗装工事をしてもらい、安心して保証期間中めんどうを見てもらうのが一番のはずです。最後に良い業者を見極める為の2つのポイントをご紹介します。
3-1.見積り書、契約書の内容はしっかり確認する!
塗装業者を選定する時、よく見て頂きたいのは『見積り書』と『契約書』です。ではどんなチェックポイントを意識すべきなのかご紹介します。
■見積り書でチェックするポイント
☑ 材料費と工事費に分けて金額が出されているか確認する
☑ 使用する塗料の商品名まで記載されているか確認する
☑ 施工する外壁や屋根の面積が算出されているか確認する
☑ 使用する塗料の缶数が記載されているか確認する
■契約書でチェックするポイント
画像出典:http://www.j-reform.com/index.html
☑ 工事期間が不明確であったり、未記入ではないか
☑ 工事金額に間違いはないか
☑ 支払い方法に納得をしているか(前金ですべて支払う事はほとんどありません。通常、前金、中間金、完工金等に分けて支払い)
上記のようなポイントが守られていない業者と契約する事はおすすめしません。トラブルになった際の『言った・言わない』を回避する最大のポイントは詳細に書面で残す事です。
その他、業者選びに関してもっと知りたい方は下記の記事もぜひご覧ください。
3-2.施工事例や実際工事した人の感想を見せてもらう!
塗装業者を選ぶ時の手立ての一つとして、実際に工事をした人の感想を見せてもらう事が上げられます。塗装工事というもは半製品であり、壁や屋根に塗って初めて完成します。他の製品のように完成品を手にとって見る事ができません。なので、経験した人の感想を参考にするのが一番賢いやり方と言っても過言ではないでしょう。
HPに掲載されている工事のご感想を参考にしてみましょう。
さらに動画でお客様の声が見られるとより安心できます。参考としてリフォーム・ジャーナルを運営している塗装の全国組織プロタイムズがHPに掲載しているお客様の声をご紹介します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事では外壁塗装の保証について詳しくご紹介しました。まとめとして、各章で重要な部分を振り返っていきましょう。
まず、塗装工事の保証で重要な点は下記の通りです。
☑ 保証書は書面で出してもらう事!
☑ 保証には対象範囲や年数が決まっているのでしっかり確認する事!( 年数・対象の部位・保証される不具合)
☑ 保証には『製品保証』と『工事保証』がある事を理解しよう!
さらに、保証が使えないケースもあるのでリスク対策をしておくのがいいでしょう。
☑ 塗装業者が倒産してしまったら、保証は使えない場合が多い!
☑ 天災や火災、さらに施工業者以外が補修してしまった場合は免責事項として保証が使えない場合がある!
上記のリスク対策としては、第三者機構であるJIOリフォーム瑕疵保険への加入や火災保険への加入をご紹介しました。
また、もっとも重要なのは良い塗装業者とめぐりあう事であるとご紹介しました。良い業者の基準は様々ありますが今回は重要な2つに絞ってお伝えしました。
☑ 見積り書や契約書がしっかりとした形式で内容に不備がない業者を選ぼう!
☑ 塗装工事は半製品なので、実際に工事したお客様の声を見せてくれる業者を選ぼう!
上記のようなポイントをしっかりと押さえれば外壁塗装工事で「失敗した!」と後悔するリスクはかなり低くなるはずです。今回の記事を参考にして、すでに業者選定をしている方は「あなたのところはどんな保証内容なのですか?」と保証についての質問を投げかけてみてください。
まだ業者選定をされていない方は金額や塗料の性能だけでなく、保証にもフォーカスを当てて業者を選定してください。