「セメント瓦は塗装が必要?」
「セメント瓦を塗装しないと、何か問題が?」
といった疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。
セメント瓦を長持ちさせるためには、塗装によるメンテナンスをする必要があります。
塗装をせずに放置し続けると、セメント瓦は早々にダメになるでしょう。
また、雨漏りなどが発生するリスクも生じます。
このあたり詳しくは、1章で解説します。
さらに、2章&3章では、
・セメント瓦の塗装によるメンテナンスが必要な時期
・セメント瓦の塗装にかかる費用相場
などについてもご紹介します。
セメント瓦の塗装について調べている方は、ぜひ参考にしてください。
※セメント瓦のことを、「厚型スレート瓦」「プレスセメント瓦」と言うこともあります。
※この記事の「セメント瓦」は、セメントと砂をプレス成型して、表面を塗装でコーティングした屋根材のことです。セメントと砂をプレス成型して、表面を着色スラリー層で着色しクリヤー塗料でコーティングした屋根材「乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)」の塗装については、こちらの記事を参照ください。
1.セメント瓦は塗装メンテナンスが必要
1-1.セメント瓦を長持ちさせるためには、塗装が必要
セメント瓦を長持ちさせるためには、塗装によるメンテナンスをする必要があります。
「瓦は塗装をする必要がないのでは…?」と思われている方もいるかもしれませんが、
塗装によるメンテナンスが必要ない瓦は、“粘土瓦(ゆう薬瓦・いぶし瓦)だけ”です。
セメント瓦は、塗装によるメンテナンスが必要な屋根材です。
1-2.なぜ塗装によるメンテナンスが必要?セメント瓦を塗装しないと、どうなる?
セメント瓦を塗装しないまま放置し続けると…
セメント瓦は早々にダメになるでしょう。
また、雨漏りなどが発生するリスクも生じます。
詳しく解説をすると…
セメント瓦は、セメントと砂をプレス成型して、表面を塗装でコーティングした屋根材です。
セメントと砂だけでは雨水を吸い込んでしまうため、表面を塗装でコーティングして、防水性を備えています。
しかしながら、セメント瓦表面の“塗装”は、永遠にもつわけではありません。
塗装は、時間の経過ととも少しずつ劣化します。
◎セメント瓦表面の塗装の劣化が進行すると、どうなる?
▼時間の経過とともに少しずつセメント瓦表面の塗装の劣化が進む
▼セメント瓦表面の塗装の劣化が進むにつれ、セメント瓦の防水性が失われていく
▼セメント瓦の防水性が失われていくにつれ、セメント瓦に雨水が浸み込むようになる
▼セメント瓦に雨水が浸み込む⇒乾燥する⇒雨水が浸み込む⇒乾燥する⇒雨水が浸み込む…を繰り返し、セメント瓦がもろくなる
※冬場などに、セメント瓦に雨水が浸み込む⇒(浸み込んだ雨水が)凍る⇒溶ける⇒乾燥する⇒雨水が浸み込む⇒凍る⇒溶ける…を繰り返すと、より加速度的にセメント瓦がもろくなります
▼セメント瓦がもろくなると、割れ・欠けなどが生じる
▼セメント瓦がダメになってしまう
セメント瓦に浸み込んだ雨水が、セメント瓦の下にまで浸入するようになると、雨漏り・カビなどが発生するリスクも生じます。
セメント瓦に割れ・欠けが生じると、雨漏り・カビなどが生じるリスクがより高くなります。
※セメント瓦の下には防水シート(ルーフィング)があるため、セメント瓦に雨水が浸入したからといって、すぐに雨漏りが発生することはありません。しかしながら、セメント瓦に雨水が浸み込み続けると、防水シートの劣化が促進され、雨漏りにつながる可能性があります。
1-3.[参考]セメント瓦とは、どんな屋根?我が家はセメント瓦?
「我が家の屋根がセメント瓦かどうか、わからない」という方は少なくないでしょう。
セメント瓦には、下記のような特徴があります。
▼セメント瓦の特徴
・和形・洋形・S形等の種類がある
・小口がフラット(凹凸がない)
セメント瓦は、乾式コンクリート瓦(モニエル瓦)・粘土瓦(ゆう薬瓦・いぶし瓦)などと見た目が似ているため、
「粘土瓦と思い込んでいたら、実際はセメント瓦だった」
「セメント瓦かと思ったら、乾式コンクリート瓦だった」
など、間違いやすいため、注意が必要です。
セメント瓦かどうかわからない場合には、上記の「セメント瓦の特徴」も参考にしつつ、住まい購入時の資料等で確認をするのが確かです。
もしくは、塗装業者の診断を受けると、「お住まいの屋根が、セメント瓦か or 他種類の屋根か」がわかります(2-4参照)。
※多くの塗装業者は、屋根塗装をする前に診断を行ないます。
2.我が家のセメント瓦は、塗装メンテナンスの時期を迎えている?
2-1.築10年以上の場合、塗装が必要な時期を迎えている可能性大
・お住まいを建ててから10年以上
・屋根にセメント瓦を施工してから10年以上
などの場合には、セメント瓦は塗装によるメンテナンスが必要な時期を迎えている可能性が高いです。
「築年数が浅い」「屋根にセメント瓦を施工してから10年以内」などの場合でも、セメント瓦の製品・住まいの環境(気候、日当たり、周辺に工場があるか、沿岸地域かどうか)などによっては、早々にセメント瓦表面の塗装の劣化が進行し、すでに塗装によるメンテナンスが必要な時期を迎えていることもあります。
2-2.色あせなどの劣化が見られる場合には、セメント瓦の塗装を検討すべき時期
セメント瓦に劣化症状が見られる場合には、早めに塗装によるメンテナンスを検討する必要があります。
▼下記のような劣化症状は、セメント瓦表面の塗装が劣化しているサイン。早めに塗装を検討してください。
※上記の劣化症状はあくまで一例です。
※劣化症状や劣化の進行具合によっては、塗装にプラスして補修工事等が必要な場合もあります。
セメント瓦の劣化症状は、安全な場所から確認してください!
セメント瓦の劣化症状は、窓・ベランダ・坂の上などの安全な場所から確認してください。
・屋根の上(セメント瓦の上)にあがる
・壁にたてかけるなどしただけの不安定な脚立にのぼる
などしてセメント瓦の劣化症状を確認するのは、絶対にやめてください。非常に危険です。
「セメント瓦がよく見えない」
「自身でセメント瓦を見ても、よくわからない」
といった場合には、塗装業者に診てもらうのがオススメです。
※多くの塗装業者が、屋根の種類・屋根に生じている劣化症状等を診る「診断」サービスを行なっています(2-4参照)。
2-3.セメント瓦に割れ等が生じている場合、塗装以外のメンテナンスが必要
セメント瓦表面の塗装の劣化が大きく進行し、
・セメント瓦の割れ・欠け
・防水シートの傷み
・防水シートの下の野地板の傷み
などの症状が見られる場合、塗装でメンテナンスできる時期を過ぎてしまっている(もう塗装では十分にメンテナンスができない)ため、塗装ではなく、「葺き替え」という方法でメンテナンスをすることになります。
●葺き替え
セメント瓦をすべて外して、必要に応じてルーフィング(防水シート)や野地板などを補修したうえで、新しい屋根材を施工する工法。
※「セメント瓦の割れ or 欠けが数ヵ所」といった場合には、割れている or 欠けているセメント瓦だけ補修をする“部分的な葺き替え”という方法でメンテナンスをすることも可能です。ただし、現在、セメント瓦の製造量が減っているため、全く同じセメント瓦製品に葺き替えるのは難しい可能性が高いです。
2-4.「我が家のセメント瓦は塗装時期かも?」と思ったら、ひとまず塗装業者に診てもらうのが正解
2-1~2-3の情報も参考に、
「我が家のセメント瓦は、劣化が進行している?塗装によるメンテナンスが必要な時期を迎えている?」
と思ったら、ひとまず塗装業者にセメント瓦を診てもらうのがオススメです。
※多くの塗装業者が屋根や外壁を診る「診断(現場調査・現調・点検)」というサービスを実施しています。
一般的な診断は、塗装業者が実際にお住まいの屋根を診たうえで、
・屋根の種類(セメント瓦 or 他の種類の屋根か)
・屋根に生じている劣化症状、劣化の進行具合
・塗装によるメンテナンスが必要な時期か、しばらくは様子見でも問題ないか
・葺き替えなどの塗装以外のメンテナンスが必要か
・必要なメンテナンスにかかる見積額(塗装費・葺き替え費 等)
などを提示します。
「我が家の屋根が、セメント瓦かどうかわからない」
「我が家のセメント瓦は、いつ頃塗装をするのがベストか早めに知っておきたい」
といった場合にも、塗装業者の診断を受けると良いでしょう。
※本サイトを運営しているプロタイムズでは、無料で診断を行なっています。
お気軽にお問い合わせください。
3.セメント瓦の塗装には、いくらかかる?
セメント瓦の塗装にかかる費用相場は、下記のとおりです。
▼セメント瓦の塗装
費用相場:40万円~
・一般的な2階建て住宅の場合(塗装面積50~80㎡)
・足場費用込
※上記はあくまで相場価格です。
※セメント瓦の塗装費用は、屋根の広さ(塗装面積)、セメント瓦の劣化の症状・進行具合、選ぶ塗料製品、依頼する塗装業者によって異なります。そのため、場合によっては、上記の費用相場と大きく異なることもあります。
※セメント瓦とあわせて、外壁や付帯部(雨樋・軒天・幕板 ほか)の塗装をする場合には、+αで外壁塗装や付帯部塗装の費用がかかります。
[参考]セメント瓦の葺き替えにかかる費用相場
▼セメント瓦の葺き替え
費用相場:100万円~
・足場費用込
※上記はあくまで相場価格です。
※実際の葺き替えの費用は、屋根の広さ・屋根の劣化症状や進行具合・選ぶ屋根製品・依頼する業者などによって異なります。そのため、場合によっては、実際の葺き替えの費用が上記の費用相場と大きく異なることもあります。
※2006年以前に建てられた住宅のセメント瓦には、アスベストが含まれている可能性があります。アスベストを含むセメント瓦の葺き替えをする場合には、廃材処理や飛散防止対策等に高額な費用がかかることがあります。
\セメント瓦の塗装をするタイミングで、一緒に外壁塗装もするとお得です/
4.セメント瓦の塗装はプロに依頼すべし
「セメント瓦を自身で塗装しよう」と思われている方もいるかもしれませんが、一般の方が自身でセメント瓦を塗装するのは、難しいでしょう。
セメント瓦の塗装は、プロに依頼するべきです。
▼セメント瓦の塗装をプロに依頼すべき理由
◎塗装に失敗する可能性が高いため(塗装後すぐに不具合などが生じることも)
セメント瓦を塗装するためには、下記のような知識や技術が必要です。
・セメント瓦かどうかを見極める(※1-3参照)
・セメント瓦製品・劣化症状・劣化の進行具合などによって、最適な下塗り塗料製品や上塗り塗料製品を選定する
・(劣化症状・劣化の進行具合によっては)塗装前に必要な下地補修工事をする
・適切な手順で、かつ塗料メーカーの規定を守って塗装工事をする(※塗料製品ごとに各塗料メーカーが様々な規定を定めています) ほか
こうした知識や技術が十分でない一般の方がセメント瓦の塗装をすれば、何かを見誤ったり、手順を間違ったりするなどして、セメント瓦の塗装に失敗する可能性が高いです。
塗装に失敗すると、見た目がキレイに仕上がらないだけでなく、塗装後すぐに塗膜がはがれるなどの不具合が生じることも十分考えられます。
また、セメント瓦の塗装に失敗すれば、塗装にかかった費用は無駄になります。
最悪の場合、失敗したことで生じた不具合を補修するのに相応の費用がかかってしまうことも。
◎高所作業には危険が伴うため
セメント瓦の塗装をするためには、セメント瓦(屋根の上)にのぼる必要があります。
高所での作業は非常に危険です。
塗装業者がセメント瓦の塗装をする時には、足場を設置する・安全帯を装着するなど、しっかり安全対策をします。それでも、墜落・転落などの事故が起こっているのが現状です。
一般の方が、何の安全対策もせずに屋根の上にあがって作業をするなど、もってのほかです。絶対にやめてください。
セメント瓦の塗装はプロに依頼することを強くオススメします。
まとめ
セメント瓦を長持ちさせるためには、塗装によるメンテナンスをする必要があります。
塗装をせずに放置し続けると、
・セメント瓦が早々にダメになる
・雨漏り・カビが発生する
などのリスクが生じます。
セメント瓦の塗装時期については上記2章で詳しく解説しています。
塗装時期を迎えているかどうかの最終判断は、プロにお任せするのが賢明です。
この記事では、
・セメント瓦の塗装にかかる費用相場
などに関する情報もご紹介しています。
セメント瓦の塗装を具体的に検討する際には、あわせて、ぜひ参考にしてください。