「業者から屋根の塗装が剥がれていると指摘をもらった」など、屋根塗装の剥がれが気になる方は、“本当に補修が必要なのか”“費用はいくらぐらいかかるのか”と疑問に思われるのではないでしょうか?
結論からお伝えすると、屋根塗装の剥がれは補修が必要です。屋根塗装の剥がれを放置しておくと、最悪の場合「雨漏り」などのさらなる不具合につながることもあります。また、補修費用は補修方法によって大きく異なります。詳しくは、4章でお伝えします。
こちらの記事では、
・屋根塗装の剥がれている状態とは?
・屋根塗装の塗装の剥がれる原因
・屋根塗装の剥がれの補修にかかる費用
についてお伝えしていきます。
1.屋根塗装の剥がれとは?
屋根塗装の剥がれとは屋根の表面の塗膜(塗料の膜)が剥がれている状態のことです。屋根材には、塗装が必要なものと必要ないものが存在します。塗装をしていない屋根材には“剥がれ”が発生することはありません。剥がれが発生する屋根材と剥がれが発生しない屋根材については、1-2で詳しくお伝えしていきます。
1-1.屋根の塗装が剥がれている状態
屋根塗装が剥がれている状態とはどういった様子なのか写真を交えて、紹介します。業者に診断され、写真をもらっている方はぜひお住まいの状態と見比べてみてください。
【事例①】スレート屋根の塗装が剥がれている
スレート屋根の塗装が経年劣化により剥がれている状態です。
【事例②】モニエル瓦の塗装が剥がれている
塗装時の下地処理不足により、塗装の剥がれを引き起こしています。塗装の剥がれの上に、カビ、藻が生えていることがわかります。
1-2.塗装の剥がれが発生する屋根材&発生しない屋根材
現在、戸建てに多く使用されている屋根材には塗装の剥がれが発生するものと発生しないものがあります。その違いは「塗装をしているかどうか」です。塗装をしている屋根は剥がれが発生します。初めから、塗装する必要のない粘土瓦などは塗装の剥がれが起きることはありません。塗装の剥がれが発生するものと塗装の剥がれが発生しないものを分類しておりますので、参考にしてください。
お住まいの屋根材が判断つかない場合は以下の写真と見比べてみるとよいでしょう。(デザインが豊富な屋根材は代表的なデザイン写真を使用しています)現代の日本にある戸建ての多くは粘土瓦やスレート瓦を使用しています。
塗装の剥がれが発生する屋根材 | 塗装の剥がれが発生しない屋根材 |
スレート瓦 | 粘土瓦
|
アスファルトシングル(※代表的なデザイン) | |
セメント瓦 | |
モニエル瓦 | |
金属屋根(ガルバリウム鋼板) | |
金属屋根(トタン) |
塗装の剥がれが発生する可能性のある屋根材を使用していて、1-1のような状態に屋根が劣化している場合は、屋根塗装の剥がれが発生しているでしょう。次の章でその原因をお伝えしていきます。
2.屋根塗装が剥がれる原因
屋根塗装の剥がれにはいくつかの原因があると言われています。塗装しておよそ5~10年以上経過している場合は「経年劣化」の可能性が高いでしょう。目安として、塗装後数年(およそ1~2年以内)の場合、「施工不良」の可能性があります。
2-1.経年劣化での剥がれ
一般的な塗料の寿命は約8~10年と言われ、その期間を越えると経年劣化が剥がれにつながったといえるでしょう。経年劣化は太陽光や雨水の影響により発生します。※塗料の寿命は、塗料の種類によって、大きく違いがあります。
日々、太陽光や紫外線にさらされている屋根は時間をかけて劣化します。その劣化症状の一つとして、剥がれが起きる場合があります。早々に剥がれが発生するわけではなく、チョーキングやひび割れ、ふくれなどの劣化症状が剥がれにつながるため、劣化症状のサインの一つといえるでしょう。お住まいの地域の気候によって劣化速度は異なり、凍害や塩害地域では塗装して数年後に剥がれが発生するといった事例もあります。
【補足】塗料によっては剥がれが早めに起こることも!
塗装をされた屋根材は、時間が経つにつれて劣化し、剥がれを発生させる可能性があります(1-2)。塗装の剥がれは使用する塗料によって、発生する時期が異なります。これは、塗料の耐久年数がそれぞれ異なり、耐久年数が短いほど、早く剥がれが起きる傾向にあります。塗装の剥がれだけではなく、膨れやひび割れなどの劣化症状も、耐久年数が短い塗料が比較的早く発生する可能性があります。適正な施工の場合、塗料の耐久年数も剥がれが起きる時期の目安になるでしょう。
塗料 | 耐久年数 |
シリコン | 約5~7年 |
フッ素 | 約7~10年 |
無機 | 約10~15年 |
製品や周辺環境によって耐久年数は異なりますので、製品情報なども参考にされてください。
2-2.塗装してすぐに剥がれた場合は施工不良の可能性も
「屋根塗装をしてすぐ塗装が剥がれてしまった」という場合は施工不良の可能性があります。目安時期としては、数年(およそ1~2年以内)です。※あくまで目安時期のため、すべてのお住まいで当てはまるわけではありません。
屋根塗装の施工不良は、以下の理由が考えられます。
・下地面の強度不足
粘土瓦など塗装に向かない屋根材に塗装した場合や下地の屋根材に劣化があった場合に剥がれが起きることがあります。
・塗装前の準備(ケレン・洗浄)不足
塗装する前にケレン(下地処理)や高圧洗浄での掃除を十分に行えていなかった場合、取り切れなかった過去の塗料の劣化により上から塗った塗料が剥がれを起こすことがあります。
・塗料の選定ミス
屋根塗装では「下塗り、中塗り、上塗り」と3回塗装を行います。その際、下塗り塗料と、中塗り・上塗りの塗料は違うものを使用します。(中塗り・上塗りは同じ塗料を使用します)このとき、塗料同士の相性が大切で、相性の悪い塗料を使用すると塗装の剥がれにつながります。
・塗装時のミス
塗装時に、下塗り後、中塗り、上塗りと塗料を塗り重ねるためには、前に塗った塗料を乾いた状態にする必要があります。塗料が乾いていない状態でさらに塗装をすると塗装の剥がれが起きる場合があります。
その他、屋根塗装の剥がれは
・塗装する塗料の規定の塗布量を守っていない
・塗る予定ではない部分まで塗ってしまった
・下塗りを塗り忘れている
など、様々な塗装時のミスから起こる可能性があります。
3.屋根塗装の剥がれは補修が必要?
3-1.屋根塗装の剥がれは放置せずに補修しましょう
屋根塗装が剥がれてしまった場合、その剥がれは日々進んでいます。そのため、剥がれは補修が必要です。屋根塗装の剥がれを放置していた場合、塗装が剥がれた部分では、雨や風、太陽光など外部の影響を直接に受けます。したがって、屋根材の劣化を起こし、更にお家の内部に雨水が浸入した場合、雨漏りなどを引き起こします。
剥がれはすぐに雨漏りを発生させる訳ではありませんが、時間をかけて屋根内部まで劣化していきます。剥がれは着実に劣化が進んでいる証拠です。そのため、できるだけ早めの補修をおすすめします。
3-2.施工不良が疑われる場合|塗装した業者へ連絡しましょう
2-2でお伝えした通り、塗装後数年(1~2年以内)で剥がれが発生した場合は、施工不良の可能性があります。施工不良が疑われる場合は、早急に施工した業者に連絡し、補修をしてもらうことをおすすめします。施工不良が原因の場合、補修が発生しても基本的に無料で対応してもらえます。しかし、塗装してから数年経つと、施工不良なのか経年劣化か区別がつかなくなってしまうことがあります。そのように、業者が経年劣化と判断できない場合は、補修に費用がかかることがありますので施工不良が疑われる場合は早急に業者への連絡、相談をしましょう。
保証期間内であれば、施工不良と断定できなくても、補修をしてくれる場合があります。(保証期間は契約によって異なります)屋根塗装の保証については以下の記事を参考にされてください。
4.屋根塗装の剥がれの補修にかかる費用の相場
屋根塗装の剥がれの補修では、補修費用はいくらかかってくるのでしょうか。
屋根塗装の補修費用は剥がれの度合いによって大きく異なります。剥がれが屋根全面に起こっているなどの場合は、全面塗り替えが必要になります。剥がれが一部で他部分の剥がれも起きる心配がなければ、一部の塗り替え補修となります。どのような補修を行なうかは、業者と相談の上、決めることをおすすめします。
●全面塗り替えの場合
屋根塗装の塗り替えの相場は40~60万円(塗装面積50~80㎡の場合、一般的な2階建住宅・足場費用込)です。
●部分補修の場合
足場なしの場合は約5万円~、足場ありの場合は20万円~が相場となります。こちらは剥がれの状態によって、費用に差があるため、屋根の状態と最終の費用は塗装業者に確認しましょう。
部分補修の方法として、補修する箇所の一部分のみを塗り直します。部分補修は、元の塗装された色と、新しく塗り直した部分の差が多少なりとも発生するため、広範囲に補修が必要な場合は全面塗り替えをおすすめします。
●保証で補修する場合
保証期間内だった、また施工不良などで塗装業者が再度施工を行なう場合、多くの場合が無償で補修となるでしょう。しかし、塗装業者との契約条件によって、無償で対応してもらえるかは変わりますので、保証内容、契約内容をチェックしておきましょう。
こちらはあくまで目安となっており、実際の費用は、屋根材の種類や塗料代、劣化状況等で異なります。塗り替えの詳しい費用内訳や塗料の説明などが知りたい方は以下の記事を参考にされてください。
まとめ
屋根塗装の剥がれについてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。
この記事では、塗装が剥がれている状態と剥がれの原因を紐解いてまいりました。塗装の剥がれは、すぐに雨漏りが発生する不具合ではありません。しかしながら、確実に劣化は進んでいるため、補修が必要ということは頭に置いておくとよいでしょう。また、塗装後数年(1~2年以内)で剥がれが発生した場合は、施工不良の可能性もあります。その場合は早急に業者への補修の依頼を行なうことをおすすめします。